motoさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

人が我に返った時
達成感を味わうのか
絶望感に苛まれるのか
寂寥感に包まれるのか

アインシュタインの閃きが
プロメテウスの火を再び灯させ
ニールス・ボーアの発想が
大地を焼き尽くす炎へと導き
オッペ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

2.7

砂が時を変え風景を変えてゆく
砂が人の心も変えてゆく
サラサラザラザラと変えてゆく

砂が夢の中に入り込み
昨日の景色を幻影に変え
その幻影も砂のように吹き去ってゆく

自分の中に現れては消える救世主
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Here(2023年製作の映画)

2.7

みどり眩しい木漏れ日
風の葉音が目に入る
鳥の囀りが林と一体になる

リズミカルな工事の音
小津映画のようなビルの遠景
まどろみがバスを包みこむ

長い休暇の前
冷蔵庫を空っぽにする
さて野菜をどうす
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

2.7

フィルムに焼き付けられた記憶
書き記した言葉に宿る記憶
感情や感覚として身体化される記憶

しかし
日常のほとんどの記憶は
どこかに行ってしまう
未来のどこかで待っている

あの時あの風景
あの温もり
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VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)

2.7

生態系が壊れてしまった未来の地球
目の前に広がる荒涼とした風景から
希望と絶望のどちらを見出せるか

少女が描いたと思しき笑顔のAIドローン
植物人間になった父親がインストールされ
いつも少女に寄り添
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.2

喪失と再生への葛藤

孤独の鳥籠に閉じこもる少年

残像が繰り返す自問自答の日々

孤高の青鷺が籠の外へと誘き出す

天岩戸の如く森に隠れた叔母

その叔母を探すのは亡き母を求めてか

それとも新しい
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.0

愛の形には様々な形がある
人であったりモノであったり

ただし愛の形は目には見えない

言葉で紡いでも
文字で書き残しても
映像で映し出しても
愛の形は幻のようなものだ

ちょっとした出来事が
思わぬ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.0

都会の片隅
鬱々とした毎日
北欧の青赤黄緑
寛容性が無い職場
戦争を伝えるラジオ
気になる壁の絵
ベルベットとカラオケ
安酒とタバコ
見つめ合う男と女
何かが芽生えた予感
映画デート
名画のポスター
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.1

彼は木漏れ日のような人だ

陽光を柔らかくし

風をやさしく感じさせてくれる

彼は緑を慈しんでいる


彼は静かで穏やかな人だ

真面目に真摯に仕事に取り組む

淡々と職人のように取り組む

見てい
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(2023年製作の映画)

2.7

殺し合いが日常にあった

裏切りが日常にあった

疑心暗鬼が日常にあった

身分の差が日常にあった

成り上がりが日常にあった

忍びが日常にあった

極悪非道が日常にあった

理不尽が日常にあった
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アアルト(2020年製作の映画)

3.0

モダンとは

建築とは

デザインとは

手元から生まれるラインは

アアルトの心のありさま

頬にあたる春のそよ風

眩しい短い夏の日差し

足の裏に伝わる秋の落ち葉

静けさをもたらす冬の冷気
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.9

生きろ

どんな困難に遭遇しても

生き抜くことを考えろ

目を覚ませ覚醒せよと

そう雄叫びをあげながら

ゴジラは情け容赦なく

破壊し踏み潰し燃やし尽くす


かつて日本は戦争によって

破壊さ
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.2

アメリカについて私は無知だ

アメリカと呼ばれる前のアメリカを知らない

今のアメリカさえよく知らない


自分たちの言葉を持ち

自分たちの信ずる神々や精霊と暮らし

自分たちの歴史と文化を持った
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

2.7

哀しみを抱えた創造者は

どんな思いを創造物に込めるのだろう

創造者は自分を滅ぼす物ではなく

愛すべき物を創るはずだ


闇から灯る小さな小さな光

絶望の中から希望が生まれ

希望が生きる力を宿
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ほつれる(2023年製作の映画)

2.7

彼女はいつも遠くを見ていた


彼女は何を見ていたのだろうか

彼女は何を想っていたのだろうか


彼女はいつも遠くを見ていた


彼女は何を見ないようにしていたのだろうか

彼女は何を忘れようとして
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沈黙の艦隊(2023年製作の映画)

2.7

深く深く潜ってゆく

静寂が広がる深海へ

深く深く

水の中に伝わる微かな音


突然


迫り来る魚雷

死が静かに近づいて来る

逃げても逃げてもついて来る

人間の奥深くにある本能に

狙い撃
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ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.5

シェイクスピアは戯曲家であり

歴史家では無かった

劇的な物語は脚色された出来事で

真実の物語は永遠の謎解きだ


歴史は常に権力や権威によって創られる

真実のように脚色されて創られる


無関
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.0

物語の中に物語がある

複雑な物語が絡み合う


舞台は巨大なクレーターがある広大な土地

ペパーミントの空とサンドベージュの大地

夜になれば星が降り注いできそうな星空


何も無さそうな日常の中に
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イノセンツ(2021年製作の映画)

