個室から出れなかった入院中の時を思い出して、息苦しくて泣きそうになりながら見てた。もっと綺麗だったけど。歩いても元に戻る廊下や小便臭い薄暗い部屋より汚れた壁が怖い。ごろんと横になった時、あの壁が目の前>>続きを読む
女はずっとそこから動かず、秋津温泉自体と同化する岡田茉莉子。客はたまに来ては一時の非現実に癒され、また帰っていく。まるで温泉旅館そのものの孤独と悲しみ。建物が老朽化するように、岡田茉莉子が時が経つにつ>>続きを読む
犯罪のないノワールみたいな黒。それって結局のところ魔女ではないとは言い切れないラストでもあり、魔女裁判にかけられるまでのプロセスを家庭単位で見ているような。殺伐の中に詩情もあって、とにかく映像がかっこ>>続きを読む
音と映像が乖離するスローはバカバカしくてかなり笑える。女がビンタされたと思ったらピコピコテクノ流れてF1レーサーが駅にピットイン、その後の列車の通過まで怒涛の連なりで爆笑した。なんなんだマジで。ボーっ>>続きを読む
奥行きのある縦の構図の、いつかの美しい写真が動き出したみたいで、俺はこの中の時間に生きたいと真剣に思う。被写界深度の浅い、按摩と女の追いかけっこが本当に素晴らしく、完璧な「モーション・ピクチャー」。冒>>続きを読む
佐藤寿保20本目。オブセッション的ないつものモチーフだらけだけど、今回は窃視の暴力性に踏み込んだ内容。盗撮映像の薄気味悪さは撮られる側の恐怖の反転、見ている対象に見られるラストも同じ。スマホとSNSで>>続きを読む
昨日見た『彼女が消えた浜辺』もそうだったけど、ファルハディは人物が騒ぎながら動きまわる場面がめちゃくちゃ面白い。爆竹、破れたガラスの不穏な空気が付きまとうヒリついた空間に、家政婦の純な存在が危うい。>>続きを読む
冒頭の斜めのカメラからラストのお化けみたいな白塗りオーソン・ウェルズまで、いちいち物々しくて勿体つけてる。俺こういうのに弱い。人物も屋敷も大袈裟、ケレン味の映画。変なインサートも多い。ちょっとした回想>>続きを読む
さりげなさそうで実は緻密に組み立てられた導入が失踪を突破口として自在に嘘と負の連鎖を生んでいて、その走り出してしまったサスペンスはファルハディがストップをかけるまで勢いそのままなので超面白い。大勢が狭>>続きを読む
NYロケ映画の最高峰。継続する時間が滑らかすぎて、一瞬で映画が終わる。追う者と追われる者の位置関係が、その都度ニューヨークの街の何かを目印にしているから分かりやすく、かつ観光的な面白さにも繋がっている>>続きを読む
ずっと夕方の憂鬱みたいな映画だった。母の死から始まることで時間の有限性が強調され、海も花火もバイクもネオンも教室も、その時間はいつか消えてしまう寂寥の思いと共に過ぎる。楽しいけど孤独。みんなあの扉から>>続きを読む
気抜いたら全部真っ黒になりそうな画面、白と黒でモノクロではなく灰色と黒。全員が浮ついた喋り方で、空虚な時間。かっこいい。かっこいいけど、全然憧れない。室内や他者から解放された時のショットが強く、高千穂>>続きを読む
ミットとサンドバッグを打つ音、ステップを踏む足、息遣い、ブザー、積み重なるリズムが心地よい空間。ボクシング・アンビエント。
癲癇持ちだろうがおじさんだろうが誰でも受け入れる会長の懐の深さが、ここに映る>>続きを読む
貫きのラストまで喜怒哀楽ぜんぶのエモーションが爆発。イタリア系VS中国系の対立は根深い問題もありながら、若者の抑えきれない衝動の発露から差別と暴力が生まれているようにも見える。やけに艶かしいチャイナタ>>続きを読む
詳しくは絶対言わないけど、『鏡の中にある如く』と同じく、自分の現状を責めてくるような映画で参る。現実に存在する死と病の底無しの黒さにしっかりと対峙できるのはベルイマンぐらいだと思う。そして、映画でも現>>続きを読む
話だけ聞いてたら「そんなバカな男は忘れろ愚か!」と一蹴したくなる悲劇を、圧倒的に美しく儚い時間で説得力を持たせる。夜の公園、電車の旅、2人のダンスのための楽団。忘れられるわけないわ。そしてエモーショナ>>続きを読む
夢の解析が言葉ではなく映像で見れるようになったことで患者は耐え切れなくなる、という描写は黒沢直輔が映画と観客を信じている証拠で、ドリームリングもまんこの鈴もバカバカしいと思いつつ、オカルトと首吊り死体>>続きを読む
