TAKEさんの映画レビュー・感想・評価

TAKE

TAKE

ロリータ(1962年製作の映画)

4.3

その後、スー・リオンがロリータそのものになったと聞いて複雑な心境に…

シャイニング(1980年製作の映画)

4.5

俺たちの中に確実にいる狂気がおコンバンハしないように

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.8

キューブリックの意図に沿えば、暴力を含む自由意志を国家の管理により剥奪することを是認できるか、を描いた怪作と言って間違いない。

約1000万年前から順次分化した類人猿のうち、最も分子系統学的に現生人
>>続きを読む

(2024年製作の映画)

3.9

指折りの役者たちがずらりで、石丸役の方の人相と口調が似すぎてる。作品としての完成度は高いんじゃ、と思ったがあんまり回ってなさそう。

ただ、事実を元にしたことで付け足すべきポイントが。まず「居眠り議員
>>続きを読む

はりぼて(2020年製作の映画)

4.2

正直芸人のコント並みにおもろい。

良くも悪くも、国会議員と比べて脇が甘く、メディアとの戦略的駆け引きに関する知恵もないに等しい。シニカルな編集も相まってテンドンなお笑いが続く。

森市長が制度論好き
>>続きを読む

映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

3.8

ジェームズ・ブライス「地方自治は民主主義の最良学校であり、その成功の最良の保証人である」の好例。地方自治は比較的実際の政策と利害が地続きなので関心を持ちやすい。

長年運動してきた市民団体の有力者が、
>>続きを読む

国葬の日(2023年製作の映画)

3.7

国葬、正確には“国葬儀”について。歴史としては、戦前国葬令を元に天皇の大喪や皇族の葬儀、国民の偉勲に対する天皇の特旨のために行われた。戦後国葬令は廃止され、実は直接定めた法律がない。通例、内閣葬、所属>>続きを読む

テレビ、沈黙。放送不可能。Ⅱ(2023年製作の映画)

3.6

我々は何を知らされていないかを知ることができないのだから、我々が実は何を知らされずにいたかを知る努力をすることから始めよう。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

「終わりなき日常」は終わらない。

「日常の彼岸」を目的するのではなく、イマココのコレの丁寧さが埃の被った人生を豊かにする。

「この世界は繋がってるように見えても繋がっていない世界がある」んだから、
>>続きを読む

ウォール街(1987年製作の映画)

3.9

経済史的にはそれまでの古典派経済学から1929年の世界恐慌を経てケインズ主義、70年代のオイルショックの反省から新自由主義へと推移してきた時代背景がある、80年代が舞台。

皮肉にもオリバー・ストーン
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

19世紀後半のヴィクトリア朝。主人公のベラが逆コナンになることで“脱社会化”し、「良識ある社会」という誤解から“デタラメな社会”に気づきつつ、軽くいなしながら突き進む姿はまさにエマーソンの超絶主義的。>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.2

ワンカット風の撮影技法によって、精神疾患による現実と虚構(理想と現実)の区別のつかなさと、『愛について語る時に我々の語ること』で演じる役柄に自分自身を投影していることが表現されている。

「真実は常に
>>続きを読む

ビート・パー・MIZU(2019年製作の映画)

3.4

とけた電球と齋藤英里が高1の俺。

あと齋藤英里の「ありがとう」がサマーウォーズのナツキ先輩。

ア・ストーリー・オン・ザ・ショア(2019年製作の映画)

2.5

「有楽町のOLみたいに」飯の写真を撮る是枝監督を観られる稀有な作品。

茅ヶ崎市って言ってんのに江ノ電映してたのがかなり気になった。

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.5

テーマはトランスジェンダーやバレエだけではなく、“自己同一性”(自分は自分にとって何者か≒自分は社会にとって何者か)の問題。

およそ「お前はこういう人間だ」という社会からの与件からしか、「自分はこう
>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.7

遅ればせながら初ウェス・アンダーソン。

内容は重めのストーリーと見えるがコメディタッチで描かれていること、それと何より欧州的教養が内在した超絶お洒落な世界観で一気に引き込まれる。

アガサがロマン派
>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.0

ブルーって挑戦者の色なのか。むちゃくちゃいいこと知った。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.0

例に漏れず、マクドナルド兄弟は「自分たちの夢」を叶えるために創業したマクドナルドを、「アメリカンドリーム」という「勝手に参加させられてるゲーム」に乗っ取られることになる。

彼らの哲学を踏みにじるレイ
>>続きを読む

WeWork/470億ドル企業を崩落させた男(2021年製作の映画)

3.7

経営学素人からすると、ビジネスモデルそれ自体の凄さよりも、それをどれだけスケールできるかって感じなんだと思うが、WeWorkはアダムの“カリスマ性”とレベッカの“精神世界”でゴリ押し感。

アダムを賞
>>続きを読む

“死刑囚”に会い続ける男(2021年製作の映画)

3.5

刑罰の正当化根拠論として、一般に、応報刑論と目的刑論に大別される。死刑は概ね応報刑論に由来するが、極刑が死刑でよいと論理的に言い切れるか。

応報感情は、国家による応報措置と区別されるべきだ。加えて、
>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.5

平凡退屈生産消費のライフスタイルに吐き気を催し、“死への先駆”を暴力に見て本来性を得る。

彼らにとって、死への接近と生の悦びの実感は相関し、逆に死からの隔離と生のつまらなさも相関する。

ボードリヤ
>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

4.3

噂通り、ポール・ヴァーホーヴェンが計算機的モラルを破壊する野蛮(?)映画。彼の言う「多義性」、モラルでさえ自明の理ではなく、ありうる蓋然性のレベルに瓦解する。

ミシェルは性被害の後すぐに警察に届けず
>>続きを読む

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.2

人は外見かそれとも内面か。

外見的魅力が内面的魅力を上昇させるが、内面的魅力もまた外見的魅力を上昇させる可能性がある。

いわば概念的には、二律背反ではなく相互作用が生じる代物であって、「外見なんて
>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.4

愛する娘が行方不明(=missing)になり、娘の生存という根拠なき光に縋っていくにつれ、自身の心まで空っぽ(=missing)になっていく。

雨の湿気にやられたようなボサボサの髪とささくれた唇から
>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.6

空っぽな悪と空っぽな善。それぞれに「取り返しのつかなさ」と「仕方なさ」があり、最後に「みんな、どうやって折り合いをつけてんのかな」とこぼすに至る。

寛容さは、付け入る隙を与えて損することが往々にして
>>続きを読む

何者(2016年製作の映画)

4.3

原作は朝井リョウ(未読)。元々兼業作家で早稲田文構出身というのもあって、登場人物と同じ22歳だが院進志望の自分の目にも明らかに解像度が高い。

“就活対策本部”を立ち上げて結束し、仲間と就活に勤しむ傍
>>続きを読む

しずく(2023年製作の映画)

3.8

しっかり者の子どもたち。俺が小学生の頃って、何考えてたっけ