2.7

静かな音

目に見えない音

それは心の音

目には見えない心が

音になって現れる

地面の微かな震動が

水の波紋に現れる

淋しさを抱えた心と心が

目には見えない力で

引きつけ合う

引力の
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アシスタント(2019年製作の映画)

2.7

目には見えない空気が

重く澱んで見えてくる

真夜中のような夜明け前

さっき消したライトを点ける

昨日と一昨日と同じ今日が始まる

目には見えない暴力が始まる

目には見えないストレスが溜まる
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プチ・ニコラ パリがくれた幸せ(2022年製作の映画)

2.7

ちょっとしたヒント

ちょっとした落書きが

ちょっとした物語を生んだ


それは

ちょっとした奇跡


ちょっとした会話から

ちょっとした思い出から

ちょっとした友情が育まれた


ちょっとし
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怪物(2023年製作の映画)

2.8

炎上するビル

眺めて楽しませて

野次馬を喜ばす

次に襲いかかる標的を

虎視眈々と探しながら燃え盛る


誰もが知っているが

誰も見たことがない

人の心の暗闇から生まれ

嘘や無関心が大好物
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パリタクシー(2022年製作の映画)

2.8

ブルー それはパリ

自由で不自由

爽やかで憂鬱

温かで冷たい


ブルー それは心

甘くときめく恋

苦く切ない愛

幸せを装った嘘


ブルー それは闘い

女性が存在していない法律

世代
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.0

ツーンと鼻の奥につく臭い

ブクボコ肥溜めの音

ザアザアと降りしきる雨

パンパンとせかいに響く柏手

ボットンと落ちる汚穢

トクトクと脈打つ血

ユラユラと灯る蝋燭の明かり

ハラハラと人情が映
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.1

いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを

ゴンドラの唄が重なり

滲み出る涙は

この映画を初めて観た時と

同じ涙だった


抑えられた演技
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.8

僕が5歳だった頃

土曜日の夜
仮面ライダーはやって来た

サイクロン号に乗って
赤いマフラーをなびかせてやって来た


ライダーがショッカーをやっつけるのを

無邪気なボクは
カッコいいと感じていた
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

2.8

ただただ うろたえるばかり

どれだけ考え尽くしても

わからないことに


ただただ 嘆くばかり

どれだけ言葉を尽くしても

わかってもらえないことに


親しさの中に憎しみが

憎しみの中に思い
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.8

映像のカオス

物語のカオス

引用のカオス

模倣のカオス

笑いのカオス

経費のカオス

次元のカオス

家族のカオス

日常のカオス

愛のカオス

世界のカオス

宇宙のカオス

不条理のカ
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

2.7

回る回る

ヨーヨーは回る

上へ下へ

ヨーヨーは回る

あくびとため息を繰り返すように

ヨーヨーは回る


回る回る

ヨーヨーは回る

細い細い一本の糸で

ヨーヨーは回る

運命的な愛を取り
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.0

沈黙が語りかけてくる

尊厳とは何か


未来が語りかけてくる

生きるとは何か


過去が語りかけてくる

人生の豊かさとは何か


豊かさや自由を求めてきたはずなのに

貧しさと不自由さを感じはじ
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.2

余韻と気配


この哀しさはどこから?

過去から?

未来から?


この寂しさはどこに?

未来へ?

過去へ?


壁に揺れる木陰

眩しい若葉

さえずる鳥たち


心はいつ生まれるのか

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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.2

真夜中の土砂降りの雨の中

赤ん坊を抱えて歩く母親に

傘を差し出す事ができるのか


人身売買は遥か昔

人間社会が生まれた時から

営まれてきたのではないだろうか


麻薬 武器 セックス

あら
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マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

2.8

若さは無邪気で無謀で無茶だ

自分は特別な存在だと夢想する

夢想が現実になる事は奇跡に近い


運とは?巡り合わせとは?

思わぬ出逢いが思わぬ道へ導く

先の見えぬ道は細く長く険しい


明日を飛
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.7

既視感


どこかで見たような気がする

一つの物語だけではない

いくつかの物語の既視感だ


地球の危機も既視感のように

目の前に大きくなって現れた

より複雑になって現れた


傍若無人に突き
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パリ13区(2021年製作の映画)

2.7

心というのは厄介で

心というのはバーチャルリアリティであり

バーチャルリアリティだけに厄介だ


体というのも厄介で

体というのはリアリティであり

リアリティだけに厄介だ


バーチャルとリア
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.9

ただ同じように前を向き

ただ同じように前に進む

車に乗っているように


車に乗ると人はもう一人の自分に気付く

他人を演じている自分の隣にまたは

後部座席に座っているもう一人の自分を


他人
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