やったカニ

不安は魂を食いつくす/不安と魂のやったカニのレビュー・感想・評価

4.6
超面白かった!
「不安は魂を食いつくす」ってその通りだった。
スタンダードサイズの使い方マジで巧すぎる。

差別の視線が双方向的なものだとよくわかる。それこそ頻繁に登場する鏡のショットみたいなもんだ。
私利のために異物を受け入れ始める住民たちだが、アリにとっては何の得にもならない。それどころか、”二人しかいない世界”の境界が揺らぐことで、「不安」になるのかもしれない。
異物を見つめる目線に敏感なのは、終始エミの方で、カフェのテラス席で不満をぶちまけるののもエミ。そのシーン、結局愛だけで二人を完結させることは出来ないのだと悲しくなったし、「あなたのせいよ」と言っているかのようだった。

もちろん、当時のドイツの文脈上のお話。ヒトラーやミュンヘンオリンピックについての言及もある。そもそもファスビンダー自体、映画を通して西ドイツを描こうとしているのさ。よう知らんけど。
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