departmanさんの映画レビュー・感想・評価

departman

departman

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

知的好奇心を煽られ心理的恐怖が抉られる
濃密すぎる3時間

科学の追求がもたらした戦争だとしても
科学者を責めることが誰にできよう
人間が人間を制圧することを正義とみなす
この世界が狂っていたのだから
>>続きを読む

やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.2

青い波
青いシャツ

海はすべてを見ている
あなたの喪失も
あなたの再生も

「チューニングするだけだよ」

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

3.6

好きでいるために
好きな人から自由でいたい、か

「たしかなのはこうして流れる現在ちゃいまっか」

正欲(2023年製作の映画)

3.2

普通に、ありえない
この言葉がどれだけの人を
影に、行き止まりに、追いやってきたのだろう

「無事に死ぬために生きてるって感じ」

欲求自体に正誤はなくても
善悪、可否、是非があるのがこの世界
バレな
>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.0

本当の私を見て欲しいのに
本当の私を見せられない

戸籍なんてぜんぶ
流れてしまえ

「みんなが上見てると安心すんねん」

雨上がりの虹を願い
私は今日も生きていく
この不寛容な世界を

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.2

解剖が明らかにしたのは
たしかに落ちたこと
肉体的にも
精神的にも

「もう傷ついてる」
「何故なのか、自分で考える必要があります」

考えた上での最後の証言
事実は真実にも偏見にも変わる
司法の判断
>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.6

存在を確認するためのハグ
理由なんて特にない

「あなたとわたしで信じてるものが違う
ただそれだけの話です」

人生が真っ暗なとき
ほんの一瞬の光が
存在を確認するハグが
何かを見つけることがある
>>続きを読む

ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.5

機内にて

「主人公はこんなことしない」

「なにもいいことないのに、いいねばっかりふえる。どうでもいいねのいいね」

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

これだけは正直に言えなかった
これだけは正直に言ってほしかった
あれが最後の会話だったろう

「道を誤らないでね」

金に溺れた
妻を愛した
組織に従った
組織に抗った

どれも紛れもない事実で
人間
>>続きを読む

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.0

フィクションに挟まれたリハーサル
2時間を超えるその中で
俳優は声を、役を、獲得する

反復から生まれる差異と変化に
共感と違和感、愉快と倦怠が
目まぐるしく往来
こんな映画体験ははじめてだ

「私た
>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

再会は必ずしも素晴らしいのだろうか
過去と未来を見つめる瞳も
記憶を失った彼の瞳も
見つめる先は私ではない

瞳を閉じて想いを馳せよう
これまでの始まりと
これからの終わりに

「観客が待ってる」
>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

3.5

相手のためか
自分のためか
傷つけるためか
守るためか

あらゆる感情が
それぞれの立場ですれ違う

「ちゃんと言葉をくれないですか」

みこころか、おこころか
下手と言われたらもうそれどころではない

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.9

目に見える隙と杜撰な仕事

たびたび語る哲学も
よくよく聞けば
大したことは言っていない

「会話に飢えている」

どこまでも未完成な殺し屋
綿棒との会話シーンが
一番の見せ場か

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.9

終わらない今週
タイムループを閉じるのに
上申請は欠かせない

夢を叶えれば終わるのか
夢を思い出したら終わるのか
部長の漫画が物語る

「地味な人生だったな。もう一回やるか?」

もう大丈夫
来週が
>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.5

利己から利他へ
自身が成長を果たした時
吹雪は止んで春が来る

「今日は明日だ」

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

欲望の充足
知識の獲得
彼女が自分の意志で歩き始めた時
世界は美しく色付いた

解放と支配
うまく笑えなかったのは
権力による支配に拘る醜い男たちと
僕もまた同じ生物だからだろう

「私の身体は私のも
>>続きを読む

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

灯台下暗し的な結末を期待していたら
灯台下暗し的な結末を迎えて満足

連続ドラマを一緒に見よう、
というプロポーズも
お味噌汁よりずっといい

「夫婦はお互いの衣服になって
暖めあうべきだと思った」

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)

4.0

自分を鼓舞したい時
ここにまた戻ってくるだろう

一瞬の光で世界は変わる
光とは、人であり、歌でもあろう

「レッド 新世界の夜明け
ブラック 長かった夜の終わり」

世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

3.5

尖った狂気は
ぶつかり合うことで
ともに踊ることで
角が取れていく

病を乗り越える薬は
最愛の家族が処方した

「より高く」

インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

3.5

国としてのスクラムは
いつ見てもいい

「私が我が運命の支配者。
我が魂の指揮官なのだ。」

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.0

勝利した方が正しい
たとえ真実ではなかったとしても
これは700年前も今も
残念ながら大して変わってはいない
微笑まない勝利の女神の表情が
時代を代弁する

「子供に必要なのは正しさよりも、まず母親よ
>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

船のように、牛のように
ゆっくりと静かに流れる時間は
生活音を豊かにする

キノコを獲る音
ドーナツを揚げる音
森の中を進む音

二人の生活に耳を澄ませるのは
なんとも言えず心地よい

「少し休もう。
>>続きを読む

恋の秋(1998年製作の映画)

4.6

熟成された大人の恋も
はじまる瞬間は甘酸っぱい

望んでいなかったおせっかいは
苦味と酸味が入り混じる
素直に味わえないのが大人だろう

「男と女を見ると最悪の物語を考える。でなきゃ最高のロマン」
>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.9

母と娘
当たり前のようにある二つの役割
同時に演じることは簡単じゃない
自作の秘密基地が
感情の整理を手助けする

「今度はないの」

クレープは、作れる時に
さよならは、言える時に

冬物語(1992年製作の映画)

3.8

気持ちが変わったのなら
すぐに引き返せばいい
ためらうことなく行き来する彼女の
堂々たる生き方
彼らが不憫だとしても
嬉し泣きには敵わない

「決心するための決心だったのよ」

忘れられない夏の恋が
>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.2

不自由であるほうが
とどまるほうが
現実からの逃避になるのかもしれない

「みんなのために頑張りましょう」

スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)

3.8

反抗したのなら
もう引き返せない
一度奏でたグルーブは
鳴り止むことはないのだから

「自分はだませない」

子供にも大人にも
忘れられないステージが必要だ

くるりのえいが(2023年製作の映画)

4.0

休日の曇り空の午後
大好きなバンドのアルバムの制作過程を
お酒でも飲みながら

至福でしかない

「説得力ってスピードやと思うんすよね」

ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

3.9

世界を救う過程が
壊れかけた家庭を修理する

さて
我が家のドライバーは
何になろうか

「ヘンテコ上等」

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.6

寡黙な男女の乾いた暮らし
淡々と詰んでいく人生は
そろそろ秋だろうか
もう若くはないふたりの色彩は
そろそろ枯れるのだろうか

「タフガイは歌わない」

今起きているどうしようもないない過ちが
ラジオ
>>続きを読む

>|