motoietchikaさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)

3.9

アンチポルノ。禁ポルノ。親のせいで性に対する過剰な罪悪感を植え付けられた女が、その呪縛から逃れるべく自ら自由を行使して売女になりたがる話。でも結局それさえ自縄自縛するだけとなって女は出口を見失う。
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風に濡れた女(2016年製作の映画)

3.8

ちょっと不思議な物語。冒頭がとにかくいい。
二人が出会う瞬間とか、そこでの二人のやりとりですぐ世界に引き込まれる。

人物の一挙一動が面白い。シチュエーションがいい。そしてむっちゃエロい。

終盤にな
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ホワイトリリー(2016年製作の映画)

3.4

話はかなりベタで、なんだか泥沼化していく展開も常識の範囲内に見えた。特に百合の花のモチーフ表現とか、悪くはないけど見慣れていますもの。
「狂ってる!」と作中の台詞にあったけど、そこまでではないかな。
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ミスミソウ(2017年製作の映画)

4.0

あまりにも痛ましく、救いがない。人の優しさにつけ込むように悪意が街を蝕んでゆく。
ぼろ泣き映画ですが、涙は冒頭30分で完全に涸れます……

のっけから悲惨ないじめの連続で、東京から来たばかりの主人公・
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シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

4.2

いじめや教師の圧政が横行する学校でバンドを組み、気になる女の子とMV撮ろうぜ! という青春バンドもの。
少しずつみんな社会からずれたはみ出し者なのだけど、音楽を通じて自分の居場所を見出してゆく。
こう
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劇場版 CLANNAD -クラナド-(2007年製作の映画)

3.7

90分の尺でまさかのAFTER STORYまで描いており、爆速で話が進むが意外と面白い。
明らかに描写の足りない部分はあるにしても、その描写の取捨選択にこそ作家性が出ていたのではと思う。
たとえば京ア
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ブルージャスミン(2013年製作の映画)

3.6

ジャスミンにイライライライライライラするけどラストが良かった。

で、彼女を支えようとするあまり振り回されてしまう姉夫婦
やっぱりサリー・ホーキンスがすごく好き……

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

3.8

キツネの家族の大冒険。毛並みがモフモフ動いているのが本当に好き
そろそろ公開される『犬ヶ島』も犬の毛並みは要注目ポイントかもですね……

細かなユーモアがふんだんち散りばめられていて、気持ちの良いリズ
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エル・トポ(1970年製作の映画)

4.2

凄腕ガンマンの彷徨。ホドロフスキーによる神話の創造

バンコクナイツ(2016年製作の映画)

4.0

熱海秘宝館ザ・ムービー的なやつかなと思ってたら、まあそういう要素もあるにはあったけど気づけば文化や民俗、言語、生活、性産業、ビジネス、音楽なんかがすごい網目で描かれていて、フィクションの領域超えてもう>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

3.8

サリー・ホーキンスがとてもいい。シェイプオブウォーターでもそうだったが、ころころ変わる表情がとても素敵だと思う。彼女の上目遣いの目線が、とても愛おしい。

カナダの風景もごく美しく、その生活の時間のな
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.2

人魚姫、美女と野獣、いろんなおとぎ話をかつて聞いて育った大人たちのための寓話。異類婚姻譚。
全然関係ないが『バンコクナイツ』で「日本人だからどうとか、タイ人だからどうとか、そんなのは関係ないねん。クソ
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害虫(2002年製作の映画)

4.2

むちゃくちゃ良かったが、うまく言語化できない……。
SNSより少し前のネットの感覚、閉鎖的な場所で一人書き綴られる日記みたいなフィーリングをそのまま映画にしたみたいな。息苦しい。独善すら細ってゆく暗い
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高慢と偏見とゾンビ(2016年製作の映画)

3.6

意外と普通に面白くて笑った。
貴族の婦女子たちが「きゃーあの殿方ステキ!」とキャッキャしつつゾンビが出てきたらズォッ!と格闘してなぎ払っていくギャップが楽しい。まあ、言ってしまえばそれだけだが……
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卒業(1967年製作の映画)

4.3

ゆるく熱が冷めるように表情が映ろうラストカットが良すぎる。あの一瞬にこの映画の命が詰まってる。

青春不倫もの。優秀だけど童貞のまま大学卒業した主人公が、幼なじみのお母さんに誘惑されてそっちの方も卒業
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切腹(1962年製作の映画)

4.8

武士道の虚飾をあばく時代劇。これはすごい……。
静動のリズム、抑圧と解放、端正なシナリオにカットワーク、何をとっても美しい。

近年、「武士らしく切腹がしたい。庭を貸してくれ」とせがむ浪人が増えている
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虐殺器官(2015年製作の映画)

