motoietchikaさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

いびつな家族もの。
終始不穏で冷たい画面とともに、荒井晴彦による手練れのお手本のようなシナリオを見せる。

「幼な子」が救いとして描かれていることに、救われたような気がした。
まあでも裏を返せば、この
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.6

"東京には何千万人も人がいるのにこうして何回も会うなんて、どうでもいい奇跡だね"
こんなに東京を嫌っていても、そこが東京でなければ出会わなかったと知っている二人の物語。「どうでもいい奇跡」という言葉の
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.8

好きになれる登場人物が一人もいないところがすごい。
登場人物同士もおそらく誰もみんな互いに愛し合っていない。
言葉を交わせば交わすほどそのことが浮き彫りになっていく感覚を味わう2時間だった。父親のチャ
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

4.0

ラストではむちゃくちゃ泣いたが、終始「家族かくあるべし」という押し付けがましい理想像が掲げられていてしんどかった、というか違和感のような気持ち悪さのようなものが拭えなかった。
祖先が子孫に「許し」を与
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

4.1

今回はかなり湿っぽい。
新キャラ山中の、他の任侠とはまた違ったヒロイズムを見せるエピソードだった。前作はわりと素直に血と暴力の話だったが、より政治色は強まり、権力に翻弄される哀れな男を描く。報われない
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仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.2

侠気……
正直こういうヤクザ的なホモソーシャルな関係はけっこう苦手なのだが、その熱気に飲まれるような気迫があった。

カメラはいつも被写体に近く、ロングショットがほとんどないのでは。そのくせ血みどろ暴
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白いリボン(2009年製作の映画)

4.7

男爵家の支配下にあるドイツの町で起こる、不審な事件の数々。
子供達をさえ毒す、ファシズムの疑心暗鬼を描いた名作。
これはパルム・ドール獲るわ……。

町に蔓延る不穏な空気とともに、謎の事故や事件が立て
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闇金ウシジマくん Part2(2014年製作の映画)

3.7

こんなに贅沢に人気俳優陣じゃんじゃん投入してちゃんと面白い脚本になってる作品も珍しい……

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

3.8

死は祝福とともにあるという価値観がもう愛せる。
とても幸福な夢のような映画で、目が覚めたとき自分がなぜ泣いていたのか忘れているような。
……別に泣かなかったが。

死期を悟ったブンミおじさんが、「向こ
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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

4.4

寄り道こそ人生……

無実ではないにせよ明らかに重すぎる罰として8年間のポーツマス刑務所行きとなった元水兵が、別の水兵2人に護送される道のりを描いたロードムービー。
徐々に運動部的ホモソーシャルな関係
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

牧歌的なドタバタが永遠に続くラブコメに対するアンチテーゼ。
しかしこの映画をこそ繰り返し浸っていたくなる、そんな不思議な魅力がある。

ふと気づくとあたる達は文化祭前日を延々繰り返している……、という
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森の奥深くで(2016年製作の映画)

3.4

MUBI初視聴。

じっとり無気味な森のバカンス。離婚して普段は母親の方に引き取られている兄弟二人が、森に住まう父と久々に再会すると、父はまったく眠らないのだという……。

暗闇、顔に穴の空いた悪魔。
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スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

発展途上のインドのスラムの人々をパワフルに描いた傑作。
年経てビル街へと様変わりする光景と人々が重なる。

冒頭の「なぜ彼は勝ち進めた?」という出題がそのまま作品の主題になっていて、しかも結末では「あ
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ファウスト(2011年製作の映画)

3.8

女の子に恋したファウスト博士が悪魔と契約を交わして、願いは叶うが破滅的結末を迎える……という物語の典型。プロットは単純だけどあまり説明はしてくれないのでむちゃくちゃ眠かった。後半はドストエフスキーじみ>>続きを読む

マジック・イン・ムーンライト(2014年製作の映画)

3.9

脚本(というか登場人物)がむちゃくちゃアホっぽくて笑っちゃうけど、なんかもうそのお気楽っぷりがだんだん愛せてくるのが不思議。
音楽の醸し出すロマンスが魔法。

コリン・ファース演じるスタンリーがちょっ
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ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.2

恐竜のテーマパークという舞台でシリーズ追う毎に壮大な設定盛り込んでいくとさすがに無理があるだろうという感じ。人間関係の描写もちょっと雑で、とりあえずあまり仲良くない家族出してパニック一緒に乗り切った吊>>続きを読む

