鮭茶漬けさんの映画レビュー・感想・評価

鮭茶漬け

鮭茶漬け

ぼくの好きな先生(2002年製作の映画)

3.8

仏本国で大ヒットを記録したニコラ・フェリベール監督の代表作の一つ。
学ぶという行為の生々しさと、そこに潜む大人の”教える”という行為。且つそこに詩的に挟まる仏中部の豊かな自然。
子供たちが凄くカメラを
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動物、動物たち(1994年製作の映画)

4.2

早稲田松竹さんのニコラ・フィリベール特集最終日に駆け込み。
長く閉館していた自然史博物館と剥製の動物たち、止まっていた時が今動き出す。
個々の剥製の映し方、博物館に朝日が差す瞬間は、命が宿ったようなマ
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ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)

-

JICAさんの上映企画にて。

到底評価など付けられない。
ただ”普通の暮らし”を願う人たちは、もちろん我々と同じ。常に戦争の勃発を恐れる中での束の間の”素顔の日常”。ラスト近くの男性の言葉にハッとせ
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

-

ジャン=リュック・ゴダールの遺作。

案の定何も分からない。ただ、これは彼の常に過ぎない。存在しない予告編と急遽訪れる劇伴に度肝を抜かされる20分。
余裕あったら『アワー・ミュージック』を見た後に、パ
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

4.1

ホウ・シャオシェン監督

ゼロ年代の閉塞感と孤独。「あれから10年」経っても色褪せず空気感は失われることは無い。
是非フィルム上映で再見したい。あと、この時代のテクノが個人的にツボ過ぎて最高でした。

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.5

アンドレイ・タルコフスキー監督
4K修正版

タルコフスキー監督作の中で最も好きな作品を劇場で。
まさに「詩的宇宙の極致」であり、彼独特の要素が見事なまでの美に結実している。
死に至る病にも近い”ノス
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千年女優(2001年製作の映画)

4.5

今敏監督 長編2作目

本当に劇場で見られてよかった…。
絶対後悔しないので、気になる方は是非行ったほうがよいです…!

自身の生涯を語る藤原千代子は空間と時代、虚実の境界を自由に乗り越える。同時に日
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

待望のケリー・ライカート監督作!

公開終了する前に2度目の鑑賞。正月帰省中に見た劇場の環境があまりに微妙だったのでリベンジ。まるで別物だった。

ライカート監督らしいオフビートな雰囲気の中に、珍しい
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(2023年製作の映画)

3.7

駆け込みで劇場へ。

面白かった、これに尽きる(良い意味で)。

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.6

当選した試写会にて。

こんな最高のライブを前にして、踊らずに静かに着席してないといけないなんて拷問か?

とにかくIMAXで見るべき、最高でした!

是非とも声出しOK上映やってほしいです!
Sti
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彼方のうた(2023年製作の映画)

4.3

『彼方のうた』 杉田協士監督

自己と他人。何も語らない彼らと、スクリーンを隔ててその余白を埋める我々。
分断された個の世界で他人を想う心を持つことの難しさ。
そして何かを生み出すという行為は美しい。
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アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.3

ストローブ=ユイレ
at アテネ・フランセ

グスタフ・レオンハルト御大扮するバッハの後半生を妻の視点から描く、という構成。上映時間のほとんどをバッハの曲の素晴らしい演奏で占めており、音楽的喜びに満ち
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

永久に普遍なヴィム・ヴェンダース流の人生礼賛。

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.1

ジャン・ユスターシュ監督特集

監督初長編であり映画史に名を残す作品でありながら、権利問題やら3時間半超の鑑賞時間やらで鑑賞ハードルがやたらと高かった本作。それが綺麗な画質でスクリーンで見られる、あり
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マリア(2023年製作の映画)

3.6

東京国際映画祭。
本映画祭最年少監督らしいイランのメヘディ・アスガリ・アズガディ監督作品。ただ監督は政府命令で出国ができなかったようで、代わりに主役を務めた俳優さんと編集の方が登壇されていました。
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マディーナ(2023年製作の映画)

