モノクロな上に第一世界大戦中という時代背景、暗く陰鬱な雰囲気から始まる話だが、最後まで張り詰めた緊張感が緩むこと無く引き込まれる様に鑑賞した。
過酷な運命に翻弄されるカロリーネという一人の女の物語。>>続きを読む
矢口監督の初期の作品。全体的に雑な作りなんだけど、ゆる〜い空気感と主人公の不思議キャラに妙にハマった。こうと決めたら常識に囚われず、もちろん周囲の反対は何のその、ひたすら努力して目的を達成してしまう胆>>続きを読む
家族間の確執って根が深い。でも誰しも大なり小なり心当たりがあるのでは?私自身にもある。そういう意味では心を掻き乱される話かも知れない。でもこの姉弟は激しすぎるんだよなぁ…
2人はどうしてここまで憎み>>続きを読む
インタビュー形式で明らかになって行く報道写真家リー・ミラーの人生の一部。恥ずかしながら彼女の事は全く知らなかった。ケイト・ウィンスレットが演じるなら見逃せないとの想いで映画館へと。実際、とても観応えの>>続きを読む
頭がクラクラしそうな位、想像の遥か斜め上を行く作品だった。若さと美貌が失われた嘗ての大スターが、それらを取り戻そうと足掻き、やがて破滅に至るというよくある話だとは思っていたが、大胆な調理法には度肝を抜>>続きを読む
ロンドンの高級レストランにて。クリスマスイヴの様子をワンカットで描くワンシチュエーションドラマ。面白い試みだが、如何せん話が面白くない。そして高級レストランにあるまじき仕事に対する意識が低い従業員の多>>続きを読む
無愛想だが顧客の為には親身になる街のしがない会計士が、実は腕のいいスナイパーだった!頭脳派(数学の天才)+武闘派というある意味最強の男が主人公なので、人間離れし過ぎて深みの無い話では?と先入観を持った>>続きを読む
恐らく地元での職を失ったのだろう。アラスカに新天地を求めて、僅かな所持金で愛犬ルーシーと車で移動するウェンディに次々と不運が襲いかかる。オレゴンで車が故障する所から始まり…。そんな状況下でも温かく接し>>続きを読む
人生の節目での選択がその後を左右する事は誰しも実感している。そして、あの時ああしていれば…と様々な後悔が付きまとう事も。この作品の人生の転換点に於ける視点はユニークである。自らの選択では無く、些細な偶>>続きを読む
子供を失った悲しみはずっと癒えることは無い。原因を作った者を恨んだり、自分にも落ち度がなかったのかを延々と問い続ける。まさに出口の無いトンネルだと思う。
もしかしたら10年前に姿を消した息子が何事も>>続きを読む
壁の先には壁が、それを越えるとまた更なる壁が…という気の遠くなるような世界。アメリカ人のジョイ・ウーマックがどうしてロシアのボリショイ・バレエ団に拘ったのか? 劇中では語られないがwikiを見ると子供>>続きを読む
ホラー映画の体をとっているが、内実は宗教を真っ向から否定する作品だと思う。信仰心の厚い人が観たらどう感じるのだろうか。個人的には無宗教なので、リードの唱える宗教に於ける異色の視点、例えばモノポリーにな>>続きを読む
子供の頃は毎日屈託なく笑って生きていたのに、周囲からの容姿に対する心無い言葉で次第に自信を失い消極的になって行く。これは主人公レネーの終盤のスピーチでの言葉(確かこんなニュアンス)。
自己評価が低く>>続きを読む
夢があっても20代半ばを過ぎた辺りから現実が見え始め、次第に折り合いを付ける様になる。好きな事はせめて趣味に留めておこうとか…。しかしフランシスは違った。周囲が何と言おうが、自分の才能を信じて疑わず(>>続きを読む
クロエがバカンスから帰ると、預けていた猫が行方不明になっていた!普段は素っ気ないゲイの同居人や近所の人達、お婆ちゃんコミュニティの面々が協力して探してくれる。パリと言えども下町の人情ってあるんだな〜、>>続きを読む
「都会のアリス」は明確な目的を持ったロードムービーだが、こちらは仕事で車を走らせる中、縁があり乗せる事になった男との徒然なるロードムービーといったところか。2人は何故か気が合い旅を続けるが、道中些細な>>続きを読む
期待していたゴシック・ホラー色は弱めという印象。肝心のドラキュラ伯爵は風貌こそ不気味だが、生き血を求めて血眼になる貪欲さには欠けている様に思えた。それどころか彼は生き続ける事の虚しさにまで言及する。「>>続きを読む
1987年のイギリスの小さな町が舞台。サッチャー政権下、失業率が最悪となりパキスタン移民のジャベドの父親も解雇されてしまう。文章を書くのが好きなジャベドの夢は作家になること。でも経済的苦境と移民排斥運>>続きを読む
