三宅邦雄さんの映画レビュー・感想・評価

三宅邦雄

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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.6

まさにジャズそのもの。環境音を排し、セリフを際立たせた音使いもカッコいい。

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

3.9

東京に住むものとしては、やはり東京の最初のショットが大変印象的であった。ヴェンダースが映す東京のように、普段見えずとも私を突き刺す街の不気味さを完璧に撃ち止めている。台湾パートにおいてキャメラは登場人>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.0

「自然さ」は演出する、という映画の根本を巧みに押さえている素晴らしい作品だった。人間のnature=本質を、非現実的な内容と形式を操って浮き彫りにしている。登場人物ほとんどが入り組んだ恋愛をしてしまう>>続きを読む

M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻(1896年製作の映画)

3.0

慎ましい。おそらく古典的ハリウッドまでこのスタイルは一貫している。

壁の破壊(1895年製作の映画)

3.5

壁が落ちて粉塵が舞った際に当時の観客は拍手喝采だったという。なるほど初期映画のモードは珍しい事象の追体験に重きを置いていたのかもしれない。

豪傑児雷也(1921年製作の映画)

3.0

今日的な視点からすれば、カエルの変身などは滑稽に見えるが、当時の観客からすれば極めて魅力的なスペクタクルであったのではないか。カットによるトリックはメリエスらしきものが多かったので、当然マキノも参考に>>続きを読む

突貫小僧(1929年製作の映画)

3.5

弁士と楽士付きで鑑賞。小津の子供の描き方は初期から一貫していると感じた。特に、大人が子供を面倒がって置いていくもの、付いてきてしまうところが『長屋紳士録』とそっくりだと思われた。

血煙高田の馬場(1937年製作の映画)

3.5

弁士と楽士付きで鑑賞。躍動感が素晴らしく、笑いどころも多かった。ソフトで観るのとは全く違う良さがあった。

ローバーによる救出(1905年製作の映画)

3.3

犬の疾走感が素晴らしい。またロケーションの反復も革新的なものと言えるだろう。

ある犯罪の物語(1901年製作の映画)

3.0

ショッキングな映像を見たいという衝動はこうしたところから始まったのだろう、と思わせる作品だった。

メリー・ジェーンの災難(1903年製作の映画)

3.5

カメラ目線、よい。そのあと爆発して飛んでいって、そのまま墓のショットになるのも非常に馬鹿馬鹿しくてよい。

Dream of a Rarebit Fiend(原題)(1906年製作の映画)

3.6

ベッドが過剰に回るところで大爆笑してしまった。過激なイメージに溢れる今日に生きる我々にとってそうした過激さは相性がいいということなのだろうか。

大列車強盗(1903年製作の映画)

3.0

バーンズの発砲は無くても成立するが、あるがこその良さはあると思う。今日においてもああいった演出はあってもいいのではないか。

アメリカ消防夫の生活(1903年製作の映画)

3.0

見せ場が2回あるのも悪くないかもしれない。ポスト古典にはむしろ向いているのではないか。

月世界旅行(1902年製作の映画)

3.0

革新的なトリック撮影については多くが言うところその通りだろう。個人的には、帝国主義的な構図が興味深かった。

シンデレラ(1899年製作の映画)

3.2

時計の男の動きがウザすぎて笑ってしまった。これも初期映画モードにおける露出症的な演出の魅力だろう。

おばあさんの虫眼鏡(1900年製作の映画)

3.3

あれだけ大きくなった人の目を初めて見た観客はさぞ驚いたであろう。猫もやはり可愛い。

港を離れる小舟(1895年製作の映画)

3.5

画面右下の太陽光線が非常に美しい。綺麗なフィルムで一度見てみたいものだ。何故か感動してしまった。

水をかけられた散水夫(1895年製作の映画)

