TAKEさんの映画レビュー・感想・評価

TAKE

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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.3

察するに、「あの頃のアメリカはもうない」みたいなことらしい。この感性、日本人にはあまりないらしいのがいつも引っかかりながら生きてる。

ファーゴ(1996年製作の映画)

4.2

出てくる奴漏れなく薄っぺらさがプンプンしてて終始フワフワしてるんよな、脚本と演技の妙というか

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.6

有り体な言い方になるが現実はもっと「ストーリーが交差」してるんやなってのと、例のほぼデタラメなエゼキエル書25章17節を30年暗記してるサミュエル・L・ジャクソンおもろすぎる

プラトーン(1986年製作の映画)

4.7

クリス・テイラーを媒介にしてオリヴァー・ストーン自身が体験したベトナム戦争の現実を、「生き残った僕らには義務がある。戦争で見たことを伝え、残された一生を努力して人生を意義あるものにすることだ」として、>>続きを読む

地獄の黙示録(1979年製作の映画)

4.7

ニーチェに言わせれば、善か悪かを決着できる(=ハルマゲドン)のは権力を持つものなのであって、あらゆる善(悪)は、ある視座を必ず前提していることになる(=パースペクディビズム)。

その限りにおいて、善
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.8

前半部分から後半部分へかけて、キューブリックの言うベトナム戦争“そのもの”を表現しながら、ジョーカーを通して戦争における兵士の心的過程をも痛快に描いた作品。前半部分のミリタリーケイデンスに、「音楽は社>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

5.0

“戦争は爆発ではなく静寂から始まる”
――2022年2月24日、静寂に包まれたウクライナの街にプーチンの言う「特別軍事作戦」が襲った。

東大先端研の小泉悠准教授は、開戦前のプーチンの発言から、①民族
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選挙2(2013年製作の映画)

4.2

ただ怒りと不信感からくる氏の金なし選挙活動に観客は、近接的視点から「正論」に聞こえるが、最後「コスプレ的に」防護服を着て演説する姿を引きで観せられた時、「自分の視点は近すぎた」と内省させられる。

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選挙(2006年製作の映画)

4.2

続編の『選挙2』と合わせて観るとかなりグロい。

切手コイン商だけでなく経歴も特異で、政治はずぶの素人の山内和彦氏が、利害関係が綯い交ぜでありながらぶっとい縦の関係で支えられている自民党、ひいては選挙
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

4.7

妻の性的欲望の告白から、写し鏡のように自己の内的状況――無意識――を彷徨いながら、秘密結社のパーティという不思議の国へと誘われる。

Eyes Wide Openのままでは仮面の意味をなさない。Eye
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ロリータ(1962年製作の映画)

4.3

その後、スー・リオンがロリータそのものになったと聞いて複雑な心境に…

シャイニング(1980年製作の映画)

4.5

俺たちの中に確実にいる狂気がおコンバンハしないように

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.9

キューブリックの意図に沿えば、暴力を含む自由意志を国家の管理により剥奪することを是認できるか、を描いた怪作と言って間違いない。

約1000万年前から順次分化した類人猿のうち、最も分子系統学的に現生人
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(2024年製作の映画)

3.9

指折りの役者たちがずらりで、石丸役の方の人相と口調が似すぎてる。作品としての完成度は高いんじゃ、と思ったがあんまり回ってなさそう。

ただ、事実を元にしたことで付け足すべきポイントが。まず「居眠り議員
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はりぼて(2020年製作の映画)

4.2

正直芸人のコント並みにおもろい。

良くも悪くも、国会議員と比べて脇が甘く、メディアとの戦略的駆け引きに関する知恵もないに等しい。シニカルな編集も相まってテンドンなお笑いが続く。

森市長が制度論好き
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映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

3.8

ジェームズ・ブライス「地方自治は民主主義の最良学校であり、その成功の最良の保証人である」の好例。地方自治は比較的実際の政策と利害が地続きなので関心を持ちやすい。

長年運動してきた市民団体の有力者が、
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国葬の日(2023年製作の映画)

