もさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.5

有名な作曲家でもあった夫は未完成の楽譜を遺し、死後までもその存在感によって主人公ジュリーを束縛するかのよう。
ジュリーは全て引き払って、小さなアパートで一人暮らしを始めるけど、愛人の存在まで発覚する。
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ウィザード・オブ・ライズ/嘘の天才 〜史上最大の金融詐欺〜(2017年製作の映画)

4.0

実話を元にした、巨大な証券詐欺の話です。
デニーロの重厚な、凄みのある演技が見応えありました。

長年の不正が明るみに出たことによって、崩壊していく家族の様子が描かれます。
息子2人、同じ会社に居なが
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The Hand of God(2021年製作の映画)

3.8

港町ナポリの気質とでもいうのか、登場人物がみんな濃い。『いい大人』みたいな、取りすました大人がいなくて、良くも悪くも放埓、自分に正直。普段小さく生きている私、観ていてすかっとしました。
愛とは何か、大
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.0

職業訓練校の講師オリヴィエの元に、息子を殺害した犯人である少年が来た…
ところから始まる物語。

タイトルにもある『息子のまなざし』わたしには、亡くなったオリヴィエの息子さんが、(触れる事が叶わぬ父の
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

3.5

自分がなってみて解るけど、母親とはいえ、中身はただの中年女なんですよね。(だから過度な期待はしないで欲しい…)

母親だから完璧に自分の味方でいて欲しい、言わずとも全ての事を解って欲しい…主人公ユベー
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.0

悪どいメンズ、1人だと悪目立ちするだけですが、大勢いるとなんか可愛いく見えてくる。不思議。
それぞれの衣装もかっこいいですし、ストーリーもテンポ良く進んで楽しい。
大麻王の次の座をめぐる戦いが、ドロド
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シャチの見える灯台(2016年製作の映画)

4.0

雄大な海辺の風景、シャチ、白馬…煩雑な日常生活に疲弊した脳をじゃぶじゃぶ洗われるような心地よさを味わえる映画です。

自閉症の子トリスタンと母が、灯台守のレンジャー、ベトの元に押しかける形で始まる物語
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あるいは裏切りという名の犬(2004年製作の映画)

3.0

レオとクランが織り成す、こってりと重厚な権力闘争。容赦ない暴力、裏切りの連続。男の世界…重苦しい空気感を味わいました。

2人がここまで仲違いした経緯の発端は、レオの奥さんだったのかな?過去についての
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.5

イギリスの福祉政策の非情さが垣間見えた映画でした。
大工として実直に働いてきたダニエルですが、心臓病によりあっけなく生活の基盤が揺らいでしまう。
手当を受け取る為の手続きが煩雑すぎる。手当を受け取らせ
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.5

私もお酒は飲むし、むしろ好きな方なので、他人事じゃない…と、半分は苦笑しながら、半分は自分事のように暗澹としたものを感じながら観賞しました。色々と考えさせられる映画でした。

適度に呑めばリラックス、
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セッション(2014年製作の映画)

4.0

褒めて育てる、伸ばすなんて言葉はこの重たい世界には存在しませんね。
音楽の「型」に、強引に人をはめ込むやり方。徹底的に思考や個性やらを排除させられる。
自我、肉体…自分という容れ物を破壊して、他の何か
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.0

いきなり何も聴こえなくなるってキツいだろうなあ、歩いてる時、背後とか見えない所が怖そうだなあ…と、ルーベンの感覚を追体験しながら観賞しました。

彼女のルーの決断も、若いのに立派。と思いました。ルーベ
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消えない罪(2021年製作の映画)

3.5

20年もの服役を経て、罪は償い終えたと考える(ているように私は見えた)ルース、しかし世間はそうは見てくれない。
冷たい世間の中では他人に対する思いやりなんて持てなく、半ば力ずくで自分の居場所を確保しな
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.0

言葉少なだけど訴えかけるような色気のある目線…デニーロはやはり稀有な俳優さんですね。好きです。

昔見た時はデニーロの狂気っぽい所が良いな、と思ったんですが、再鑑賞して、女性に対する不器用すぎな愛情表
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.5

モノクロで無かったら、けっこう凄惨な映像だったろうと思います。モノクロだからこそ余計な色彩に眼がいかず、人の目線の動きとか、息遣いまでもが伝わってくるようで良かったです。

同じ大学の学生が加害者と被
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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.0

神様は人の行いをちゃんと見ていて、コツコツと陰徳を積めば、いつか必ず報われる…などとはあまり信じていない私ですが、この映画を見た後は、「その辺のおっさんの中の何人かが、もしかして天使だったりして…」な>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.5

権力者による支配の為に隠蔽、捏造されていく事実…隕石ではないけど去年〜今年の騒動にも通じる、痛烈なブラックコメディでした。最後に出てくるカプセル、ほんとに存在してそう…と思いました。
登場人物ほとんど
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浅草キッド(2021年製作の映画)

