光好尊さんの映画レビュー・感想・評価

光好尊

光好尊

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.0

例に漏れず、マクドナルド兄弟は「自分たちの夢」を叶えるために創業したマクドナルドを、「アメリカンドリーム」という「勝手に参加させられてるゲーム」に乗っ取られることになる。

彼らの哲学を踏みにじるレイ
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WeWork/470億ドル企業を崩落させた男(2021年製作の映画)

3.7

経営学素人からすると、ビジネスモデルそれ自体の凄さよりも、それをどれだけスケールできるかって感じなんだと思うが、WeWorkはアダムの“カリスマ性”とレベッカの“精神世界”でゴリ押し感。

アダムを賞
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“死刑囚”に会い続ける男(2021年製作の映画)

3.5

刑罰の正当化根拠論として、一般に、応報刑論と目的刑論に大別される。死刑は概ね応報刑論に由来するが、極刑が死刑でよいと論理的に言い切れるか。

応報感情は、国家による応報措置と区別されるべきだ。加えて、
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.5

平凡退屈生産消費のライフスタイルに吐き気を催し、“死への先駆”を暴力に見て本来性を得る。

彼らにとって、死への接近と生の悦びの実感は相関し、逆に死からの隔離と生のつまらなさも相関にする。

ボードリ
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エル ELLE(2016年製作の映画)

4.3

噂通り、ポール・ヴァーホーヴェンが計算機的モラルを破壊する野蛮(?)映画。彼の言う「多義性」、モラルでさえ自明の理ではなく、ありうる蓋然性のレベルに瓦解する。

ミシェルは性被害の後すぐに警察に届けず
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.2

人は外見かそれとも内面か。

外見的魅力が内面的魅力を上昇させるが、内面的魅力もまた外見的魅力を上昇させる可能性がある。

いわば概念的には、二律背反ではなく相互作用が生じる代物であって、「外見なんて
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.4

愛する娘が行方不明(=missing)になり、娘の生存という根拠なき光に縋っていくにつれ、自身の心まで空っぽ(=missing)になっていく。

雨の湿気にやられたようなボサボサの髪とささくれた唇から
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空白(2021年製作の映画)

4.6

空っぽな悪と空っぽな善。それぞれに「取り返しのつかなさ」と「仕方なさ」があり、最後に「みんな、どうやって折り合いをつけてんのかな」とこぼすに至る。

寛容さは、付け入る隙を与えて損することが往々にして
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何者(2016年製作の映画)

4.3

原作は朝井リョウ(未読)。元々兼業作家で早稲田文構出身というのもあって、登場人物と同じ22歳だが院進志望の自分の目にも明らかに解像度が高い。

“就活対策本部”を立ち上げて結束し、仲間と就活に勤しむ傍
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しずく(2023年製作の映画)

3.8

しっかり者の子どもたち。俺が小学生の頃って、何考えてたっけ

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)

4.2

シャイロック「罰はこの身で引き受けるまで!」(シェイクスピア『ヴェニスの商人』)

七つの会議(2018年製作の映画)

4.0

こういう体質の組織の中にいたら、こういう体質の人間に育つ自信がある。

福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

すべてのサピエンスがアフリカに住んでた頃から今もほとんど変わってない。

イノセンス(2004年製作の映画)

4.7

何回観てもスルメのように味が出そうな作品。1年置きくらいに観ようかな。

多くの人が言ってるように、繰り返される引用台詞にくどさはあるけど、そこはまあ好み。というか記憶装置が外部にあることの現れ的な側
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.8

神山健治のS.A.C.から観るルートが巷で支持されてるらしいが、時系列通り本作から入るルートを断行。意外に話がわかりやすく、後悔なし。

例によって存在論的、認識論的問いが内包されているが、ポストモダ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.9

アニメ版は精神世界の寓喩だったのに…となりかけたが、まさか新劇場版自体がエヴァシリーズの寓喩とは。アーメン。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.0

まるで急に初めてボランチやった時の俺。起死回生のスルーパスがカットされ、ツーボラのカオルがディフェンスに戻らずチェックメイト。出せって言ったじゃないか!

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.8

こんなものを作れる人間がいることに冷静に驚いた方がいい

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

4.2

こんなストーリーテリング的やったっけ。アニメ版を大分失念してるせいか。

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

4.0

周平は亜矢を通して「別の世界」が見えてたと思う。母親が「この世界」にしか生きられないことがわかってたからこそ、引き受けたんだと思わざるを得ない。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.7

いい映画はミクロな描写にマクロな視座を前提とする。

人類史を振り返ると、600万年前にチンパンジーと分化して以降ほとんどが狩猟採集社会だった。1万年前に定住社会、5千年前に大規模定住社会(≒文明社会
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オットーという男(2022年製作の映画)

4.0

人格形成には過程があることを意識すると偏屈おじさんにも優しくなれる

Blue/Orange(2020年製作の映画)

2.5

役者っぽい子はいらんかったんでは。水と火を見たときの「言葉にできない感情」のノイズになりかねない。何かこだわりでもあったんだろうか。

少し未来のある部屋で(2021年製作の映画)

3.3

奇抜なSF設定だが、将来なくもない話。ただ少子化対策って話ではなく、男性の「妊娠する権利」的な話になりそう。

待つには遠すぎた初恋(2018年製作の映画)

3.8

東京外大生が作ったらしい。外大生ならこういうの割とあるんかも。ラストが秀逸。

滲み(2023年製作の映画)

3.5

“単純なエモさ”は超え出てると思うけど、あまり評判よくないらしい。

感情がバラバラで相手の顔の輪郭が視覚に収まらず、互いの感情を色が滲むように混ざる感じが上手く表現されていて、音楽も効果的だったと思
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