ぱさんの映画レビュー・感想・評価

ぱ

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墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)

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これまでの作品よりもファンタジー寄りになったことで、マジックリアリズム的な描写に驚きが感じられなかった。マント男の無重力感は良かったけど。むしろ冒頭の列車内の物売りや女性の態度の方が、本人にとっては非>>続きを読む

狩人の夜(1955年製作の映画)

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無力。この男にまるで磁石に引き寄せられるようになびいていく人たちを見る無力感。世界がゆっくり沈んでいくような厭さ。助けを求めに入った小屋で呑気に寝てしまう妹。あの妹は最後まで何が何だかわかってなかった>>続きを読む

枝葉のこと(2017年製作の映画)

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手足の短さゆえ椅子やソファーへの収まりが絶妙。ああいう仏像あるな。老けた子供みたいな仏像。

小さい頃から家族同然にお世話になっていたとはいえ、他人の家に自分の家のように入っていくのが面白い。

ガーゴイル(2001年製作の映画)

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死体をひっくり返すとストンと目が動く。生きてるのか演技ミスなのか分からない。本能によって引き寄せられた挙句、顔面が壊れた腹話術の人形みたいに成り果て捨てられる。どことなくファニーなところに悲哀がある。>>続きを読む

恐怖(1961年製作の映画)

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景気のいいミスリードで楽しい。ご都合主義を圧縮すると神隠しになる。霊だが死体だかわからない質感、生きてる人間が座ってるだけに見えるのが怖い。

悪魔のシスター(1973年製作の映画)

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覗きがテーマとしてあるけど、ガッツリ見せてる。見せてるが、あの時あの場にいた者はもう誰もいない。空洞。1番関係ない人物の巻き込まれ方が面白い。

包丁が転がると同時に朝日がパッと差し込む訳の分からない
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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みんなイヤホンしてるとはいえ、周りに人がいる中でぬいぐるみに話しかけるのは抵抗ないのだろうか。安心なのか無関心なのか。

階段をぐるぐると降りる長回し。突っ込んだ話をしているが、すれ違う人達はこちらを
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猫の食事/食事をする猫(1895年製作の映画)

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猫の顔が汚れてる理由がフレームインしてくる。そういう事かと思ってると、もう一段階オチがあってニヤケてしまう。何回繰り返されてるんだろう、そのうちの1回の話。無声、固定カメラの情報量の少なさゆえの面白さ>>続きを読む

ハネムーン・キラーズ(1970年製作の映画)

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出会いや過程がバッサリ省かれてる。家から家へ、事件のショーケースみたいだ。たまに外へ出るが、男は湖畔で腕立て、女は溺れる。ダンスなのに顔のアップとか、パンして撮ればいいところ、途中でカメラを下に向ける>>続きを読む

東から(1993年製作の映画)

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同じ場所が恐らく日をまたいで何度か撮られていたり、プライベートな空間でポートレイトのようなものを撮っていたり、背後に物語というか旅程がありそうだが、そういったものが断ち切られて素材だけ提示されている。>>続きを読む

パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

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ちゃんと撮れているものだけで成り立っているので、逆に面白みに欠けるのかもしれない。カメラを構えるのを忘れる瞬間や、目線とカメラの向きが一致しないこともあるだろう。そういう「隙」に宿るモノもあると思う。>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

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なんでこんなに見ていられるのか。瀬田なつきじゃければちょっと怪しいと思う演出もあるが、役者の身体と声を信頼していてマジックが起きてる。

新垣結衣も良かったけど、朝役の早瀬憩の演技なのに高校生の自由意
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HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

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淡白というか、それなりに動機はあるんだろうけど、このくらい淡々としてるなら、闇バイトとかの方がハマりそうな気もする。過去パートの挿入も説明にはなってるけど、時間を積み重ねること、この一点に集約すること>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

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あのインサートで印象が変わる。それまでは描かれないことに意識がいっていたが、あのパート以降、わざわざ描かれているということについて考えるようになった。

表象されることに吐き気を伴う。もっと大きな時間
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たたり(1963年製作の映画)

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ポルターガイストが起きて物音などが聞こえるが、主人公のモノローグも頻繁に入ってくる。しかも回想ではなくリアルタイムで。あまりないパターンでは。心の声が霊障と同等かのようになっている。

館の使用人は主
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

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仕事の手さばきをそんなに分かりやすくマジックに見立てなくても、生活と顔つきだけで十分に美しいとは思いつつ、マジシャンを取り込むのがアニエス・ヴァルダのキュートなところなのだろう。

ケーブルが届く範囲
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市子(2023年製作の映画)

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ミステリーかと思ったら青春モノだった。社会的な問題はあまり掘り下げられず、闇堕ち属性のような扱いなのは気になる。

あと同級生の演技が青春邦画のようでなかなか辛い。出てくる度にノイズになってしまう。そ
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デッド・オブ・ナイト/夢の中の恐怖(1945年製作の映画)

