ぴよさんの映画レビュー・感想・評価

ぴよ

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東京画 2K レストア版(1985年製作の映画)

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食品サンプル工場の面白さに対して、竹の子族の退屈さ(通俗さ)が際立つ。

「天使」のまなざしのように東京を見つめるカメラに同化させられ居た堪れなくなるが、当時としてはパチンコやゴルフに興じる人々もホモ
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洗骨(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

芸人の監督らしく「ボケ」と「ツッコミ」が絶え間なく続くが、その応酬によって「主観」と「客観」、「わかりあえないこと」と「わかりあいたいこと」、そして「生者」と「死者」の境界線が融和されていく。

撮影
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流麻溝十五号(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

突出したシーンは無いものの最後のたたみかけが見事だった。エピローグはずるい。

観客を信頼してるのが伝わってくるが、冒頭でもう少し歴史背景を説明したほうが誤解を招かない気がする。翻せば、台湾の観客は自
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処刑前夜(1961年製作の映画)

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(デジタル)
たまにある日活のど真ん中社会派映画。上映機会が少なく、殿山泰司が出ている点に期待して観に行ったが良かった。

モチーフを「壁」に絞り、死刑囚の絶望が変奏される。

宇野重吉が秀でて素晴ら
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カノア 恥ずべき事件の記憶(1976年製作の映画)

5.0

50年以上前にメキシコの山村で起きた虐殺事件の再現なのに、現代のアメリカや日本、そして世界中で起きているだろう事象の暗喩になっていて恐ろしい。私たちが最近見聞きしていることとあまりに類似している。デマ>>続きを読む

アルカルダ 鮮血の女修道院/愛欲と情念の呪われた祭壇(1977年製作の映画)

5.0

ずっと面白い。

ショットと編集が素晴らしく飽きさせない。やはりホラーやサスペンスは観客に疑問を持たせないスピード感が大事だ。

石窟寺院みたいな教会のセットや全身タイツみたいな修道服もハイセンスだっ
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ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

5.0

(35mm)
部屋の中の会話からわずかに読み取れる背景。

登場人物が自然体なのにカメラポジションは配慮してるのが面白い。

けっこう寝てしまったので、リマスター版の上映があれば観たい。

ワン・ビン
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魔女の鏡(1962年製作の映画)

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すべての登場人物の動機が不明なので何も入ってこない。

検体の前で記念撮影してSNSに上げた不道徳者を思い出したが、60年後にいきなり風刺の効果が生まれる現象は面白い。

顔に包帯を巻く映画を2本連続
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死後の世界の謎(1959年製作の映画)

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映画の中で起きてる事象が意味不明なので退屈ではあるが、セットや演出がしっかりしていて見応えはある。

「映画の中での理屈は通してるが、本当は何があったのかよくわからない」というホラー映画の醍醐味もある
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劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師(2024年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

パロディがパロディのままではいられない時代になってしまったと嘆息する。剣呑である。

作画アニメーションのクオリティとしては突出しているのではないか。画面の情報量を増やすことが「面白さ」に比例するわけ
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不法移民(1955年製作の映画)

5.0

あまりにも現代に響く内容。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』もいいけど、本作みたいな映画もMoMAに入れてほしいと思った。

スクリーン・プロセスが大活躍してる。

ダイナーのロングショットの緊張感
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サント VS 吸血鬼女(1962年製作の映画)

5.0

(上映邦題『エル・サント対吸血鬼女』)
あくまでフィジカルで闘うサントから目が離せない。覆面レスラーの魅力が詰まってる。ヒーロー特撮の味わいも散りばめられていて楽しい。

サントのヒーローとしての活動
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あみこ(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『ナミビアの砂漠』に比べると作為が目立ってしまうが、裏を返せばちゃんと上手くなってる。

新宿と池袋のシーンは主人公の緊張感が伝わってきて面白い。(撮影もぶっつけ本番だったようだ。)

「大衆文化の女
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官能(1951年製作の映画)

5.0

ヒロインが京マチ子みたいだと思ったら、ちゃんと志村喬が出てきた。

女性自身が女性性を使って復讐する話だが、性別だけでなく出自や人間関係の格差まで視野に入っており、今こそ社会批評として生きてくる。
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灰色の自動車(1919年製作の映画)

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中間字幕が文芸的で、さながら観る小説。

現代日本の広域強盗とやってることは同じで、毎度ながら日本の衰退を憂う。

犯罪者が死ぬ時だけ出血過多。実際の処刑映像が用いられたり、オチで盗むより働けと説教し
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囁き(1976年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

