ホリさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ホリ

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ハッシュ!(2001年製作の映画)

4.4

「妊娠すると、お腹の毛が濃くなるんだって。この辺にうぶ毛とか生えてくるんだよ」
やりダコが出来てしまうまで自分のことがどうでも良かった女性と、
「私、子供欲しいの。父親になれる目をしている」と唐突に告
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青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.4

「こん、こん、こんぺいとう」「こんぺいとうは甘い」
「甘いはお砂糖」「お砂糖は白い」
映画内で、登場人物たちが活き活きと遊んでいる姿を違和感なく映せ撮れたら、彼らの距離感は、観客にとって非常に近いもの
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長いお別れ(2019年製作の映画)

4.2

各々の住んでいる建物の引き映像に、
電話が鳴る音、留守番電話の音が重なり、違う場所にいる家族が映画内でどんどん繋がっていく。
認知症になった父、その父の誕生日を祝うため、母が姉妹たちに電話をかけるアク
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.5

違和感ある状況を、違和感なく撮影して、
観客に違和感に気付かせるという凄い技量。
『小さい頃、ママが死んだら、天国に行くんだよと言った。』
『信じていた訳じゃないけど、天国はまだ…ずいぶん遠い』
無表
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トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)

3.9

登場人物たちの点と点が、すぐに結びつきな印象。しかしながら、舞台のダンスシーンから始まるファーストシーン、それを見つめる2人の男性の対照的な表情の入りは、非常に惹きつけられるものがあった。
1人は涙を
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ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

4.2

誰かのモノマネで『何者』になったとしても、シスターがスカイダイビングで『奇跡の生還』をやり遂げたとしても、最後は皆、行くところは同じ…『死』が訪れる。
世界観は幻想的な部分が多いのにも関わらず、この映
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.7

映画を見るという行為自体が「既に他者」であって、「ホーリー・モーターズ」という世界観を観客に理解させようとしてくれない。

クライアントが要望する様々な役を演じるオスカー。
オスカーがこの仕事の原動力
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

4.3

久々に見返し。
主人公のマックスが「輸血袋」として、
囚われの身で、彼自身は映画冒頭・全くアクションを起こせない。
しかしながら、映画のストーリーは主人公を置き去りにして、どんどん話が進んでいく。
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母なる証明(2009年製作の映画)

4.4

複数のアクションが同時に起き、互いのアクションを交互に見せることによって、緊張感ある雰囲気を常に維持している。
農作物を切る母親の手元、
店内のドア越し・道路の向かい側に立っている息子。
「サクサクサ
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Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン(2005年製作の映画)

4.4

「民族の大移動」「地上の楽園」
テロップ説明から始まる本作品であるが、
この手の作品はファーストシーンから、
いかに「南」「北」の比較化を観客に伝えるかどうかが重要である。
非常にオーソドックスな始ま
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アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

3.9

「人はこの虫たちが、どのように生まれ、どう死んでいくのか、興味がない。
この虫たちの1匹が俺だ。俺はいつも忘れられる側に立っていた」
主人公がベッドの下に潜り込み、
主人公視点での揺れるベットの映像か
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あの日々の話(2018年製作の映画)

3.6

大学サークル・決起会の2次会で、
カラオケボックスに集まった学生たちの「青春」を描いた作品。
「青春」って、体感している本人たちからは、言葉に上手く出来ないものであって、終盤のシーンで、カラオケ店員に
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スモーク(1995年製作の映画)

3.8

同じ場所で、同じ構図で、
何枚もそこにいる人々の写真を撮り続けるタバコ屋店主。
アルバムにまとめたその写真たちを、
複数の登場人物たちが共有する姿が非常に微笑ましかった。
目で見ただけでは、簡単に忘れ
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ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

3.9

序盤の幼少期パート、
観客視点ではそんなに尺も使っていないし、淡々とした演出ではあるが、映画内の登場人物たちは幼少期のトラウマとして、ずっと引きずっている重たさを感じ取れた。

幼少期パートをフラッシ
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ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

3.6

主人公と同じ境遇を持つ人、
彼らを結びつけるための会話展開。
→『死んだ人が見えるなら、僕も父さんと会えるかな』
『父さんと会えるのは夢の中だけだ』
大切な人が亡くなる描写は直接的に見せることはないが
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不完全なふたり(2005年製作の映画)

4.3

『子供時代とは、故郷のことだ』
『子供時代を忘れる大人なんて、最低だ。子供が故郷に戻してくれる』
独特な台詞回しで、
恋人が子供を求める意味を見出していて、台詞の発想が面白いと思った。

カメラが固定
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2/デュオ(1997年製作の映画)

4.3

『頼りにされていると思っていた』
『頼りにされている自分が好きだったんだと思う』
インタビュー形式の演出、
そこで語った女性(彼女)の言葉が全てだと思った。

2人で一緒にいる時は、互いがいることで【
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ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.3

犬が映画内に登場することに対して、
その抵抗感を拭い去るタイミングが圧倒的に早い。
ファーストシーンに入る前の黒みから、
犬の鳴き声が重なり、主人公の電話シーンにおいても、その鳴き声が鳴り止むことはな
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アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.8

