津次郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

チャチャ・リアル・スムース(2022年製作の映画)

3.5

アンドリュー(Cooper Raiff)は大学を卒業したが目標が定まらずアルバイトをしながら実家住まいをしている。歳の離れた弟と同部屋に寝起きしつつ、母親の新しい良人につらくあたる。
ユダヤ人の成人を
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フローラとマックス(2023年製作の映画)

4.1

シングストリートから7年ぶり、ジョンカーニーの音楽映画。
2023年1月にサンダンスで上映され熱狂的なスタンディングオベーションを引き起こし、AppleTVに約30億円(2,000万ドル)で配給権を買
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.3

ダニー・ケイの映画に虹を掴む男(1947)というのがある。後年ベン・スティラー主演でLIFE!/ライフ(2013)としてリメイクされたが、原題はどちらもThe Secret Life of Walte>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.5

ロングアイランド島の先っぽにモントークというリゾート地がある。日本に重ねると青森辺りの緯度で暖かいときが盛期になっている。マディ(ローレンス)はモントーク生まれ&育ちだが男関係も金繰りも破綻し、車税も>>続きを読む

湯道(2023年製作の映画)

2.0

日本人にはコンテンツにたいする独特の“思いやり”(とでも言うべきもの)があり、じっさいには面白くないものを愛でることができる素養をもっている──と感じることがある。

たとえば萌えやかわいいや和み要素
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.6

主人公の女性記者こそ架空だがイランのマシュハドで16人の売春婦が殺害された実話にもとづいている。

映画の撮影中当局からの妨害に遭ったほか主演のザル・アミール・エブラヒミがカンヌで女優賞をとるとイラン
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バレリーナ(2023年製作の映画)

3.2

イ・チャンドン監督のバーニング(2018)でチョン・ジョンソをはじめて見たとき、こう書いた。

『後からチョンジョンソが初出演だと知って驚きをおぼえた。どこにも出た経験がないらしい。が、堂々としている
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

パクヘイルのおっとりしたぼっちゃん顔に油断する。が印象に反してギラギラしている。グエムル漢江の怪物の霊前のシーン覚えていませんか。娘が怪物にさらわれて、まだ生きているのだが行方不明なので葬儀をやってい>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.5

Xを見ると政治家や政府に罵詈雑言が飛び交っているが、さてじぶんをかえりみると食べ物や服や家がないわけじゃないし迫害されてもいない。とはいえ紛争地帯や途上国と比較しても仕方がない。飯時にいちいち飢えた難>>続きを読む

レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.7

周期的にいい映画に巡り会わない時がある。
気分がふさいでいたり、アンテナを低くしていると、そんな時が長くつづく。
むろんいい映画がないわけではなく、ぜんぶ自分のせいなのだが、その谷底にいると、なにを見
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帰れない山(2022年製作の映画)

5.0

普遍的な話だった。この普遍的とはバランスのとれた人が書いた話──という感じ。パオロ・ソレンティーノ監督のThe Hand of God(2021)を見たときにもそういう普遍性を感じた。The Hand>>続きを読む

イン・ジ・アース(2021年製作の映画)

3.3

閃光の連続的な表現があるので光過敏てんかんへの注意書きが必要だと思う。

主人公は農作物の成長をたすける菌根の研究者。野卑な雰囲気がでるジョエル・フライが演じている。

土壌調査のため森に入った先発隊
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クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.3

Burning Bright(2010)という映画があって暴風雨のさなかトラと家に閉じ込められる姉弟を描いていた。海外の批評でそれが引き合いにされていたのは“特殊状況へおちいらせる”ことの相似だった。>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

すぐ発砲する映画だな──と思った。
マッツが演じているユルゲンの部下にすさまじく短気な奴がいて見境なく鉄砲を出すやバンと撃っちまう。彼以外でもわりとすぐに撃つ傾向があり、とりわけ相手がジョーンズ博士で
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4人の食卓(2003年製作の映画)

3.8

知らなかったのでぐぐったが明瞭な評価を見つけられなかった。A Table for Fourだと見つからないしThe Uninvitedだと箪笥のリメイクが出てくる。

imdb5.7、トマトメーターは
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タイタニック(1997年製作の映画)

3.5

はじめて見た。
映画を結構見るのだが話題作を見過ごしていることがある。
反発しているつもりはなく、たんに見ないまま過ごして今に至った。

航海から110年、公開から26年経って見たので時間経過(タイム
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おひとりさま族(2021年製作の映画)

4.0

マイオンリーラブソングという2017年の韓国ドラマにコン・スンヨンが出ていてネットフリックスの“マイリスト”に入れて何度か見た。
コン・スンヨンは瑕疵のないAI顔をしている。純白の肌質感で、寄ってもそ
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.8

日本が最後の公開地なのですでにプロモーションをさんざ見ている。──ということが洋画ではけっこうある。

もっとも印象的だったのはミーガンの中の人Amie Donaldがミーガンダンスをする動画。バイラ
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ドント・イット(2016年製作の映画)

