rさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ティメー・クンデンを探して(2009年製作の映画)

3.6


映画制作のための役者探しの旅、車中語られる初恋の思い出、去っていった恋人。
"彼女は俺の一生分全ての愛情を持っていったんだ。"その言葉を過去として語る者が、その言葉と今現在向き合っている者の眼差しに
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落葉(1966年製作の映画)

3.8


1966年作品。のんびり屋と上昇志向の青年2人がワイン醸造技師として働き始め、職場のマドンナを巡り繰り広げる日々のささやかな攻防戦を描く。ほのかな恋物語と見せかけ、生産性主義になびく社会を痛烈に批判
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8


母と息子の共依存による呪い。息子の冒険による肖像画とも取れるが、一般的な冒険譚とは逆に、世界は彼が歩を進める度に閉じられ、軋みを上げ、崩壊していく彼の精神と共に不協和音と成す。幾重にも希望が打ち砕か
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.7


物語的に綺麗すぎるとも言える設定を役者の力で超えていく。全てを牽引する杉咲花さんが素晴らしすぎる。感服です。
底に流れ続ける源流がなんとも清らかで、当事者しか知り得ない痛みがスクリーンを飛び越え観客
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そばかす(2022年製作の映画)

3.5


全文系人間の夢を具現化したかのような役の北村匠海に全てをラストで綺麗にすくいとってもらおうとするのはいかがなものかと思ってしまった。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.9


知らないことは棘になり得る一方、自ら相手を知ろうとすればそれは愛になる。恋愛でないからこそ純粋に相手を思う気持ちが際立つ点も爽やかで良いし、夜のような暗さを宿していなければ星の輝きには気付けない、と
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テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.7


その美しさで他人を支配することができると熟知している彼は、どんな欲望に染まった目線でも受け止める。彼は如何なる欲望にも消費されない。むしろそれを享受するかの如く彼自身の輝きは日々強くなる。怪物のよう
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0


「例えば10, 20年後、君は結婚している。結婚当初の熱は冷めてしまい、君は夫を憎み始めている。君は君がそれまでに出会った男たちのことを思い出す。"もし夫でなく彼らのうちの誰かを選んでいたら?" ー
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死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

3.4


都合よく一定の時間フリーズして待ってくれるし、むちゃ強い癖になかなかドアは開けられないのちょっとかわいい。

オープニングタイトルのところテンション最高潮に上がった。ライジング!

死霊のはらわた(2013年製作の映画)

3.3


リメイク版だったと後から気付く現象、ホラー映画にありがち

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.1


自分にとっての快適な領域から一歩踏み出した外に広がる、普段の自分の世界には存在しない人たちで構成される世界。
冒頭、彼女がget lostと書かれたポスターを見つめているカット。鑑賞後振り返るとそこ
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Here(2023年製作の映画)

3.7


作り手がハンドルから手を離し自然の成り行きやカメラにゆったりと身を任せ、自由に歩かせている感じがとても心地よかった。終始気張ってないけど画には美学が徹底して感じられる点も良い。ミクロな緑の世界が静か
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.9


結ばれない運命を切り捨てるのではなく、安易に未練や性愛に仕立て上げる訳でもなく、物語を縁や輪廻といった船に乗せ、大人が抱く曖昧で理屈立てられない感情を抱擁する。繊細な世界をここまで風通し良く描き抜い
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ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)

3.7


前半はいかにもハル・ハートリーが好みそうな偏愛枠プロム映画に見せかけておいて、後半突然ハンドルを切りリンチ風にシフト、そしてラストの謎に爽やかな着地。実にヘンテコな映画だった。

整理して考えてみる
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8


精巧なサスペンス劇は勿論、徐々に明らかになる真実が照らし出す根深き事実、観客の精神を見事に蝕みもたらすこの絶望感とリアルを捉える力…!主観と意志の介在により入替わる事実とフィクションが法廷を舞台に"
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.5


盲目の目撃者が自らの言い分を立証するため宮中を奔走する暗闇サスペンス。"卑しい者は見て見ぬふりをしなければ生きられない"という言葉が意味するところ、全ての人間が持ち合わせる末恐ろしさに震える。事実、
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.7


原題The Quiet Girl。口数の少ない少女は自分の中に湧き上がる色々な思いを感情として形にすること、言葉として紡ぐことを知らない。そんな彼女がケアされることによって初めて愛情を知り、やがて自
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.5


一個人投資家が特権階級に独占されていた金融界に切り込み、熱狂的ムーブメントを生むことで支配層を自分たちと同じ地平まで引摺下ろす迄を描く躍進劇。痛快。21年当時の閉塞感、他者との距離感により"顔も見知
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.8


映画が持つフィクションの力に現実を託すことで、自分を再構築する。世界が広がる訳ではないが、これで大丈夫と頷ける力がある。マトリョーシカもしくは階段だらけの迷宮のようなこの映画の中、迷子になってみるこ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8


素晴らしかったしエマ・ストーンには大拍手だけども、自殺した母親の身体に彼女の子の脳を移植した事実をベラ本人が聞かされても、サラッと受け入れてる点に?とはなったな。本来そこに葛藤とか自己認識の揺らぎ、
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.5


音楽の真骨頂ここにあり。圧倒的な生のパワーが放つ煌めき、輝く海のような汗、鼓動する肉体にひれ伏す。生きることの喜びが全身に満遍なく降り注ぐ、祝福であり奇跡としか例えようのない作品。ナンセンスでも何で
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7


なんとも粋な映画だ!交わり得なかった2人の交流を通し愛を描くも、全く押し付けがましくない。さらっと様々な形の愛を描いているのも心地良い。では映像化の意味は?と考えたけど、漫画っぽさをそのまま二次元化
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.0


雑踏の中に小さな花が人知れず咲いているような。いじらしくそう簡単には手放せない愛おしさがある。愛おしさ。カウリスマキの映画って本当にそんな愛おしさに満ちているな。ひんやりとした寂しさを携えながら。
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8


"毎日がつまらない"とか、"年下と寝ちゃったんだよね"とか、自然と言葉を紡ぎ外に出すことでその物事を消化できる人たちと対面し続けるガミ。
本当は自分だっておなじように自分の中のわだかまりを吐き出した
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