鹿江光さんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

鹿江光

鹿江光

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チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

3.8

≪78点≫:空洞から見えるもの。
こんなにも温かく、痛い作品は久しぶりだ。人物それぞれの感情が、“瞳”を通して映し出されている。その反対で、性や地位への偏見という力が、無残にも可能性と光を消してしまう
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

2.8

≪55点≫:描いているのは、進化とは別のもの。
近未来SFが現代を映す鏡であるならば、本作が映したものは、よくある男女の恋愛関係だ。盲目的で、感情の行き違いが起こり、溺れるほどの高揚感がある。
OSと
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

≪80点≫:証明できないものと真っ向勝負。
ややこしい作風は相変わらずだが、本作は主張がわりと明確で、「どうしたノーラン!」と思ってしまった。映像は圧巻でもあり、時に古き良きチープさも垣間見え、理論上
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ヴィオレッタ(2011年製作の映画)

3.0

≪60点≫:“少女”とは結局、何だ。
主演のアナマリアは子どもではなく大人でもない。女性ではあるが、女ではない。ヌードなのに、そこにエロスを感じない。歪な性が芸術と性愛の間で揺れている。(確かボーヴォ
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オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

3.5

≪70点≫:ロジカルなタイムループ。
身体そのものがタイムループするというよりも、「記憶がパラレルに送られる」というちょいと定石から外れているあたりが、複雑で面白い。感情ではなく論理に基づいた行動を取
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

4.5

≪90点≫:誰のための復讐か。
天使と悪魔を飼い馴らす「親切なクムジャ」さん。13年間育てた復讐を果たすため、人脈を盾に、妄執の心が暴れ出す。
前半は、はっきりと全貌が見えず「なるほど……」くらいの印
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世界最速のインディアン(2005年製作の映画)

3.5

≪70点≫:最速の生涯。
速い!熱い!こんな生き様に憧れる!何十年も夢を追って、5分が一生に勝る世界で、何度も駆け抜けて転倒して、その度に行動して、生きて生きて、笑って天を仰ぐ。聖地ボンヌヴィルに到着
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武器人間(2013年製作の映画)

3.5

≪70点≫:スタイリッシュキチガイ、爆誕。
なんとスタイリッシュな作品なのだろうか!程良くサイコで、程良くグロい!それなりに狂っている。
気持ちよくドン引きできない理由は、改造人間のデザイン性にあると
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カニバル(2013年製作の映画)

2.5

≪50点≫:不完全燃焼。
「人を欲すること」と「人を愛すること」の違いは何だろう、とふと考えてしまう。残酷描写のないR‐18作品。人を愛してしまったカニバリストの葛藤を静かに描いている。
作品としては
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マーシュランド(2014年製作の映画)

3.3

≪65点≫:謎が謎のまま終わる、重厚なミステリ。
安い量産ホラーが目立っていたスペイン映画に、救世主の如く登場したのが『マーシュランド』だ。「待ってました!」と拍手で迎えたいような出来だった。久しぶり
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ムカデ人間3(2014年製作の映画)

1.0

≪20点≫:ようこそ、合理主義の極みへ。
新鮮な設定で我々を虜にした1作目。メタ構造により、狂気の果てを描き切った2作目。さて、カルト映画が目指していた着地点とは一体何か。それに対する答えが垣間見えた
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キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー(2013年製作の映画)

2.8

≪58点≫:アクションの設定は良いのだが……。
武術好きが勢いで創ってみました!というような内容。お金のために、ジャンル関係なく、閉鎖的空間で闘うアクションシーンは、どこか刃牙に通ずるものがあって、少
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MAMA(2013年製作の映画)

3.5

≪70点≫:母性本能に襲われる。
業の深さの果ての恐怖、叙情的なホラーといえる。視覚効果はもちろんだが、それ以上に恐怖の根本となる「人間としての悲哀」がしっかりと作られているので、軸がぶれることも無い
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ザ・イースト(2013年製作の映画)

2.5

≪50点≫:眼には眼を。
環境汚染を犯している企業に対しテロ活動をする団体と、企業の依頼を受けて潜入捜査をする主人公の話。ゴミという社会の法や制度の果てを食って、問題提起を投げかけるリアルなフィクショ
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スノーピアサー(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

≪80点≫:直線上の革命。
氷河期を迎えた地球を走る“箱舟”の中で、弱肉強食が跋扈する。永遠はやがて不完全となり、秩序をもたらすために神は計画を進める。しかし、エンジンを動かすために子どもが必要だとい
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消えたシモン・ヴェルネール(2010年製作の映画)

3.5

≪70点≫:真実に味はあるのか。
それぞれの視点で、それぞれの消失の連鎖を描く。近年だと『桐島、~』のようなテイストを含んだ群像劇である。別の立場で共通体験をしていく動きは、最後に一点に集中していく面
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LIFE!(2013年製作の映画)

4.3

≪85点≫:小さな一歩に大きな勇気。
主人公の心の変化と共に訪れる壮大な景色の数々は圧巻だ。白昼夢が徐々に現実になっていき、そこには気持ちの良いほどの勇気と希望が詰まっている。
BGMの使い方も秀逸。
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ミスティック・アイズ(2011年製作の映画)

