ISSHINさんの映画レビュー・感想・評価

ISSHIN

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吸血鬼(1932年製作の映画)

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白昼夢のような恐怖体験。

カメラレンズに薄い紗をかけて撮影したという幻想的な映像。影の踊り、不気味さと子気味よさ。迫ってくる死と影。映像的イメージの具現化とリズム感の良さ。これは影響甚大ですね。

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

4.5

またまた怖い映画だった。そしてとっても面白い!

物語に触れずに語るのなら、まず音響の演出がすごい。カメラの周りの音しか拾わないので、アングルによって聞こえる音が違う。だから主人公の会話さえも聞こえな
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.1

金曜ロードショーにて鑑賞。

「天気の子」で描いた、日本の貧困描写や徹底的な市井の視点からは一歩後退している。むしろ日本人の災害の傷の肩代わりをするような振る舞いの映画で驚いた。日本人が負った傷と、脈
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

法廷劇と罪人の半生が、複雑に絡み合う時系列で語られる。

重厚な音響と映像。特に音が凄い。冒頭の雨粒の拡散、毒林檎事件はその後の展開を示唆していて見事。オッペンハイマーを歴史人物ではなく「人」として描
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.3

不純物ゼロの激アツスポコン映画。

レースシーンのスピード感と、差し込まれるエンジン映像のグルーブが気持ちいい。物語の展開とキャラクターの心情にも無駄がなく、スポコンとして綺麗にまとまっていた。久しぶ
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

5.0

的確すぎるショットの連続でゾクゾクする。

80分という尺の中で、何もかも描き切っている。映画冒頭で募る観客の怒りが革命軍という形で具現化、そしてその行く末に閉口。革命政府の独裁という主題をリアリティ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

エピックなだけじゃない。

壮麗な映像と退屈な作劇がいい塩梅です。作劇には触れず、映像面。遠景の描写も、ディテールの描写もどちらも手抜きがない。単純にクオリティが高い。単にエピックなのではなく、その内
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

普通に面白かったけれど、ムムムムなところもあった。

今作は次作への伏線を張ることに専念したような作品だった。それにより本作品の主軸は定まらずに幕引きした印象を受けてしまう。恋愛、sf、友情、受験、家
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スプライス(2008年製作の映画)

4.0

子育ての苦悩を、最高に気持ち悪く描く。

2人の科学者(夫婦)の間にできた人工物の子供。その子育ての過程をリアリティを持って描く。かなりグロテスクだ。監督の「フェティッシュ」と「描かなければならないも
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ペット 檻の中の乙女(2016年製作の映画)

3.8

すべてが平均点な映画。

脚本から演出・映像まで、すべてが普通。だから退屈こそしないが、突出した点がないのでウームと言った感じ。
狂った美女はすごくいいのだが、それをやるならもっとケレン味が欲しいな。
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ガール・イン・ザ・ボックス(2016年製作の映画)

3.5

目まぐるしい編集で、何が何だか...。

彩度の高い映像がまるでモンタージュのように淡々と流れる。起きていることは悲劇的なのだが、全く迫ってこない。息つく間もなく、再現ドラマのようなテンポ感で進む。
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キャビン(2011年製作の映画)

4.3

大胆不敵な脚本に対し、上品で堅実な映像。ラストのハチャメチャ具合は落涙もの。きゃーおもしろ!

市子(2023年製作の映画)

4.4

社会派でいてエンターテインメント。画期的だ。

些細な挙動でリアリティを演出し、さらにその先の展開を想像させる。そしてその想像が証言によって証明され、市子の肖像が変貌していく。筋道はミステリであり、そ
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マジカル・ガール(2014年製作の映画)

4.6

はぁ、いやだいやだ。

冒頭部から惹き込まれる。天才的な編集。乾いた演出が観客の心をえぐる。あぁ、もう二度と観たくない。

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.1

セリフを極限まで排した、生粋のアクション映画。

光、煙、風を大胆に取り込んだ美しい映像。とにかく映像で魅せる!おじいちゃんかっこいい。強いんじゃない。諦めないことが何より大切なんだと、説得力しかない
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.3

