mononcleさんの映画レビュー・感想・評価

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

川本三郎氏の映画評を読んでいなかったら見逃していた作品。この人が評価するものなら間違いはないだろう。

PMS <月経前症候群>とパニック症候群の主人公たち。そのふたりを暖かく受け入れる零細企業の栗田
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

意外な顛末が待っているかとおもいきやそうでもない。どこの国にもありそうな夫婦間の不和のような気がしてしまう。

前半何度もウトウトしたので、肝心なシーンを見逃したのだろうか。同性故なのか、息子は父の心
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.0

30年前、当時つきあっていたピアニストが、いたく主人公に共振していたことを思い出す。私は冷淡な感想を示したとおもう。

見返してみると、あまりに可哀想なダンナに感情移入する。ラスト、妻の裏切りへの報復
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吸血鬼(1932年製作の映画)

3.0

ドライヤー1931年の作品は、昼なお暗く夜の窓外が妙に明るい。多分当時の撮影技術によるものだろうが、白昼夢、悪夢を見ているようで、身の毛がよだつ。

閉館したシネマテークから奇跡の新生なったナゴヤキネ
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

55年で4本の作品。超寡作だが、世界的に尊敬を集める巨匠。

すべて見ているが、80歳を過ぎて進化いや深化を遂げている。アラカンになったアナ・トレントに出会えるのもひとつの眼福。失踪して生きる俳優の老
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.0

40年ぶりの再見。
エリセ久しぶりの新作《瞳をとじて》を見る前に気構えをつくろうと見るが、2/3昏々と眠る。イヤハヤ参った💦仮眠をとりに劇場に滑り込んだようなものである。だが脱走兵のエピソードから覚醒
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

ゴジラを世界に暗躍し脅かすDSに見立てているのだろうか。それに核の問題の取り扱いもあり、世界で好評のようだ。ゴジラの再来と呑気に喜んでいるのは日本ぐらいか。佐々木蔵之介の「情報統制は日本のお家芸だろ!>>続きを読む

薔薇の葬列(1969年製作の映画)

2.5

この手のアヴァンギャルドは苦手である。
比べて寺山修司は偉大だったなぁと、つくづく感慨深い。単なる嗜好によるものともおもえない。

1969年当時の時代状況、風俗が伺いしれる。当時のアート誌=アートシ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.8

リタイアする前の数本からだが、カウリスマキの作品に変化が訪れている。

世界で起きている事象の取り込みや出演者たちの表情に微笑や感情らしきものが窺えるようになった。すこし血の通った人間味が滲み出てきた
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市子(2023年製作の映画)

4.2

恋人に結婚の申し込みをされて喜びながら、なぜ失踪したのか、だんだん理由がわかってくる。
家族環境がおなじような境遇にあり、日々か切実な人も少なからずあろう現実に想いを馳せる作品である。

少女時代から
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(1974年製作の映画)

3.0

久しぶりのタルコフスキー。
子守唄にちょうど良く、八割型を睡眠に費やす。ここまでよく眠れるものだ。われながら関心するが、採点までしてしまった。
鶏を捌けと頼まれた母親はちゃんと最後までやり通すことがで
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ほかげ(2023年製作の映画)

4.2

戦争をテーマとした作品傾向がライフワークとなった塚本監督。
戦争後遺症を負った帰還兵、戦災で両親を亡くした孤児、体を売って日々を凌ぐしかない女性など戦争がもたらす不条理を浮かび上がらせる。

趣里が暮
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

小津贔屓のヴェンダースならではの作品。
瑣末な毎日の繰り返しのなかに人生の機微がある。

底辺の仕事に携わりながらなんだかんだでモテるのは役所広司故?公園で出会うことばの交流のない静かな佇まいのOLが
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正欲(2023年製作の映画)

4.2

性欲求のない人はあるだろうと思ってはいたが、こういう欲求がある人もいるのだなぁと。

磯村勇斗は《月》から立て続けに難役に挑んでいる。新垣結衣には理由なき苦手意識があったのだが、始めて役柄に没頭した。
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風船(1956年製作の映画)

3.5

川島雄三は、この作品でなにを語りたかったのだろうか。

北原三枝はこういった役所が似合う。そう、裕次郎の妻とは別人とおもいたい。中原淳一の絵をおもわせる思いっきりなで肩の新珠三千代やとびっきりモダンな
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死の十字路(1956年製作の映画)

3.5

まだ30代であろう三国連太郎が、老け役で重厚な芝居を見せている。
なんと大坂志郎は2度まで‥‥。まぁ、そんな役が似合わないでもないが。

原作が乱歩故か、タイトルにある十字路という表現が魅惑的で気にな
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花腐し(2023年製作の映画)

3.8

荒井晴彦は、文学臭がある映像作家なのだなと再認識。

時間軸を考慮したモノクロームとカラーの使い分けが気が利いている。ただしヒロインはもっとエキセントリックなからだに魅力のある女優でないと成立しないの
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アアルト(2020年製作の映画)

3.0

たっぷり眠った。半分以上は眠っていた。
学生に勧めなくてはと半分は義務としてでかけた。学生になんと言い訳をしよう。「安眠できるぞ」「疲労回復に行っておいた方が良い」とでも言うのか。

家具デザイナーと
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唄う六人の女(2023年製作の映画)