一番幸せの感情を思い出したところで、
殺されるって、ある意味、幸運だと思ってしまった。
家族の停滞していた距離感に絶望していた夫。
しかしながら、作品終盤で、
自分が惚れてしまった女性に『あなたは今、
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.0

斧で、手の指を切り落とす芝居。
人間の影…影にある指と、斧の影を重ね、指を切り落とす芝居が作品序盤に出てくる。
ドキッとする瞬間が、作品終盤で
現実になってしまう恐さ。
過去のトラウマで話せなくなって
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かぞくのくに(2012年製作の映画)

4.6

25年ぶりに再会した雰囲気のリアルさが、ひしひしと伝わってくる。
会話の少なさや手持ちカメラの映像が、
リアリティある空間を作り出しており、
非常に見入ってしまった。
『日本のビールは美味い』や『〜の
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オアシス(2002年製作の映画)

4.6

『前科者』と『障害者』…
互いに『将軍』と『姫』と呼び合ってしまう空間を成立させたこの映画のパワー。

『清掃員を車でひき逃げした』前科者の
アクションにより、思わぬ形で接点を持つことになる将軍と姫。
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.5

『パパ、私たち燃えているの?』
現在と過去と夢が交互に行き来する映画。
現在と過去の記憶が何度も行き来するため、一見情報が混乱するように見えるが、この映画は過去の記憶の突入する際の前振りが圧倒的に上手
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木靴の樹(1978年製作の映画)

4.4

『木靴の樹』における、
動物を殺める瞬間の力強さ。
この映画はそういう瞬間すら、淡々と映像で見せてくるので、良い意味で嫌らしい演出が一つもない。
農家という環境下で、
子供が藁の中に楽しそうに埋れてい
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サマーフィーリング(2016年製作の映画)

4.8

定期的に入る「半年後」「1年後」という時間経過テロップ。
大切な人(身内)に
呆気なく死なれてしまい、その記憶はどんなに時間が経ってもこびり付いているのに、生身の人間同士の関係性は流れるように変化して
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

3.9

ミカエル監督は、観客に【あっけない死】を唐突に突きつけてくる。
唐突感への繋ぎと、あっけない死を迎えてしまった身内の葛藤・繰り返される日常を描くのが、非常に上手い印象を受ける。
待ち合わせ場所の公園に
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海炭市叙景(2010年製作の映画)

3.7

曇っている窓、
そこに指で何かをなぞる手元。
子供の横顔のバストショットに
繋がっていき、小学校の教室で授業を受けている空間が見せられていく。

窓に何かを書いていた子供が
主人公かと思いきや、授業中
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トニー滝谷(2004年製作の映画)

3.9

記憶の断片を覗き見るような映画だった。
妻が亡くなるシーンの描写はあっけなすぎるというか、予想はしていたが、物足りない印象。
孤独な主人公をスポットに、NAベースで感情を語らせると思ったら、NAの締め
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東京夜曲(1997年製作の映画)

3.9

人の表情の魅力を引き出している100点以上のシーンがあって、そのシーンを見れただけで満足してしまった。
写真館で撮影する一人の男性。
カメラマン「あ~目をつぶってしまった。緊張すると、目をつぶってしま
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死の棘(1990年製作の映画)

3.9

『死体って、沈みますか?』
『最初は浮かび上がりますが、しばらくすると沈みます』
精神病院でのやり取りシーン、
妻が失踪した後の夫と看護師の会話。

浮気がバレたら、
普通はそこで終わりを迎えるけど、
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バーバー(2001年製作の映画)

4.5

【作品メモ】
「すべてが消えた」
「それでも、髪の毛は伸びていく」
というまとめ方が非常に上手い。

理髪店に勤める主人公。
この理髪店は、義理の弟が店主を勤めており、主人公は雇われの身である。
主人
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夏をゆく人々(2014年製作の映画)

4.6

【作品メモ】
他者から引き出す情報→車のライト、狩猟をする人々が森奥(大自然)の中に集まってくる。
「あんな所に家なんて、あったっけ?」「昔から、あっただろう」
狩猟に集まった人々の会話をきっかけに、
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.9

岩井俊二監督の世界観って、妄想とか憧れの具現化であって、世界観そのものは決して、現実味を帯びたものでは無い。

学生時代の好きだった女性に対して、
大人になって振り返ること(思い出すこと)はあっても、
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.3

スーパーという新しい職場で働く上で、
その壁を、職種環境の特徴を活かして、
よく作られていたと思う。
在庫管理担当で採用された主人公は、
フォークリフトを使いこなすことが
研修期間を終えることの大前提
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.8

2時間という尺の中で、分かりやすく、
世界観を2分割している。
前半は【隔離された小さな村での狭い世界観パート】、後半は【都会での広い世界観パート】という、2種類の世界観で映画が構築している。

嘘の
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.1

家族(両親)は、反抗期である長男の行動に主に振り回されているように見える。
しかしながら、
二人の職種を職場環境や人手が整えられていない【介護職】と【配達業】を選択している時点で、監督のメッセージその
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