ギャングの女と惹かれ合い、殺しが当然に行われる世界と対等に渡り歩く大工。あれよあれよと思っていたのと違う映画にどんどん転がっていく。色んな要素が混ざってるけど、根底はずっとワイルドでかっこいい。死人出>>続きを読む
漂白されたような白い画面は社長が死んで社員が全員黒人になっても白いまま。めちゃくちゃセンスのいい人がセンスを保ったまま全部を死ぬほどバカにしていて、その余裕というか冷静な態度がクール。仰角のカメラやた>>続きを読む
舞台が港町ってだけあって画面がずっと豊か。雑貨屋に反射する水面の影、盗品の小屋、ペタンクに群がる住民、酒場、ヴィクトル家の窓から差す陽が綺麗。加えて一筋縄ではいかない人間ばかりが集まり、前半でちまちま>>続きを読む
偏執的な人間が帰ってこれないところまで行っちゃう映画が大好きなので、例に漏れず本作も最高。脳内に鍵閉めて引き篭り野次馬の女性らに囲まれ光の方へ向かう影まで完璧。
女性をマネキンのような物としてしか認識>>続きを読む
実録路線前にはない気品、ヤクザと任侠の違い。精神的に参ってるのもあるけど、高倉健が人に親切にしてるだけで泣けた。愚直な優しさ。男はこうあるべき!とは思わないけどこんな感じを目標に俺も頑張ります。
けつあな掘られて和式便所のポールで真っ二つに分離した鶴岡修の自我、得体の知れない階級から地位も生活も余裕で略奪される危うさ、性別ですら自分のものでなくなる。当たり前の不変なんて存在しない!殴られ蹴られ>>続きを読む
生も性も死も同じぐらいの軽さしかなくて、田舎云々ではない倫理のズレは何か磁場の狂ったような土地によるものなのか、不気味で怖い。カット割もおかしいし、特に川辺で遊んでる2組の切り返しはアングルも目線も異>>続きを読む
スラッシャー映画をキーホルダーにしたような軽薄な面白さ。ほぼ存在しないストーリー、ケツとおっぱいに集中させるための頭に入ってこないティーンの会話、殺人鬼のバックボーンの無視、無闇矢鱈なフェイントは死と>>続きを読む
作為と自然が融解したザラついたアメリカ。ワンダの居心地を表すホテルの水色はいつのまにかデニスに染められる。ロクなことないけど、飛行機のラジコンを見上げるあの時間は良かったはず。泣けた。
安易に死を選ば>>続きを読む
春の地味な心理戦。結局娘に振り回されてる。全員の本心がいまいち分からないけど、誰のせいでもない偶然に落ち着くところが素敵。室内の会話も面白いけど、やっぱりロメールは庭とか外の場面が好きだな。
かっぺのバンジョーが奏でるエスカレートする暴力、田舎はヤバくて最高!
兄弟でぶっ殺し合うラストのカタルシスは全員の暴力衝動がフルスロットルしてどう見てもエキサイトしまくりの戦争ごっこ、毒を持って毒を制>>続きを読む
エロシーンがやたら多くて長く、押しやられた短い物語は軽くてベタで真にどうでもよくて楽しい。その短さ含めて小分けになったスナック菓子みたいなサイズ感、結構大事。早回しのドタバタ最高。くだらないけど笑っち>>続きを読む
アメリカ郊外のある女性の脳幹のひび割れから漏れ出す白昼夢。ミニマムな世界で迷子になり続けるデジャヴ、もしかしてレコードも同じところ回ってる?美しく猥雑でやけにトロピカル。マルホランド・ドライブの記憶だ>>続きを読む
いい時間。うんこ、おしっこ、オナニー、排出の孤独な生理現象。人間臭いデトックス。でかい車が自然の中ではちっぽけに溶け込む。街から街へ。晴れの日中より曇りと霧がモノクロの画面で美しいね。ただ映写の仕事は>>続きを読む
女性の股から血を流す摩訶不思議な生理現象に男はどこまでいっても理解できない。ならば、同じく男も血流そうという桂千穂なりの不器用な歩み寄り。「俺は変態なんだ」「おれ絶倫だもん」俺おれ俺おれ俺おれの話ばか>>続きを読む
おじさんの奥さんと倒錯セックスして殺してしまった別のおじさんの罪の話。どっちも似た顔おじさんだし、殺した方のおじさんは本編のほとんどの時間でウジウジしていて気が滅入る。冒頭を見る限り事故ではなく普通に>>続きを読む
ドク・ホリデイとパット・ギャレットが旧友の嘘設定で、ビリー・ザ・キッドも加わり存在しない夢の三つ巴バトル。たいした映画じゃないのにやけに長くてムカつく。ただ、「そうだったらよかったね」なラストにジンワ>>続きを読む
神=愛というあまりに脆く曖昧な言葉を放つ心が欠如した父。娘だろうが姉だろうが妻だろうがあくまで他人事。何を見て、どこが壊れているのか誰にも推し量れず、爆音のヘリで去っていく。会話の後ろでうねる水面が気>>続きを読む