ホリさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ホリ

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終わりなし(1984年製作の映画)

3.8

主人公がカメラ目線で観客に向け、
序盤に自分が亡くなっている事を明かす構成から
始まるので、世界観には比較的入りやすい。
亡くなった自分の視点で取り残された妻を
見つめるという視点が最初に一つ提示され
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

4.0

元裁判官の老人が、周囲の住宅の会話を
自宅で盗聴しているギャップがまず面白かった。

裁判官というポジションもそうだが、
盗聴していて、
人間というものを俯瞰的に見ている
老人の立ち位置。
しかし、
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.2

作品終盤における…
楽譜の音符のアップ映像の際に
反発するかのようにメロディーが重なる
シーンが印象深い。
音符が踊り出しそうなくらい、
映像と音楽が衝突しているような重ね方が
良かった。

映像の切
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

4.0

死んだような思いや恐怖体験を一度すると
人は世界の見え方が変化し、
その上で改め、この世界で生きていくしかない
というコンセプトを掲げている印象を受けた。
これは3部作、全てに当てはまる事だが。

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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.3

松山ケンイチ演じるボクサーは、
試合で1勝もできず、引退を迎える…
いわば社会的な目で見ると“負け組”のキャラクターが
主人公の訳だが、彼が不幸せだとは一切思えなかった。
そう見えないように最後まで演
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空白(2021年製作の映画)

4.6

“万引きしたマニキュアが透明だった”というのを
台詞にしっかりおとし込むあたりが、
作り手視点から見ると、
あざとい…と少々感じるものの、
コンセプトを象徴するシーンを
明確に作り上げているから、
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.5

おそらく今、日本一のカメレオン監督なのでは。
「空白」「BLUE」「神は見返りを求める」
特にここ近年の、登場人物の肩書きが変化する中、
どの作品もしっかりと人対人の人間ドラマを
作り上げる力量が素晴
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.4

「振り返らずに行きなさい」と主人公の祖母が言い残す表情アップが
この作品内でのナンバーワンカット。

それまではベルファストの町並みや
そこで暮らす人たちの関係性の距離感を見せるため、
極端に寄ったア
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

映画館で見る、無音シーンって鳥肌が立つものが多い印象。
演出の要素は違うけど、
「ドライブ・マイ・カー」の終盤の演劇内における手話シーンも
ほぼ無音で、映画館にいる観客が一つのスクリーンを
全神経を注
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愛のように感じた(2013年製作の映画)

3.7

「17歳の瞳に映る世界」エリザ・ヒットマン監督の
長編デビュー作。

「17歳の瞳に映る世界」と同様に、
思春期から生じる“早く大人になりたい”という感情…
そこの迷いから生じる行動を
すごく俯瞰した
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.1

主人公の背伸びしたくなる年頃の
行動がいちいち痛々しくて、リアルな描写が多かった。
思春期の感情って、中々、理論的に捉える事って難しいだろうけど、
終盤の診察シーンは、それを可視化する演出を導入してい
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.9

ひたむきになる夢や目標が
簡単に移りゆく主人公の姿が、
現代の若者像のイメージと
直結しているのかな。
『私やっぱり、
これ向いていない。やーめた。
こっちの方が向いているかも』

といったニュアンス
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.5

主人公を見守ってくれる
大人達がいる時は、
主人公=体が大きな子供…
という印象なんだけど、
見守ってくれる大人達が
次々といなくなると、
主人公=何をするか分からない
危険人物というイメージ像に
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ひらいて(2021年製作の映画)

4.4

ホラー映画だよね。
人間の内に秘めたる(本質に迫る)、
感情の恐さに触れるという意味での、
ホラー映画。

人と人とが対面する
シチュエーションが
シュールおかしくて、
演出次第ではコメディにも
なり
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フェイシズ(1968年製作の映画)

4.2

夫も妻も浮気してしまった夫婦。
別々の家(空間)で浮気相手を愛し、
生きていくために、
夫婦はまた同じ屋根の下に戻ってくる。

最後の階段でのラストカット、
見終わった後も強烈に焼き付いて、
今も忘れ
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.8

対話をするためには、
共通の話題を探る必要があって、
そういう部分を省く映画も多くある中で、
『アメリカの影』はそこを徹底的に
省かない。
登場人物同士の対話で、
ひたすら行動の『なぜ?』を
探り合っ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.7

社会に適応する事に自我を殺していく
主人公。皮肉たっぷりの、この世界の
青空にタイトルインさせる『すばらしき世界』の意味合いを観客に訴えかけてくる。

介護施設で、
障害者をいじるスタッフの問いかけに
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.7

ベルが仮想世界上の仮面を剥がして、
素顔の自分として、歌い出す展開までは
かなり好みだった。
細田守監督は現実世界である欠点を、
仮想世界で長所に変えさせる展開の仕方が上手いな〜という印象を受ける。
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恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜(2020年製作の映画)

3.8

強迫性障害を抱えている視点を、
そのままスクリーンサイズの狭さに
反映させる演出がハマっていて、
どこでサイズが広がるかを注目しながら、
ずっと見ていた。
外で自由に飛び立つ鳥を見た、
ふとした瞬間か
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.7

日常の瞬間的な一コマが映画になり得る、そんな意味合いのラストシーンが
好きだった。
終盤の真正面から捉えた表情カット、
伊藤万理華の表情の力強さにも
支えられた映画だった印象。
随所に魅力的な表情をす
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

化け物みたいな映画だった。
しばらく余韻に浸ります。

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.7

役者の演技の中にカメラが入っていく。
役者の表情を真正面から捉えたカットを
見せられている時には、既に濱口ワールドに引きずり込まれている恐ろしさよ〜
日常のルーティンを描いた後に、
不気味なものに肌が
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.6

老いをテーマに舞台で演じ続ける
中年層の女優。
ある日、自分のファンである若い女性が、目の前で交通事故で亡くなり、
若い女性の人格がベテラン女優の中に
芽生え始める。
別の人格を演じる、
または、違う
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