rsさんの映画レビュー・感想・評価

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メリィ・ウィドウ(1934年製作の映画)

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「一夜の恋を好む男」と「永遠の愛を求める女」がすれ違うオペレッタ。ルビッチ・タッチによってエロティシズムがソフトフォーカスされ、品の良い甘さ。

女心の移ろいが、日記やクローゼット、ダンスの相手で間接
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

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怒りが飛び火をくりかえす物語。
「悲劇とブラックな喜劇の二面性」と「人の心の移ろい」が展開を予測不能にさせたが、半ばから赦しが連鎖していった。

陽光を受ける看板の裏側が映るエンディングに、微かに人間
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プロジェクトA(1983年製作の映画)

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勧善懲悪の痛快さに「ライバルとの共闘」「正義の集団の再結成」というロマンを盛り込んで、展開は疾風怒涛の勢い。

息もつかせぬアクションの攻防、誰も彼もが見事に吹っ飛ぶ。地球に引力はないんじゃないかと思
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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

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スーツを着こなして繰り広げるチェイスとロマンス。

全くもって空っぽなマクガフィン、人違いから始まる荒唐無稽の逃走劇は、画と無音が高めるスリルを味わえる。
"なぜ"や"なに"の答え合わせがなくても映画
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世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

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愛してくれる人がいて、その人の幸せを後援しながら、自ら苦痛を断ち生を終えられる。人の世にやるせない死の形が数多くある中で、恵まれた死もあるものだ。
人生は不公平だが死は平等、とは限らないみたい。

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ジョーカー(2019年製作の映画)

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取り憑かれたように何度も繰り返し観たトレーラーがある。
youtube.com/watch?v=t433PEQGErc

とぼとぼ階段を上る凡庸な男。
何かが突き破って生まれそうな骨ばった背中。
Sm
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有頂天時代(1936年製作の映画)

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Never Gonna Dance, 愛する君以外とは二度と踊るまい

能天気なシナリオでも、アステア&ロジャースの優雅なミュージカルナンバーで夢見心地になれる。

伝説の黒人タップダンサーに敬意を表
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偽りなき者(2012年製作の映画)

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「悪戯をされた」という少女の嘘に惑わされた群衆は、正義を凶器にして、無実のルーカスを切りつける。

人々が思考を停止して独善的に暴走し、凡庸な悪に至る。映画が静かに畳みかける不条理に、観ている心が摩耗
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

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息をするように、踊るように、禁を犯す。堕天使の純真は、人には凶悪。

悪ではなく美を描いて観客への贈りものとしたという映画。
青と赤の色彩、ぼかした表現と生々しい描写との独特なバランス感覚の中、ふとし
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ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(2003年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

死刑制度は、被害者への償いや犯罪への抑止力となれるのか、人権侵害に当たるのではないか、誤判によって奪われる命もあるのではないか。
死刑存廃についての数ある争点の中、映画は冤罪による死刑をサスペンスと絡
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

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映画の中に歳月を創り出すのではなく、映画の外で流れる時間を切り取って編集する。そんな12年という撮影期間が、登場人物の生きる時間の経過や、ラストシーンの時間についての会話に説得力をもたせる。

レディ・バード(2017年製作の映画)

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生まれも育ちもダサくて気に入らなくて、Lady Birdなんて名乗っちゃう。
神様の教えなんて興味ない、ママは私のこと好きじゃない。早くこの町から巣立ちたいと、助手席でぼやいてる。

傷つけて傷つけら
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バンビ2/森のプリンス(2006年製作の映画)

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まさか子持ちの牡鹿(職業:森の王様)に ときめくとは…

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

神の沈黙に、何故と問いかけ続けた司祭。
たとえ神が沈黙していたとしても、自分の人生こそが神について語っていたと知る。

原作での司祭は、踏み絵の後もカトリックの教えとは違う形で神を愛する。神とは何かと
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

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フランス版のキービジュアルが素敵。

戦争にて深い傷を負わされた者たちが、戦後社会の悪徳に対して悪徳でかえす。長回しや美術の妙と、エスプリの笑いが効いた復讐劇。

戦死者の名前だけが碑に刻まれ、帰還兵
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ジュリーと恋と靴工場(2016年製作の映画)

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ほやほやな監督たちによる、ふわふわミュージカル・コメディ。

「どの靴で踊る?」
ヒロインは恋と仕事のどちらを選ぶのか──理屈抜きのロマンスもいいけれど、戦う女の情熱や職人魂に、もっとときめかせてほし
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街のあかり(2006年製作の映画)

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彼は負け犬と呼ばれている。いつか成り上がってやると、遠い未来ばかりを見上げて、そばにいる誰かには目もくれない。

惨めな日々にきらめいた恋に騙され、主人公の台詞はますます削ぎ落とされていく。その沈黙の
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

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愛は距離では測れない。
ふたりの母親への思慕、兄への憧れ、義弟への苛立ち、恋人への無理解。葛藤を抱えながら、画面に浮かぶ ちっぽけな地球で彷徨い続ける。