真珠のボタン(2015年製作の映画)

3.4

チリが舞台のドキュメンタリーシリーズ、「光のノスタルジア」の続編にある今作は海がテーマ。
前作は天体ロマンと紛争の歴史に迫る作品で面白かったが、こちらはかなり政治の話がメインだったかな。
失われた死者
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舟を編む(2013年製作の映画)

3.5

原作読んでアニメ観ての映画。どれもいい出来でよい。

西岡の台詞がキレキレなところがいいですよね。こいつにも言語的センスはあるんだよなあ

WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常(2014年製作の映画)

3.3

色々美化しすぎ&都合良すぎの展開に辟易。染谷将太の演技もわざとらしすぎてくどい。
プロフェッショナルが手際よく木を切り倒すところを見て、そのかっこよさに気付く目はよかった

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

4.5

最高

石灰の切り出しで時折、地鳴りのような発破音が鳴り響く町って設定がむちゃくちゃ好き(本筋とあまり関係ないけど)
フリクリじゃん……

紅の豚(1992年製作の映画)

4.5

なにげにジブリ映画そこまで観てなくて、初見。名作オブ名作でした。
ロマンスがすごい。心の中が「アモーレ…」でいっぱいになった

戦争ではなく決闘。"遊び"のような喧嘩の描写の裏に、人が戦争の道具でなく
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息もできない(2008年製作の映画)

4.0

被写体とカメラの距離の接近。暴力的なフレーミング。それは発露しないくすぶりとして描かれる。感情が露わになる瞬間に救いがある。

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.3

脳がバグるのって気持ちよくないですか?私は超気持ちいい……
酔うことで人は混乱するのか、混乱することで酔うのか分からないが、リンチの映像は観客を酔わせる。それは酩酊でありながらにして悪酔いでもある。
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.3

ジャズっぽいロックンロールのロードムービー。
北から南へ目指すというだけの旅程を、おそらくリアルに描いているのだと思う。
甘く見ていたがむちゃくちゃ良かった

アメリカというものの在り方についてその内
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パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

3.6

「パーマネント・バケーション」って言葉がまさにもうジャームッシュ的。

ボロボロになった街をさすらう主人公をカメラがゆったりと伴走する場面は『ドイツ零年』を意識してそう。その時カメラの主役は人以上に街
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セブン(1995年製作の映画)

3.8

面白かった、が、モチーフ殺人とか残虐な殺害方法みたいなのって焼き直しされまくってて新鮮みがあまり感じられなかったのはもったいなかったかも。
序盤で事件が七つの大罪をなぞったものだと発覚した時点でなんか
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東京無国籍少女(2015年製作の映画)

2.4

押井守版『セーラー服と機関銃』。
雰囲気映画なのに全体的にチープ。安っぽいというよりは全体的に作り込みが甘い。押井守監督作品のなかではかなりディティールが雑なほうでは

主演の清野菜名はけっこう良い。
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ヘル・レイザー(1987年製作の映画)

3.7

自分が何を見ていたのかまったくわからない……

「血を見ると気を失う父」というまったくこの映画の登場人物に相応しくない設定笑う

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

4.0

鑑賞二度目。好き。頭痛と吐気の促進ムービー。

・エル・ファニングけっこう縄文顔寄りじゃないですか? 可愛いしナチュラルボーンビューティーなのは認めるけどパーフェクトかと言われれば……と思う、けどそれ
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ザ・ゲート(1987年製作の映画)

3.8

STRANGER THINGS The MOVIE

ハチャメチャに楽しすぎて笑った

「光と愛…… サンダーボルトだ!」
「誕生日おめでとう アル!」

怪物はささやく(2016年製作の映画)

4.5

物語と承認の物語。

私はこれを求めていた気がした…

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.9

ほろ苦いラブロマンス。
どんだけ愛を囁き合っても結局遠く離れてしまえば思いは薄れて、まったく別の人に同じようにまた愛を囁く……しかもそのくせ完全に忘れてしまうこともできないなんて人間はめんどくさいです
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.1

絵的な凄みはあまりなくて、むしろ少しミニマルすぎるくらい。
映る町の風景むっちゃ少ない。警察と広告屋さんが向かいにあるという便利なロケーションで、警官がブチキレてから広告屋に乗り込むまであっという間な
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