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パターソンのものレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.5
アダム・ドライバー演じるバス運転手のパターソンの、ささやかな1週間の記録です。
派手な事件は何も起きませんが、個性的な奥さんとの微笑ましいやり取り、可愛い犬(実はかなりのイタズラっ子だった)、毎朝恒例の同僚の愚痴、バスの乗客たちの会話、小さな詩人との出逢い、行きつけのバーでの小事件…

パターソンはそんな日々の中から浮かんだ言葉を詩にして、書き留めていきます。

バスが道路を走る、ただそれだけのシーンも、詩人(自称)のパターソンは豊かな言葉で表現します。
彼が観ている日常には、同じような日々などなく、一瞬一瞬が新しい発見なのだろうと想像します。

彼の感性がとても羨ましく思いました。
そして、日々の大半を頭を使わず心を込めずルーチンワークでこなし、何か面白い物はないかと外の世界に刺激を求めて無駄な時間と散財を繰り返す…そんな自分を幼稚に思いました。

幸せって、何かを沢山所有するとか、外から与えられる刺激によって感じる事ではなくて、最初から自分の中や傍に存在してるもので、それに気づくか気づかないかの違いなんですよね。きっと。

それにしてもパターソンという小さな街、詩人が沢山いる、いい街だなあ。

心がふわ〜っと軽くなる、心地よい映画でした。
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