pherimさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

アシスタント(2019年製作の映画)

4.2

映画製作会社で大物プロデューサーのアシスタント業務に就いた主人公の、憧れとは真逆の色褪せた日々。

理不尽な感情労働が日常化し、昼も夜ものっぺりとつづく閉塞感を、#Metoo 震源の映画業界へ深く取材
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エリック・クラプトン アクロス24ナイツ(2023年製作の映画)

3.5

1990&91年ロイヤル・アルバート・ホールでの伝説的ライヴ“24ナイツ”から、ベストパフォーマンスを選び抜いた4K再現。

オーケストラと1人で拮抗、アルバート・コリンズらと競演する、悲劇の事故で息
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探偵マーロウ(2022年製作の映画)

3.5

1930年代LAに事務所を構える腕利き探偵の、沈着にして優雅なる事件解決。👞

マイケル・コリンズ等に続くニール・ジョーダン監督&リーアム翁🇨🇮タッグ3作目は、レイモンド・チャンドラー小説の流麗さを損
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ミート・ザ・フューチャー〜培養肉で変わる未来の食卓〜(2020年製作の映画)

3.0

培養肉の拓く未来。

フード・テックCEOウマ・ヴァレティ博士の活力ある佇まいと、培養肉ビジネス最前線が興味深い。

未来展望の影へ目配せしないカリフォルニアン・イデオロギー礼賛ムーヴに、対極の食糧映
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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.9

物忘れの加速する教頭が、退職を前に生き惑う。

二ノ宮隆太郎/監督長編第4作。役者の長所に傾注する主演/光石研への心酔ぶりと、気の強い教え子/吉本実憂や実娘/工藤遥の役柄は、萩原みのり全力推しの『お嬢
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.7

最高すぎて今年前半BEST確定。

世界を救うため犠牲を払ってきた。
しかしそれは本当に必要だったのか。🕸️

描画の革新性は前作を遥かにしのぎ、超今日的テーマを究極密度で語る製作陣の覚悟に戦慄。
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海を待ちながら(2012年製作の映画)

4.1

海が干上がり陸の孤島と化した古い漁村へ、かつて海難事故ですべてを失った男が帰還する。
アラル海縮小を背景する、陸の船を引きずり流浪する男の物語。バフティヤル・フドイナザーロフ乗り物シリーズ中で最も哀切
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ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.5

村に暮らす17歳少女が、旅芸人のテントを訪れた夜ふしぎな体験を経て子を孕む。

お腹の子を語り手とする、村八分さえコミカルに描かれる妊婦の奇想天外大冒険。診察台の乗り方を知らず飛行ポーズをとる秀逸カッ
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ルナ・パパ(1999年製作の映画)

4.4

村に暮らす17歳少女が、旅芸人のテントを訪れた夜ふしぎな体験を経て子を孕む。

お腹の子を語り手とする、村八分さえコミカルに描かれる妊婦の奇想天外大冒険。診察台の乗り方を知らず飛行ポーズをとる秀逸カッ
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水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.5

母のW不倫で壊れた家庭に育った主人公の暮らすシェアハウスへ、母の不倫相手の息子高校生が入居してくる。

主演/広瀬すずの役柄が、腹違い姉妹と出逢う『海街diary』少女役を継ぐようで、瑞々しくも何と風
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苦い涙(2022年製作の映画)

3.7

名匠フランソワ・オゾン新作は、精力みなぎる映画監督が俳優志望青年に溺れて蟻地獄。

ファスビンダー名作リメイクで、主人公らを男性へ、舞台を映画界へ変え本来の自伝的性質をより濃厚に。全てを目撃する秘書役
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少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

4.3

“Братан” 1991

17&7歳兄弟の、父が暮らす遠くの街への機関車旅。🛤️

ソ連末期タジキスタン大平原ゆく列車は駅でもない運転士宅で止まり、トラックや馬と競争し、不良少年団から投石を浴びる
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コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.2

“Кош-ба-кош” 1993

町の上空ゆくロープウェイの操縦士青年が、博打のカタにされた娘を想う。🚡

ドタバタ劇の要所要所でロープウェイのカーゴが舞台となることが生む、物語の抜けと画のキマり
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コシュ・バ・コシュ/恋はロープウェイに乗って(1994年製作の映画)

4.1

“Кош-ба-кош” 1993

町の上空ゆくロープウェイの操縦士青年が、博打のカタにされた娘を想う。🚡

ドタバタ劇の要所要所でロープウェイのカーゴが舞台となることが生む、物語の抜けと画のキマり
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ブラック・デーモン 絶体絶命(2023年製作の映画)

3.7

巨大ザメが、海底油田の環境汚染に怒り心頭。そうとは知らず、家族を連れ企業幹部が訪問さぁパニック。

海洋プラットフォーム火災でバーニング・オーシャンを更新しつつ、メガロドン言及含めMEGへと挑む意欲作
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.8

幼い頃フランスへ養子に貰われた主人公が、実親に会うため韓国を訪れるも異文化摩擦に神経をすり減らせる。

出生地での孤独の果てに出逢うもの。カンボジア系仏人監督ダヴィ・シュー自身の経験が反映された映像に
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.1

伝統的生活を守るキリスト教派メノナイトの村で、集団的な性暴力から逃れるため女性たちが密かに話し合う。

ルーニー・マーラらが、意見の相克を乗り越える過程を熱演。実話ベースの質実な会話劇を、筆記者=実直
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少年、機関車に乗る(1991年製作の映画)