過疎化する農村に残響する声。

秘められた公式(1965年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

牛の屠殺。カウボーイに捕まる男。ジャングルジムに積み重なる神父。張り巡らされるソーセージ。HIROSHIMA。TOYOTA MOTOR。

マゲイ(1962年製作の映画)

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テンションが高く、岡本太郎っぽい。

マゲイとは竜舌蘭のこと。

紅いコーリャン(1987年製作の映画)

5.0

詩的な空間が戦争によって現実へと拓かれる。

居住者の残酷さと入植者の残忍さ。抵抗としての政治。生きるために死ぬということ。宴。

紅夢(1991年製作の映画)

5.0

久しくなかった面白さで圧倒されてしまった。

堂々たるシンメトリー。

建物と調度品が緻密なので、可能なかぎり大きいスクリーンで観るべき。

夜の心臓(1984年製作の映画)

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(35mm)
全裸の逃走劇。

マッサージを受けるまでの流れは面白い。

マリアカンデラリア(1944年製作の映画)

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日本にも負けない村八分の話。

語り部の白人による、金で女を裸にしようとした自分が悪いのではなく、文化を理解しない未開人たちが悪いという驚きのロジック。みんな悪いよ。

敵役で出番も多いのでミゲル・イ
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港の女(1934年製作の映画)

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主演のアンドレア・パルマの所作はマレーネ・ディートリヒに影響を受けているとのこと。納得。

兄との再会は劇中でのフリが無いので唐突感がある。

キリスト教の葬送と土着信仰の騒乱が辻で混じり合う。

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ランチョ・グランデへ急げ(1936年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

(35mm)
通俗的な展開だが後半で一捻りある。

昨今話題の性加害の手口がそのまんま披露されて唖然としてしまった。

かなりの数がある歌唱シーンは凡庸で映画としての面白みは薄い。

ラストの大オチは
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菊豆(チュイトウ)(1990年製作の映画)

5.0

撮影がずっと素晴らしい。

「悪い性加害と良い性加害」みたいな話だが、見落としがちな「個別の事情」を丹念に描いているとも言える。そして、被害者を追い詰めるのはいつも社会である。

フィルム上映で観たい
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機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-(2025年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

(IMAX)
前半要らなくない?

鶴巻監督からの『シン・エヴァンゲリオン』へのアンサーとして読んだが、既存IPではなくオリジナル企画で観たかった。

エナモラーダ(1946年製作の映画)

5.0

メキシコの政治と文化が凝縮されたような映画で必見。ロケ地のチョルーラに行きたい。もう一度観たい。

忘れられた人々(1950年製作の映画)

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(デジタル修復版)
差別や貧困、ハラスメントや強盗殺人など現代日本で起きてることと変わらず気が滅入ってしまう。

教育や福祉の大切さを教えてくれる。

夢の演出はさすがブニュエル。正しいスローモーショ
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ソニック × シャドウ TOKYO MISSION(2024年製作の映画)

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邦題にナンバリングが無いので、3作目なのを知らなかった。2作目観てないけどストーリーの理解に支障はない。

治安はアメリカ、資本は中国に握られた近未来日本という印象。たぶん大阪にはジョン・ウィックが来
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マカリオ(1960年製作の映画)

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日本昔ばなしや週刊ストーリーランドみたいな話だった。仏教説話のようでもあり、世界中に似た伝承があるのだろう。デスノートみたいな展開もあり、思えばあれも寓話っぽい。

悪魔の証明で悪魔を証明するのは初め
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パンチョ・ビリャと進め(1936年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

戦場の描写が軽いので油断してると、軍隊の残忍さを容赦なく見せてくる。革命の美談を全否定する矜持がある。

カットされた追加の結末が妻と娘を殺されたうえで、自分も殺され、おそらく息子は兵士として使い潰さ
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犯罪者の手(1951年製作の映画)

5.0

詐欺師と殺人犯の駆け引き。

殺人を問答無用に所与の重罪としてるのが良い。

運命が決まるシーンだけ顔を大映しにする正しさ。セットも素晴らしく、アオリや俯瞰のショットも活きている。

文盲の貧しい女性
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ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ(2024年製作の映画)

5.0

あるワンカットが素晴らしかった。

「メタ映画」であることに変わりはないが、「アンチ映画」の領域にまで足を掛けていた前作よりは節度があった。

シリアスにせよコメディにせよ、髙石あかりの演技力に依存し
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ランボー 4Kレストア版(1982年製作の映画)

5.0

戦争によるPTSDを描く骨太の反戦映画で驚いた。

この頃の映画はアメリカがトランプ政権へと至る兆しをすでに見せている。

やはり本物の爆発にCGは敵わない。