3.4

この映画A Dark Songの邦題「ドント・イット」は「ドント・ブリーズ」と「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を融合させたものと思われる。とうぜんDon't BreatheやItの人気に>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

3.5

月桂のカッコにsundance。見る前からわかりみがあった。
Natalie Erika Jamesの初長編。あちらでは初めての映画をホラーにするのが常道だが日本の“初監督作品”とは比べものにならない
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バービー(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

エブエブみたいだった。──というのもエブエブは派手な見た目だったが母娘の和解と“君は特別な存在なんだ”ということが描かれていて、バービーも派手な見た目だったが母娘の和解と“君は特別な存在なんだ”という>>続きを読む

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)

4.5

日本ではほとんど見ないが海外には“慈善家系”という感じでハンデを負っている人や困窮者に寄付や激励をして感動シーンへもっていくYouTuberやTikTokerがいる。

さっきそんなタイプのTikto
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蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

3.4

imdb6.1、RottenTomatoes38%と35%。

なぜこれが低いのかという話をしたい。
続編の公理に組み伏せられているというのはある。1というかThe Girl with the Dra
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ユー・アー・ノット・マイ・マザー(2021年製作の映画)

3.5

すこしまえtiktok等でバイラルになったkarenがいる。かのじょはフォートワース空港の離陸前の機内で「あのくそ野郎はホンモノじゃない」などと不可解な罵倒を残して機を降りた。その動画が拡散されcra>>続きを読む

セーラ 少女のめざめ/セーラ 少女覚醒(2014年製作の映画)

3.0

セーラ(Alexandra Essoe)は女優をめざしているのだがうまくいかず生活のためにチアリーダーユニフォームの店につとめてしのいでいたが、あやしいホラーのオーディションをうけてセクハラに遭ったう>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.7

伊藤雄之助が演じた遊び人風情をトムバークに充てたのもしっくりする人選だったが、Aimee Lou Woodがまさに小田切みきタイプだった。小田切みきタイプとは愛嬌があり単純かつ健全で、よく笑うからみん>>続きを読む

サヴェージ・ウーマン 美しき制裁(2019年製作の映画)

4.0

Sarah Bolgerが気弱そうな女を演じているが、気弱そう──というのは男の希望的観測である。
若い頃、外観の印象で女に近づいたことがあった。そういう観点で近づくと当然いい結果にならない。あどけな
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ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと(2023年製作の映画)

1.0

ファンタジーをなぜメタにするのかというと①恥ずかしくないから②創作がめんどくさいから③もっていきたい場面にもっていけるから、であろうかと思われる。

①の恥ずかしくないの意味は実直に物語を書いてしまう
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さがす(2022年製作の映画)

5.0

韓国ノワールや李相日もどきが日本映画のトレンドになっているので猫も杓子もみんなそういうのをつくるからこれもそういうのだと思っていたが違った。はきだめな雰囲気と座間の事件からもってきたぽいサイコ野郎とス>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

面白い映画をつくろうという動機があるならカメ止めや「MONDAYSこのタイムループ上司に気づかせないと終わらない」のようなのがもっとあってもいい気がするが、こういう映画はあまりないような気がするのはな>>続きを読む

死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

3.4

死霊のはらわたで憑依から解放されて正常に戻った偽装をするという定番シーンがある。すごい形相だったのがもとに戻って猫なで声に変わって善良なものをだまし、施錠や緊縛の解除を要請するという、エクソシスト系に>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

2.7

狂騒的で山あり谷あり。過剰だし回しすぎだしわざとらしいしもったいつけるしフラグもがっつり置くしこんな疲れる映画もめずらしかった。

ネリー・ラロイ(マーゴットロビー)の中枢神経がダイナミズムへの渇望に
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

オケの人事によるわだかまりからやがて追われる指揮者の話。

リディア(ケイトブランシェット)には思いやりが欠けているが思いやりがないといけない──わけではない。
いけなかったのは人をないがしろにしたと
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ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!(2023年製作の映画)

3.3

ホームレスワールドカップを知らなかった。ウィキやオフィシャルサイトをのぞいたがまともなイベントだった。それ自体がドラマチックなのでホームレス状態からフィールドを駆けるところまでのドキュメンタリーがいく>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

ほかのヒーローの冠映画でいちばん速いってことはフラッシュがいちばん強いのではないかという懐疑をもつことがあった。走り出すとみんな止まっているわけだから、なんでも細工できる。冒頭で高層ビルから障害物や危>>続きを読む

天間荘の三姉妹(2022年製作の映画)

1.0

『臨死状態の魂が天に昇るか、地上に戻るかを決めるまでの間を過ごす、天空と地上とを繋ぐ宿「天間荘」を舞台としている。』(「天間荘の三姉妹」ウィキより)

災害でなくなったはずの街とそこの人々が、天間荘の
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