津次郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

87分の1の人生(2023年製作の映画)

4.5

アリソン(ピュー)は運転中スマホを見たことで同乗者二人を死なせてしまう。

良心の呵責にさいなまれ、婚約も破棄して引きこもり、鎮痛剤の麻痺作用に依存するようになる。

が、贖罪の態度をとりつつも、相手
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雪山の絆(2023年製作の映画)

5.0

ウルグアイ空軍機571便遭難事故を扱った映画。
監督はゴヤ賞常連の名手J.A.Bayona。

Netflixの前告知を見たとき「あの事故をまた映画化したのか」という感じで意外な気がした。ウィキペディ
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REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.6

七人の侍のスペースオペラバージョンという印象。DUNEのハルコンネンみたいに残虐な帝国から村を守るため、星を巡って英傑が集められる。
既視感のあるいろんな要素が集まっているが画から潤沢な予算は伝わって
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アウトフィット(2022年製作の映画)

3.6

概要によると監督のGraham Mooreはイミテーションゲーム(2014)の脚本を書いた人でこれが初監督だそうだ。

緻密なセリフ回しで持って行く戯曲のような作劇法で書かれていて、この主役に演劇寄り
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あしたの少女(2022年製作の映画)

4.0

コールセンター研修での過労から自死する高校生ソヒ(キム・シウン)と、その捜査にあたる刑事ユジン(ペ・ドゥナ)の2者視点で構成されている。
実話からインスピレーションを得て書かれたそうだ。
2022年カ
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

2.4

むしろそこに陥るほうが難しいと思える状況に陥らせて哀切や情感をつづっていくのが深田晃司監督だと思います。

これもわりとインポッシブルな話だと思います。よこがおはコメディだと思いましたがこれもコメディ
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.5

主役エリーズを演じるMarion Barbeauはパリ・オペラ座の主席ダンサーとのことで、6歳からバレエをやっているが映画主演ははじめてだそう。だが女優が余技というわけではなく、ちゃんと魅力ある主人公>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

バリーコーガンのキモさみなぎるサイコスリラー。

オリバー(コーガン)はオックスフォードに入学したとはいえ中大在学中のステハゲという感じのぼっち。対してフェリックス(Jacob Elordi)はもても
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.4

子供のころ指揮者という職業に疑問をもっていました。
でたらめにタクトを振っても大丈夫な気がしたからです。

たとえばシンバルを鳴らすところでシンバルに向かって合図しなくても奏者はシンバルを鳴らすのでは
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ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

3.7

一定期間、鎖かなにかで繋いでおきゃいいのに。とは思う。
人道的ではないが嘘ついてでも裏切ってでもなんとしてでもやるのがアディクトであるなら繋いでおくのが確実でしょうに。

──と思ってしまう薬物依存の
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラ映画ですが主役というか主軸は特攻から逃げた男、敷島(神木隆之介)のDeath Wishです。

脚本が工夫され、アメリカも日本政府も介入せずに民間でゴジラをやっつけなきゃならない羽目になっており
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ある日、クイーンズで(2022年製作の映画)

4.0

ネットフリックスでPaddleton(2019)という映画を見たことがある。マーク・デュプラスとレイ・ロマノがでていて、末期がんのデュプラスが安楽死するのを、ロマノが看取るという話だった。

副題がA
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福田村事件(2023年製作の映画)

2.0

いまの世で言うリベラルとは日本叩きや自虐を身上とすることであり、マスコミはだいたいリベラルだと思います。
リベラルは時には自らを加害者だと告発しますが、同時に弱者(被害者or犠牲者)に寄り添うポジショ
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.0

どうせいつもの日本映画なんだろうと思って見た恋は雨上がりのように(2018)がよかった──のと同じで、このメタモルフォーゼの縁側も期待しないで見たがよかった。

ふたつともまんがを原作にしているので引
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.5

プロテスタント一派の共同体。
暴行事件をきっかけにコロニーを去るか、戦うかを話し合う女達。

アーミッシュのような世界だがタイトルの通り話し合いに占められていて敵=男がでてこない。細部が省略され舞台劇
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ほつれる(2023年製作の映画)

1.0

綿子(門脇麦)と文則(田村健太郎)は文則に連れ子がいるものの都市型のDINKsという感じ。夫婦仲は破綻しているが別れずにいる。綿子は木村(染谷将太)と定期的に不倫旅行をしているが、その最中に木村は交通>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.2

ある朝、人間嫌いのアマンダ(ロバーツ)は突発的な休暇を思いつき、家族でロングアイランドの借家へ出かけるが、不思議な現象に遭ったり、住人が戻ってきたり、混迷をきわめる。

綺譚なのか戦争なのか判断できな
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

オーセージ族の居住地に石油が出て未曾有の好景気に湧く。
戦時中糧秣をやっていたアーネスト(ディカプリオ)が職をもとめてヘイル叔父(デニーロ)の牧場へ帰ってくる。
ヘイルは石油の受益権を得るためにアーネ
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ダイブ(2022年製作の映画)

