熊太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

熊太郎

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(1954年製作の映画)

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ずっと泣いていれば涙を流す必要はない。
昔からそう思って愚かに生きてきたが、そのようにしか在れなかったこと、これからもそうやって在るのだということに、恥ずかしさに似た後悔をおぼえ、いまはただ友人達から
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夏目漱石の三四郎(1955年製作の映画)

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夏目漱石を読みかえしたい。
『三四郎』『それから』、『門』。


広田先生に笠智衆
美彌子に八千草薫

孤独な場所で(1950年製作の映画)

4.4

見終わっていろんな人の「I Hadn't Anyone 'Till You」を聴きくらべていた。


ああ、映画に、蝕まれているんだな。
「もう手遅れ」。筋書きをえがいたのは彼で、終わるべくして終わっ
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男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋(1982年製作の映画)

4.5

伊根の舟屋に行きたくなる。

友情でも結婚でもない、かといって性欲という訳でもない(もしかしたらその総てかもしれない)目的不明の他者として、寅さんの現前に立ちはだかる異質のマドンナ回。
とらやの茶の間
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世界の涯てに(1936年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

「つねに『見くびってすみませんでした』って、どの登場人物たちにも思わされる」
「サークをすべて傑作にするのは人類の課題」
「とことん嫌って愛するんです」


三度目の鑑賞。シネマヴェーラ、濱口竜介監督
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時代屋の女房(1983年製作の映画)

4.2

「死にかけたものを優しく生きかえらせてあげるってわけね」

“記憶は愛である”の実論=森崎東の映画にふれれば、夏目雅子が、晴れ晴れと戻ってくるシーンのうつくしさにわんわん泣けて、見終わってからも古書店
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ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)

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「映画は記憶の芸術である」

ETV特集『記憶は愛である ~森崎東・忘却と闘う映画監督』より、すばらしさに震えたので自分のための覚書(映画の感想は留保…)。

「人間の一生とは、その人本人の記憶の総和
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愛なのに(2021年製作の映画)

3.7


「あなたにとって多田さんは沢山いるけれど私にとって多田さんはあなたしかいない」
「あなたにとって私は沢山いるけれど私にとって多田さんはあなたしかいない」

……どちらだったのかおぼえて帰ってくること
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.3

荒涼とした明視

信頼するひとに『少女ムシェット』と『引き裂かれた女』を貸そうと思っているけれど寂しそうな彼女に会える機会はやがて失われていくだろうなという予感も。

愛も恋もない。始まりから終わりま
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イマジン(2012年製作の映画)

4.1

「あなたとなら見える。」

泣いてばかりいるせいか、近ごろはもう何も見えなくなってきている。

想像力。ウソを見ぬく力を土台にしてウソだからこそ、信じ、徹する。

踏み出そうとするエヴァ、靴音

赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道(2010年製作の映画)

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さめない夢みたいに

〈マリラは今日の昼、夢中になって丘を駆け下りたときのことを思い出していた。バリー氏に抱かれたアンの姿を見たときマリラの胸をその奥底までグサリと突き刺した恐怖のなかで、アンが自分に
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ぼくの名犬テンペスト(2001年製作の映画)

4.0

「いっしょにサルシッチャを焼いて食おう。白ワインをふりかけたいが、なくてね。バルサミコを効かせたいが、そいつも切らしてる」

昭和残侠伝(1965年製作の映画)

4.0

昭和残俠伝シリーズ(10年前ぐらいに鑑賞)

池部良の色気が際立っている。内奥にひそめた諦念。かの男の散文も好きだった。距離とか、幅とか、そういうものについての感性がなめらか。

死にに行こうとする
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ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)

4.1

収録曲メモ

SIDE A
01 Falling Slowly
02 If You Want Me
03 Broken Hearted Hoover FixerSucker Guy
04 Wh
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.0

公開時、仕事帰りに見に行った記憶。グレタの毛羽立ったくたびれたワンピースが見えた。この監督さんは『ONCE』から一貫しておんなじこと、撮っている。

劇中歌どれも素敵だけれど、キーラ・ナイトレイの「L
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大いなる西部(1958年製作の映画)

4.0

「荒野で迷うと危険だぞ、土地の人間でもだ」
「迷ってません」
「迷ったにちがいない」
「自分のいる場所は常に分かっていた」

さすらいのカウボーイ(1971年製作の映画)

4.1

「抱きしめてくれ」の科白


主人公のずるさよわさが身につまされる。
逡巡を、拒絶と受け取る男の身勝手。適正な距離を見つめなおそうとしてくれているのに。



妻との対話(ヴァーナ・ブルーム凄く良い)
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オズの魔法使(1939年製作の映画)

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「僕にこころがあれば嫉妬もできる思慕もできる。僕にこころがあれば鳥を見ることができる、天使を見ることができるのに」

ブリキのロボットが最初にうたう歌。
これが映画であり、絵本であり、オズだよなー、
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男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973年製作の映画)

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「お兄ちゃんはさ、カラーテレビもステレオも持ってないけど、その代わり誰にもない素晴らしいものを持ってるもんね。」
「なんだよ、アッ、おまえ俺の鞄、調べたろ!」
「形があるものじゃないのよ。」
「なん
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.7

“わかり合うまでトライアル”

何度目かの再見。好い。良すぎる。

写経に意味はないとて、私が無意味であるために写経はくりかえさねばならない。

「マラルメは白紙を称えた」
「全てを得られないなら真の
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.9

昨夜からコーヒー50杯ぐらい飲んでる。泣いてる。
別に泣いてない。

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.5

最高だー……。

もうずっと好き。

暗闇はおわらないから、パパのように死ぬまで(甦っても)映画の祝祭を浴びていたいね。

カサブランカ(1942年製作の映画)

4.3

"I think this is the beginning of a beautiful friendship."

クストリッツァ『黒猫・白猫』でマフィアのドンが、えんえんカサブランカのラストシ
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BLUE ブルー(1993年製作の映画)

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デレク・ジャーマンの遺作。

これは映画館で(あの暗闇の中で)
たった一人でしか見たくない映画。