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すずめの戸締まりのISSHINのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.1
金曜ロードショーにて鑑賞。

「天気の子」で描いた、日本の貧困描写や徹底的な市井の視点からは一歩後退している。むしろ日本人の災害の傷の肩代わりをするような振る舞いの映画で驚いた。日本人が負った傷と、脈々と継がれる災害に対する想いを映画にしようと躍起になっている。「君の名は」以降、「現代の日本」を描くことで国民的映画監督なるものを目指す新海監督の延長線上ではある。天気の子でみせた強烈な作家性は減退していることは間違えない。
映画として。すずめにはまったく共感がないし、好きになれない。この映画の致命的な部分かもしれない。颯太に対する想いもよくわからない。むしろダイジンが好きになる映画だった。アバンタイトルの映像的イメージの具現化と画面構成、テンポは全て的確で上手かった。このままの勢いで作って欲しかった…。セカイ系を捨てきれない新海監督の可愛げも垣間見れた。
震災を描く決意は感じる。しかし、震災をスペクタクルで描いてよかったのかという想いも渦巻く作品だった。
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