-

東京国際映画祭にて、ワールドプレミア
カザフスタンを舞台とした、カザフスタン・パキスタン共同製作(プロデューサーが言うには初らしい)の作品

昼はダンス教室の先生、夜はショーパブで働くシングルマザーの
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離れていても(2023年製作の映画)

-

東京国際映画祭にて

香港返還1997年から20年の歳月にわたるある家族の過ごした日々と出来事を描く。
監督であるサーシャ・チョクさんが脚本・主演も務めるという多彩な方で、作中には広東語・北京語・英語
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Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)

4.6

坂本龍一生前最後のコンサートの模様を収録した作品。身体を慮り数日に分けて撮影された模様をまとめた全20曲。


ああ、観た後のこの感情をとても言葉で言い表せない…
今年と言わず生涯ベスト級の音楽映画だ
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(2021年製作の映画)

-

この監督たちの「昔の作品を修復しました」設定はお気に入りなんだろうか笑、面白いけども。

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.2

チリ発ストップモーションアニメ作品。
チリの”コロニー”から逃走したマリアは、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会い共に暮らすものの悪夢のような出来事が訪れる…

ああ、とんでもないものを見てしまった…
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帰れない山(2022年製作の映画)

-

フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督

非常に丁寧な作品でした。4:3で描くヨーロッパの山岳。

今宵かぎりは…(1972年製作の映画)

4.2

ダニエル・シュミット監督長篇デビュー作。貴族とその従者の役割が逆転するとされるとある一夜を描く。

生気のなく無機質で、理路整然にして奇妙で、演劇的にして映画的と呼ぶしかない空間。ダニエル・シュミット
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

-

1973年のチェコ・スロバキアを舞台として同国最後の死刑囚を描いた作品
「私、オルガ・ヘプナロヴァーはお前たちに死刑を宣告する」

近代資本主義が生んだ魔物をロベール・ブレッソン的(「少女ムシェット」
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.5

2回目

ゴダール特集にて。ぶっ飛び不条理、この路線のゴダールが私のお気に入り。



1回目鑑賞記録: 2021/05

ゴダールが商業映画との決別を宣言する直前の作品。そしてくそ面白いコメディーだ
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.0

フランス映画史の本には必ずと言ってよいほど載っているサッシャ・ギトリの「とらんぷ譚」

自らの小説を原作とし監督・脚色・主演を務めながら、全編自ら語り手としてナレーションを行うという徹底したスタイル。
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歌うつぐみがおりました(1970年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

オタール・イオセリアーニ監督
長篇3作目
遅刻常習犯でお調子者だけれどどこか憎めない青年ギアの姿を描いたコメディ。
お調子者で何かと小忙しくギリギリを攻める、けれども全て何かとうまくやってのける、けれ
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月の寵児たち(1985年製作の映画)

4.2

オタール・イオセリアーニ監督特集

まずイオセリアーニ監督の全作品特集というものをやってくれただけで大感謝。特に2000年以前の作品なんて廃盤DVDを高く買うしかなかったですし…。

本作品はフランス
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エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

4.2

鑑賞記録
アレクサンドル・ソクーロフ監督
35mm、ユーロスペース

世界遺産エルミタージュ美術館を舞台に、90分ワンカットで描くロシア300年の歴史。
時代や空間を超えて「幻想」的な世界の奥深くを覗
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

4.0

鑑賞記録

ベルナルド・ベルトルッチ監督
1970年、本作と「暗殺の森」を撮ってるんだな、凄まじい。
物語はベルトルッチ版「世にも奇妙な物語」とでもいうか。かつてレジスタンスの闘士として暗殺された父の
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.2

『エドワード・ヤンの恋愛時代 4Kレストア版』
昨年の東京国際映画祭でチケットを取っていたにもかかわらず急遽仕事の関係で泣く泣く諦めざるを得なかった本作。ようやく劇場で…!

牯嶺街に続くエドワード・
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