mononcleさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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チョコリエッタ(2014年製作の映画)

1.5

2時間40分→50分のドラマで充分。

二度も寝落ちしてしまった。あれほどセンシティヴな良作《火星のカノン》をつくっておきながら、このズタズタな作品はなんだろう?しかもこれは7年前の作品、カノンは20
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黒猫(1934年製作の映画)

3.3

フランケンシュタイン俳優=ボリス・カーロフ目当てに見る。
天を突くような大男のイメージがあったのが、それほど大きくはない。だが、登場した途端に、その容貌の異様さは見まごうことはない。

それにしても、
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デッド・オブ・ナイト/夢の中の恐怖(1945年製作の映画)

3.5

腹話術師の話は、ウルトラQをみる想いで、もっとも感情移入ができた。
なんとも人を魅きつける顔相をしている。

鏡の世界に引き込まれる話は、なぜか欧米にはよくあるが、日本ではあまり見かけない。生活スタイ
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呪いの家(1944年製作の映画)

3.5

オープニングから往年の映画らしい撮影が好ましい。
屋敷の持ち主の孫娘は、可憐だが腺病質なタイプで、日本風に云えば松原智恵子をおもわせる。ミドルエイジの主人公は、所謂女あしらいの上手いおじさん。親子ほど
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空白(2021年製作の映画)

4.5

失なって初めて存在の愛しさに気がつく。
誰しもそんな体験を抱えているのではないだろうか。粗暴な父=古田新太が娘に寄り添うように変化してゆく様が、身につまされる。

松坂桃李は、陽のあたる好青年から脱皮
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大魔神逆襲(1966年製作の映画)

3.0

すっかり忘れていたが、子どもたちの冒険譚を見るに、これはずいぶん昔に見ているような気がする。
ストーリー自体は、予定調和なものでお馴染みの想像の範囲内である。

だれが演じているのかはわからないが、大
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雨月物語(1953年製作の映画)

3.5

主人公が陶工であったことはすっかり記憶から消えている。
京マチ子扮するお姫様が、骸骨に変貌すると記憶していたのも勘違い。つまり殆んど憶えていない。どうやら他の作品と混同しているようだ。

作品の内容如
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

50頁に満たない村上春樹の短編小説が、いかに3時間の映画になるのか?
まずはその興味からだが、長さはまったく気にならない。

西島秀俊が、村上文学の主人公として違和感がないからなのか。岡田将生の適役ぶ
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東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート(2020年製作の映画)

3.0

映画としては可もなし不可もなしを絵に描いたような・・。
障害者の叔父さんがリヤカーで引っ越し。どこまで運ぶのか気になるのだが、その描写もなし。

それに、都営アパートの環境や外観特性がわかりずらい。昭
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シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)

3.8

この手の作品は男子に受けるのだろうが、最早男子とは呼べない年齢なので、なにもありがたくはない。逆に評価をしている女性に感想を伺いたいところである。

キューブリックにとって、このケレンさはもってこいの
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食の安全を守る人々(2021年製作の映画)

3.3

日本は、いつからこれほど食の安全に対して無関心になってしまったのか?

大幅な農薬規制緩和、ゲノム編集食品の流通、世界的なオーガニックの流れに逆行する最後進国であることが空恐ろしい。あわせて、食の安全
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.5

《ウィッチ》の監督故、ある程度想像はできたが、タルコフスキーの水まみれ、J.ヒューストンの男臭さ、パゾリーニの狂気を思わせる。

狩猟民族の映画だなぁとタメ息がでる。日本の監督が、おなじ環境設定で撮っ
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名も無い日(2020年製作の映画)

4.2

自由奔放でカメラマンとしてNYで活躍する兄に代わり、家の重責を背負ったあげくに壊れてゆく次男。
学生時代に亡くなった同級生=ヒーターのエピソードが説明不足でよくわからないが、突如主人公と同質の痛みを抱
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.5

これは多くの女性に見ていただきたい作品。
上流と下流の階級差を超えた安易な女子の友情物語でなく、車道を挟んだディスタンス越しに同調し合えるセンシブルな関係性。

女性に押しつけられてゆく無言の鋳型を徐
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

3.5

前半の肝心なエピソードで眠ってしまった。
だが大凡のストーリーは、想像できるが、ブレッソンはなにを描きたかったのか首を捻る。しかもモノローグながらあまりに饒舌。

実直で融通の利かない司祭がもたらした
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

韓国のE.ロメールと称されるホン・サンス作品の魅力と特質が初めてわかったかもしれない。

だが、訪ねた知人宅のサイドテーブルに足をかける所作や別れた友人の元夫の不幸を願ったりする主人公の心理は、どうし
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こころ(1955年製作の映画)

3.5

市川崑は、佳作と失敗作が交互交互に連続したというが、これは後者だろう。明治の風景描写と空気感は、陰影のあるモノクロームの映像で描写されているが、偏屈でエキセントリックなK=梶と嫉妬深く幼い先生=野渕の>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

4.0

久しぶりの再見。少女連続殺人をメインテーマとしていたのかとおもいきや、これは集団心理や群衆の暴走の怖さを描いている。現代の自粛警察につながる世事への警鐘、寓話として興味深い。
口笛で奏でられるペールギ
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椿の庭(2020年製作の映画)

4.0

評論家の評価は低い。
たしかに、監督が写真家故、絵にこだわり過ぎるし、30分は短縮可能だろう。だが今時こんな映画があっても良いのではないだろうか。

まるで監督自身がスタイリングしているかのような衣装
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夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年(2017年製作の映画)

3.0

昨年見そびれてしまった作品。
<私宅監置>この耳慣れないない100年前の言葉が、まず重い現実を匂わせる。つまりは精神障害者を社会の目に晒さぬように閉じ込める座敷牢。現在は、病院に移ったが、拘束は現実と
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きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

3.5

これはまたまた珍作の問題作!
観客5名。ハリウッド映画が好きなお方は、途中で怒って帰るのでは?

