やったカニさんの映画レビュー・感想・評価

やったカニ

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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

キャラクター周りの描写や演出がなんとも薄味なのはもう置いといて、物語の筋の方を語っていくべきだと思った。
ゼンデイヤもオースティン・バトラーも超かっこいいんだけど、素材がいいだけで活かしきれてない感じ
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ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

3.8

ここから先はすべて幻覚だと提示されたかと思いきや、メタ構造の連続でリアルとフィクションと思考が混濁する。

サイコなテレビ映像が及ぼす影響への批判も、あるにはあるのかもしれないけど、ビデオドロームは人
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

その時代の”ポライト・ソサエティ”を進撃するベラ。
ベラの成長に合わせて、段階的に舞台(ウソすぎる街々!)がセットされてるのがとても良かった。

ロブスター(2015年製作の映画)

3.7

ストーリーや演出面がシュールなのはもちろん、画面構成や撮影も超現実的だったな。特に前半のホテル部分は。

パートナーがいない一人身の人間は動物にされるというSF設定は、思ったほど前面に押し出されていな
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ファルハ(2021年製作の映画)

-

壁越し・隙間から覗くカメラと、表情で語るファルハ。
身を隠すための壁は、身を隔てる壁へと意味が変化する。しかしどちらも、目撃者・語り継ぐ者の視点ともいえる。

人間に絶対的に平等に与えられた生/死の瞬
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空に聞く(2018年製作の映画)

-

インタビューの隙間、街や祭りを撮っているときはしっかりと映画になっていた。

息の跡(2015年製作の映画)

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東日本大震災についての個人の記憶(体験)を持たない世代が育ってきている中、佐藤さんが言っていた「将来的に、この震災を知ろうと思う人は興味がある人だけだ」というようなニュアンスの言葉を考えると、本当にそ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

分かってはいたことだけど、この映画の観客はあくまで傍聴人。
感動や、興奮や、共感といった、ある種の映画的な愉しさは無かったので、その点、とりわけ映画館で観る必要はない作品だったかもしれない。
断片的な
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

-

自分の言葉で書こうと思ってるうちに、少し時間が経ち過ぎてしまった。
この映画を観てる途中も後も、色々なことを考えてたので、また今度見直してちゃんと文字に起こそうと思う。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.3

ポジティブな映画だった。
前に押し出されるわけではなく、自然そのままの人の善性。

病気のせいで、自分のことしか考えられないけれど、心の片隅にその人はいて、ふと思い出すと、ほっとする。
一日中その人の
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.2

観てからしばらく経つけど、じわじわとまだ心地いい。ずっと観てられる。
個人的に、美術学校のあのゆったりした空気はハマったし憧れる。

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.1

町を映す広い画が多いのにめっちゃ窮屈だし、逃走は全然ドラマチックにならないし、たまたま法の線を越えてしまっただけで、高速の料金所すら超えられない三十路男情けなさすぎるよ。
それだけに、この鬱屈さを破壊
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

-

2024新作1本目。
今年もこのような映画を観ていかなきゃいけない。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.7

おわ~怖かったー。
霊が憑依する時にカメラが傾くアゲ感が最高。
色々と『ゲット・アウト』みを感じるけど、話のまとまりは断然あっちの方が面白かった。

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.6

28日のお昼に観たけど、年の瀬の空気感もあってなんか良かった。
スクリーンは満席で、子供連れも多かったが、映画の中身は大人のアニメーションだった。
映像で語るシーンが多く、小さい子供は読み取れない箇所
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.6

超面白かった!
「不安は魂を食いつくす」ってその通りだった。
スタンダードサイズの使い方マジで巧すぎる。

差別の視線が双方向的なものだとよくわかる。それこそ頻繁に登場する鏡のショットみたいなもんだ。
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.0

スタンダードサイズのスクリーンめいっぱいに収まる人物たち。
舞台の奥行きを感じさせる人物の配置とか、目線を交差させない会話とかは非常に演劇的だったな。

アーティストとモデルという、いわば雇用関係、職
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.4

夫のためになら、マリア・ブラウンは割り切る。映画の中の言葉を使うなら、たしか「自己を確立する」だったと思う。
愛人と結婚の線引き、仕事とプライベートの線引き。母親の再婚相手を目撃した時、ベティとは反対
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.3

「戦う」も「去る」も、どちらも挑戦的で覚悟のいる選択だよな。しかも女性たちにとってはこれが初めての選択という行為。
赦す/戦う/去るの三択は、女性という立場だから浮かび上がるものだ。もしこの事件におい
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.6

キャスト全員最高。
岩井俊二のキャスティングやはり信用できる。

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.8

『ストーリー・オブ・マイライフ』『バービー』を観て、順番的には一番最後に観たのがこの『レディ・バード』な訳だけど、自分の中でグレタ・ガーウィグという作家への信頼は、もうほんとに確かなものだ!