”ただいま”の感動よりも印象的だったのは、貧
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グッバイ・クリストファー・ロビン(2017年製作の映画)

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美しい森の中、くまのぬいぐるみと手を繋いで歩く小さな男の子、クリストファー・ロビン。
彼をモデルとして父親が書いた本『クマのプーさん』は、多くの人々に愛された。しかし、親のエゴによるメディアへの露出が
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オペラ座の怪人(1925年製作の映画)

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絢爛たるオペラ座で、浮かぶシルエットが暗躍する。地下迷宮へ続く坂、船で渡る地底湖。そのミステリアスな闇に、怪人が棲み着いている。
怪奇映画のファントムは醜く、ロマンスも憐憫のキスも与えられない、生粋の
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希望のかなた(2017年製作の映画)

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「今の自分には誰一人幸せにできやしない」

仕事も私生活もやり直そうとするレストランオーナーと、家も信仰も失い、生き別れた妹を探す難民の青年。
ふたりの日常が交錯し、生きることに必死でも なお誰かを助
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

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この映画が最も至福をもたらすのは、観る人々よりも、制作する人々ではなかろうか。
そう思えるほどにこだわり抜かれた映像は、美しいお菓子のよう。
スクリューボール・コメディ黄金時代のオマージュに、ミステリ
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

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小さな2羽が方舟から飛び出して、小さな恋の逃避行。島を挙げて大捜索する大人たちだって、まだまだ悩めるお年頃なのだけど。

ノスタルジックな色調の作り物めいた青春の王国、そこで生々しく流れる血。成長のス
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ダージリン急行(2007年製作の映画)

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インド風のカラーとパノラマ的な動きの映像世界に放り込まれた、3兄弟の絆をめぐる旅。

ウェス・アンダーソン監督作品で描かれ続ける未熟な大人たちは、今度はレールが敷かれた旅で迷子になってしまう。
居なく
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

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落ち目を迎えた海洋ドキュメンタリー監督は、仲間とともに未知の生物を探す航海に出る。クルーたちの関係は もつれて家族のようにはいかず、ハプニングも続くけれど──人生は冒険、順風満帆でなくとも突き進め。>>続きを読む

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

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かつて天才一家ともてはやされたものの離散してしまった家族を再建しようと、エゴイスティックな残念パパが空回り。

「無表情な人々が生きるカラフルな空間」や「機能不全な家族」という、アンダーソン的世界の雛
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駅馬車(1939年製作の映画)

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『駅馬車』における創意工夫は、低迷していた西部劇をさらに開拓し、後の映画に影響したという。

駅馬車を社会の縮図としたヒューマンドラマと、2度の戦闘シーンとの緩急。
馬車馬を飛び移るスタントやカメラワ
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地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)

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軍に背いて王国を築いた者の抹殺を命じられた男が、戦場と化したジャングルを往く。そこでは誰もが世界の終焉を狂いながら願い、解放の日を血にまみれながら待っていた。

船がジャングルの奥へと進むにつれ、映る
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

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幾度も時計の針を戻した果てに知りえたのは、日々を綴る瞬間ひとつひとつの愛おしさ。
でもそれって、タイムトラベルなしでは気づけなかったの?

悪友でも妹を幸せにできるだとか、失敗した同僚を励ますだとか、
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LIFE!(2013年製作の映画)

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平凡な日常を妄想で慰めてばかりだった主人公は、仕事を全うするべく、失われたネガを探す旅に出る。

白けるほどクドい妄想を、旅先に広がる壮大な景色が凌駕する。しかし、この映画が「人生の真髄」と価値づける
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コンチネンタル(1934年製作の映画)

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Night and Day,夜も昼も君を想うよ
そう歌うアステアの優雅なステップに、ロジャースの翻すドレスの裾が、けぶるように甘く絡みつく。

The Continental, 素敵な音楽と危険なリズ
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スパニッシュ・アパートメント(2002年製作の映画)

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あらゆる路地を歩み、たくさんの人とすれ違ってきた。
今あらためて問う、僕は何者?

太陽と海が煌めくバルセロナ。
ごみ箱、もとい、おもちゃ箱をひっくり返したような部屋で、多国籍な留学生たちとのルームシ
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

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原作の舞台劇にならって室内に限定された映像は、3Dによって立体感がもたらされている。しかしクローズアップは不可能だったようで、ダイヤルのMを指で廻すシーンには巨大なプロップが拵えられたという。

臨場
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ウォルト・ディズニーの約束(2013年製作の映画)

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愛はあった、しかし心はすれ違っていた父と子のもとへ、風に乗ってやって来たメリー・ポピンズ。彼女が救おうとしたのは、否、原作者が救いたかったのは、本当は誰だったのか?

児童文学をディズニー色にアレンジ
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危険な関係(1959年製作の映画)

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人はかくも道徳を捨てられるものなのか。人々の恋心をチェスの盤上で弄ぶ、背徳的な夫婦の遊戯。

柔和に微笑む悪魔が、初な娘や貞淑な人妻を狡猾に闇へ誘う。無表情の仮面で嫉妬を隠す悪女が、人間関係を破茶滅茶
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