主人公がカメラ目線で観客に向け、
序盤に自分が亡くなっている事を明かす構成から
始まるので、世界観には比較的入りやすい。
亡くなった自分の視点で取り残された妻を
見つめるという視点が最初に一つ提示され>>続きを読む
元裁判官の老人が、周囲の住宅の会話を
自宅で盗聴しているギャップがまず面白かった。
裁判官というポジションもそうだが、
盗聴していて、
人間というものを俯瞰的に見ている
老人の立ち位置。
しかし、>>続きを読む
作品終盤における…
楽譜の音符のアップ映像の際に
反発するかのようにメロディーが重なる
シーンが印象深い。
音符が踊り出しそうなくらい、
映像と音楽が衝突しているような重ね方が
良かった。
映像の切>>続きを読む
死んだような思いや恐怖体験を一度すると
人は世界の見え方が変化し、
その上で改め、この世界で生きていくしかない
というコンセプトを掲げている印象を受けた。
これは3部作、全てに当てはまる事だが。
メ>>続きを読む
松山ケンイチ演じるボクサーは、
試合で1勝もできず、引退を迎える…
いわば社会的な目で見ると“負け組”のキャラクターが
主人公の訳だが、彼が不幸せだとは一切思えなかった。
そう見えないように最後まで演>>続きを読む
“万引きしたマニキュアが透明だった”というのを
台詞にしっかりおとし込むあたりが、
作り手視点から見ると、
あざとい…と少々感じるものの、
コンセプトを象徴するシーンを
明確に作り上げているから、
世>>続きを読む
おそらく今、日本一のカメレオン監督なのでは。
「空白」「BLUE」「神は見返りを求める」
特にここ近年の、登場人物の肩書きが変化する中、
どの作品もしっかりと人対人の人間ドラマを
作り上げる力量が素晴>>続きを読む
「振り返らずに行きなさい」と主人公の祖母が言い残す表情アップが
この作品内でのナンバーワンカット。
それまではベルファストの町並みや
そこで暮らす人たちの関係性の距離感を見せるため、
極端に寄ったア>>続きを読む
映画館で見る、無音シーンって鳥肌が立つものが多い印象。
演出の要素は違うけど、
「ドライブ・マイ・カー」の終盤の演劇内における手話シーンも
ほぼ無音で、映画館にいる観客が一つのスクリーンを
全神経を注>>続きを読む
「17歳の瞳に映る世界」エリザ・ヒットマン監督の
長編デビュー作。
「17歳の瞳に映る世界」と同様に、
思春期から生じる“早く大人になりたい”という感情…
そこの迷いから生じる行動を
すごく俯瞰した>>続きを読む
主人公の背伸びしたくなる年頃の
行動がいちいち痛々しくて、リアルな描写が多かった。
思春期の感情って、中々、理論的に捉える事って難しいだろうけど、
終盤の診察シーンは、それを可視化する演出を導入してい>>続きを読む
ひたむきになる夢や目標が
簡単に移りゆく主人公の姿が、
現代の若者像のイメージと
直結しているのかな。
『私やっぱり、
これ向いていない。やーめた。
こっちの方が向いているかも』
といったニュアンス>>続きを読む
主人公を見守ってくれる
大人達がいる時は、
主人公=体が大きな子供…
という印象なんだけど、
見守ってくれる大人達が
次々といなくなると、
主人公=何をするか分からない
危険人物というイメージ像に
変>>続きを読む
ホラー映画だよね。
人間の内に秘めたる(本質に迫る)、
感情の恐さに触れるという意味での、
ホラー映画。
人と人とが対面する
シチュエーションが
シュールおかしくて、
演出次第ではコメディにも
なり>>続きを読む
夫も妻も浮気してしまった夫婦。
別々の家(空間)で浮気相手を愛し、
生きていくために、
夫婦はまた同じ屋根の下に戻ってくる。
最後の階段でのラストカット、
見終わった後も強烈に焼き付いて、
今も忘れ>>続きを読む
対話をするためには、
共通の話題を探る必要があって、
そういう部分を省く映画も多くある中で、
『アメリカの影』はそこを徹底的に
省かない。
登場人物同士の対話で、
ひたすら行動の『なぜ?』を
探り合っ>>続きを読む
社会に適応する事に自我を殺していく
主人公。皮肉たっぷりの、この世界の
青空にタイトルインさせる『すばらしき世界』の意味合いを観客に訴えかけてくる。
介護施設で、
障害者をいじるスタッフの問いかけに>>続きを読む
ベルが仮想世界上の仮面を剥がして、
素顔の自分として、歌い出す展開までは
かなり好みだった。
細田守監督は現実世界である欠点を、
仮想世界で長所に変えさせる展開の仕方が上手いな〜という印象を受ける。>>続きを読む
強迫性障害を抱えている視点を、
そのままスクリーンサイズの狭さに
反映させる演出がハマっていて、
どこでサイズが広がるかを注目しながら、
ずっと見ていた。
外で自由に飛び立つ鳥を見た、
ふとした瞬間か>>続きを読む
日常の瞬間的な一コマが映画になり得る、そんな意味合いのラストシーンが
好きだった。
終盤の真正面から捉えた表情カット、
伊藤万理華の表情の力強さにも
支えられた映画だった印象。
随所に魅力的な表情をす>>続きを読む
役者の演技の中にカメラが入っていく。
役者の表情を真正面から捉えたカットを
見せられている時には、既に濱口ワールドに引きずり込まれている恐ろしさよ〜
日常のルーティンを描いた後に、
不気味なものに肌が>>続きを読む
老いをテーマに舞台で演じ続ける
中年層の女優。
ある日、自分のファンである若い女性が、目の前で交通事故で亡くなり、
若い女性の人格がベテラン女優の中に
芽生え始める。
別の人格を演じる、
または、違う>>続きを読む