藤竜也演じる認知症の元大学教授。
認知症は、人格を壊してゆくと同時に、その人となりも際立たせてゆくことのようだ。同居している人は過酷な毎日だろう。25年の歳月を経ながら、間に立たされた息子役の森山未來>>続きを読む
やたらモテるな、監督小父さん。
不動産屋の女性には性欲が強いと云われ、レストランオーナーの長身女性とは、テーブル挟んだ酒の席でうっとり見つめられる。結局は同棲かい!
狭小ビルの限定空間での時間軸が右往>>続きを読む
シネマサロンのために見た一本。
《乱れ雲》の前年作であり、同様クール・ビューティな司葉子が拝見できる。被害者であったのだが、今作では加害者。そして同様道ならぬ恋をしている。この司葉子のやるせない苦悶の>>続きを読む
加藤和彦に影響を受けた世代なら涙無くしてみることができない。
《あの素晴らしい愛をもう一度》を歌う北山修のシーンでそれはピークに達する。常に時代の一歩先を走り続けた才人故、行き着く先は必然ではなかった>>続きを読む
山下敦弘作品としては食い足りない、演劇風味の異色作。
出演者は4名の女子高生と体育の女教師、そして野球部のマネージャー女子。概ねこの6人の女子で終始している。
現代に於ける女性の生きづらさを描きたか>>続きを読む
キーファーの絵画とサガンの描く中流家庭の昼下がりの光景がブレンドされたようなトーン。
一見のどかな家族風景だが、となりの敷地では、銃声音が鳴り響き喘ぐ声が聴こえ黒い煙が上がっている。不穏な環境音、イ>>続きを読む
言わずと知れたナルセの遺作。
よろめきのクールビューティと呼ばれた司葉子が美しい。終盤加山の体に手をまわす長い指の所作までがうつくしい。小津作品に出演当時の20歳代の彼女に興味は湧かないが、今作の頃が>>続きを読む
所謂濱口流。
とりわけグランピング場開発の説明会で、その映画作法は顕著になる。芸能プロダクション側の担当者ふたりと地元住民のやりとり。この空気感の妙が作品の特性を際立たせている。
だが、なぜ前半あ〜>>続きを読む
カウリスマキにしては、表情豊かで饒舌な作品。
カティ・オーティネンは、当時まだ35歳だったのか!最後まで夫を見捨てずほっとする。わんちゃんも一緒でよかった。
車体のうす〜いヘルシンキの路面電車が登場>>続きを読む
公開から数年経つのに、劇場のそこかしこに中高生女子が来場していた。
始まる直前までスマホをいじっていた彼女たちから、映画が終わる頃には鼻を啜る音が聴こえる。
この作品が、通常のドキュメンタリーと一味>>続きを読む
サイレント仕様のカウリスマキの異色作。
収穫したキャベツが完売し笑顔で喜び合う夫婦の姿から始まる。まずこの幸福感に満ちたシーンが珍しいのだが、ストーリーは段々悲惨な方向へとベクトルを進める。そして、殆>>続きを読む
ストーリーよりも、若松孝二とシネマスコーレ先代支配人の形態模写合戦の印象が強い。首をすくめてぶっきらぼうなサングラス姿の井浦新と猫背で朴訥な木全氏。ふだんの木全氏を知っているだけに笑えてしまう。
《>>続きを読む
川本三郎氏の映画評を読んでいなかったら見逃していた作品。この人が評価するものなら間違いはないだろう。
PMS <月経前症候群>とパニック症候群の主人公たち。そのふたりを暖かく受け入れる零細企業の栗田>>続きを読む
意外な顛末が待っているかとおもいきやそうでもない。どこの国にもありそうな夫婦間の不和のような気がしてしまう。
前半何度もウトウトしたので、肝心なシーンを見逃したのだろうか。同性故なのか、息子は父の心>>続きを読む
30年前、当時つきあっていたピアニストが、いたく主人公に共振していたことを思い出す。私は冷淡な感想を示したとおもう。
見返してみると、あまりに可哀想なダンナに感情移入する。ラスト、妻の裏切りへの報復>>続きを読む
ドライヤー1931年の作品は、昼なお暗く夜の窓外が妙に明るい。多分当時の撮影技術によるものだろうが、白昼夢、悪夢を見ているようで、身の毛がよだつ。
閉館したシネマテークから奇跡の新生なったナゴヤキネ>>続きを読む
55年で4本の作品。超寡作だが、世界的に尊敬を集める巨匠。
すべて見ているが、80歳を過ぎて進化いや深化を遂げている。アラカンになったアナ・トレントに出会えるのもひとつの眼福。失踪して生きる俳優の老>>続きを読む
40年ぶりの再見。
エリセ久しぶりの新作《瞳をとじて》を見る前に気構えをつくろうと見るが、2/3昏々と眠る。イヤハヤ参った💦仮眠をとりに劇場に滑り込んだようなものである。だが脱走兵のエピソードから覚醒>>続きを読む
