ジュリエッタ・マシーナの演技がポケモンの主人公みたいなキツさがあって見てられなかったけど、最後の涙と一瞬だけこちら側と目が合う瞬間に感動した。バッドエンドの絶望の空間が往来する人々と爆音で流れる音楽で>>続きを読む
画面から発せられる電波を必要以上に受け取ってしまうから、必要以上に返すことになる。キチガイの夢、テレビの人物を撃ち殺せる設定が最高。ミクロキッズみたいなメカも素晴らしい。ちゃんとした決闘が最後に見たか>>続きを読む
ひとりは孤独で、あっという間に黒に飲み込まれて消えてしまう。手紙を床に散らし、砂糖を食べ、肌を出し、存在が消されないために白い画面を作ってる。
男といると孤独ではないので黒に消されるわけではないが、男>>続きを読む
欠損で始まり、欠損で終わる。石井輝男の見世物小屋的な作家性が極まってる。映画自体がイビツで異形なフリークスなのに、映画内でも身体に落書きしまくり、首斬りや股裂きで欠損者を量産する。女の裸が蛍光色に怪し>>続きを読む
動きをひたすらに追う自動追尾システムみたいなカメラから逃げるジャック・ニコルソン。替え玉使っても逃れることはできず、ニコルソンが動くたびにアメーバ状のフレームも自由自在に拡がる。何から逃げてる?ってマ>>続きを読む
左から右へのカメラの横移動によって逆行していく文明。次第にジャンル映画に変化していく野蛮への旅。無政府で不条理な未開の土地に行くと、必然的に俗っぽい映画になる。「第三世界」の「monde」。ヤコペッテ>>続きを読む
唐突なカットにジャンプする時間、激しい感情。クロースアップは厳密にフレーミングしていなくても、心の距離が狭まれば自然と2人でフレームに収まるようにできてる。シーモアだってロクな男じゃないけど、それまで>>続きを読む
「撮影する」意味の「shoot(撃つ)」に「glean(拾い集める)」という動詞を加える。カメラがデジタル化し、片手で人々を拾いやすくなった。
一度捨てられたもの、見落とされた人々に新たな価値を与える>>続きを読む
商店街の人々とマジックの交差。普段見過ごしているものを、タネを探るように見ること。マジック=「手」品として、ミクロに世界を捉えることで商人の「手」がよく見えるようになった。肉屋の肉を切る手捌き、香水の>>続きを読む
ワン・ビンは、映画は見る人がいて成立する、ということにかなり自覚的な作家だと思う。電気もまともに通っていない辺境の生活を、映画なんかを見る余裕の環境に接続させる。『収容病棟』も常人では入れない壁を越え>>続きを読む
表面だけのスラップスティックコメディとレコーディング風景が並んだり浸透したりして、よく分かんねえって感じ。だけど撮影は抜群で、編集もぶつ切りだけじゃなく人物の横切りで切り替わったり急に冴えたりして、「>>続きを読む
恋人の強姦というトラウマによって弱さを自覚し、逃げることしかできなくなった青年が「おい、オサム!」「オサムゥ〜!」「オサムさん!」と四方からの呼びかけで異常な物語に参加することを余儀なくされ、結果狂っ>>続きを読む
様々な人物が追う、追われる、で足を引っ張り合うどん詰まり田舎の悲喜劇。最悪だけどそんなにドロッとしてないし、今村昌平みたいなわざとらしさがないから面白い。首吊りジジイの足にしがみつく孫の、同じ画面でひ>>続きを読む
若さを、今だけの時間を刻印しよう必死になってる。もうすぐ映画も終わるって時、自らの幼い裸をフィルムに収める。本当に過去も未来も見えなくて凄い。「今」しかない。青っぽい画面と対立する、爆音のCCRで踊る>>続きを読む
水のあるところに人は集まって、走ったり踊ったり働いたり自由に生きてる。恋人たちと水面の煌めきが同じフレームに収まる美しさって、世界を限定できる映画ならでは。だけど、船に乗ると川の流れで限定されたフレー>>続きを読む
ロードランナーが走る偽物の街。ジェイソン・シュワルツマンとマーゴット・ロビーの切返しで何重にもなった入れ子はひとつの次元に収束し、嘘は本当になった。ラストに車は書割の砂漠の奥をどこまでも越えて消えてい>>続きを読む
風通しのいいシネスコ。横に広がった画面は、女の子が踊るスペースを十分に確保する。人々が走り、男の子が歌う。
急に大雨が降り出したり、大勢が走り出したり、最後は歌い出したり、魔法にかかるみたいに現実をち>>続きを読む
カメラが追従する各人物と観客が縄で縛られているように、全く離してくれない。人物に起こる悲劇とそれに対するリアクションを一時も見逃させないように、なにがあっても食いついてくるから疲れる。俺かスクリーンの>>続きを読む
