Takuさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Taku

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エア(2023年製作の映画)

4.0

傑作。長い気はするが、魅せ方が巧い。機体が追撃されたときにコックピット内に視点を移しパイロットの流血(機体の死≒パイロットの死)を見せるセンス。ただ、この情勢下において、このプロパガンダ性強めの作りに>>続きを読む

ミュージック(2023年製作の映画)

3.0

序盤の時系列で少し混乱し、それを引きずってオイディプス物語との対応にも混乱した。本筋よりも冒頭、ステレオティピックなジェンダーロールをさりげなく逆転したような主人公の友人グループの描き方が良かった。

雪豹(2023年製作の映画)

3.5

思ったよりアート映画然しておらず観易かった。昨年のベストドキュメンタリー映画のひとつ『ベルベット・クイーン』とは違い、雪豹ががっつり登場。CG製の雪豹と、雪豹の扱いに激高する遊牧民のキャラクター像で賛>>続きを読む

ワイルド・ボーイズ(2017年製作の映画)

4.0

ベルトラン・マンディコ作品にはあまりハマっていないが、監督作のなかでは分かりやすくて面白かった。相変わらずナルシズムが垣間見える変態な画が続くが、どれも美しくキマっていることは確か。何より「ワイルド・>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.5

M:Iと同様に、シリーズを通して定型を崩し、映画の原初的体験に帰着していく。徹頭徹尾、工夫を凝らして対人アクションを魅せていく。初志貫徹。各キャラのドラマにもこの四字熟語が貫かれている。泣いた。
とこ
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メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

4.0

好きだ。ワンカット風の作品は撮影者の存在がノイズになりがちだが、本作にはそれがなくて良かった。メドゥーサの髪の合間を縫っていくように、観客がリアルタイムで対象を追うしかない状況も今回は効果的。しかし何>>続きを読む

デモニック(2021年製作の映画)

3.5

前評判を踏まえて予想よりはだいぶ面白かったが、全体的に中途半端な印象。メタバース要素をもっと魅せて欲しかった。
ブロムカンプ×オカルトは、短編『密林の悪魔』で既にやっている。ビジュアル面ではこの短編ほ
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女神の継承(2021年製作の映画)

4.0

お化け屋敷的なジャンプスケアが続いた『心霊写真』『フェート/双生児』に比べると演出が良くなっていた。ただ前二作と同じく、ホラー映画としてはやや弱く、背景のテーマ(今回は信仰やカルト等)とその描き方の方>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.5

太古世界での弱肉強食ヒエラルキーを見せた後、その上に立つ者と言わんばかりにステイサムを映す冒頭は良いが、全体的に焦点がメグからずれており物足りない。SWでは様式美になった同時並行的に見せ場を映す編集も>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.0

アリストテレス4原質図では対角にある「火」/「水」だが、だからといってその分断を認めるのはまだ早いと高らかに宣言し、4原質図を丁寧に脱構築していく。
互いに無自覚な加害をしている状況での地道な関係性構
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私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター(2022年製作の映画)

3.5

憎み合い、互いに避け合っていた姉弟が、両親の事故を機に近づいていく。
明確な理由があるわけではないのに相手を一切受け入れられず、その状況から抜け出せなくなってしまうというリアルをそのまま描いていたのが
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El esqueleto de la señora Morales(原題)(1960年製作の映画)

4.5

ドクター・クリッペン事件に影響された小説を基にしたメキシコ映画。ブニュエル組の脚本家が入ったブラックコメディで、同ロジェリオ・A・ゴンサレスの『怪物宇宙船』に比べてかなり洗練されていた。宗教風刺もの、>>続きを読む

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

4.0

冗長な回想や説明的な台詞のやりとり、漫画的主人公感が一人浮く山崎賢人(美点でもあるが)など気になる点はあるが面白い。前作同様、攻守の配置(右⇔左)が整理された合戦シーンは見やすい。両陣将軍と第三者視点>>続きを読む

裸足になって(2022年製作の映画)

3.5

足元を接写した身体性の表現は良いが、寄りの画と手ブレのため「運動」が見出せず、ダンス映画としては若干期待外れ。とはいえ個の物語が身体性を通じて連帯される着地は素晴らしい。個が構造を変えることは難しいと>>続きを読む

大いなる自由(2021年製作の映画)

4.5

傑作。「大いなる自由」に込められた意味を反芻するように丁寧に描かれるハンスと彼が"愛した"人々の関わり合いと、そのタイトルを逆説的に焼き付けるラストが印象的。「愛すること」を、肉欲や行為をタブーとせず>>続きを読む

破壊の自然史(2022年製作の映画)

4.0

ロズニツァ作品のなかで、最も題名に惹かれた本作。独への連合軍の空爆により日常が一変する様を、凄まじい空撮と街の惨禍、兵器製造現場の様子を交えながら紡ぐ。度々強調される石像は過去との繋がりを意識させ、戦>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

「男性を必要としない〜」ではなく、構造への批判と主体的な生き方肯定した、より本質的なフェミニズムを描いていたのでは。というのも含めテーマも演出もグレタ・ガーウィグらしい作品で、娯楽性もちゃんと担保され>>続きを読む

