同時期公開の『スパイダーマン:ホームカミング』と照らし合わせたかのような『フェリスはある朝突然に』オマージュ。ジョン・ヒューズ監督の以外な形での再評価にニヤリ。
女子生徒全員で大規模『ブレック・ファストクラブ』。スクールカーストを乱高下しながら、本当の自分らしさを獲得する女子生徒達の姿はコミカルだけどひたむき。
障がいに対する差別的描写を90年代作品ということで許容できれば、『アメリカン・グラフティ』『バッド・チューニング』等、過去の傑作青春映画の良いとこどりのつまみ食い。
男性目線の下ネタは現代では完全にアウト!だが、スクールカースト最上位のアメフト男子が、自らカースト下位のコーラス部に入部して、自己と愛を獲得する姿は勇敢。
ボクシング場面に象徴される、計算され尽くされたコミカルな動きはずーっと笑顔で観てられる。コミカルだけど漂う死の香り。ハッピーエンドを切に望み、望みが叶う感動。
こんなユルいパンデミックならいつでもOK。世界の大問題も「まぁ、こんなもんでしょ」と軽くいなしてくる井口奈己監督の膝カックンに、見事にヘナヘナ。
本作以降、ろう者・難聴者の役を聴者の俳優が演じることは無くなる。だって、こんなにも素晴らしいデフアクター(ろう者・難聴者の俳優)の方々がいることを知らしめた。
シリーズの特徴であるユルい日常とキレキレアクションの緩急の「緩」少なめ。ちさと&まひろが1番ユルくなる「あの部屋」から仕事に出て、「あの部屋」に戻る姿が見たい。
光と音とリアクションだけで心霊っぽい現象を演出。ミニマムだからこそ掻き立てられる豊かな創造性。黒沢清リテラシーがないことに萎縮していた私にもようやく光が射した。
ドキュメンタリー映画は、監督が取材対象者との距離感を見誤らずにギリギリのバランスを保てるか否かのサスペンス性が醍醐味だが、、、バランス崩しまくりの本作もまた一興。
宇宙船内のガジェットの絶妙なアナログ感や、終始ボンヤリ暗めな照明がジャンル映画を観ているワクワク感を持続。ラストの「アレ」の造形にのるかそるかの出たとこ勝負。
アメリカ学園映画における嫌なヤツキャラの典型・富裕層のプリンセスを主役にする勇気&ステレオタイプの悪いヤツを一切出さない勇気。ずっと平坦で軽いのに真摯な面白み。
自然現象を題材にしているだけに公開時期によっては不謹慎になりがちなのに、鑑賞後の多幸感。ディザスタームービーをラブコメ風に陽気なノリで押し通す勇気に感動。
Jホラーの歴史を全部フリにした後半の裏切りに大爆笑!心霊退治には呪術も聖水も必要ない!よく運動して・食べて・寝る!観たこと無さ過ぎるスポ根ホラーに出会えた喜び!
密室の地下室から階段を登って脱失ゲーム!まさに大人の階段登るジュブナイルホラー。ホラーで包んだ少年・少女のキラキラとゲームクリアの快感が溢れだす!溢れだす!
長編漫画の映画化だけに唐突に感じる主人公の絵に対する情熱と急成長に、納得感を与える主演:眞栄田郷敦の大きな黒目。つかみどころのない狂気が宿る黒目に惹かれる。
学校という歪んだ社会をぶっ壊すか?自分が変わるか? 10代特有の自意識と誇大妄想を皮肉るようなブラックユーモアが、狙っている以上にヘンテコ。だがカッコいい。
ナマケモノならではの「のろま」大喜利ゼロ!俊敏なナマケモノが動機不明のままサクサクと女子大生を殺しまくる様子は、タイパ重視の時代を皮肉ってる!?訳ない。
「ちょっと変わったヤツだけど、私は好き」ってなる珍作。ライトなホラーとしての楽しさと、学園モノとしてスクールカーストのゴスグループにだけ焦点を当てる隙間産業。
本シリーズでこそ最大限活かされる手話という言語が登場しないのが残念だが、聴覚モンスターと対峙して、命よりピザとネコを大切にするアンバランスな男女コンビに共感。
事実は小説よりもホントに奇なり。あの歴史的暗殺が『古畑任三郎』的なコミカルでまどろっこしい殺人トリックによって遂行されたことを知る。タイパ悪すぎ完全犯罪。
アメリカ青春映画の土台の1つ。悪びれなくルッキズムで笑いをとる姿勢を「古き良き」で許容できれば、中盤のライブシーンからは『ブルース・ブラザーズ』でgood!
『X エックス』の60年前の前日譚。すでに完成されている「殺し屋・パール」と「死体処理班・巨大ワニ」の完璧な連携プレイが、パールが幼少期からサイコだった状況証拠。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』やMeToo以降のティーンムービーのハードル高さを実証するように、「卒業まで初体験!」のコメディノリは皆無。退廃的でしんど。
最後まで「コメディ」にチューニングを合わすことが出来ず、置いてけぼり。
予告篇詐欺の被害者意識が先立ってしまい、罪なき本作のウェルメイド感が許せずじまい。
バービー人形によって窮屈な女性・男性「らしさ」をつくりだしてしまったマテル社の自社批判の鋭さと、時代の空気を読むしたたかさ。日本のリカちゃん人形は何を思う。
過去から解放されずに立ち止まる人や、繊細で不器用な人に寄り添う、映像ユニット「群青いろ」の初期作品。令和っぽさゼロのヒリヒリ・ジメジメな東京感がノスタルジー。
「起立性調節障がい」を初めて知る。見た目では全く分からない障がいを描くことで多様性に触れる視点は『ケイコ目を澄ませて』『夜明けのすべて』の三宅監督と似た視点。
熱い歌詞と感情剥き出しでボーカルがシャウトする曲より、ポップで軽い曲に感動する事があるように、『JSA』より南北問題をサクッと軽い風刺コメディに仕上げたコッチ。
喜怒哀楽の感情を取り入れた拳法を発揮するために、一度冷静になることに矛盾を抱きながらも、ジャッキーの喜劇に対する愛情と肉体的説得力に押し切られる。
「笑顔で恐怖」というアイデアで勝ち確定。アイデアの鮮度が落ちだす後半から、渋めの『リング』展開にもっていき、逃げきり勝利。続編が『らせん』になりませんように。
このタイトルとビジュアルで意外過ぎる『ブレックファスト・クラブ』続編感。
故ジョン・ヒューズ監督が描けなかった穴を埋めるように、多様性もしっかりフォロー。
漫画に夢中になれる藤野と京本が羨ましくて、美しくて、ただただ愛おしい。
藤野の背中に映る喜び・悲しみ・覚悟。その背中を追いかけたくなるし、支えたくもなる。
学園ミステリーとしての犯人探しの楽しさと、ドタバタコメディ時々オフビートなギャグの心地よさ。ラスト「青春とはミステリー」というセリフがバッチリハマる快感。
韓国の家父長社会の中で12歳の頃の恋に執着する男。24年ぶりに過去から未来に進んだ男が見上げる朝日が『ちょっと思い出しただけ』のラストの朝焼けのように美しく落涙。
恋愛映画アレルギー者でも、豪華絢爛な堂々たるミステリーに包まれた愛の物語にはアレルギー症状一切なし。「人は愛のためなら何でもできる」ことがスンナリ飲み込める。