この映画の素晴らしいところは、登場人物たちの中で「逃げること」そのものが目的化され、ただひたすら彼らが「逃げること」のみ描いている点にあると思う。
映画の舞台と同じ、第二次世界大戦下ドイツの収容所で>>続きを読む
結局、上田誠作のロマンスが一番心にグサッとくる。
それは世界設定の「ありえなさ」と同じくらい、登場人物たちの感情が「ありえない」ほどピュアで、その透明感が現実世界に生きる自分には手が届かないものだから>>続きを読む
素晴らしい。
オープニングイメージが提示された時点で絶対好きな映画だと確信し、その通りだった。
偶然同時期に読んでたフランクルの本に書いてあった、「人間であるということは、自分自身でない何かに向かって方向づけられ、秩序づけられていること」という文章がオーバーラップした。
もともとシリーズの動物>>続きを読む
悲しさを表現するのにいかにも悲しそうな声を出すような、説明的な演技が苦手だった…。
原作小説の文体にはあった、人間の感情が本来持っている複雑さに対する開かれた感性が失われてしまっていたように思う。
一時も画面から目を離せない面白さ。
ジャンヌの日常に徐々に亀裂が入っていく描写、この反復と差異の表現は、とても映像的で音楽的。ミニマル・ミュージックのような。
夢と現実、生と死、自分と他人といった二項対立概念が相対化され、自意識の膨張とともに語り手の理性に対する信頼が失墜していくタイプの、錯乱系日本映画。
人は周囲の人間との関係性によって全く異なる面を見せる、そしてそのこと自体が、人を救い出す可能性を秘めている、という映画だったように思う。
ペ・ドゥナは最高で演出はキマっているものの、犬が可哀想過ぎてどうやって撮影したのかばっかり気になってしまった。
非常に記号的という意味で映画的。
人は余裕が無くなると感覚が過敏になるし、理想と現実>>続きを読む
些細な偏見やヘイトが、「るつぼ」の中でぐつぐつと煮込まれることで、取り返しのつかない爆発事故に至る様子を丁寧に描いている。