無声からトーキーの変遷において、歌を用いて両者をつないだ点に感銘を受けた。仕事とのジレンマにとどまらず、米国的資本社会や古い伝統に対する反骨精神も読み取れる。映画史に名を残す理由を肌で感じられた。
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子供が持つ、残酷なほどの純粋さが心に刺さった。自分もナチス崇拝側になりえていたと思うと恐ろしい。ブランコはどこにも属さない自由を暗喩していると解釈した。細かい設定や描写の徹底ぶりも賞賛したい。
映像から音楽、俳優に至るまで全てが刺さった。物語の科学的かつ哲学的要素も絶妙なバランスで、生命や宇宙について深く考えさせられる。過去作のオマージュなど映画愛も感じられて、唯一無二の鑑賞となった。
静的に緊張感を保つ撮り方が際立っている。欲に対する人間の弱さと危うさを強く感じ取った。色づかいや女性像など普段と異なる点で魅了されたものの、根底のヒッチコック観はむしろ極致に達したように思える。
意味をなすショットの数々に感銘を受ける。登場人物の視点と認識のズレを利用した裏切りが巧みで、設定が複雑でありながらわかりやすい。疑惑から生まれる日常の崩壊や、視野が狭くなることの危険性を痛感した。
台詞や効果音が聴こえてくるような撮り方には感心した。金髪美女や疑われ要素もあり、ヒッチコックらしさは既に確立しているように思える。 物語もわかりやすく、謎という推進力を持ちながら最後まで楽しめた。
銃撃戦から会話のシーンまで、巧みな緩急の付け方で最後まで没頭できた。米国とマフィアの関係には改めて驚かされる。また、社会や仕事での振る舞い方や、人に何かを与えることの重要さについて考えさせられた。
多くの描写から、無声映画時代の技術力の高さを思い知らされる。全編から差し迫る恐怖を感じ、目が離せなかった。また、吸血鬼の伝説が生まれた経緯や時代背景に関する説明もわかりやすく、世界観にも入りやすい。
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全体的に画が綺麗で、軍の描写が特に丁寧だった。人種や文化など、州ごとの特色も生々しく描いている。米国という連邦国家の脆弱性を再実感した。西側の動機が不明瞭に思えたが、報道の恣意性とも解釈できる。
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日常に潜む超自然的存在の描写が中毒的で、好奇心を掻き立てられた。一見ナンセンスな脚本は、現代の作品に対するアンチテーゼとも解釈できる。過去作の引用も確認しつつ、細かな要素にも注目して再鑑賞したい。
キューブリック監督の人間味あふれるエピソードを数多く知ることができて、非常に嬉しかった。彼自身と作品に対する底知れぬ愛を全編から感じる。また、偉大な仕事人のそばで働くことの意味を思い知らされた。
実写の表現を超えうる、目まぐるしいアニメの描写に良い意味で振り回された。芸能界のいびつさや、視野狭窄の恐ろしさも強烈に映し出されている。仕事と自己同一性の乖離についても、あらためて考えさせられた。
奥行きまで含めた空間の撮り方が美しく、世界観に引き込まれる。閉ざされた人間関係の醜さや封建社会の実態など、現代に通じる描写も見られた。バリーリンドンのような出世と没落を、より感情的に鑑賞できた。
映像が細部に至るまで洗練されている。過去作のフォーマットを踏襲しつつも、生命医療やAIといった最新の科学も取り入れていた点に感心した。登場人物の目線の動かし方など、細かい演技も質が高くて満足。
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複数の事象が重なりながらも混線せず、物語にどんどん引き込まれる。ジグソウの目的や前作までの流れを明確に描写した点が非常に良かった。倫理観や人生を内省できるのも、この類いの作品で唯一無二と言える。
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前作の要素を受け継ぎながら脚本には新たなひねりもあり、続編として質が高い。緊張感を保ちつつ物語の謎にも惹かれ、さらに残酷な描写でも楽しめた。登場人物の数はやや冗長に思えたが、皆役割を全うしていた。
見事に機能した音響や光彩に加え、強烈なショットも相まって最後まで飽きずに観れた。未知の生物の恐怖を描きながら、人間の恐ろしさも感じる。主人公の生き方から、現代のフェミニズムに近いものも読み取れた。
画面全体が大胆な暴力で支配されながら、色彩の使い分けで細かな内面描写も行うといった繊細さも感じられた。前作よりも理解の難易度が下がった印象は受けたものの、上質な娯楽であることには変わりない。
撮り方に一切の無駄がなく、終始緊張感を保ちながら観ていられる。陰影のなかで反社会的な行いをする様は、ある種の背徳感を覚えた。俳優陣の声や仕草も一つ一つが魅力的で、ヤクザらしさが全てに詰まっている。