冒頭の荒れた海が空のように画面上部に位置し、何か異様な迫力と美しさがある。冒頭なのにクライマックスみたいにエモーショナルな背景は終わりや死を暗示し、どのような形でも今後2人は結ばれることはないであろう>>続きを読む
4時間半かけて研ぎ澄まされた感覚によって、娼婦の流す涙を見逃さず捉えることができた。フランス語の台詞が次第にリズムのように心地よく、口の粘つきや吐息ですら惹きつけられる。そういや8時間の『死霊魂』も老>>続きを読む
15年後に梨が生える遺言のような木。苗木(遺言)の破壊によってルカ爺の延命に成功する。やや仰角のショットが多く、寓話性を高めている。
冒頭の殺風景な庭で老人たちがムニャムニャ話してるところから可愛くて>>続きを読む
これでもかってぐらい水面の映画。あまりに映しすぎて後半あんまり綺麗に見えなくなってくるけど、その代わりおばさんとおじさんの三角関係のドタバタが終盤で勢いづいて面白くなってくる。ラストの別れで1人ずつフ>>続きを読む
色々なショットを組み合わせて対立させたり関連付けたり。モンタージュと撮影技法の実験映画だけど、人間の躍動と自然の美しさが捉えられていて映画のコアだけを抽出したような素晴らしさ。つまり実験の成功。撮影者>>続きを読む
ふざけた若山富三郎が見たくて数年ぶりの鑑賞。藤純子と高倉健がどう結ばれないか、という映画。女性が主人公になったせいで任侠世界での役割が危うくなるというアイデンティティの危機、男たちは藤純子に対して女性>>続きを読む
小3のアホガキがチラシの裏に描いた漫画。持っている全てのクーピーを使っているから、宇宙とは思えないぐらい色がある。赤はトラックを塗るのに使い切って血は紫。もちろんガキの大好きなチンチンも出てくる。残酷>>続きを読む
前半コメディだったのに暴れん坊の若山富三郎が後半からメソメソし続けて映画自体も変化してしまう。ラストの殴り込みはヤケクソ。マシンガンvs.手榴弾の戦争によって、狭い敵陣が最後には緑のお化け屋敷みたいに>>続きを読む
インダストリアルノイズが響く冒頭のサスペンスだけでかなり大満足。中盤若干ダレるけど、3つのエピソードをクロスカッティングで追う後半から怒涛の面白さ。マブゼお化けのビジュアル怖すぎるし、カーテン開けたら>>続きを読む
後半のリベンジ部分は普通に面白くて逆に情念が取り去られてる感じがある。ただ、ハイライトのゲリラ撮影っぽい地下鉄レイプシーンが狂ってる。普通に客乗ってる車両におっぱい丸出しの女が2人倒れてる画は、見ては>>続きを読む
妄想の主観性とカメラの客観性。眼のポスターを切り裂き、キチガイ娘パスカル・ロジェの幻視の共有を拒否。映画なんて全部ままごとみたいな戯れでしかないという身も蓋もない事実を、装飾を取り去った街ブラロケの素>>続きを読む
飲酒という現実逃避、向き合わないという抵抗(鏡の破壊)。高貴さと不良性の両立。
意外なイメージの組み合わせも面白いし、色の配置も美しいけど、もっと強烈なショットが見たかった。見心地の良さで止まってしま>>続きを読む
フリの長さにしては終盤も小爆発ぐらいだし、滑ってる気もするし、ダラダラと退屈で映画の完成度としては落第点だと思うけど、そもそもそんな「完成度」とか出来不出来みたいなものから脱するためにロジエの映画があ>>続きを読む
とあるストレンジャーを白日の下に晒し、伝聞でしかない西部劇神話そのものを解体、崩壊させる。背中を撃ち合う銃撃戦、男どもの情けない死。意味なく殺されるキャラダインの死体を延々と映すショット、ズームしたフ>>続きを読む
知恵遅れみたいな同級生を腹パンして、勃起チンポを女子に押し付けるガリガリのガキ。喜怒哀楽の感情表現をせず、暴力と性衝動だけ発露する主人公を中心とした世界は静かで環境音ばかりが響き、ノスタルジーに伴う孤>>続きを読む
『わるい仲間』もそうだけど、チンピラを純然たるチンピラとして共感させる気も言い訳する気もないのがいい。ダッフルコート買うために軽犯罪とバイトを繰り返すだけのクズ。ゲリラっぽさもある街のロケ撮影がやっぱ>>続きを読む
めちゃくちゃ悪いわけではなく、惨めで情けない男2人の話。金と倫理が欠けてる。色々移動して街を巻き込んでたのが良かった。初期ロメールをドロっとさせたような。惹き込まれる瞬間が多々あって、2時間あっても見>>続きを読む
何をやってるかサッパリわからない人物たちの右往左往はただ屋敷や芝生をドタバタしてるだけにも見えるけど、台詞(発話)によってショット内の風景を異化させる。舞台が牧歌的でありふれた景色の分、その手法という>>続きを読む