さくさんの映画レビュー・感想・評価

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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

飲食店で起こりうるありとあらゆるトラブルが積み重なり、とうとう二進も三進もいかなくなった状態で主人公が電話口でこぼした「本当にやめたい」という願いが、(最悪の形とはいえ)ある種叶えられたので、もちろん>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.1

この映画に限らず、ウェス・アンダーソンの作品でいいなと思うのは、すさまじい情報量で観客を圧しながらも、笑いのツボや泣かせどころが、とてもシンプルなことだ。絵本を読んだ頃に感じたおかしさやさみしさ、暖か>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.9

人生の妙味というような、ほろ苦さ、優しさ、ちょっとしたおかしさなどを少人数の会話劇で描いていて、とてもよかった。
シュールなおもしろポイントも多々あり、客席から笑いが起きていたのも含めて、よくできたコ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.1

古典ミステリの様式美を踏襲しつつ、数手先の展開の意外性で驚かせてくるバランス感覚のよさが伝わってきた。とても好き。

テンポも早いが見せ方がすごく練られているように感じたし、見る人を置いてけぼりにしな
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

没入という言葉が大げさなくらい、さりげなく物語へ入っていって、ずっと画面の中を漂ってるような鑑賞体験だった。

とても心地よく、それでいて見応えがあった。たぶん理由としては二つあって、抑制された演技に
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.0

カメラがずっと人物に寄っていて背景がボケているのが、それぞれを覆うままならなさや孤独、閉塞感といったものに感じられ、うまく表現しているなと思いながら見ていた。登場人物たちが邂逅を果たしたことでピントが>>続きを読む

コンスタンティン(2005年製作の映画)

3.5

人智を超えた存在は人間の営みにとって毒にも薬にもなるというのを、ガブリエルの灰色の羽や、サタンの真っ白なスーツと泥まみれの裸足で表現しているのがいい。

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

2.2

ポンポさんが90分の映画を好むのは余分のない簡潔なエンタメを望んでいるからではなかったっけ。個人の解釈の域だけど、真に面白い映画なら60分でも30分でもいいのだと思う。
この映画は「原作を汲んで尺を9
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.0

監督の中に見せたい画や演出のアイディアがたくさんあって、それらをひとつひとつ繋げてストーリーを肉付けしていったような印象を受けた。
Uの世界、高校、合唱団、家庭など舞台はいろいろありつつも、どこで起き
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.0

ネタバレを避けながらうまくまとめるのは難しいけど…めまぐるしい時代の変化とともに、新劇場版エヴァも違う表情を見せていて、それはQの異質さからも明らかだと思う。「シン」はあれから10年経った今だからこそ>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.7

展開の全部が全部、現実ではあり得そうもないからこそ、この物語を物語として消費してしまいそうになる。さらに乱暴な言い方をすれば今やいわくつきの一本になってしまったから、いっそう面白おかしく観れてしまう。>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.8

この作品は青と赤、印象派と表現主義、英語とフランス語、クラシックとポップス、都市とベッドタウンなど、2つの異なるイメージを数多く配置している。
マティアスとマキシムの関係に同調するように、それらが揺ら
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.7

時系列を行ったり来たりするので、確かにストーリーラインは複雑。とはいえ時間逆行時のカメラワークや音楽の使い方、台詞などのつくりが細やかで、むしろ親切だと思った。
仮にお話の流れが分からなくなってしまっ
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ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)

3.2

すごく良かったからこそ、惜しいところも目立つなあと思った。

前半から中盤、あらゆる要素が気持ちよく噛み合っていた。学生たちの焦燥や諦念、寮への言い表せぬ思いをこれ以上ないくらい表現していたと思う。
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.8

自分という国の中に全共闘の記憶を包摂し、今日まで生きているから敗北ではないという趣旨の言葉が印象的だった。芥氏の現在を異常や悲惨と形容する人もいるかもしれない。しかしながら闘争が収束したくさんの人々が>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.5

早逝した俳優と少年の、6年にわたる奇妙な文通。2人の孤独の共鳴をインタビューの体で想起する。

想像より見やすくあっさりしていた。
ふたりの母親との確執、そして和解がどっちつかずな印象だった。母親の描
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劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)

3.2

まさしく同窓会映画。懐かしのスタッフたちが一堂に会して、あの頃と変わらない熱意でまたアニメを作る。点がつながり、線になって、できた円の中に自分も飛び込む感覚をテレビシリーズぶりに味わった。
完成した映
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ピーターラビット(2018年製作の映画)

2.5

笑わせ方がポップというか直球だなと思ったらアメリカの監督だった。たしかに英国式ならもっとブラックというかシュールな仕上がりになりそうで、それはそれで観てみたいかも。

うさぎのピーターが「亡き母のよう
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.0

富士急にある「高飛車」みたいな映画だった。
最初の儀式まではいつ落ちるのか(奇しくもダブルミーニングだ)焦らされて、ハラハラヒヤヒヤしながら観たが、いざ祝祭が始まってしまえばもう止まらない。
旅行者が
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ANIMA(2019年製作の映画)

4.3

アニマは男性の中に存在する女性像、ひいては自らが内包する女性性を指すらしい。
現代社会の表象を交えながら、どこにもいない女性を追いかけ、愛し、個の物語へと収束していく。骨太でロマンチックで、滲み入るよ
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