ゴジラを世界に暗躍し脅かすDSに見立てているのだろうか。それに核の問題の取り扱いもあり、世界で好評のようだ。ゴジラの再来と呑気に喜んでいるのは日本ぐらいか。佐々木蔵之介の「情報統制は日本のお家芸だろ!>>続きを読む
この手のアヴァンギャルドは苦手である。
比べて寺山修司は偉大だったなぁと、つくづく感慨深い。単なる嗜好によるものともおもえない。
1969年当時の時代状況、風俗が伺いしれる。当時のアート誌=アートシ>>続きを読む
リタイアする前の数本からだが、カウリスマキの作品に変化が訪れている。
世界で起きている事象の取り込みや出演者たちの表情に微笑や感情らしきものが窺えるようになった。すこし血の通った人間味が滲み出てきた>>続きを読む
恋人に結婚の申し込みをされて喜びながら、なぜ失踪したのか、だんだん理由がわかってくる。
家族環境がおなじような境遇にあり、日々か切実な人も少なからずあろう現実に想いを馳せる作品である。
少女時代から>>続きを読む
久しぶりのタルコフスキー。
子守唄にちょうど良く、八割型を睡眠に費やす。ここまでよく眠れるものだ。われながら関心するが、採点までしてしまった。
鶏を捌けと頼まれた母親はちゃんと最後までやり通すことがで>>続きを読む
戦争をテーマとした作品傾向がライフワークとなった塚本監督。
戦争後遺症を負った帰還兵、戦災で両親を亡くした孤児、体を売って日々を凌ぐしかない女性など戦争がもたらす不条理を浮かび上がらせる。
趣里が暮>>続きを読む
小津贔屓のヴェンダースならではの作品。
瑣末な毎日の繰り返しのなかに人生の機微がある。
底辺の仕事に携わりながらなんだかんだでモテるのは役所広司故?公園で出会うことばの交流のない静かな佇まいのOLが>>続きを読む
性欲求のない人はあるだろうと思ってはいたが、こういう欲求がある人もいるのだなぁと。
磯村勇斗は《月》から立て続けに難役に挑んでいる。新垣結衣には理由なき苦手意識があったのだが、始めて役柄に没頭した。>>続きを読む
川島雄三は、この作品でなにを語りたかったのだろうか。
北原三枝はこういった役所が似合う。そう、裕次郎の妻とは別人とおもいたい。中原淳一の絵をおもわせる思いっきりなで肩の新珠三千代やとびっきりモダンな>>続きを読む
まだ30代であろう三国連太郎が、老け役で重厚な芝居を見せている。
なんと大坂志郎は2度まで‥‥。まぁ、そんな役が似合わないでもないが。
原作が乱歩故か、タイトルにある十字路という表現が魅惑的で気にな>>続きを読む
荒井晴彦は、文学臭がある映像作家なのだなと再認識。
時間軸を考慮したモノクロームとカラーの使い分けが気が利いている。ただしヒロインはもっとエキセントリックなからだに魅力のある女優でないと成立しないの>>続きを読む
たっぷり眠った。半分以上は眠っていた。
学生に勧めなくてはと半分は義務としてでかけた。学生になんと言い訳をしよう。「安眠できるぞ」「疲労回復に行っておいた方が良い」とでも言うのか。
家具デザイナーと>>続きを読む
コレはかなりの異色作。
文明批評的な風刺性が強く、賛否両論甚だしいだろう。自然の化身を女性に見立てましたか。それも包容力もあり荒れ狂う脅威ともなり、水神様もありと。
竹之内の若き彼女役、あんな長い脚>>続きを読む
実際の事件を下敷きにしているからなのか?宮沢りえ効果なのか?満席で入れず、平日に再度トライ。高齢者人気なのはなぜなのか?観客の心理がわからない。
だが、あまりに重く沈鬱だが、現代の諸相を描いていて見過>>続きを読む
余白が多く好みの作品だが、いかんせん長い。30分削れる。ということもあり、後半睡魔に落ちる。なので瑛太の台詞が最後まで聞けなかった。その後の井浦新の台詞もあったように思うのだが、肝心なシーンだったので>>続きを読む
音楽療法士との仕事は多いが、80代、90代を相手に選曲して演奏するには、当事者のこども世代の50代以上でないと不利な気がする。
作中の療法士のお二人は30代だろうが、かなり準備されているのだろう。
戦争後遺症で精神を病む三国連太郎が印象に残る。戦後はこのような人が、そこかしこに存在したのだろう。
まだ初々しい頃のほっぺがふっくらした岸恵子。杉葉子に似ているとおもいきや、バタ臭い印象の角梨枝子を>>続きを読む
日本人の闇の歴史に切り込んだ渾身の一作。
この事件が突出したものではなく、今まさに人ひとりの命の価値が軽んじられている時代であることを痛感させられる。
自ら手を汚し悔恨の情があった彼の時代より、Vの>>続きを読む