素潜り旬さんの映画レビュー・感想・評価

素潜り旬

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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

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ラザロと仲良しの青年(小作人制度の廃止を無視してというか隠して村人を働かせ続けた伯爵夫人の息子)の名前がタンクレディで、ヴィスコンティ『山猫』のアラン・ドロンが演じる男(貴族の末裔)と同じ名だった。『>>続きを読む

Endless Waltz エンドレス・ワルツ(1995年製作の映画)

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阿部薫と町田町蔵の解体的交歓に広田レオナが肉体を捧げたみたいなある種のグロテスクな性愛ものだが、それでもずっと観ていられるのはそこに鈴木いずみの物語を投影できるからだけれど、それすらどうなの?とも思っ>>続きを読む

ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ(2023年製作の映画)

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今年一良かったし、こんな西部劇が観たかった。パンフでペドロ・アルモドバルも言っていたけれど『ブロークバック・マウンテン』は羊飼いだし。ペドロ・パスカルが着るパキッとしたグリーンのジャケット、さすがサン>>続きを読む

ゼイラム2(1994年製作の映画)

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DVDを買って3年ほど放置していた『ゼイラム』『ゼイラム2』をようやく観た。森山祐子の魅力ばかりに目がいくけど、だんだん螢雪次朗がやばいよな、と思いなおしてゆく時間へ…黒沢清『CURE』を再見したばか>>続きを読む

ゼイラム(1991年製作の映画)

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DVDを買って3年ほど放置していた『ゼイラム』『ゼイラム2』をようやく観た。森山祐子の魅力ばかりに目がいくけど、だんだん螢雪次朗がやばいよな、と思いなおしてゆく時間へ…黒沢清『CURE』を再見したばか>>続きを読む

SCRAPPER/スクラッパー(2023年製作の映画)

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クソガキとクソ親父がだんだん友情を(愛を、ではない)深めていく過程で、子どもが子どもをぶん殴って怪我させるシーンを映画的な凝り方をした綺麗なショットで撮る必要があるのか、別のやり方があるだろうしこんな>>続きを読む

WALK UP(2022年製作の映画)

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アリストテレス「詩学」よりホラーティウス「詩論」のほうがいまの俺には必要だった、みたいなことが多々あり、その多々に含まれるいくつかが俺の浪費癖を加速させていることに気づくのには時間がかかる。北村一輝が>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

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川合優実の声が良かったし、担任の声が斉藤陽一郎だったことに感動した。

CURE キュア(1997年製作の映画)

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20201013
離れない思考はもはや嗜好と化し至高の作品となった。

20240626

今日も濱口竜介『他なる映画と』に導かれて、黒沢清『CURE』を再見。特典のシノプシスを読んだら全部書かれてい
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晩春(1949年製作の映画)

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小津安二郎『晩春』を観たあと、濱口竜介『他なる映画と 1』を読んだ。映画と本の距離が絶妙で「観てから読む」「読んでから観る」「観て読んで観る」「読んで観て読む」何度も何度も。こんなに楽しい映画本は初め>>続きを読む

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

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『甦る相米慎二』濱口竜介『他なる映画と』を読んだ後に『セーラー服と機関銃』を観るともう凄い。こんなに長回しするんだとか「カメラをどこに(向けて)置くか」という問いをここまで徹底するのか、など発見がたく>>続きを読む

牝犬(1931年製作の映画)

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神戸映画資料館「濱口竜介『他なる映画と』刊行記念 【ラングからルノワールへ ジャン・ルノワール生誕130年】」行ってきた。同じ原作を『スカーレット・ストリート』(1945 ラング こっちがリメイク)『>>続きを読む

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

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神戸映画資料館「濱口竜介『他なる映画と』刊行記念 【ラングからルノワールへ ジャン・ルノワール生誕130年】」行ってきた。同じ原作を『スカーレット・ストリート』(1945 ラング こっちがリメイク)『>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

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短篇におけるエレガンスは自然を、雨が降る水面をどう捉えるか、なのかと思うより早く、映像史におけるすべてのブランコのシーンはシルヴィア(バタイユとラカンの妻)のブランコの引用かもしれないという写真を見つ>>続きを読む

アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

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3Dで観た。モチーフとしても、朗読でも、何度も登場するパウル・ツェランの詩、その詩性と3Dの親和性の高さ!アートフォームとして3Dを突き詰めてきたヴェンダースだからこそで、詩の余白、奥行きを3Dのポエ>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

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何度も反復される「規則」という台詞は、狩り、狩られる関係に結局のところ収束する。その過程においてゲームは情事であるという、普遍的なことを偶然を通して描かれているから、いつの時代に観たとしても素晴らしく>>続きを読む

MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS(2022年製作の映画)

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シアターセブンで宮崎大祐監督『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』を舞台挨拶付きで観た。
ずっと一緒にいたふたりが離ればなれになるたび、大和の風景が終わりかけの地球や火星に見え
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蛇の道(2024年製作の映画)

