三宅邦雄

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版の三宅邦雄のレビュー・感想・評価

4.0
「自然さ」は演出する、という映画の根本を巧みに押さえている素晴らしい作品だった。人間のnature=本質を、非現実的な内容と形式を操って浮き彫りにしている。登場人物ほとんどが入り組んだ恋愛をしてしまう内容、人が出ていくと同時に入り込んでくる形式、それらは明らかに現実的ではない。しかし、それゆえに人間の利己性が強調される。ある種演劇に見られるナチュラルさが認められるのではないか。コミカルな部分はあってもコミカルになり過ぎず、メロドラマ的ではあってもそれだけではない。調和のとれたリアリズムがこの作品を統合している。
三宅邦雄

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