Tomさんの映画レビュー・感想・評価

Tom

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マーダー・ムバラク(2024年製作の映画)

2.5

登場人物が次から次へと出てくるWho done it?なインドミステリー。インド映画らしさもミステリーとしての強度も弱いが,無限に出てくる人の中から誰が犯人か探偵と共に追っていくのがシンプルに楽しい。>>続きを読む

俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー(2024年製作の映画)

3.0

"全部リッキーのせい"と架空の彼を盾に嘘をつきまくって…そんな彼を実際に創って…。飛行機鑑賞には丁度いい,下ネタとジョンシナの魅力がたっぷり詰まった楽しい作品。アカデミー賞の彼,リッキーだったのでは?>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.6

編集やべぇ。一見繋がらなそうなオピロイド中毒問題と写真家ナンの人生を見事に繋げて魅せるドキュメンタリー。写真を堪能しつつも史実の背景まで見えてくる,まるで美術館の展示をまるっと観たような満足感。其々の>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

センスが良すぎる…。キャスティングと独特な世界観,物語の仕掛けとその持っていき方も凄い。ドライかつ冷静な視点で世界を見つめ乍らも気づけば愛おしい彼女らの感情に寄り添いながら無関心への危機感と自信の無力>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.7

輪廻の概念は信じてないが反復やモチーフで繰り返し魅せて感じさせる演出が凄い。終盤あの人に寄り添う瞬間からほろ苦さと現実味がグッと増して持っていかれた。そして来世を想う,ラストショットの表情にグッときた>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.3

うーん。乗れず。無駄に分かり辛い。原爆と向き合うというより一人間として彼の人生をなぞる本作。物理の概念と現象を映像化し魅せるのは流石。本作は一国の視点から見たほんの一面に過ぎない。世界中でこの悲惨な歴>>続きを読む

ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.4

皆ムキムキかつ脱ぎまくりでカルシウムが足りて無い街。治安を守るジェイク。一周回ったこのシンプルさとオフビート感が実に心地よい。真面目にやるところとはっちゃける所の振り幅が好き。サイコパス&マラカスおじ>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.0

正しく"ドッグマン"な犬小屋で育ち,犬だけを信じ犬と共に生きるダークヒーロー爆誕の物語。男の壮絶な過去に思わず同情してしまう。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの色んな顔が拝める上に,彼の為に頑張るワン>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

痛快。メタメタな構造で多様性に乗っかる偏見を強烈に皮肉る。本当に本質を分かってる?と数々の仕掛けに翻弄させられながらもそれにリンクしていく等身大な家族の物語が面白いし染みる。自分の本当にやりたい事と世>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.3

こんな攻め方があったか。物語は歪で中弛みしてるが,らしさを活かしつつ魅せたい事,伝えたい事が直球で伝わってきた。"音楽の楽しさ"を音響設計を極限まで追求して聴覚的にもアニメーションで視覚的にも表現する>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

求められるものを,信じたいものを想像し,演じて…裁判って舞台だよな。本来真実を明らかにする筈の裁判だが,気づけば目の前の不確かさに何をもって何を信じればいいのか迷宮入りし,我々の心理まで解剖されている>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

常に一歩先を行くテンポの良いハラハラドキドキなサスペンス。ある程度物語の筋を分からせた上での振り回してくる心理戦展開が実に巧い。年齢設定も秀逸で青春を巧く絡めながら感情移入させつつ,話もしっかり整理さ>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.0

杉咲花無双。絶望と諦めと,光と…瞳と表情が雄弁に訴えてくる。壮絶過ぎる彼女の人生は辛過ぎて自分だったらなんて到底考えられず,受け止めきれなかった。傍観するしかない自分が只々辛い。流石に最後のは正直同情>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.9

熱い!熱過ぎる!!圧巻の2部構成と2人の恩義と信頼が導く絆を超越した関係が大好き。『モスル』以来の戦禍の没入,臨場感を支える銃撃戦の空間と音,主観を魅せる演出が現実とも繋ぐ素晴らしさ。終盤緊張が解ける>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.6

映像技術も遂にここまで来たか。お腹に響く重低音と美しい映像は体験として記憶に残りそう。シャラメもめちゃくちゃ良かった。1より断然面白いし,凄いもん見た感も半端ない。でもこの乗り切れない感じは何だろう。>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.0

なんて美しくて心地良い作品だ。日常を優しい眼差しで丁寧に切り取り,ささやかな幸せを余白たっぷりに魅せる。移民を描くのにこんなアプローチがあったなんて。静寂に木霊する鳥の声,風,水の音…。忘れられない程>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

優しい映画だ。其々が別の軌道を回り,時にそれが重なって,時に重ならなくても太陽の様に光だけ差す瞬間もあって…。他者を想う尊さと,その積み重ねで輝きを取り戻していく姿に涙。2人のありのままの取り繕わない>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

疲れた。今の狂った社会の縮図を不安症のボーの脳内と重ね,現実と妄想の狭間を体感し続ける3時間。正直尖り過ぎてて笑っていいのかよく分からなかった。このボーと一緒に感じる'分からない'感覚も,説明がつかな>>続きを読む

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

3.0

人種差別撤廃デモ運動の主導者を描く本年度アカデミー賞ノミネート作。彼の恋愛面はリアルを描いたのかもしれないが描き方が軽すぎなのは気になった。それでも歴史的に知れて良かったし,権利を主張しなければならな>>続きを読む

黄龍の村(2021年製作の映画)