小津安二郎が’東京物語’で描いた1953年当時の東京は最早どこにも存在しない。ヴェンダースの深い幻滅と呆然とする様子が否が応でも伝わって来る。本作撮影時の1983年と言えば、奇しくもバブル前夜であり、>>続きを読む
最後まで一室で繰り広げられるワンシチュエーションドラマ。舞台劇は余り好みでは無いが、リメイクのオゾン監督作品「苦い涙」が割と面白かったので。オゾン作品が軽妙なタッチなのに対して、こちらはどこまでもシリ>>続きを読む
原題は私生児を意味する。ケーレンの父親は領主で母親は使用人。コンプレックスとプライド、これらの複雑な感情が原動力になったのだと推察する。庭師から大尉にまで出世、今度は誰もが匙を投げて来た不毛の地の開拓>>続きを読む
ポップ感が炸裂する Girls Just Want to Have Fun の爆発的ヒットと、その後の対照的なバラード Time after Time が人々の心を掴んだ事は鮮明に覚えている。特別なフ>>続きを読む
ヴェンダース初期の作品。モノクロ映像が手作り感に溢れ、温か味を感じる。
一行も書けずにNYを去ろうとしていたドイツ人のライター、フィリップ。空港で見知らぬ女性から9歳の娘アリスを託される。彼女とドイ>>続きを読む
ギャングの妻として無為に生きて来たジーン。ある日夫が抗争に巻き込まれ姿を消す。彼女自身も命を狙われ、彼が去る直前に置いていった赤ん坊と逃亡する羽目に。命懸けのロードムービーの様相を呈して来るが、サスペ>>続きを読む
過去のトラウマ(少女時代の大人からの性暴力)から、夫を肉体的に受け入れる事が出来ず、罪悪感を抱くセヴリーヌ。一方で倒錯的な夢や妄想に取り憑かれ苦しむ。彼女の深層心理としては、自分は汚れた存在であり価値>>続きを読む
バレエ+ヴァンパイアという事で、美しい画のホラーを期待したけれど、スプラッター要素が強くひたすらグロいのには閉口した。ヴァンパイア特有の美学も全く感じられない。それと誰が最後に生き残るのかという展開が>>続きを読む
25歳でパリオペラ座バレエ団の最高位のエトワールに選ばれたオーレリ・デュポンの、舞台とリハーサル風景が描かれたドキュメンタリー。前半は古典。ヌレエフの振り付けは素人目に見ても高難度。エトワールと言えど>>続きを読む
コンクラーべに向け世界各国からシスティーナ礼拝堂に集まった枢機卿団。回廊にて、彼らが去った後に床に無造作に捨てられた煙草の吸い殻の山が、キリスト教の腐敗を物語るかのようだ。
これまで複数の映画に描か>>続きを読む
企業のCEOにまで上り詰めたロミーだがある日インターンのサミュエルとの出会いにより、それまで意識の底に眠っていたマゾヒスティックな性向に気付く。そこからの男と女のスリリングな駆け引きを期待したが、薄っ>>続きを読む
詩的な映像のオブラートに包まれているが、中身はとても残酷な話だ。強度のアルコール依存症の父親、子供に性的DVを行う母親の同棲相手。子供より男を優先する母親。こんな辛い状況下でも束の間キラキラ輝く姉弟の>>続きを読む
冒頭からの、40歳を迎えたエリザベートの失われつつある美への執着に圧倒される。小鳥の様な食事にコルセットの無理な締め付け、激しい運動…。嘗てはその美貌で国中から賞賛を浴びるも、時は残酷なもので既に容色>>続きを読む
アルモドバル監督のいつもの赤を効果的に使った色使いと独特の映像に惹き付けられる。本作ではここに青と緑が加わるのが印象的。
自分の死を自分で決めるのは罪なのか?究極的にはここに行き着く。これは各々の道>>続きを読む
人の心の傷みを我が事の様に感じ取る、良く言えば共感力が高いのだが、これが過ぎると生き辛さに繋がるのをベンジーを通してひしひしと感じた。
彼の人間性がかなり複雑。死者に寄り添うあまり感情を爆発させ、他>>続きを読む
マルチバースという宇宙規模のスケールだが、言いたいことは実にシンプル。世の中のありとあらゆる争い事は、愛さえあれば乗り越えられるというメッセージが込められているのだと感じた。
その中心となるのが家族>>続きを読む
大御所作家東十条に酷評されて以来、鳴かず飛ばずの新人作家中島加代子のリベンジ奮闘劇。ただ、この作品は作家として精進する事より東十条憎し!の感情のみをクローズアップしたんだろうな〜。コメディ仕立てだが、>>続きを読む
コメディのジャンルだが、笑い飛ばせないほど深刻な問題を扱った作品。冒頭、DV夫から妻デリアへの凄まじい暴力と暴言に気が滅入る。夫に従うだけの母親に対して、歯痒い想いを滲ませる娘の視線も辛い。
そんな>>続きを読む