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高橋洋の脚本にあった不条理さがセルフリメイクではなくなっていて、シンプルに答えがあるものになっていた。あと香川照之みたいなキメキメな顔をしないし柳ユーレイみたいなひとがいないから物足りないけれど、その>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

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『違国日記』は瀬田なつきが監督・脚本・編集でよかったと思う。漫画から丁寧に掬い取られたであろう言葉が台詞として息づいていた。俳優たちのその時々の呼吸とあいまって。出番が少ない染谷くんや瀬戸康史の原作で>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

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予告編からして性愛と複数による行為がメインでゼンデイヤはファム・ファタル?みたいな印象で、『サスペリア』的なとんでもない映画なのだろうと思って実際観てみると、とにかくテニスとテクノでめちゃくちゃ昂る。>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

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HDリマスターのDVDを買ったまま放置、『蛇の道』セルフリメイクに合わせてこちらも観た。前作の駄目さを全部ユーモアで消したような怪作。ダンカンと大杉漣で爆笑。『蛇の道』を見返すことはないだろうけれど、>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

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HDリマスターのDVDを買ったまま、ずっと観ていなかったが、セルフリメイクに合わせてようやく。こんな話は勘弁してくれよと思う。不条理なのが(逆に)せめてもの救いだとしても、こんな映画観たくない。俳優の>>続きを読む

マンディブル 2人の男と巨大なハエ(2020年製作の映画)

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『裸のランチ』みたく超現実なハエだから虫嫌いな俺でも安心して観られた。少し可愛いくらい。冒頭からバディのミスリードで映画の期待を高め、そのままずっとなにかがフレームの中と外で起こり続けるから、気は休ま>>続きを読む

マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)

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台詞は詩そのもの。ポエジーなどではなく。カメラ目線だったり空間に向かって詩を放つ、ポエトリー・リーディング。エンドクレジットやパンフによると、メアリ・デイリー、ガートルード・スタイン、アン・セクストン>>続きを読む

マッドマックス/サンダードーム(1985年製作の映画)

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マッドマックスシリーズではこれが一番好きかもしれないと漠然と思う。続編だけれどファンに媚びておらず、純粋な物語をつくる気持ちが過去作への踏襲を掻い潜ってそこに在る。

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

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エキスポのIMAXで観た。クリス・ヘムズワースが、パンフレットにも書いていたけどソーから離れたがった結果もう誰だかわかんない。笑 つまりは悪役ディメンタスになれちゃっているってことで、役作りがカモメの>>続きを読む

バレエ・メカニック(1924年製作の映画)

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あらゆる反復のなか、花を嗅ぐ女性が現れたときのカタルシスはやばい。
キュビズム展にて。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

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WARNER LARGE JACKET COLLECTION盤で数年前に購入していて、ようやく観た。マッドマックスにはまったくのれないのだけれど、というかまずマッドに興味がないし、というかマックスはマ>>続きを読む

PARKS パークス(2016年製作の映画)

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これ俺、観ている気がする。『BLUE GIANT』の漫画みたいな煮え切らなさがあって、染谷くん見たさでいた俺は面食らってしまった…はず!

関心領域(2023年製作の映画)

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ずっと楽しみにしていた『関心領域』を観てきたけれど、これがodessaやDolbyで観られないのが不思議。さすがの音響だったし、特別なショットや編集もよかったが、ジョニー・バーンの音響体験としては『哀>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

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映画史における「男性のまなざし」による女性の客体化が大量の名作映画の引用とともに講義形式で語られる。全員が観たら世界が少し変わる映画だと思う。タランティーノが『マンディンゴ』を愛した理由もこれを観れば>>続きを読む

美しき結婚(1981年製作の映画)

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坂道での切り返しや会話から別の会話へジャンプしたり、これやっていいんだって何度も思った。同情できない主人公、ただ彼女に振り回されることもなく、ただただ俯瞰で見てしまう出来事の数々が、印象的なカットとカ>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

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母と娘(と売り子)と3人の男、性愛をめぐる会話劇は性愛によって切断され、性愛によって再開/再会する。登場人物の誰もが抑圧され、疑われるもそこに情念はなく、砂浜のようにカラッとしていて、「海辺のポーリー>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

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東出昌大はスキャンダラスなうえ、デビュー当時の大根芝居イジりが根を張り、まじで過小評価され過ぎている。そのうえ、過剰なバズり方をする芝居をすることもある稀有な役者だったりもする。ただ、この『寝ても覚め>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

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原稿用メモ。
第一話 青い時間
エリック・ロメールにおける〇〇と〇〇の関係性。
(俺だけにわかればいいのだ)

第四話 絵の売買
大人は同じことを二度言う。に対する現実の所感。

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

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ロメールが好きだから濱口竜介も好きになったみたいなところがあるから、この『PASSION』との対比なんかはロメールでいうと…とか考えたり、構造を自身で翻訳してみてそこから再構築する、みたいな作り手側の>>続きを読む