やったカニ

マリア・ブラウンの結婚のやったカニのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
4.4
夫のためになら、マリア・ブラウンは割り切る。映画の中の言葉を使うなら、たしか「自己を確立する」だったと思う。
愛人と結婚の線引き、仕事とプライベートの線引き。母親の再婚相手を目撃した時、ベティとは反対にすんなり受け入れるのも、彼女なりの割り切りだと思う。
だからこそヘルマンがカナダへ行くと知ったあと、彼女は揺らぎ始めるのかもしれない。それらは、オズワルドの葬儀での嘔吐、吸わなかった煙草を吸い始めることに表れている。

”越し”のショットとは別に多用される、マリアの振り返り正面クローズアップ。先鋭的で強い女性として演出されるが、その立場は半ば女性という性を利用して得たものとも言えるし、この映画自体その女性像(その女性自身)を壊して終わる。

初のファスビンダー作品で、二時間ついていけるか不安だったけどめちゃ面白かった!
初見の感想で、合ってるかわからないけど色々考えながら観たな。他の方も指摘している通り、オープニングとエンディングから、戦後のドイツを映画内で描き切ろうとしているのは明らかなので、その辺の知識を入れた後、時間をおいて観直したい。
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