3.7

国葬、正確には“国葬儀”について。歴史としては、戦前国葬令を元に天皇の大喪や皇族の葬儀、国民の偉勲に対する天皇の特旨のために行われた。戦後国葬令は廃止され、実は直接定めた法律がない。通例、内閣葬、所属>>続きを読む

テレビ、沈黙。放送不可能。Ⅱ(2023年製作の映画)

3.6

我々は何を知らされていないかを知ることができないのだから、我々が実は何を知らされずにいたかを知る努力をすることから始めよう。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

「終わりなき日常」は終わらない。

「日常の彼岸」を目的するのではなく、イマココのコレの丁寧さが埃の被った人生を豊かにする。

「この世界は繋がってるように見えても繋がっていない世界がある」んだから、
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ウォール街(1987年製作の映画)

3.9

経済史的にはそれまでの古典派経済学から1929年の世界恐慌を経てケインズ主義、70年代のオイルショックの反省から新自由主義へと推移してきた時代背景がある、80年代が舞台。

皮肉にもオリバー・ストーン
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

19世紀後半のヴィクトリア朝。主人公のベラが逆コナンになることで“脱社会化”し、「良識ある社会」という誤解から“デタラメな社会”に気づきつつ、軽くいなしながら突き進む姿はまさにエマーソンの超絶主義的。>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.2

ワンカット風の撮影技法によって、精神疾患による現実と虚構(理想と現実)の区別のつかなさと、『愛について語る時に我々の語ること』で演じる役柄に自分自身を投影していることが表現されている。

「真実は常に
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ビート・パー・MIZU(2019年製作の映画)

3.4

とけた電球と齋藤英里が高1の俺。

あと齋藤英里の「ありがとう」がサマーウォーズのナツキ先輩。

ア・ストーリー・オン・ザ・ショア(2019年製作の映画)

2.5

「有楽町のOLみたいに」飯の写真を撮る是枝監督を観られる稀有な作品。

茅ヶ崎市って言ってんのに江ノ電映してたのがかなり気になった。

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.5

テーマはトランスジェンダーやバレエだけではなく、“自己同一性”(自分は自分にとって何者か≒自分は社会にとって何者か)の問題。

およそ「お前はこういう人間だ」という社会からの与件からしか、「自分はこう
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.7

遅ればせながら初ウェス・アンダーソン。

内容は重めのストーリーと見えるがコメディタッチで描かれていること、それと何より欧州的教養が内在した超絶お洒落な世界観で一気に引き込まれる。

アガサがロマン派
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.0

ブルーって挑戦者の色なのか。むちゃくちゃいいこと知った。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.0

例に漏れず、マクドナルド兄弟は「自分たちの夢」を叶えるために創業したマクドナルドを、「アメリカンドリーム」という「勝手に参加させられてるゲーム」に乗っ取られることになる。

彼らの哲学を踏みにじるレイ
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WeWork/470億ドル企業を崩落させた男(2021年製作の映画)

3.7

経営学素人からすると、ビジネスモデルそれ自体の凄さよりも、それをどれだけスケールできるかって感じなんだと思うが、WeWorkはアダムの“カリスマ性”とレベッカの“精神世界”でゴリ押し感。

アダムを賞
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“死刑囚”に会い続ける男(2021年製作の映画)

3.5

刑罰の正当化根拠論として、一般に、応報刑論と目的刑論に大別される。死刑は概ね応報刑論に由来するが、極刑が死刑でよいと論理的に言い切れるか。

応報感情は、国家による応報措置と区別されるべきだ。加えて、
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.5

平凡退屈生産消費のライフスタイルに吐き気を催し、“死への先駆”を暴力に見て本来性を得る。

彼らにとって、死への接近と生の悦びの実感は相関し、逆に死からの隔離と生のつまらなさも相関する。

ボードリヤ
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