3.5

コレはかなりの異色作。
文明批評的な風刺性が強く、賛否両論甚だしいだろう。自然の化身を女性に見立てましたか。それも包容力もあり荒れ狂う脅威ともなり、水神様もありと。

竹之内の若き彼女役、あんな長い脚
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(2023年製作の映画)

4.2

実際の事件を下敷きにしているからなのか?宮沢りえ効果なのか?満席で入れず、平日に再度トライ。高齢者人気なのはなぜなのか?観客の心理がわからない。
だが、あまりに重く沈鬱だが、現代の諸相を描いていて見過
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.0

余白が多く好みの作品だが、いかんせん長い。30分削れる。ということもあり、後半睡魔に落ちる。なので瑛太の台詞が最後まで聞けなかった。その後の井浦新の台詞もあったように思うのだが、肝心なシーンだったので>>続きを読む

認知症と生きる希望の処方箋(2022年製作の映画)

3.0

音楽療法士との仕事は多いが、80代、90代を相手に選曲して演奏するには、当事者のこども世代の50代以上でないと不利な気がする。

作中の療法士のお二人は30代だろうが、かなり準備されているのだろう。

本日休診(1952年製作の映画)

3.8

戦争後遺症で精神を病む三国連太郎が印象に残る。戦後はこのような人が、そこかしこに存在したのだろう。

まだ初々しい頃のほっぺがふっくらした岸恵子。杉葉子に似ているとおもいきや、バタ臭い印象の角梨枝子を
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

日本人の闇の歴史に切り込んだ渾身の一作。
この事件が突出したものではなく、今まさに人ひとりの命の価値が軽んじられている時代であることを痛感させられる。

自ら手を汚し悔恨の情があった彼の時代より、Vの
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わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~(2023年製作の映画)

3.3

美術館の舞台裏。
しかもコルビュジェ基本設計の国立西洋美術館。
これは学芸員志望の学生諸氏必見の作品ではないだろうか。

昨今、偏向報道ばかりで辟易する新聞社、TV媒体だが、資金を提供しているマスメデ
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.2

コミュ障.....この言葉は使いたくない。
なにを目指したのかは知らないが、故郷の青森を離れて、20年間東京で暮らしながら夢を掴みきれず、鬱的な対人障害となった主人公。ヒッチハイクをしながら少しづつ自
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さようならCP(1972年製作の映画)

2.5

CP=脳性麻痺はわかったが、なぜ、さようならなのか?
原一男、27才のデビュー作。クーラーが効きすぎていて手持ちのTシャツとタオルで身を守ったこと。シネマテーク閉館3日前で、昔のような盛況ぶりだったこ
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1秒先の彼(2023年製作の映画)

4.2

一秒先〜のタイトル通り、個々人が持つ時間感覚がテーマなのだろう。

内省的で自己主張の弱い清原伽耶の個性もよく生かしている。それにしても、清原と対照的なストリートミュージシャンの彼女は敵わんなぁ。荒川
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浮草(1959年製作の映画)

3.5

戦後の小津調とは一線を画する作品。
大映の嗜好性と京マチ子、中村鴈治郎の特性に委ねた感あり。旅の一座の浮世暮らしが見れる貴重な風俗史でもある。冒頭の灯台を配した構図、赤をアクセントカラーとした色彩設計
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白い恐怖(1945年製作の映画)

4.0

先日の【汚名】の口直しにDVD鑑賞。
ダリの舞台美術が意外と短かったが、夢のシーンが効果的にビジュアライズされている。ローマの休日から遡ること8年。G.ペックの腺病質な痩身が役柄によくマッチしている。
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汚名(1946年製作の映画)

3.5

シネサロンのための観賞。
I.バーグマンに関心は薄いせいもあり、制作年が近い《断崖》の方が好みである。参加者も同感の方が多いようで、バーグマンへの話題はなく、ヒッチコックの倒錯性にフォーカスが向かう。
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

2.0

相変わらずのゴダール様。
頭良すぎて頭わるいんではないのか!簡単に人を殺し過ぎだろう。ミレーユ・ダルクがやたらオシャレなのが唯一の救い。
シネマテークが閉館したら、大っ嫌いのゴダール映画も見られなくな
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.5

独裁者たちの脳内を覗きみたようなテイスト。
畝る濁流のごとき群衆の群れ。うなされた悪夢のごときソクーロフならではの幻想譚。アーカイブ映像を元に制作したとは思えない絵画的な作品。

一度では消化できず、
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海の沈黙(1947年製作の映画)

3.5

J.P.メルヴィルのデビュー作。
ストイックな作風は、カール・ドライヤー、ブレッソンに似ている。だが、やたら五月蝿い音楽の使い方がまだ演出に慣れていないのか、感受性を疑ってしまう。

撮影はアンリ・ド
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うつろいの時をまとう(2022年製作の映画)

3.8

「かさね」「ふきよせ」「なごり」日本の眼に照準を当てたコレクションテーマ。日頃の創作のプロセスと思考/嗜好/試行性が窺えて興味深い。

数年まえのスパイラルホールでの展示会を思い出す。
二人という最小
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獲物の分け前(1966年製作の映画)

3.5

ロジェ・ヴァディム監督作、J.フォンダ主演の3+3/1本中の一本。
蜜月時代故、ジェーンの魅力を存分に撮っている感あり。ストーリー自体はたわいのないものだが、ストッキング越しの美しい脚線美と獣のように
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