pherimさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

瞬殺屋デンゼル・ワシントン再々降臨。🔪

その突出した能力に困惑するダコタ・ファニングCIA捜査官がひたすらかわいいシチリア舞台作。

隠遁生活感ある真昼と、秒で殺し続ける闇展開が並走する謎ギャップを
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NO選挙,NO LIFE(2023年製作の映画)

3.5

ジャーナリスト畠山理仁を追う。

旺盛な取材が関係者から信頼を集めるも、出版不況&コロナで経費調達もままならない自転車操業の日々。参政党やN国の現場映像も面白い前田亜紀監督作。

50歳を目前に廃業を
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レッド・スパロー(2017年製作の映画)

3.4

共演者に裏切られバレリーナの道を絶たれた主人公が、ロシア政府の女スパイとなりCIA捜査官に迫る。という冷戦期の古典的枠組みを21世紀調に仕上げたエレガントな娯楽作。ジェニファー・ローレンス獅子奮迅。ハ>>続きを読む

ダイバージェント(2013年製作の映画)

2.7

文明崩壊後の世界、人は人格類型による五集団のいずれかに属して生きねばならない、というディストピア物キューティーSF。その世界観から圧倒的なB級感まで『ハンガー・ゲーム』に酷似し過ぎでのけぞった。

ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション(2015年製作の映画)

2.3

派手にコケた『ハンガー・ゲーム FINAL』両作でも思ったけれど、初めから連作の収益を見込んで撮る方式では、作品単体で落とし前をつける緊張感や覚悟は生まれず、個別の製作途上で起こるかもしれないマジック>>続きを読む

ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス(2014年製作の映画)

2.4

『ハンガー・ゲーム3』。原題の副題は『Mockingjay part1』。とにかく役者が動かない。日本では単に3となるようだが(後日注:その後改題)、part1のため話の筋が全て途絶。ここまで大金をか>>続きを読む

ハンガー・ゲーム2(2013年製作の映画)

2.8

話は洋版バトルロワイヤルそのもの。しかし『2』はフィールドに出るまでが長すぎて、痛快アクション作とも言い難い何かに。とはいえ見所は生存戦が始まってからなので、前半は若干の忍耐を要するかも。

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

3.8

月夜に彷徨う超能力少女の行方。🌕

描かれるニューオリンズのシックな夜を染める色彩と、貪欲な人々の造形が鮮やかで音楽も小気味よい。

バーニングで主演チョン・ジョンソに惚れ込んだイラン系新進監督アナ・
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JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】(2021年製作の映画)

3.3

オリヴァー・ストーン監督新作。

陰謀説と表現しながら複数犯説を真実として扱うしぶとさがいかにもO.Stone翁、2024年米大統領選出馬予定のロバート・ケネディJr.出演は生々しい。ケヴィン・コスナ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

徹底した自己管理と精神集中により、確実に暗殺をこなす殺し屋、のはずだった。

デヴィッド・フィンチャー新作は、主人公の完璧主義が陥る迷走を、安直に嗤うコメディへと堕さずソリッドに描き切る映像音楽キレッ
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天才スピヴェット(2013年製作の映画)

4.0

ジャン=ピエール・ジュネ監督新作。傷への気づきと解放の物語。繊細な天才少年が育む妄想の視覚化や旅の情景描写が楽しく、人物もギミックも魅力的。3Dの独創的でハートフルな使い方に『デリカテッセン』初見時の>>続きを読む

アメリ(2001年製作の映画)

5.0

このうえなき珠玉の眼福娯楽作が、精彩化する幸福。🥄

カフェにゆき交う恋愛模様、骨の繊細な心優しきお爺さん🔭、証明写真機を巡る謎すべてが愛惜しい。

オドレイ・トトゥの可愛さ爆裂、ヤン・ティルセン音楽
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アメリ デジタルリマスター版(2001年製作の映画)

5.0

このうえなき珠玉の眼福娯楽作が、精彩化する幸福。🥄

カフェにゆき交う恋愛模様、骨の繊細な心優しきお爺さん🔭、証明写真機を巡る謎すべてが愛惜しい。

オドレイ・トトゥの可愛さ爆裂、ヤン・ティルセン音楽
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ぼくは君たちを憎まないことにした(2022年製作の映画)

3.8

テロで最愛の妻を失った男が、悲しみの底で「今まで通りの生活を続ける」とSNSへ書きつけた言葉は世界を席巻する。

残された息子と暮らす中で、憎しみや怒りを拒否する声明へ至る戸惑いと気づきの時間を、瑞々
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駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

3.7

実家の蒸留所を継いだ女若社長が、災害で失われた幻のウイスキー《KOMA》の味復元に奮闘する。🥃

『SHIROBAKO』他お仕事系アニメの実績豊富なP.A.WORKS制作だけあり質実安定。味と香りとい
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消えた画 クメール・ルージュの真実(2013年製作の映画)

3.4

ポルポト虐殺を生き延びたリティ・パニュによる再現人形劇。クリストフ・バタイユの脚本参加も注目。寡黙な人形達と切り詰められた言葉との鋭い対峙。過去を語ることの堆積性に裏打ちされた土人形の厚みと余韻。>>続きを読む

S21 クメール・ルージュの虐殺者たち(2002年製作の映画)

4.5

ポルポト支配下のカンボジアで何が起きたか。収容所の元看守達が、記憶する自らの行為を再現演技する。『アクト・オブ・キリング』の手法的な元ネタ作品。凡庸な悪のまったき今日性。



『消えた画 クメール・
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紙は余燼を包めない(2007年製作の映画)

