菩薩さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

かつての自分を思ったり今の職場を思ったりしながらぐぬぬ…となってしまう瞬間が確かにあったのだが、ミヤケショの新作だ!と高めに設定したハードルを安易飛び越えてくるあたりは流石だし、ケアとシェアに対する真>>続きを読む

チョコリエッタ(2014年製作の映画)

1.5

玉石混淆ではあると思うが基本的には石、フェリーニに言わせればそんな石にも意味があるとなるのだろうが、やはり石は石でしかない場面が多い。何よりこんなつまらない台詞書く人だったか?と思う瞬間が多過ぎる、青>>続きを読む

オロ(2012年製作の映画)

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オロにどうして監督は高齢なのに映画を撮るんですか?と尋ねられた監督がだって私はチベットが大好きだからと返答する。本当にただそれだけかもしれないが何よりも強いであろう動機、自分は外部の人間だからと臆する>>続きを読む

ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.0

哀れにも幼くして絶命した弟と死神に魂を半分抜かれた姉。姉の欠けた魂を取り戻す為に弟は最後にして大いなる旅路に出立し無事にそれを取り戻すものの、おそらく回復した姉は弟の世界を去り彼は一人寂しく死の世界に>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.5

確かに『ゴースト・トロピック』に比べるといささかとっつきにくいのかもしれないが、どちらにも共通するのは監督ご自身の移民労働者に対する深く温かい眼差しと、マクロな視点で世界を見たうえでミクロに光る美しさ>>続きを読む

恋の浮島(1982年製作の映画)

4.0

モラエス(役)のたどたどしい日本語がなぜだか癖になるが当の本人は確かバッキバキに流暢に日本語話せたよなと思い出した。故郷から遠く離れた異国の地で愛に殉じた異邦人とすれば聞こえはいいのかしれないが、終盤>>続きを読む

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-(1998年製作の映画)

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およそ15年ぶりくらいに観てもなんのこっちゃであるのでが正直なところだが確かにこんな感じでオールスター感謝祭やってたよなぁと朧げながら思い出したりもした。この内容で80分にねじ込む気合いがおそろしいし>>続きを読む

叛軍No.4(1972年製作の映画)

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No.1からNo.4へと至る過程のいつどこでどの様に指向が変化していったのかは分からないし、そもそもの目的がNo.1が目指したであろうそれなのかNo.4が辿り着いたそれなのかも分からない。ただ『ねじ式>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

5.0

鑑賞後に思わず「カン…ペキ…」と薬師丸してしまうくらいには大好きなやつだった。惜しむらくは80分の短尺、なんなら120分フルで彼女のささやかな冒険にお付き合いしたかった。確かにアケルマンらしきものを強>>続きを読む

境界線(1966年製作の映画)

3.8

先週の『ジャガーの眼』との落差と言うか柔と剛の使い分けと言うか、シャブロルの幅の広さと器用さをこれでもかと堪能出来た。前半はこれ登場人物多くて苦手なやーつだ…と思い観ていたが、この手のやつはどんどん人>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

言わずもがなではあるが当然の格好良さにとびはねる以外のコマンドを消失しアタック・コイキング・チャンスになった(?)。DVDを持っているしわざわざミニシアターに観に行く必要はあるのかい?との自問自答は全>>続きを読む

熱のあとに(2023年製作の映画)

1.0

驚愕のつまらなさ。私の中のノーパンチ松尾が「もぅ何言ってんの〜超つまんねぇじゃん。お願いだから死んで〜村で大切にされてる御神木切り倒して〜」と連呼している。愛についての問答とは大層だがスッカスカの脚本>>続きを読む

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man(2005年製作の映画)

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ちゃんと二月一日にこれを再鑑賞した自分の真面目さを褒めたい。ネットの闇が世界を覆い尽くした今改めて観ると笑い男を象徴とする善意とも悪意ともつかぬ孤独かつ複雑な行動の連鎖はより現実味を帯びるし、村井ワク>>続きを読む

せかいのおわり(2004年製作の映画)

4.3

ノストラダムスの大予言は見事に外れあんだけ危惧されていた2000年問題は何一つ社会をかき乱すこともなく、なんだかんだとこんな平凡な日常がこれからもずっと続いていくのだろうと安心とも絶望とも言える感情を>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.6

まさしく妖怪人間ならぬ人造人間のベラが早く人間になりた〜いと学び、世界の不均衡を知覚しながら成長していく話だった。家父長制社会において客体化された自己の中に主体を見出しモノからヒトへと変化していくこと>>続きを読む

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

2.0

みらん氏目当てで観に行ったが如何にもタランティーノ大好きです人間が一生懸命原稿用紙の枚数だけ重ねた作文みたいな作品で普通にしんどかった。スキルポイント100あったとしたら96くらいを脚本に振っている為>>続きを読む

ジャガーの眼(1965年製作の映画)

3.0

そこまで悪くないとは思うがそもそも私がスパイものにたいして興味がないってのと、シャブロルにそれを望んでいないってのと、シャブロル自身もあんまやる気無さそうってのとが相まってたいしてノレなかったし流石に>>続きを読む

暴力の街(1950年製作の映画)

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めっちゃ寝てしまったがたぶんTwitterみたいな話にたけしのフライデー襲撃とハロウィンの渋谷を混ぜた様な映画だった。ポストトゥルースを予兆する…みたいな。要再見。

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.5

所謂「丁寧な暮らし」系と一括りにされかねないが…あくまでファンタジー…酪農なんてそんな甘いもんじゃないと分かっていてもこの圧倒的な美しさと純真さの前では為す術がないし、過酷で荒んだ日常をなんとか生き抜>>続きを読む