凄みのあるモキュメンタリー。

セットとロケの使い分けがあまりに秀逸。現実に地続き且つ、ビジュアルショックを与える儀式。かっこいい。モキュメンタリーという形式をとったことでシラケる箇所もあるが、大健闘
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ある男(2022年製作の映画)

4.2

緻密で繊細な演出。

過去を捨て生きることを決意した人間を追う。迫ってくる「私」という存在の脆さ。文学的な側面を取りこぼさず丁寧に演出していた。

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.0

天才監督の送るおふざけムービーだった。

ケレン味溢れるアクションとアシッドな映像は健在。しかしまとまりのない物語が...ね。笑えて仕方がないけども。
あと、ブライス・ダラス・ハワードが可憐すぎてどう
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トウキョウ・リビング・デッド・アイドル(2017年製作の映画)

3.4

撮影たのしかったろうなぁ。それがビンビンに伝わってくる。文化祭ムービーの決定版みたいな。嫌いじゃない。

ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

4.3

え、おもしろいじゃん!

インディージョーンズシリーズのようなパルプ感が心地良い、笑えるアクションアドベンチャー。「インディージョーンズ 運命のダイアル」より面白かった。ポップコーン片手に映画館で見た
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エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

4.2

純真なラブロマンスに見える変態映画。

恥ずかしくなってしまうほどに綺麗。パステル映画のようで、白黒映画のようななんとも言えぬ肌触りの映画だった。実験的な映像も怯まず採用し、なるたけ言葉を排した物語に
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楽園(2023年製作の映画)

4.2

詩的で靱やかな映画だった。

言葉で語られなくとも伝わる。映像を信頼している監督なのだろう。様々な要素がスムーズに入り乱れる。絵画、音楽、スポーツ、逃避、楽園。だからこそラストにハッとさせられる。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

意外にもヒューマンドラマだった。

ある家族を法廷で解剖していく物語。報道やワイドショーを組み込んだ映像表現が印象的。テレビタレントの「母が殺人をしている方が面白い」という発言は、我々観客への皮肉のよ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

大好きな映画だった。不出来な部分もある。しかしそれ以上の価値ある作品だと思った。

監督の家族に対する客観的で冷めた視線が、主人公の主観として表現されている。
主観の表現は出産から(凄かった)はじまり
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デスティーノ(2003年製作の映画)

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ひたすらにしなやかで美しい。
アートは自由だ。だからこそセンスが問われるんだな。

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.4

陶酔。

奏者も観客も体を揺さぶり、音楽を感じる。音楽って素晴らしい!映像も匠だった。

ソロモンの偽証 後篇・裁判(2015年製作の映画)

3.9

前半の面白さは一歩後退し、邦画の病が顔をのぞかせる。
とはいえ裁判には緊張感が漂い、人物の感情表現(直接的ではあるが)にも注力しているのがわかる。前編後編と二部化したことで、作劇のハリは失われている感
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ソロモンの偽証 前篇・事件(2015年製作の映画)

4.2

思いの外おもしろい。ミステリ群像劇として大風呂敷を広げた印象。果たして後編も面白いのか...?!

The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

4.1

一貫した家族というコミュニティへの不信感。それが監督の作家性なのではないか。怖い映画だなぁ。

アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

4.0

スラッシャー映画だなぁ。

低予算ながら、濃度の高い映像を繰り出していた。何より役者の顔、表情が素晴らしかった。演出がコテコテの割に、呆気ない編集。妙味の映画。楽しかった。

FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)

5.0

脚本家の告解。

主人公が凡庸でどうしようもない人間として物語が閉幕。これは新しい映画であり、また現実だと思った。誰しも天才に憧れ、そうなろうと努力する。しかしその度挫折する。美術系の大学に入学という
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