ssさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

娘と若い父親の最後の旅。
描写とセリフのひとつひとつが軽いのに重い。
どこまでも清々しい光と画面の色には、どこか寂しさをはらむ。
娘と父が離れていくことを示唆する演出が時間が経つにつれて濃くなり、もう
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

劇場と飛行機の2回見た。
イエジースコリモフスキのバッチバチに画をキメに行こうとする姿勢がゾクゾクと伝わった。タイトルカットまでの赤で染められた映像体験は鳥肌モノ。晩年の映像作家の絵じゃないだろ。
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.6

もう一回観たい。
この脚本でここまで面白く見せられるのはたけしだけだろう。
無邪気にふざけていたと思ったら仲間が死んでいく。波の音が聞こえるほど静かに。
ここまで死を不気味に見せ、ドラマチックさと対極
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.6

相当面白かったな、、、
今見返せばベタな構成なのかもしれないが、たけし演じる我妻のキャラクターと振る舞いにどんどん引き込まれていく。
ちんたら追いかけるコントのような逃走劇も、ギャグにもサスペンスにも
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THE COCKPIT(2014年製作の映画)

4.1

何回でも繰り返し流し観たくなる。
作り手の旅に同乗する観客。
THE COCKPITっていうモチーフがTHE OTOGIBANASHI'Sの『BUSINESS CLASS』に通じてたのだとしたら面白い
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怪物(2023年製作の映画)

4.3

視点のコントロールによってミスリードを意図的に作り、観る側のステレオタイプをあぶりだす脚本構成は上手いなと。坂元裕二は旧態依然として蔓延る二元論的ストーリーの見せ方にメスを入れる、現代的な物語のアップ>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.2

こんな作り方でも映画になるのかと思うほど、ヌーヴェルヴァーグは今見ても衝撃だしおもろい。絶えず中身のない会話と死臭の漂う感じのままラストへ向かう。そこに映画として信じられるものがあるとすれば、徹底した>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

4.3

もう一回観させてくれ。
暗闇の中の色彩と構図、役者の動きにただ魅了された。

2023 #14

東から(1993年製作の映画)

4.3

こんなにストイックなドキュメンタリーがあるのか。
セリフもなく、被写体となる人物が長らく映っていなくてもドキュメンタリーになり得る。
演奏シーンの長回しの神々しさたるや。

2023 #13

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

映画じゃなくてドラマサイズでやれって感じ。
シン・ウルトラマンもそう。

2023 #12

蟹から生まれたピスコの恋(2023年製作の映画)

3.3

ワンテーマ見つけて終了。っていうくらい潔かったな。

2023 #11

郊外の鳥たち(2018年製作の映画)

4.2

ストーリーとかどうでもいいくらい最高な画の連続だった。
望遠鏡から覗いた男児、女児のアップのカットが素晴らしい。あれで恋心を描けるなんて天才。
アピチャッポンと比肩されて過小評価されがちだけど、この監
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.9

バカくだらない中にも映像としての挑戦があった。このクラフト力の高さを見れて十分って感じかな。あとは近年のアカデミー向けなトピックを込めて点数を稼ぎに行ってる感じが気になってしまったが、そこそこ楽しめた>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

トランジションとか、これまで見た事のない演出に挑戦していた。ヒッチコック『めまい』っぽい。
ただ冗長で複雑すぎた。重要な情報をセリフに込めすぎて何度も離脱してしまいそうになる。この手の映画は長いと離脱
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.1

資本主義の転覆劇

前半の資本主義に対するブラックユーモアがたっぷりに詰められたPart1,2がピーク。ここが個人的に脳汁垂れ流しレベルで最高。こんなバカで面白いギャグを壮観な絵とミニマルなカメラワー
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.4

人は譲れないもののために闘争を続ける。
しかし、その重要性に「他人」は気づけない。

かつて親友同士だった、退屈で白痴なパードリックと、賢明で余生を芸術に捧げようとするコルムの闘争の物語。この物語では
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RRR(2022年製作の映画)

