そふぁさんの映画レビュー・感想・評価

そふぁ

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ミッキー17(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

コミカルなテイストでありながら、時折みせる異質で毒気のある描写にどこか惹かれる。現代人も皆、非倫理的かつ代替可能な存在なのではないかと思わされた。ターミネーター2やナウシカ、スターウォーズなどへのオマ>>続きを読む

(1985年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

舞台の静的な面白さと、映画の動的な面白さのバランスが絶妙。争って人を傷つけ合うのは戦国時代に限らず、現代にも通じる悲劇だと感じられた。人生の意味を失い狂人となった秀虎には、どこか共感してしまう。

教皇選挙(2024年製作の映画)

4.1

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集団のなかで波風を立てずに振る舞うことの大変さが、痛いほどよく伝わる。登場人物の関係性や映像の構図は、緻密に計算された神話や宗教画のように美しく捉えられた。言語の使い分けまで丁寧で好感が持てる。

パーフェクトマン 完全犯罪(2015年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

サスペンスとしての話の展開が秀逸で、指摘する点が全くない。設定はヒッチコック作品に近いが、現代の要素も上手く取り入れられている。主人公以外の人物描写も絶妙で、音楽も相まって作品にただただ引き込まれた。

平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

4.1

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アニメらしい描写と実写に近い表現のバランスがよく、唯一無二の作風を楽しめる。たぬき側に100%の肩入れをしない映し方に好感が持てた。都市開発問題に加え、故郷の良さや主人公の成長なども読み取れる。

めぐり逢い(1957年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

船旅という出会いと別れが重なる地点は、人生そのものの隠喩に思えた。主演二人の演技が切なさを創り出しており、男女の難しさを痛感する。静的でありながらドラマチックな展開が続き、我を忘れて楽しめた。

ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

4.1

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『オズ』と比較して、85年間の映像技術の進歩が肌で感じられた。ガリンダの白人らしい親切さをはじめとして、現代社会の生きづらさを残酷かつスマートに描写しているように思える。ドロシーとの共演も楽しみ。

砂の器(1974年製作の映画)

4.3

息をのむほど美しく巧みな映像と、徐々に盛り上がる音楽で心を掴まれる。日本各地を巻き込む地理的な面白さも物語に加わり、ひとつの作品として最大限楽しめた。原作を読んで、細かな表現の差異も比較したい。

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.1

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子供の頃のヒーローが懐かしくもどこか寂しく描かれている様子には、強く共感できる。ものづくりの原体験に勝るものはないというメッセージを読み取れた。主人公たちの人間味溢れる愛情に加え、映画への愛も感じる。

閉ざされた森(2003年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

巧みな語り口で見事に騙された。軍の訓練や悪天候などの設定も絶妙で、それらを際立たせる映像表現も一流。また、俳優陣の演技の幅と物語の入り組み具合も完全にマッチしていて、最後まで目を離さずに楽しめた。

ブルータリスト(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

仕事への姿勢とアイデンティティの両立というテーマを通して、移民問題に対する新たなアプローチを垣間見れた。建築を際立たせるシックな色彩の撮影と、遅すぎない物語のテンポ感で、重厚な映画体験ができた。

アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

4.0

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かつて流行した音楽や鮮やかなカーアクションから、当時の雰囲気にどっぷり浸れる。また複数の登場人物が交差する描写も心地よく、親しい友情の尊さを再実感した。BTTFの原点であることもはっきりと認識できる。

ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.1

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舞台の芸術に励んでいた身として、主人公が抱える表現者としての苦悩に驚くほど共感できた。周りの登場人物との関わりから、自己の確立についても考えさせられる。映像や音楽も非常に繊細で、主題に合っていた。

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

アルパチーノの演技に衝撃を受ける。人生観について多くの学びがあり、「正しい道のほうが困難」という台詞には特に考えさせられた。視覚障害者に対する固定観念も払拭されており、フラットな目線で楽しめる。

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

性を知ることの不可逆性や思春期特有の儚さが、フランス映画らしい繊細さと調和していた。過去の経験と重なる点も多く、どこか歯痒さを覚えつつも親近感を持って観れる。子役たちの生々しい表情にも魅了された。

砂上の法廷(2015年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

謎を明らかにする語りの巧さにただ魅了される。その上で法廷もの特有の複雑さがなく、純粋に楽しみながら騙された。また全編を通して、真実の追求に伴う矛盾や、法治国家の脆弱性についても考えさせられる。

キャビン(2011年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

発想と展開の柔軟さに心を奪われつつ、ホラー映画としても楽しめる。いかにもフィクションな要素が多いながらも、それらをリアル側に寄せて怖がらせる技量に感心した。語られなかった細部も深掘りしたくなる。

メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

全体を通した撮影技術の高さに圧倒された。現代の労働社会や大衆の愚かさに対する風刺は、今観ても全く古さを感じない。見た目が似たロボットは、機械の台頭に伴う自己同一性の喪失を意味するものだと考えた。

ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

香港らしさと欧米らしさが絶妙に融合された映像に魅了された。経済や金融の描写が強く身に沁みながら、人間の栄枯盛衰についても考えさせられる。物語の展開にも心を掴まれ、最後まで飽きずに楽しめた。

小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

語りや音楽の調子から、戯曲や上方落語のような心地よさを覚える。一人の死を境として、家父長制をはじめとした一つの時代の終わりを主題として描いているように感じた。役者の個性も際立ちながら、非常に味がある。

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.3

核家族化や西洋化など、社会の変化に関する繊細な描写に魅了される。『晩春』よりも、個の幸せに焦点を当てているように思えた。人生観について考えさせられる一方で笑みがこぼれるシーンも多く、多面的に楽しめる。

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

奇妙で魅力的なストーリーとサスペンスらしい緊張感が重なりあい、最後まで飽きない。この世の不条理さや人間の浅ましさなど、監督の他作品にも通じるテーマを読み取れた。癖のある登場人物も含めて一級品。

マージン・コール(2011年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

金融業界の厳しさを再度痛感すると共に、資本主義の危うさや社内政治の複雑さも受け取れた。映画らしいカタルシスが少ない分、徐々に押し寄せる緊迫感や後味の悪さで楽しめる。俳優たちもオフィスによく馴染む。

1900年(1976年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

非常に壮大な物語を観れたという満足感が強い。イタリア国内の動乱と主人公たちの栄枯盛衰が重なる様子は、残酷ながらどこか芸術的にも思えた。映像にも音楽にも充分魅了されながら、世界に没頭して楽しめた。

火垂るの墓(1988年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

同じ妹を持つ兄として、清太に強く感情移入した。戦争や生命といった主題が非常に重くのしかかり、現代の豊かさと対比させられる。アニメ表現としての質も高く、特に場面に応じた暖色の使い方が巧みだと感じた。

摩天楼を夢みて(1992年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

社内競争を巡る人間ドラマと、事件のサスペンス性が見事に融合されていて没頭できる。社会人、そして男としての生き方についても、境遇に共感しつつ考えさせられた。画面を支配しているどの役者にも魅了される。

用心棒(1961年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

映像のみで武士のかっこよさが伝わり、最後まで目を奪われた。登場人物も皆魅力的で、特に主人公の生き方には憧れる。音楽や演出の仕方まで非常に秀逸で、エンターテインメントとしてただただ楽しめる傑作。

永遠に美しく…(1992年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

現代社会を風刺する寓話のようなストーリーが、どこかクセになる。普段はフォーカスされない奇妙な描写に、ゼメキスらしさが垣間見れて面白かった。俳優たちの演技や音楽は、往年のハリウッドを彷彿とさせた。

プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

シチュエーションと設定に一切の無駄がなく、緊張感と興味を持って楽しめる。台の食物は社会の公共財で、月ごとの階層リセットは親ガチャの隠喩と解釈した。与えられた環境の生かし方についても考えさせられる。

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

壮大かつ鮮やかなシーンが多く、映像に古さを全く感じない。南北戦争を南軍視点で描いていた点が興味深かった。伝統的な価値観に新しい風を吹かせようとする強い意思を感じる。終盤がやや失速気味に思えた。

エマニュエル(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

女性の社会進出や多様性などを現代の価値観として受け入れつつ、前作の異国感や性への目覚めという主題も残している点が好印象だった。画や音の使い方も丁寧で、大胆さと繊細さが非常に美しく表現されている。

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

小物っぽいマフィアの描写や音楽の使い方など、『グッドフェローズ』や『カジノ』につながる要素が垣間見れる。クズの親友に対し、最後まで味方であろうとする主人公にはどこか共感してしまう。しっかり緩急もあり、>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

東京という未知の都市が絶妙な距離感で描かれており、外国人気分を味わえる。一方で日本の文化や人の解像度は非常に高くて感心した。どこか繊細な登場人物たちも皆魅力的で、非日常への陶酔に深く共感できた。

晩春(1949年製作の映画)

4.5

役者たちの名演技と小津らしいショットが重なり合い、心の機微に関する表現が極めて巧いと感じた。結婚や家族愛のあり方についての考えも、根底から覆される。情景や会話を、現代と比較して楽しむこともできた。

12モンキーズ(1995年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

複数の時系列に散った物語が、最終的に一点で収束するという構成に感嘆した。異なる世界観の描き分けも巧みで、主人公の視点で混乱しながらも楽しめる。『めまい』のような名作の要素が重なる点も好感が持てた。

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公の生々しい未熟さに共感しつつ、どこかむず痒さも覚える。自分の愛するものへの複雑な感情が、物語に落とし込まれている点に感心した。とは言え映画好きに刺さる箇所も多く、底なしの映画愛が感じられる。