3.8

原作の硬質な空気をみごとに再現した傑作。
ノリとしては押井守アニメに近いが、押井守の映像や台詞ほど尖ってもないし、酩酊感もない。良くも悪くも堅実なアニメーション。これはこれで良い。

だがやはり「虐殺
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追憶の森(2015年製作の映画)

3.3

なんか素人が書いたみたいなシナリオでう~ん……単純に面白くない。ラストはまあまあいいんだけど、いかんせんそこに至るまでが退屈すぎる。

映像はまあ綺麗だけど、「富士の樹海」と言われても日本人にはたぶん
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SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者(2012年製作の映画)

3.8

今回の主役はマイティ。いつもよりハードな展開多め、だけどショーグンは相変わらず。
いつものテーマBGMとともにイックとトムが出てきた瞬間にほっとして泣きそうになってしまった……。

ここからTVドラマ
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デッドマン(1995年製作の映画)

4.0

ジャームッシュの西部劇。デッドマン(死体)とノーボディ(誰でもない)が行く宛も知らず二人で逃亡劇を繰り広げる、という話だけでもう楽しい。
そして落ちるべきところにストンとはまるように、その名にふさわし
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.6

京劇作品『覇王別姫』をめぐる歴史転変と栄光と失脚。

血を舐めながらものし上がってゆく少年時代から、舞台のうえで強烈なスポットライトを浴びるようになる青年時代。
絢爛な衣裳と化粧に目を奪われるが、文化
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ピースオブケイク(2015年製作の映画)

3.1

アンチ知性。主人公取り巻く三角関係に身勝手なクズしかいないので成立しているが、この関係に誠実な人間が混ざっていたら本当の地獄だっただろうなと思う……。

彼女いて別れる気もないのに、若い子に急接近され
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雨月物語(1953年製作の映画)

4.2

行きて帰りし物語、あったはずのものを失いその尊さに気付くみたいな幻想奇譚。でも大枠はそこまで重要じゃない。

影こそが雄弁な映像美。
それが物語に細部を与えている。
たとえば廊下の角を歩いてくる女性の
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駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)

4.0

縁切り寺を舞台にした、てんやわんやの人間ドラマ。

メリハリ効いてテンポのいい、よいエンタメ時代劇でした

大泉洋の圧倒的安心感。
樹木希林は観るたび死に近づいている……。

流れる(1956年製作の映画)

4.2

芸者という、女の華を見せる仕事の舞台裏の人間模様、金銭事情。その零落。

あまり土地や時代の空気は感じさせず人間にフォーカスしたような印象を持った。

化粧を落としてこそ女性たちの魅力はいや増し、ただ
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.1

コンテナを開けると密入国者の難民が無表情で座っているところが好き、低彩度の風景にほんの少しだけ、色のある花や家具が好き。

物語はシンプルで、密入国者の少年を貧乏な町の人々が匿うという物語。
主人公の
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台風クラブ(1985年製作の映画)

4.3

結局死ねないスケキヨ。
思春期メタファーの台風がすさまじく過ぎ去ってゆくさま。

約5年ぶり二度目の鑑賞だったけど理解できたかといえば微妙、それでもすごい映画。

嵐のなか、横薙ぎする風雨に打たれて全
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.0

すごい、「無慈悲で純粋な暴力」を描いた映画かと思いきや、終盤にはこの映画そのものが「暴力」へと転身する。ハネケにとっての標的は観客。
本当に最悪な気分。
こんなに途中で観るのを止めたくなる映画を他に知
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リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)

4.2

「私、がんばっても……いい?」

最高の青春映画。山下監督のほどよいオフビート感と、飾らない女子高生のリアル。それでも青春は輝く。まさに、"写真には写らないうつくしさ"……!

学園祭を控え、韓国から
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デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年製作の映画)

4.0

島根にパソコンなんてあるわけない。
想像以上に名作で笑った。これはすごい。日常の描写からして演出が冴えていて、「空の飛行機雲」がふとした瞬間に毒として反転するところとか……。アニメーションとして出色の
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SCOOP!(2016年製作の映画)

3.6

まあまあ面白かった。
福山雅治の嫌らしいキャラクターは結構ハマってた
まあでも一番すごいのはリリー・フランキーかもしれない、あの展開で説得力持たせられるのは相当困難な演技力が要されそう。
裏を返せば、
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(1990年製作の映画)

3.9

漱石『夢十夜』の黒澤明バージョン。
「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」の全8話からなるオムニバス。

構図とカメラワークの安定感がすさまじい。なんとな
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