4.0

「笑われるな、笑わせるんだ」
落ち目だと解ってはいても自身の矜恃を貫いた深見、そんな意固地にならなくても…と思いながら鑑賞していましたが、タケがテレビ初出演の時に、深見から受け継いだものを曲げなかった
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.0

閉塞的な環境の中での濃密な人間ドラマが味わえます。
科白のやり取りよりも、交わされる目線や、ちょっとした間のとり方なんかが、何とも気だるくやるせない空気感を見せてくれます。
男らしい男たち、カウボーイ
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.0

アンソニー・ホプキンスの演技が凄まじい。観ているこちらが鬱々となってしまいました。
混濁する記憶に、自身の立ち位置を苛まれていくアンソニー。自我というものはある程度、それまでの記憶や経験によって形成さ
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007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)

3.5

ダニエル・クレイグの逞しい身体つきと、容赦ないアクションシーンにくぎ付けです。ラブシーンもしつこすぎず素敵。

マッツ様はこの頃より今の方が色気があってかっこ良いかな、あくまで私個人の好みです。

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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.7

主人公リーの心の痛みが、観賞しているこちらにまでひりひりと伝わってくる、切ない映画でした。

愛しい者たちの死が、過去と現在をない混ぜにして語られます。リーは過去の出来事に囚われ、自分自身も周りの人た
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みかんの丘(2013年製作の映画)

4.0

生活の横に戦争がある。日本に暮らしてると、その緊張感や閉塞感はなかなか理解し難いものがありますが、過酷な環境の中で動じること無く、淡々と木箱を作り、みかんを収穫する老人の姿に、ある種の凄みを感じました>>続きを読む

とうもろこしの島(2014年製作の映画)

3.7

科白がほとんどなく、お爺さんと孫娘が黙々とトウモロコシ畑で働くシーンがメインの映画なんですが、生きるという行為がいかに過酷なのかという事がじわじわと伝わってきます。
来る日も来る日も畑仕事、流れ着いた
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.9

007シリーズ初観賞でしたが楽しめました。
未鑑賞の時のジェームス・ボンドに対する私のイメージ…スパイ秘密道具を駆使して戦う、女たらしですけべ笑

誤解でした。ボンドはクールだけど正義感と人間味が溢れ
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ある船頭の話(2019年製作の映画)

4.0

山深い川岸で渡し船を営む、柄本明演じるトイチ。近くに建設中の橋、川上から流れ着いた瀕死の少女…トイチの静かな生活は、田舎の村に来た近代化の波によって徐々に脅かされていきます。

まず、山あいの幽玄な映
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クルエラ(2021年製作の映画)

2.5

エマ・ストーンが可愛かったのと、エステラの幼少時の役の子の、瞳がとても綺麗で可愛かった。
ファッション、音楽、ロンドンの街並み…華やかさと退廃的な感じが良かった。エンタメ作品として充分楽しめました。
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彼女は夢で踊る(2019年製作の映画)

4.5

踊り子さんたちの、どこか世離れした美しさ、男の性を受けとめる懐の深さ…と言ったらいいのか、まさにミューズなんだな〜、と思いながら観賞しました。
加藤雅也演じる木下の、現実と夢うつつの狭間、成就しなかっ
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.5

フィンセントを演じたウィレム・デフォーが素晴らしかったです。
あとこの映画で初めて、ゴッホの他殺説がある事を知りました。

ゴッホに限らず、無から有を生み出す芸術家って、例えば私と同じ対象物を見ていて
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セトウツミ(2016年製作の映画)

3.5

家庭に問題ありまくり、単細胞で考えの浅い瀬戸と、クールな秀才内海の、ほぼ言葉の掛け合いのみで進行していく映画ですが、楽しかったです。

夏の夜には花火をしたり、上手くいかない恋愛が、実は三角関係だった
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

3.0

売れないミュージシャン、ルーウィンの情けなさ満載の1週間を追った映画です。

「下手じゃない」んだけど、売れる曲は作れない。自分の表現したい事では食っていけないけど、自分の信念を曲げてまで音楽に携わる
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

4.0

海を目指す余命わずかな男ふたり、マーチンとルディの軽さがかっこ良かったです。
スタイリッシュな画面と、テンポよく進む話に引き込まれます。2人を追う間抜けなギャングたちもクスリと笑えるし、最後登場するギ
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パターソン(2016年製作の映画)

4.5

アダム・ドライバー演じるバス運転手のパターソンの、ささやかな1週間の記録です。
派手な事件は何も起きませんが、個性的な奥さんとの微笑ましいやり取り、可愛い犬(実はかなりのイタズラっ子だった)、毎朝恒例
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コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)

3.5

主人公ニコ、一人の時間をゆっくりコーヒーを飲みながら過ごしたいのに何故か毎回コーヒー飲めない。
行く先々で自分の前に、様々な人が現れては一方的に感情をぶちまけ、何かを押し付けて消えていく。
モノクロ画
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もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジェシープレモンス演じるジェイクの、多分妄想の中の物語です。

ジェイクはファーゴ1に出演していたし、お父さんはファーゴ3に出演していたヴァーガ役の人で、ファーゴ大好きな私には嬉しいキャスト陣でした。
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