4.2

プノンペンの娼館で働く女性たち。そこではクメール・ルージュの傷痕が娼婦の過酷をさらに深める。口紅の痕により描かれる落書きは、寄る辺ない彼女たちへの鎮魂詩となり刻印をあとに残す。人は消え、傷は残る。>>続きを読む

蟻の王(2022年製作の映画)

3.7

ローマで同棲を始めた師弟が引き離され、弟子青年は電気ショックの“治療”で心神喪失、師匠は法廷で追い詰められゆく’60sイタリア社会描写も興味深い実録物。

詩人で劇作家、蟻の生態研究者である主人公の人
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二人静か(2023年製作の映画)

3.6

不妊治療のすえ産んだ子が、5歳時に失踪する。捜し続ける歳月を暮らす夫婦の前に、無闇に献身的な若い女性が現れる。

やるせなさが他人を結びつけ、からみ合う道行きの奥。転がる夫婦の性愛、拭えぬ記憶。シリア
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.8

ウクライナで盗まれ100億$で取引される謎のブツを標的に、🇬🇧MI6が最強の男を雇う。💼

ガイ・リッチーが撮るジェイソン・ステイサムが観たいんだよ!という欲望に100%応えるスパイアクション快作。
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ナナ(2022年製作の映画)

2.6

’60年代の内戦で家族を失くしたある女性の、魂の彷徨と出逢い、そして解放。

カミラ・アンディニ長編第4作で、現代史批判へ寄せることで『見えるもの、見えざるもの』他の弱さ脱却を試みて強味を潰した感あり
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すべては大丈夫(2022年製作の映画)

1.7

“Everything Will Be Ok”

リティ・パンによる『消えた画』を継ぐ人形劇。

クメール・ルージュの暴虐から人類史的文明批判へ標的を広げる意欲は分かるし、風合いと表情に富むパン製人形
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私がやりました(2023年製作の映画)

3.7

有名映画プロデューサーの死と新人女優の疑惑。
そして意外なる大女優の介入。

フランソワ・オゾン健在を窺わせる安打製造機ぶりで、ワインスタイン事件を軽快に皮肉る。

イザベル・ユペールの、終始おとぼけ
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人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

3.4

ライター稼業目指すも預金10万まで追い詰められた元アイドルの七転八倒。深川麻衣快演。

とはいえルームシェアすることになった“ただのおっさん”が達観した仙人みたいな井浦新なの、幸運すぎるだろとツッコミ
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

4.1

“蘭心大劇院”

真珠湾攻撃前夜の魔都上海を描くロウ・イエ新作が圧倒的。

特務下の日本海軍少佐(オダギリジョー)、孤児院で仏政府から諜報訓練を施された大女優(コン・リー)、ホテル支配人の顔もつ仏スパ
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火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)

3.7

ジブリ後継集団の1つSTUDIO4°Cによる、
手塚治虫原作/望郷篇ベースのアニメ化良作。🚀

あの超大河の圧倒的時空感を巧く再現、原作の狂気が脱臭された点も今日性ある翻案として興味深い。アダム的役柄
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

シン・ゴジラは賑やかしに過ぎなかった、と思える本格ゴジラ劇。

旧海軍兵らの誇りと、大戦を生き抜いた人々の強靭さが海から襲い来る“奴”と激突する。

米軍はソ連を怖がり対処不能、巡洋艦高雄や幻の日本海
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.3

植木屋青年がコンビニ店員に恋する青春劇。

ありがちラブコメと思いきや、主人公(倉悠貴&芋生悠)が訳あり発達障害人生を暮らしており、けれど鬱展開へは沈み込まないほのぼの調が和める一作。

先輩役/川瀬
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エア(2023年製作の映画)

4.3

“Воздух”

女性パイロット視点で独ソ戦を物語る快作。

性能/練度に優るメッサーシュミット相手の空戦と、スターリングラード包囲時の地上戦描写が凄まじい。

枯色調の映像美はアレクセイ・ゲルマン
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トンソン荘事件の記録(2020年製作の映画)

3.4

90年代に封印された、釜山の旅館で起きた惨事を撮るビデオテープ。のち被疑者の自殺をきっかけに検事の間で「何か映ってる」と話題になり謎解き始まる。📼

ファウンド・フッテージ物で、Jホラーに呪詛風味を加
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ドミノ(2023年製作の映画)

3.6

ベン・アフレック主演xロバート・ロドリゲス監督新作は、行方不明の娘を捜す刑事が多重現実の混沌を駆け抜ける。

《冒頭5秒、既に騙されている》とのPR文は嘘でなく、全編94分たるみなし。原題「催眠」、催
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.9

いい映画を観た満足感しか。🌃

ヴィム・ヴェンダース新作は、時間と音楽の濃厚な豊醇作。役所広司演じる公衆トイレ清掃人が、市井の哲人と化し東京の今を質実に映しだす。⌛️

田中泯の端役はベルリン天使だし
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正欲(2023年製作の映画)

4.3

突き抜けた性的《超絶》マイノリティを演じる新垣結衣 & 磯村勇斗 の凄演。

そして二人の生存を賭けた共闘の前に立ちはだかる稲垣吾郎 演じる、“常識”を極限まで研ぎ澄ませた狂気で自らの家庭を喰い破る検
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.1

35歳まで毒母に監禁された男の瞳に映る、
音と光と暴力に充ちた世界のリアル。

どこでも変人扱いされる主人公の内に純粋無垢を見いだす人々の抱える切なさ。現代社会を裏返す目線がロックのNew Wave潮
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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

3.6

イザベル・ユペールが、フランス原子力企業の労組代表を演じ、レイプされながら自演と決めつける警察と闘い抜く実録物。

口を真一文字に閉ざして一人立つ女の強靭さにより国家級スキャンダルが暴かれゆく様は、ま
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