死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

4.0

期待に対して申し分ない出来。13年版の痛さはそのままに、コメディとハイテンションを盛り込むことで、グルービーなケレン味を取り戻している。主人公家族であっても容赦なく酷い目に遭うのもgood

トランスフォーマー/ビースト覚醒(2023年製作の映画)

4.0

視認性の良いアクションと熱いドラマで万人に薦めたい。マイケル・ベイ版とトラヴィス・ナイト版の美点を合わせた結果、アニメ版に感じた悦びが生まれていた。実写の火力と有機性に拘ったベイ版を思い出して物足りな>>続きを読む

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(2021年製作の映画)

4.0

ユダヤ、ウクライナ、ポーランド人の三家族が住む家を舞台に、戦争が人間を人種によって不条理に翻弄する。WWⅡ時の縮図を示しながら、日常が侵食されていく様を丁寧に描いている。「その後」のパートがあまり効果>>続きを読む

ピーター・パン&ウェンディ(2023年製作の映画)

3.5

色々と弱いが思ったより良作。別離/再会という構造のなかで、「子供であること/大人になること」と「物語それ自体」について描いており、ピーターパン物語のフォーマットでありながらもデヴィッド・ロウリーらしさ>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

4.0

『3時10分、決断のとき』『荒野の誓い』『最後の追跡』…破滅的な役が似合うベン・フォスターが、また凄みを見せる。デ・ニーロアプローチも凄いが、文字通りロバート・デ・ニーロの面影を感じてしまい驚き。バリ>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.0

とても良い。海外育ちの主人公が「母国」で感じるギャップを見せつける入り引き込まれる。「血縁」に反発しつつそこに引き寄せられるように人生を歩む彼女の心情の機微を丁寧に描く。『Anybody』に乗せて彼女>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

クローネンバーグらしい傑作。実際に「身体改造」が行われる現在の延長として捉えられる近未来を、動物/人間としての二つの「進化」が拮抗する世界として非常に官能的に描いていた。ギーガー味のある、有機的なガジ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

前作を踏まえれば順当ではあるのだが、『トップガン:マーヴェリック』的正統ハリウッド映画の皮を被った実験的映画。楽しめたしこの歪さは好きだが、もはや「コンテンツ」が作り手を追い抜かしていったように感じて>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

「神父を連れてこい!」というから行ったのに「お前じゃない!オーソン・ウェルズみたいな方だ!(言ってない)」なんて門前払いされる気の毒な地元の若造と何故かウェルズと化した相変わらず肉体派なラッセル・クロ>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.5

特段面白くはなかったが嫌いではない。映像も、賛否分かれる久石譲の控えめな劇伴も好み。ただ、鈍重な話運びをしながら最後は駆け足で、中途半端な作品だという印象はある。宮崎駿の内省的作品とも、勧善懲悪ではな>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

時に残酷なものとなる「イノセンス」を軸に、子供達の連帯とその崩壊を通じて大人からは見えない子供の世界を描いている。まるで熟達者かと錯覚させるような、子供たちによるサイキックバトルの静かな演出が良い。

Pearl パール(2022年製作の映画)

4.0

事件の下地となる、パールという人物を台詞に頼らず描く前半がとにかく素晴らしい。逆に事が起きてからは物足りないが、追う/追われるを同一カットに収めた場面やミア・ゴスの演技を魅せる場面等、長回しが効果的に>>続きを読む

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

4.0

"Don't ask, don't tell"
『フルメタル・ジャケット』的鬼教官もののようだが、一味違う。マイノリティであることを公に出来ない「強いアメリカ」を体現するシステムが、実はマイノリティ
>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

4.0

申し訳ないが、酷評されている理由がよく分からない。映像の愉しさの不在が「過去の人」となったインディと、もはや「冒険」でない旅を強調する。それを踏まえ、彼の人生とシリーズを総括して捉えた着地が見事。締め>>続きを読む

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.0

菊地凛子の新たな代表作が誕生。コミュニケーション不全にある陽子が自分に重なり、辛いものがあった。能動的なコミュニケーションをとれず他者の存在を「反射」することしかできなかった彼女が徐々に変化し、自身の>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

虚像を演じられずに時間を制御出来なくなっていく様が映画自体の構造で表される。重要作であることは分かりつつ面白さで言えば、個人的にはトッド・フィールドの過去二作の方が上。ただ、均衡が崩れていく様を描いて>>続きを読む

タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

4.0

「長回し風」はその技巧性やゲーム性から、『1917』では没入感が却って削がれ『アテナ』では社会派ドラマとのミスマッチがあった。今回はゲーム的であることを隠さず、エンタメに徹しているのでノイズがない。「>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

5.0

大傑作。二次元/三次元を絶えず行き来するアニメーションが凄まじい。コロニア・ディグニダの良さを伝えた「教育映画」のリストアというテイの作品であり、背景を知ってからの鑑賞がおすすめ。自分は偶々MUBIで>>続きを読む