4.4

インド版マリオ&ルイージ。
ストーリー展開こそベタだが構成がめちゃくちゃ上手い。ダンスシーンではベタベタな流れにも関わらず興奮のピークに。3時間もの間観客を離脱させないばかりか、その演出にかける熱量が
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AFTERGLOWS(2023年製作の映画)

3.0

ずっと悪夢を見せられているかものようなモノクロの画面。ただのモノクロではなく、木村太一タッチの露光量のキツい絵が悪夢的。
ストーリー展開が散漫な印象で、筋書き上にシーンが存在しそこに演出があると言うよ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.2

モーションピクチャー×完成度の高い音響でバスケ部アニメ作品の完成形にたどり着いている。
マッチアップされた目線での相手の画面構成比で、山王のマッチアップの厳しさを表現していたり、終始ヨリの画面構成の上
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.2

気持ち悪いほどに精巧に計算されて作られたセット、徹底して繰り返される切り返し、見事に配色までコントロールされた画面構成。隙がないほど設計されている空間づくりの上手さ驚かされた。

戦後の栄光にすがるお
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

4.1

この映画を出町座で観られたことをとても嬉しく思います。
Science SARUの気持ち悪く天才的な動画に感服した時間でした。湯浅さん、やっぱりあんたは天才だ。

2022 #43

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

話は面白くないけど、それ以外が何もかも良くて惹き付けられた。フィルムだからこそ撮れた美しい画面も素晴らしい。
『ドライブ・マイ・カー』と同じく、コロナ禍をそのまま描いていたことはこの映画にとってとても
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.5

ストーリーは置いといて、生の動物たちのショットが絵画的にキマりまくってて興奮した。
ストーリーはなんだろう、北欧神話とか関係有りそうな感じだけど、『ライトハウス』みたいに小難しい小ネタと絵画的ショット
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彼方からの手紙(2008年製作の映画)

4.2

面白い。
この変な脚本を成立させる編集とそのテクニックや、適格なショット(役者の動かし方や動線、カメラポジション)。狂気じみた演出も凝られていて面白い。
セリフ回しやオチのつけ方までこの時すでに完成さ
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MAHOROBA(2021年製作の映画)

4.2

最高!面白かったな〜天才か。
繋がってないシークエンスをアニメならではの力技でひとつに繋げていくのも、そのほかの色んな手法も斬新で見てて飽きない。カメの脚キモ〜!

2022 #35

J005311(2022年製作の映画)

3.4

PFF満場一致のグランプリか、、、
全編通して長回しで撮影することで役者の生の動きや表情を捉えることができるとはいえ、カメラポジションやライティングがこだわられてるわけでもなく、ぶれぶれの手持ちカメラ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.3

ジョーダン・ピールの中で一番好き!こんなこともできるのか。
エンタメの中でしっかりと差すべきメッセージを仕込むという上手さが光っていたし、彼のいろんな日本へのオマージュもしっかり受け取れた。ジョーダン
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百花(2022年製作の映画)

3.7

川村元気、監督・脚本大丈夫かよって思ってたけど形になってた。「覚えている」「もう覚えていない」側の関係性が企画の核となっていて、それがストーリーの軸として機能にし、ちょっと泣きそうになったラストシーン>>続きを読む

裸足で鳴らしてみせろ(2021年製作の映画)

3.5

企画の面白さと演者の表情の引き出しの多さが上手さのポイントだと思うが、綺麗に作ることを意識しすぎて事件に繋げるまでの主人公の動機づけやキャラクターの背景が手薄になってる印象。強烈に食らう部分がなかった>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

全体的に「雨」「洗車」「洗濯」によって、登場人物たちが抱える様々なカルマを洗い流していく清算のロードムービーとして語られ、ソヨンが本音を語る瞬間には、「トンネル」「目隠し」「電気の消えた部屋」という視>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.1

ケリー・ライカートの『リバーオブグラス』に継承される、どうしようもない男とすがるしかない女の逃避行。気怠い時間演出とテンポを狂わす編集が今見ても革新的。謎のズームイン/アウトも、肩透かしを食らわされ、>>続きを読む