3.5

大いに笑った。コメディの基本が短い中に詰まっている。今日のコメディ映画でこれを超えられないものは少なくないだろう。

赤ん坊の食事(1895年製作の映画)

3.0

奥に揺れる風が美しいという見方は、今日の映画観客に自己を見つめ直させるものであるだろう。

ラ・シオタ駅への列車の到着(1895年製作の映画)

3.0

映像が動くという面白さを、初期のモードで巧みに映しているのだろう。

工場の出口(1895年製作の映画)

3.0

工場の出口、という見方は面白くない。当時の観客のように、映るもの全てを探そうとすると実に多様で面白い。

哀れなピエロ(1892年製作の映画)

3.0

19世紀にこんなものがあったのだから、当時の観客はさぞ驚いたろう。幻燈とはまた違った楽しさがあったのではないか。

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.0

内容の面で言えば、いくらか非現実的ではあるにせよ、人間らしさが際立っていて素晴らしい。朝子と麦の衝動性は、亮平という規範をもった近代的な主体によって鮮やかに対比されている。

これは亮平が脱中心化的な
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南部の人(1945年製作の映画)

3.9

古典的映画の構造はあるのだけどやはりルノワールらしさもある、独特な映画だった。彼がアメリカに見出したポピュリズムを描いているが、明らかにキャプラのそれとは異なる面白さがある。というのも、隣人愛が物理的>>続きを読む

アパッチ砦(1948年製作の映画)

3.8

馬が走って土埃が舞う。西部劇の神髄そのものではないか。もちろん先住民を人間らしく勇敢に描くところも評価すべきだろうが、なによりこの映画の美しさは土埃なのだ。散見されるロングショットはどれもアメリカの砂>>続きを読む

つくもさん(2022年製作の映画)

3.5

短いながらも落語らしいオチがついており素晴らしい。広角レンズにより奥行きを生じさせ、パンフォーカスで複数のアクションを同時に映し出す演出には意匠を感じた。非常に古典的な面白さのあるコメディだった。次回>>続きを読む

Yokosuka 1953(2021年製作の映画)

3.5

被写体に責任を持ち続ける点は素晴らしい。構成も大変見応えがあるのだが、ナレーションが過多でショットが軽視されていると言わざるを得ない。また、英語力の明らかな欠如により、本来引き出せ得るより豊かなことば>>続きを読む

火の娘たち(2023年製作の映画)

3.0

いきなりアベル・ガンスの『ナポレオン』か⁈と驚いてしまい、内容が頭に入ってこなかった。自分には早過ぎたかな。

ヴィタリナ(2019年製作の映画)

3.2

映画というより活動写真と言いたくなるほどそれぞれのショットが非常に美しかった。しかし、正直なところ疲れる部分も多く、最後の30分などはいつになったら終わるのかと考えてしまう自分がいた。ただし、この苦悩>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.8

映画を撮るとはどういったことか。よく考えさせられた。映画によって狂わされることもあれば救われることもあるだろう。どちらともはっきりと答えを出さないところが非常に現実的でよいと感じた。

それにしても、
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エロス+虐殺(1970年製作の映画)

3.6

観た時は衝撃を受けてなにも書けなかった。そこからぼうっとしていたら2ヶ月が過ぎてしまった。普段は鑑賞日に書くというのに。

結局この映画はなんだったのだろうか。記憶に焼き付いているのは身体を舐め回すよ
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妻は告白する(1961年製作の映画)

4.0

とにかく人間臭く、皆が自己中心的である。日本人に新たなる主体を形成せしめんとした増村らしさ満載だが、そんなことよりもこの映画は演出が素晴らしい…

ノワールの雰囲気も感じる照明と独特なミザンセヌ。特に
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.6

なぜだか生きてすらいなかった60年代、とりわけ行ったことすらないアメリカに飛び込みたくなる時がある。そんな時はタランティーノだということで鑑賞。

スタジオシステムが崩壊し、スターシステムも当然成立し
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