火星のカノン(2001年製作の映画)

4.3

『冬の河童』の反転とも捉えられようがあちらが遊戯じみた言わば子供の関係性の解消だとしたら、こちらはSEXが前景化されより大人じみた関係性が強調されていく。とは言え結局やっている事は『メロデ』の延長線上>>続きを読む

非・バランス(2000年製作の映画)

4.0

『ごめん』と言い冨樫森はちゃんと相米の元で学ぶべき事を学んだのだろうなと実感出来る一本。教室の窓からの落下なんてまんま『台風クラブ』だし祭りの先のイニシエーションって意味では『お引越し』なんかも感じる>>続きを読む

冬の河童(1995年製作の映画)

4.3

三角関係ならぬ四角ないし五角関係の清算。引っ越し間近の家の片付けは全く手付かずのままむしろ荒れていく一方だが、河童同様ありそうであり得ない近親相姦にも近しい関係を持つ彼・彼女らの関係性は独特なコンフリ>>続きを読む

メロデ Melodies(1989年製作の映画)

4.4

自主映画臭さは程々に抑えられかと言って商業らしいわざとらしさはまるで無く、この言葉を使うのはちと恥ずかしいがあまりにもリアルで等身大な、短かすぎる幸福な三角関係の終焉について。ひたすら絶妙なショットと>>続きを読む

私は決して泣かない(2020年製作の映画)

3.9

ポーランド映画らしい冷めた温度と乾いた質感が非常に良い。ミドルネームも知らないくらい関係が希薄だった父が出稼ぎ先で死んだ、その弔いの為、死体を引き取る為に遥々アイルランドへと向かう娘。おそらく大した思>>続きを読む

いつか見た青い空(1965年製作の映画)

4.0

流石シドニー・ポワチエと言わせんばかりの無双っぷり。視力を失っていて、オカンがセックスワーカーで、ジジイはアル中で、ほぼ自宅軟禁状態で無教育で家事労働させられてて、と要素てんこ盛りお嬢ちゃんをそんな環>>続きを読む

映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

2.0

期せずしてネチコヤン映画の側面もあったのは良いとして、後はこれと言って…。内容関係ないがいかにも他人に権利を侵害されるのは嫌でも他人の権利を侵害するのには無頓着な自称リベラルみたいな客層のせいか治安が>>続きを読む

セカンドインパクト(1997年製作の映画)

4.0

あまりにも今の映画であるしこの先トランプが政権に返り咲いた後の未来予想図でしかなく何も笑えなかったが隣の老害クソジジイはずっと笑いとは関係ない場面でもガハハと爆笑を続けていた。州知事と大統領の立ち位置>>続きを読む

悪意の眼(1962年製作の映画)

4.2

簡潔だしオモロいしで無人島に持って行きたいシャブロルランキング1位説ある。先に新文芸坐シネマテークで観せてもらった所謂エレーヌサイクル作品群の原点的つか雛型みたいな捉え方で良いのだろうか?他人の幸福は>>続きを読む

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.0

「レチノールでもう無い皮膚の小皺」かと思いスキンケアの映画のつもりで観に行ったらそもそもタイトルが全くちゃうかった

と書きたいが為に行ったようなとこがあるが遊び倒し映画ですげかった。とは言えご覧にな
>>続きを読む

猿女(1964年製作の映画)

4.2

まさかのマルチエンディングシステムで家帰ったらクロノ・トリガーやろうと思った(マジでやりたい)。フェレーリ的には当然ディレクターズ・カット版の旦那の動物的な生存本能が勝る人間としての倫理観の死エンディ>>続きを読む

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)

4.0

お見事。邦画で言えば『月曜日のユカ』とか高度経済成長期の日活映画なんかに接続出来そうな浮かれてイカれた時代の都市のネオレアリズモ。圧倒的な美貌を誇る女優の卵の刹那的と言えば聞こえの良いざっくり言えばパ>>続きを読む

イみてーしょん、インテリあ。(1985年製作の映画)

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よく言えば漫画的だし悪く言えば漫画的過ぎると言うか、むしろここから飛び立って行った漫画家が沢山いそうだけど。話を掴むよりはその瞬発力やら俊敏性をそのまま享受する方が良いのだろう。アケルマンの短編の様な>>続きを読む

ザ・スチューデント(2016年製作の映画)

3.6

厨二病映画の極北と言った感じで非常になんと言うかまぁあの…うぜぇしイラつく。自分の言葉で語る事を拒否しひたすら聖書の引用で相手をねじ伏せていくしょーもないスタイル、おかんにだけは内弁慶だしミソジニーの>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

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星をつける様な作品でも感想を述べる様な作品でもないと思うので割愛するが、超情報量&爆速の為、配信向けかなとは思う、と言うか様々なプラットフォームを活用してばら撒かれていくべき作品だと思う、なんせ相手は>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.8

絶対つまんねーだろとたかを括りボッコボコにしてやんよと記しておいたそれっぽい下書きを一掃した事をまず皆様に詫びなければならない、マジですまん。余裕で全然アリだったし、なんならめっちゃ面白かった、マジで>>続きを読む

アース・ママ(2023年製作の映画)

1.5

バリー・ジェンキンスのバの字もないのにあまりにもバリー・ジェンキンス枠で超つまらん。妊娠出産可能性もない男性の私が何を言わんやなのでコメントは差し控えるが、頼むから出産をスピリチュアルに結びつけるのは>>続きを読む