アメリ
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

終始低刺激だったけどかなり面白かった。
ただ普通に長いと感じたし所々寝てしまったので、あんまコメントできない。

ディカプリオがヘイルに見せる子供っぽい顔と、モーリーに見せる夫の顔と、FBIに見せる中
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キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

3.8

90分間たっぷりとロバート・デニーロ演じるいかれた青年、パプキンの奇行を観させられてるわけで、ラスト10分彼のトークはマジで一瞬も笑えない。自虐風自己紹介は、テレビ越しにはじめてパプキンを見る観客にと>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.6

原作既読。

俺が観に行った回では、稲垣吾郎演じる検察官が、性的快楽を動機として蛇口が盗まれた事件の記事を読んで「訳が分からん」的なことを言う割と序盤のシーンで笑いが起こったんだけど、その人らにとって
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世界のはしっこ、ちいさな教室(2021年製作の映画)

-

”世界のはしっこ”というタイトルの通り、やっぱり都市/地方の格差を考えずにはいられなかった。それは経済、物流、情報の格差だけじゃなく、地方に根付く文化や因習の差もあるかなと思った。
例えばバングラデシ
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.8

マイク・ミルズ監督の『カモン カモン』と共鳴させながら観て、もうほんとに良かったよ。
対話において哲学とは”問い”から始まるもので、それは「相手のことを分かりたい」という感情だ。ケヴィン・マカリーヴィ
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散歩する植物(2019年製作の映画)

-

コミュニケーションや関係性の一つ。
画はゆるいけど、伝えたいことがしっかりあったと思う。
自身への疑問や、肯定。

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

我々を映画館という装置に閉じ込め、鮮烈な体験を強いる。
EOの視点から低く語られるミクロな映像。赤と青のライト。フラッシュ。過剰すぎる音響は、言語を介さない動物の感情表現かもしくは、動物の耳を通して聴
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遺灰は語る(2022年製作の映画)

3.3

1934年にノーベル文学賞を受賞したイタリアの劇作家ルイジ・ピランデッロの遺灰を、ローマからシチリアへ移す工程をモノクロで映す前半部と、彼の晩年の小説『釘』の映像化である後半部。
前者と後者の文脈的つ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

すべてが重厚。映画館で観てよかったと思えた。
寝不足のせいでほとんど記憶に残らなかった、完璧主義を自称するかのような小難しい台詞とは対照に、マイケル・ファスベンダーは人間的。
章が進み、地を転々とする
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.6

三時間、岩井俊二の世界にどっぷりと浸る。海岸、雪原、夜明け、一目で岩井俊二のそれとわかる映像美やっぱり好きだ。
アイナ・ジ・エンドの歌唱シーンは鳥肌立った。路上ゆえ整音されていない荒っぽさも、想像して
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

4.9

最高。
こんな映画があるせいで、俺の中で平成という時代が神話化されていくんだ。

RENT/レント(2005年製作の映画)

3.7

戦争の反対は”創造”っていい詩だな。
ライフサポートの集会で気持ちを歌に乗せるシーンが印象的。
一貫する愛の歌には、逆境をはねのける強かさがある。

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.2

イランとジャファル・パナヒ監督の文脈をもとに読む映画。
熊ほど分かりやすく、目に見える脅威がいればいいのにとラストを見て思ったが、熊はいないらしい。

ただ、自分が無知すぎてこの映画の凄みを全然理解で
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

季節と余白の映画。
初鑑賞は5月だったかな、これから始まる夏に期待を寄せて、観終わった後ずっとこの映画のことを考えてたのを覚えてる。

終始漂う「これが最後」の空気感…。
美しい映像に見惚れつつも、息
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