4.3

“Братан” 1991

17&7歳兄弟の、父が暮らす遠くの街への機関車旅。🛤️

ソ連末期タジキスタン大平原ゆく列車は駅でもない運転士宅で止まり、トラックや馬と競争し、不良少年団から投石を浴びる
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ザ・ディープ・ハウス(2021年製作の映画)

3.5

湖底のホラー屋敷物という複合技。🤿🏚️

廃墟+水中探検の設定だけで垂涎級。セットごと巨大プールへ沈めて撮影敢行、って逸話も狂ってて好きdeath。🎥

YouTuber男女が、視聴数欲しさに危険冒す
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ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

3.7

裕福な女が、夫との子を生んでとユダヤの友人に代理母を依頼して始まる三角関係。

イザベル・ユペールがユダヤ人を演じ、ファシズム迫る1936年ハンガリーを舞台に描くメーサーロシュ・マールタ異色作。度々挿
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マリとユリ(1977年製作の映画)

3.6

紡績工場の女性工員寮新入りと寮母の交わり。

メーサーロシュ・マールタ長編第7作。アダプションを継ぐ歳の差友情物で、ダメ男要素は倍になる。(互いの夫)

己を騙しても歩みゆく大人のズルさを、子どもが見
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

3.8

ベルファストのある男子小学校では
“哲学”が主要科目になっている。

誕生前に続いた武力衝突の火種がなお残ることへの学びと、内なる怒りや衝動への気づき。

生徒を対立の前線へ絶対に立たせまいという決意
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THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.5

超能力少女x秘密組織x犯罪集団の異能バトル三昧。

謎の研究所に捕獲された少女が謎集団の襲撃を生き延び、心優しい牧場主のもと人間らしい感情に目覚めるが。

新手の異能少年少女が続々襲い来るアクション極
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ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.0

工場で働きながら農学を学ぶユリ。

ユリと会った翌日に求婚するヤバ目上司にドン引きしつつも愛し合うが、前夫との子がいると知った上司は超スネる。

前作同様に尋常でないダメ男を愛する展開が、質実な映像に
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THE KILLER/暗殺者(2022年製作の映画)

3.7

少女を守る殺し屋の突貫。

あれこれ策を弄さず毎度正面突破しちゃう面白さ。
オールド・ボーイ伝来のハンマーアクションも楽しい。🔨

レオンからジョン・ウィック、アジョシへ連なるアサシン+少女の王道路線
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スマイル(2022年製作の映画)

3.8

黙ってじと見してくる笑顔の怖さ。🎭

意味を剥奪された表情ほど、不気味なものはないよなと。大好きイット・フォローズ風味が最後までもつかなって懸念を、中途発現するリング遺伝子が見事に裏切るホラー快作。🧬
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アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

3.8

木工所で働く43歳カタは不倫相手との子を欲する。
施設暮らしの十代アンナは彼氏との結婚を望む。

淡々と進むテンポが心地良いメーサーロシュ・マールタ代表作。不倫相手を家族と会わせるクズ男、居候先でse
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ドント・クライ プリティ・ガールズ!(1970年製作の映画)

3.6

工場で働くユリの、婚約者を含む不良仲間たちに囲まれた灰色で鬱屈とした日常からの解放を描く、メーサーロシュ・マールタ初期作。

1960年代ハンガリーで若者の心を捉えたビート・ミュージックが、恋に落ちた
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聖なる復讐者(2022年製作の映画)

3.6

知的障害をもつ双子の弟を殺した犯人への復讐を誓う兄。

少年院舞台の犯人探しは思いのほか肉弾展開。1人2役のジニョン、兄の復讐心に同情的な看守役キム・ヨンミンに加え、弟の友人演じる『不思議の国の数学者
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デスパレート・ラン(2021年製作の映画)

3.3

ナオミ・ワッツ主演新作は、息子の学校で銃乱射事件発生、森をランニング中の母がスマホで息子を救おうと試みるフィリップ・ノイス監督作。

通話越しに進む事件顛末に想像力が刺激され、車内からスマホで状況操る
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キル・ボクスン(2023年製作の映画)

3.9

全編ド派手な大立ち回りを、名優チョン・ドヨン&ソル・ギョングのW主演で魅せまくる。

端役も逐一豪華で、神傑作シークレット・サンシャイン&ペパーミント・キャンディーの昔日は想像もしなかったこの量産体制
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同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)

3.6

母娘の激情的すれ違い。

“母性”に負わされた宿痾を描くキム・セイン監督作。“はちどり”キム・ボラの一回り下92生まれ、女性監督新潮流の台頭鮮烈。

発作的に娘を轢いてしまう母の毒親ぶりは、香港の秀作
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ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

3.9

有色人種を毛嫌いする白人至上主義の女6人が、
暴力の悪循環へと自らを駆り立てる。

あのブラムハウスが全編ワンカット潮流を激烈に更新。

6人に終始つきまとう視点は緊迫感を持続させ、身近な「いいひと」
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

3.7

第2次大戦下イタリアで、
異能凸凹集団がナチスに立ち向かう。

道化師の怪力男や磁石男、感電少女らサーカス団がフェリーニの郷愁をも誘う巧さは、さすが『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』監督新作。

ドイツ人
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015年製作の映画)

3.8

イタリア産の日本アニメ・インスパイア物。

すさみ切った主人公とメンヘラヒロインに始まるダークな世界観の貫徹が、良い意味で期待を裏切る会心作。

単純なヒーロー譚を拒むあたり、スペインの良作『マジカル
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.6

旧東ドイツの巨大スーパーで働く、わけあり青年の寡黙な慕情。

荒涼とした夜空に浮かぶ輝点のようにその場所は、東西統一後の変化から置き去りにされた郊外の心優しき人々を包み込む。

フォークリフトの軌跡と
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