2.0

≪40点≫:観客に委ねられても……困ります。
作品そのものからの主張はあまり感じられない。その分、観客の想像力にすごく委ねられると思う。
閉鎖的な村で、不可解な眼差しは何を壊し、何を壊されたのか……。
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マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

3.5

≪70点≫:アリソン・ローマンに惚れる。
クライムサスペンスかと思いきや、所々コメディ調でもあり、エンターテインメントとして面白い。
ラストの展開も満足。ただ何に一番騙されたって、14歳の描写を熱演し
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ディアトロフ・インシデント(2012年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

≪50点≫:タイムパラドクスPOV。
ホラーが主流だったPOVに、SF要素を織り込むという少し新しい風を吹き込んでくれた作品。ミステリも実際の怪事件を基にしているため、オカルト性が増して面白い。映像と
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

≪80点≫:善と悪、暴力とセックス。
どこまでもオシャレな世界観。設定は未来のロンドン、なのに漂う匂いは現代そのもの。それもそのはず、世界に蔓延る「善と悪」に未来も過去も関係ない。あるのは不変の概念で
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.0

≪80点≫:映像的恐怖の革新。
ストーリーそのものはそれほど驚くものではない。ただ、BGMやサブリミナル映像によって、この作品の恐怖が構築されていく。100テイク以上かけて撮影したと言われるシーンの女
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P.S. アイラヴユー(2007年製作の映画)

3.5

≪70点≫:恋愛はこんなにも人と繋がっている。
愛する人を通して自分を見つめ直す物語。辛いはずの現実を明るく表現していて、心が温かくなる作品だった。誰かを好きになって、愛を伝えることで、人々との繋がり
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ワン・デイ 23年のラブストーリー(2011年製作の映画)

4.3

≪85点≫:この切なさが心を抉る。
一線を越えず、親友を演じ続けた2人。綺麗でもあり、悲惨でもある。そんな関係でずっと続けばいいけど、そうも言ってられないのが現実だ。「もっと素直になれよ」とツッコミた
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アップサイドダウン 重力の恋人(2012年製作の映画)

2.2

≪45点≫:ビジュアルに気を取られると……。
設定はここ最近で一番興味を惹くものだった。これぞエンターテインメント!映画だからこそ可能な物語である。ビジュアルも十分。重力を行き来することでカメラワーク
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イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)

3.0

≪60点≫:分かち合う。
すべてを棄てて一人で出た旅。それは、出会うすべての人との心の共有があってこその旅である。彼は「分かち合う心」という答えに辿り着く。人生とは大きな自分探しではあるが、この作品の
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.0

≪80点≫:Well do ya,punk!
終盤の、犯人が乗るバスを待ちかまえる時のイーストウッドの立ち姿には心が震えた。立っているだけなのに、そこに動きがあるような迫力がある。犯人もなかなかの異常
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孤島の王(2010年製作の映画)

4.0

≪80点≫:言い知れぬ感覚が静寂を生む。
真っ白な景色と静けさが、より一層少年たちの滾る感情と、優位な立場を利用した大人たちの残酷性を映し出している。
シガーロスの温かくも孤独を感じる音楽が、この作品
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ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)

4.0

≪80点≫:正義が揺らぐ。
誰のための正義なのか、誰のための執念なのか、心地の良い暗さがあった。
見せ場あり、エンタメ性あり。ヒロイズム的要素はなく、拷問や買収などの影の部分もきっちりと見せている。マ
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

4.2

≪85点≫:偵察スパイダーが可愛い。
未来殺人を予知して未然に防ぐという設定。近未来の世界だからぶっ飛んでいなくて、リアリティを感じる。あと偵察スパイダーちゃんが可愛い。
謎が謎を呼ぶ展開に目が釘付け
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

≪80点≫:痛み無しじゃ、何も得られない。
ただの暴力映画ではない。かといって爽快な映画でもない。生々しく生きていくことを選択していく映画である。
登場人物の独特の哲学も垣間見えて、精神的にも肉体的に
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

3.8

≪78点≫:成功したいなら、リスクを取れ。
この怪物を創り上げたのは、他でもない現代社会だ。良心だけでこの世界を生き抜いていくことはできない。言ってしまえば、良心は出世の敵だ。暗闇に潜み、破滅の瞬間に
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アルゴ(2012年製作の映画)

4.1

≪82点≫:緊張の連続。
実話だからこそ、エンタメ的なアクションや展開からは決して生まれない緊張感が冒頭からある。結末の終着点が見えていても、じっとしていられない面白さがある。

ある愛へと続く旅(2012年製作の映画)

4.3

≪85点≫:この愛はどこへ行くのか。
この愛へと続く道を進むために、どれほどの愛が失われたのか。それと同時に、ある愛へと続く道を進むために、どれだけの愛が認められたのか。
ボスニア紛争を軸に、すべての
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ハッシュパピー バスタブ島の少女(2012年製作の映画)

4.0

≪80点≫:飢えなきゃ生きれない。
生きる存在すべてに、平等に、世界は残酷で美しい。弱肉強食の世界だからこそ、誰よりも気高く飢えなきゃ生きれない。そんな境遇で、少女の心には孤独であることを嘆き悲しむ弱
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.5

≪90点≫:その魂の奇妙さと重さ。
なかなかに重い作品だ。体調が優れない時に観れば、一発で寝込むことになるだろう。
徐々に真実が明らかになると同時に、その出来事の重さに押しつぶされていく。しかし最後は
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