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ホラーと関係ないところでアクションがいい。バーで腹話術師が殴られる。顔の切り返しがどう見ても1ターン多い。位置関係もおかしい。どうやら一瞬時間が飛んでる。流れる時間の中から切り取られた顔がまるで人形の>>続きを読む

殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

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虚実の中間地帯、ある層への移行期間を静止画と静止画に見紛うほど人間が動きを止めた動画で表現される。

移層シーンについて、『2001年宇宙の旅』では意識の加速につれて顔が静止画になり、『ブンミおじさん
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フッテージ(2012年製作の映画)

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家の中をカットを割らずに移動するシーンがちょくちょくある。夫は仕事のために部屋で陰惨な事件の映像を見ているが、扉の外には当然ながら家族がいる。それぞれやっていることのトーンが違う中をシームレスに移動す>>続きを読む

チャイム(2024年製作の映画)

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その場によって松岡が見せる顔が違う。口調も異なる。レストランのシーンなどは雑誌のインタビューかと思う程、人が変わったように饒舌になる。声質も抑揚も耳障りがいいのに、反動で人生に落とし穴が待ち受けてそう>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

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そんなこともうわかってると思いつつ、いざ観てみると女性搾取的な眼差しをショットレベルで解析していて興味深い。

音の処理によって距離を無効化する、対象をモノ化して一方的に観察するとの指摘は、監督自身の
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二重結婚者(1953年製作の映画)

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回想シーンの中に語り手だけでなく、聞き手の相槌的なセリフまで入ってくるが、この映像はどういう扱いなのか。どこから出てきたのか。回想が長いし、独り歩きというか、勝手気ままに振舞ってるのではとたまに思う。>>続きを読む

月世界旅行(1902年製作の映画)

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カットごとに物のサイズ感が狂ってて楽しい。さっきまで屋内で組み立ててた物が外に持ち出したら家数件分より大きいとか。セットは書割で、しかも平面的な撮り方だから、家の上にロケット大砲が乗ってるような絵面で>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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オープニングBGMのリズムやタイトルのフォントなど、何となくレフンを思い出す。カラオケというモチーフも含めて。あんな暴力は出てこないけど。

音叉が「落ちている」カットの後に「落ちる」カットが来る順序
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

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アクションのゆるさと大仰な音楽が気になっていたが、だからこそエドガルドが大人になってからの力加減のおかしさが目を引く。コントロールを知らない人の動き。

そして終盤のあの顔。距離感のおかしい人が他人の
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

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クリーチャーは遠隔で現地生成かと思ってたら、地道に徒歩移動だった。はるばる歩いてきてあのテンションと奇声でやれるものなのか。

規格が統一されたものが大量生産されてるのは、あの時あの頃のまま変わらない
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バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

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娘は実在するのかしないのか、まだどちらでもある段階、新しい土地と新参者、理屈と理屈が共存してる時間に惹かれる。

ネタがバレてからやや冷めるが、終盤に音響がおかしいところもあって、見た通りに受け取って
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

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サスペンスの導入部のような、もったいぶった伏線が永遠と続く。観客の方が登場人物より状況を把握してる時間が長すぎる。

これといって特筆すべき描写もなく、お仕置タイムまでの時間切れを待つのみ。

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

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離人感というか、ボッーと一点を見てたら世界が遠のいていく時の感覚。目が離せない。

その場の環境音は響いてるのに、映ってるアクションの音や会話は拾ってなかったりすることもある。イメージビデオのような、
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

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タクミの声がいい。滑らかな響きと、それに反して切りっぱなしのぶっきらぼうな語尾。そしてあの「あっ」

長回しやら植物目線やら、山の生活を散々見せといて、娘のお迎えを忘れる。忘れるというか、迎えに行くと
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猫とカナリヤ(1927年製作の映画)

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屋敷とそこに住む人の姿を多重露光で重ね合わせる際に、家に対して人のサイズがやや大きいのが面白い。中にいます感が強い。ランドマークのマスに人間の駒を置いたような。家自身が、家の心の中で人間を思い出してる>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

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ある現地集合の記録。思いは歪に接触するが、とりあえず機会は成立させる。通過点としてやるだけやってみるのいいな。いいかわかんないけど。あの中でバンドだけは予定通りで、イベントがより多面的になる。歌が街中>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

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あの家、スタジオが怖い。結婚式の帰りにあの家が出てくるとは思わない。壁に貼られた写真、暗室にぶら下げられた写真。かつて、この家にやってきた人間たちの写取り。亡霊としての写真。家主が帰ってくるまでひっそ>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

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顔のアップとバストショットが多い気がして退屈にも感じたが、空間の移送に違和感を感じさせないためなのかな。非現実感はあった。

仏さんとしてのドリンクはグッとくる。注文、嗜好が痕跡になる。

あとのまつり(2009年製作の映画)

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「覚えておきやがれ」ってセリフ、懇願にも使えるんだ。子供はいろいろ覚えておきたいんだな。大人になると記憶に残しておきたくないこともあるけど。残ってると、あれからこんなに時が過ぎたのかと恐ろしくなったり>>続きを読む