理由も判らず対立する川を隔てた隣りあわせの町。シュールで不条理、抑揚のない科白回しなど演劇的なスタイリ
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街の上で(2019年製作の映画)

4.0

独特の今泉テイストがもどってきた。
古着屋で働く若葉竜也を主人公に、彼の行動半径500mの人間関係が描かれてゆく群像劇。彼の立ち寄り先の古書店やラーメン屋、カウンターバーが愛おしい場として機能している
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女の中にいる他人(1966年製作の映画)

3.8

批評会に臨むために見た成瀬晩年の作品。
ヌーベルヴァーグの若手が、映画界を席巻する時代にあり、対抗するように撮ったのではとおもわせる作品。成瀬らしからぬフィルムノワールな味わいは、晩年ながら野心作であ
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トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

5.0

邦画マイベスト10の一本。これで3度目の鑑賞。
冒頭、本木雅弘扮する寺田ヒロオが、画板の上のスタンドライトを点ける。使い込まれたアパートの廊下が映る。もうこれだけで涙腺が緩む。善良さ故に時代から取り残
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

2.5

いわゆる、黒沢調を確立する前のトンデモハプンな作品。
参りました!途中であたまを抱えました。大根の主演女優にブレイク前の松重豊、大杉蓮、長谷川初範、内藤剛志が顔をそろえている。一体、なにが撮りたかった
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.0

舘ひろしが、こんなに好い役者だとは知らなかった。
「行く処あるのか?」の一言と眼差しで観客を泣かせてしまう。綾野剛を全面的に受け入れて、家族として見守ってゆく。

後半の現代では、行き場を失った渡世稼
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.8

デンマーク映画というのは、たぶんカール・ドライヤー、ラース・フォン・トリアーに次いで3人目だろう。傑作とまではいかないが、寡黙な映画は好みである。

主人公の彼女は、さして幸せそうでもなし。ラストの結
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.5

ジャック・タチをおもわせるサイレントな主人公。
作中発したことばは、たしかナザレとパレスチナのみ。ナザレで、パリで、ニューヨークで、、遭遇する事象に無表情で呆然と立ち尽くす姿は、沈黙の目撃者と呼ばれた
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.0

緊迫感のあるストーリー展開である。
スリリングで濃密な映像世界でよろしいのだが、なにを問題提起したかったのだろうか。聖と俗の混在?コミュニティに巣食う閉鎖性?カトリシズムの限界?

とくに気になるのは
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BOLT(2019年製作の映画)

4.2

黒沢清や塚本晋也の作品を見ているような肌触りの作品。

被災地=福島での三つのエピソード。メルトダウンの現場対応に挑む原発労働者の現実とその後。被災地に生きる人たちの生の精神性に直面させられらたかのよ
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最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

3.3

結婚願望満載のOLとサラリーマンの青春模様を描いたたわいのないラヴコメディ。だが、当時の世相や風俗を見るには格好の素材である。

OLの後ろ姿に、当時は未だシームのストッキングを履いていたことがわかる
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お嬢さん(1961年製作の映画)

3.5

弓削太郎の監督作を見るのは初めて。
二流監督だろうと期待はなかったのだが、軽妙なラブコメディとして時代性も相まってなかなかタノシイ。晩年のマッチョぶりからほど遠い、若き日の川口浩は、この手の役所が板に
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からっ風野郎(1960年製作の映画)

3.5

三島由紀夫の大根ぶりは、どんなものか・・。
さて、想像したほど酷くはなかったのだが、若尾文子の後日談では、東大時代の同級生である増村監督に相当しごかれたらしい。

船越英二、根上淳、志村喬ら共演者陣が
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妻は告白する(1961年製作の映画)

3.8

新年初の鑑賞作は、前々から見たかった増村保造代表作の一本。
端的に云えば、こんな人に愛されたらかなわんなぁ。クワバラクワバラというところ。

問題のアルプスの岸壁は、スタジオ撮りで上手く表現されている
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

4.5

褪色したブルーグレーの街を背景にすこし疲れた登場人物たち。余白を残しながら日常の断片を寒々しくも愛おしく描写する映像詩学。シャガール絵画の空飛ぶカップルが俯瞰する生の営み。

散歩する惑星、愛おしき隣
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スパイの妻(2020年製作の映画)

3.8

戦時下のサスペンスであるとともに、これは夫婦の物語でもある。
謎めいた夫役の高橋一生に不審の目を向けながらも共に生きる覚悟をする蒼井優。ふたりの演技に委ねられた比重が高く、ともにその期待に応えている。
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