個人的に興味がある分野が題材だったので、知的好奇心でずっと観ていられた。天才ゆえの苦悩や内に秘めた狂気が、白黒の映像で恐ろしくも魅力的に描かれている。実際の数学や脳科学に準拠しているのも好印象。
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難解すぎない法廷劇を軸にしつつ、魅力的な描写と衝撃の展開でドラマチックに楽しめた。また、笑いと恐怖の不可分性を超えて、司法の穴に対する問題提起も垣間見える。鑑賞後に巧みな構成や伏線に気付かされた。
時代遅れだがどこかかっこいいSFの世界観と程よい緩急の付け方で、最後まで楽しめた。人間社会に対する問題提起などは、他の監督作と似たものを感じる。また立場などは関係なく、どのキャラにも好感が持てた。
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おしゃれな街並みと主人公が交差する姿はまさしく絵画のようで、ロマン溢れる描写に魅了された。人生観や恋愛のあり方に対するメッセージも共感できる。偉人たちの生涯や作品を知った上で、再度鑑賞したい。
緊張感と残酷さの演出に加え、物語として成立するような進め方も非常に巧い。西側諸国の身勝手な振る舞いや、根本的解決に繋がらない実態には悲しみと憤りを覚えた。現実からは目を逸らせないと痛感させられる。
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試行から反映の速さや時間旅行の描写など、他では味わえない独自性に魅せられる。最後は感動したものの、個人的にはもう少し知的好奇心が上回る結末も観てみたかった。とは言え解釈の幅の広さもあって、存分に楽しめ>>続きを読む
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アニメの特長を生かした色彩あふれる描写に加え、実写のような生々しさが伝わるシーンにもただ魅了される。片想いの様子が女優業に重なる箇所も見事で、主人公のひたむきさには心打たれた。話のテンポも完璧。
古代エジプトの繁栄や「奇跡」に関する描写は、時代をそのまま持ってきたようなリアルさを感じられる。物語は良くも悪くも旧約聖書に忠実という印象を受けたが、現代社会に通じるような教訓も得られた。
実話を元にしていながらも、ドラマチックな展開に圧倒された。女性側が守られていないという社会の現状に、強い憤りを感じる。また、普段見落としがちなジャーナリズムの重要性についても、深く考えさせられた。
サスペンスでありながらどこか笑えてしまう、キューブリック作品に通じる魅力を感じた。隔離された街における恐怖が、映像からひしひしと伝わる。登場人物にも全く同情ができないのに、なぜか観続けてしまった。
アーミッシュという集団のアメリカにおける存在や、その暮らしののびやかな描写に魅了された。内部から追われる刑事の緊迫感に加え、彼が徐々に異文化を理解する様子も楽しめる。映画としてバランスが良い。
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アニメ映画としての質の高さに加え、実写との融合からも核攻撃の恐怖を生々しく感じ取った。夫婦の会話から当時の価値観も知れて、興味深い。日常で忘れがちな脅威の向き合い方について、強く意識させられた。
息を飲むほどの壮大なスケールと多くのテーマを含んだ物語により、最後まで釘付けになって楽しめた。「歴史から学ぶ」ということを体現したような作品といえる。宗教まで入れ込んでしまう手腕にも脱帽した。
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終盤まで進んで初めて、前半のタネの仕込み方がいかに計算されているか気づかされる。全て警官側による私怨という設定が斬新で面白かった。その他の登場人物にも魅力があるので、サイドストーリーも観てみたい。
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白黒とは思えない鮮やかなショットが強く印象に残る。主人公が堕ちぶれる描写は、監督の作品に共通するメッセージと恋愛の要素が重なっていて、こちらまで心が痛む。人間の欲望についても強く考えさせられた。
安いコメディーかと思いきや一気に緊張感を高めるなど、観る側へのコントロールが非常に巧みで全く飽きない。皆が求める画を直球で描写してくれる点からも、タランティーノ監督の映画愛を感じる。アメリカの古びた劇>>続きを読む
アメリカらしいコメディ要素がたっぷり詰まっており、深く考えずに楽しめるが深く考えても楽しめる。BTTFより「今」にフォーカスしている点に共感できた。余計な説明が一切なく、ループものの教科書と言える。