4.0

飛び込み競技のスポ根映画かと思って見始めたが、いわゆるグルーミングを描いた映画だった。

『性犯罪・性的虐待の文脈におけるグルーミング、チャイルド・グルーミングとは、性交や猥褻行為などの性的虐待をする
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ベスト・フレンズ・エクソシズム(2022年製作の映画)

5.0

エイスグレイドのエルシーフィッシャーの近影がエリオットペイジのようになっている。撮影用の変身なのかもしれないが、転換したようにも見える。自認するpronounsはthey/themだそうで外観上はすで>>続きを読む

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

3.7

PJとジェシーはふたりともレズビアンだが親友。おたがいにチアリーダーの子に欲情し、やりたいと思っているが、彼女らは映画タイトルどおりスクールカーストの底辺でうごめいているので、護身クラブをつくって気を>>続きを読む

君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

3.2

昔わが家にはじめてきたVHSビデオデッキはフロントローディングではなくアッパーマウントだった。
それを使って東京12チャンネルで平日の14時からやっていたようなマイナー映画をいっぱい録画した。

VH
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.5

31歳の父カラムは別れた妻との娘ソフィ11歳とトルコへ休暇旅行に来ている。

カラムはやさしいが自信がなく迎合的。鬱々とした内面を隠し、子供と過ごす夏休みをうまくやり抜こうとしている感じ。

ソフィは
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アシスタント(2019年製作の映画)

3.3

映画製作会社で働く事務職員の一日を描く。
念願の映画製作会社に入社したプロデューサー志望の主人公。
まだ暗いうちから出勤するほど意欲的だが業務はストレスの泥濘に没している。

──

たとえば清掃作業
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ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

3.0

ティファニーで朝食を、と言えばタイトルだけは知っているが、タイトル以外のことは知らなかった。

トルーマンカポーティの中編小説をブレイクエドワーズ監督が1961に映画化したものだが原作とは違う恋愛コメ
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クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

3.4

クリスティ風の古典推理小説的舞台と素人がやむにやまれず即席の探偵業をやるプロットを現代的な風物にのせてコミカルに描いている。

坂元裕二を見ていると「日常生活で面白いと思った現象を全部書き留めているの
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毒戦 BELIEVER 2(2023年製作の映画)

3.2

日本映画で暴力的なシーンを見ると無理してるなという感じを受ける。

ことはありませんか。

わたしたち日本人は平生、穏やかな日常をおくっている。映画のキャストやスタッフもそうであろう。
日々、誰かをぶ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.8

リーマーヴィンののリメイクだと思っていたら違った。あれはsがついてた。チャン・ヒョク主演の同名もあった。
汎用名詞すぎて検索割れするタイトルだがフランスの漫画の映画化だそうだ。

最初から主人公が語る
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もうひとりのゾーイ(2023年製作の映画)

3.1

恋愛ドラマみたいな甘美なシチュがきらい、クールな女を決め込んでいたマッチングアプリの開発者ゾーイ。そんな彼女が意図しない加害からの記憶喪失からの勘違いからの紆余曲折を経て、あり得ないと思っていた一軍男>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.3

童顔な女優がいるが、きれいな人はある程度の童顔属性を持っているので判定を甘くすればたくさん入ってしまう。

それでも代表的な童顔をあげるとすると(いま思いついた限りで網羅性はないが)安達祐実とか八千草
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ナックルガール(2023年製作の映画)

2.9

おそらく漫画を和訳したものがそのままセリフになり、そのセリフに日本側監修が入っていない──という感じだった。

キャラクターもストーリーも世界観もノワールをAIがランダム抽出したかのように類型的かつ質
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

3.5

Diana Nyadは外洋持久泳者、作家、ジャーナリスト、モチベーションを高める生き方講師、だそうです。

映画はジョニーカーソンがホストだった1979年のThe Tonight Showのワンシーン
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テトリス(2023年製作の映画)

3.8

Tetris (film)のwikipediaに──
『2023年のインタビューでアレクセイ・パジトノフはこの映画は「実際に起こったことの実際の伝記や再現ではなかった」が、それは「感情的にも精神的にも
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悪いことしましョ!(2000年製作の映画)

4.0

わたしはじぶんはどちらかといえばするどくてシリアスなタイプだと思っている。ただし賢いというわけではない。
するどくてシリアスなままで生きようとすると生きにくいので表向きは丸くてふざけている鷹揚なキャラ
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ヘル・レイザー(2022年製作の映画)

3.1

ヘルレイザー全体で11作目だそうだ。見たことがあるかどうかも含めて覚えていないが、頭部全体がマチ針に覆われている“ピンヘッド”なら知っている。

wikiにあった言説だが、本作にたいするRottenT
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永遠の0(2013年製作の映画)

4.5

著作はこの作家の代名詞だが論壇のほうが目立つ人でさいきん(2023/10)は新党を立ち上げたことでふたたび界隈を賑わせている。

宮部久蔵(岡田准一)について孫の姉弟(三浦春馬と吹石一恵)が存命者に取
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