三宅邦雄

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの三宅邦雄のレビュー・感想・評価

3.6
なぜだか生きてすらいなかった60年代、とりわけ行ったことすらないアメリカに飛び込みたくなる時がある。そんな時はタランティーノだということで鑑賞。

スタジオシステムが崩壊し、スターシステムも当然成立しなくなったハリウッド。そこで苦しむ過去の売れっ子とスタントマン。そろそろコッポラが風穴を空けるという時代設定でアルパチーノを出すのはさすがと言ったところ。

そして60年代といえばヒッピー。しかし全く同情しないのが非常に面白い。「デニスホッパー」を容赦なくズタボロにする。しかし彼らを撃退したからといって、根本的に問題が解決したわけではないが。ただ、売れっ子ポーランド人監督との繋がりができるという幕の閉じ方。アメリカ映画に希望が見出せない時代感覚を見事に表象した作品だろう。
三宅邦雄

三宅邦雄