1.5

何も知らずに見た方が楽しめるのは間違いない。ただ相変わらず録音が最悪で台詞を聞くには耳が痛いしギャップを狙うのは分かるが序盤の寒いノリも過剰な演技も苦手。何で銃撃たんの?他の人どこ行った?…インディー>>続きを読む

オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

4.4

魂消た。子供時代に誰もが感じる不安や恐怖の概念を優しく紐解く傑作。巧みな構成で間口をグッと広げ,克服を超えてその一歩も二歩も先を描く深さ。光と闇,楽しい事と恐怖,孤独…全てが人生に於いて必要で大切な事>>続きを読む

緑の夜(2023年製作の映画)

2.3

惹かれ合う孤独な二人の逃避行。汲み取りきれない所もあるが,息苦しくて寒くて不安定な心情を揺れるカメラが映し出す。抑圧から何とか逃れようと運命に抗う姿が虚しくて悲しい。最後の選択はどうしようもない状況で>>続きを読む

ジャンヌと七面鳥(2023年製作の映画)

2.0

不安定な少女の内面の変化を不思議な世界観で描く。イマジナリーフレンドとも少し違う,保守的な自分。変わりたい。でも怖い。そんな想いをぎゅっと詰め込んだ短編映画。僕が子供の時も,変わる時ってこんな気持ちだ>>続きを読む

私に触れた手(2022年製作の映画)

2.8

絵本のような可愛らしいタッチで家族を描く短編アニメーション。マトリョーシカと重ねて過去を振り返っていく魅せ方が面白い。予想の斜め上の着地で驚いた。触るという表現が,アニメーションだからこそ生々しくも感>>続きを読む

フレンズ/2匹は友だち(2014年製作の映画)

2.0

恐らくかなり子供にターゲットを絞って創られた無声短編アニメーション。大人が見るには短編映画としてオチもパンチも緩急も弱すぎる。それでも小さい子供はこの可愛い動物たちを見てきっと喜ぶだろうから,それでい>>続きを読む

ダンスの中に(2022年製作の映画)

2.3

丸や三角や四角といった図形を組み合わせた絵を動かしてダンスを魅せる短編アニメーション。アニメーションならではの自由で独特な表現が見ていて楽しい。もう少しヒップホップを生かしたダンスの動きの面での楽しさ>>続きを読む

ふたりは姉妹(2022年製作の映画)

3.8

余白たっぷりの絵とキャラクターの表情と躍動感の感じられる動きが凄く好み。時間の省略と想像させる余白と間も絶妙。素朴な絵のタッチとほんわかした音楽にも癒される。自然と笑みが溢れてしまう可愛らしい短編アニ>>続きを読む

スピード(2022年製作の映画)

3.7

鈍間な男女と対照的に即動く男女二人を描く短編。やる事が多過ぎて時間が足りない今日この頃。僕はやる事があるにしろ無いにしろ,何もせずにダラダラ時間が過ぎるのが嫌いなタイプだからスピーディーな二人に共感し>>続きを読む

新凱旋門(2023年製作の映画)

2.5

ヨーロッパ最大の野外美術館とホームレスを描く短編アニメーション。美術をわざわざアニメーションで映す意味は何だろう?と思っていたら,そういう事か。ただ個人的には実写で観たかったのが本音。実際綺麗な場所だ>>続きを読む

フェアプレー(2022年製作の映画)

2.7

承認欲求に追われる若者と、車にキスし続けて車をゲットする耐久レースに出る(何これw)男と,椅子取りゲームをガチる会社の人達。成功を求められる,競争社会を描くには内容がズレている。車にキスし続けるレース>>続きを読む

女と犬(1991年製作の映画)

3.9

何だろう。空気感がいいからなのか二人のしょうもない極端な二者択一の会話が続くだけなのに二人が微笑ましくて面白い。凄くフランス映画っぽい短編だ。インパクトがある訳ではないんだけど,こんなドライでクスッと>>続きを読む

戦いとは終わりである(2023年製作の映画)

3.2

労働組合会館で戦うボクサー達を追った短編ドキュメンタリー。彼らの戦いは自分の為のものだけではないと伝わってくる。社会への怒り,不安,どうしようもなさ…其々の色んな想いを受け止めてくれる,彼らに必要な場>>続きを読む

オアシス(2022年製作の映画)

3.5

切ない。障害者と健常者の双子を追ったドキュメンタリー。二人にとって大切な,大切な今と本音をカメラに収める。二人の輝かしい表情を美しく切取る撮影が素晴らしい。ずっとこのまま二人だけの時間が続けばいいのに>>続きを読む

夏休み(2023年製作の映画)

2.5

山の麓で夏を一人でバカンスを過ごす女性。一人の楽さと寂しさは伝わるものの短編映画としては凡庸。都会にいると気づかないうちに色んな疲労が溜まっている。やっぱり,たまには人里離れて自然を感じる時間は作って>>続きを読む

のら犬(2023年製作の映画)

2.5

主人公が嫌な奴過ぎて観てて気まずい。幼馴染で長い付き合いだからこその難しさと複雑な心境は分かりそうで分からない。付き合いが長いほど嫉妬も恨みも増幅していくものなのかな。着地は綺麗だが,それまでの不快さ>>続きを読む

Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)

3.5

凄く純粋で真摯な愛の物語だ。友情がいつしか愛へと変わっていく。それを許さず歪めていく社会への歯痒さ。皆の心情をきちっと描かれるからこそ辛い。恐怖に勝っていく力強い愛にグッときた。人が人を想う事って素晴>>続きを読む

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