てつじさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.0

二人が本当に向き合った僅かな時間、孤独な寂しさに寄り添う一瞬の心を描いた作品です。優しく包み込むように抱きしめる菅田将暉と趣里の涙は暖かかった。

靴みがき(1946年製作の映画)

3.6

白馬の視点が神の視点であり、距離感を保ちながら、人間の愚行を冷徹に観察している神の視線なのだと思います。物言わぬ神、審判を下さない神。デ・シーカ監督の距離感。

恋は緑の風の中(1974年製作の映画)

3.5

少女から大人へ、さなぎから蝶になる原田美枝子の瞬間を掬い取った貴重な作品。心と身体のアンバランスな戸惑いを、佐藤祐介が瑞々しく好演しています。アリス〜黒い瞳の少女〜名曲です。

最も危険な遊戯(1978年製作の映画)

4.1

松田優作のアクションスターとしての気質を遺憾なく発揮した快作!伝説のスナイパー鳴海昌平を、並外れた身体能力とスピードで、破壊的な暴力の化身として演じきった。名画座に何度も通ったな!熱狂的に好きな作品。

パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)

1.5

猿軍団はおもしろかったけどね…。
岳龍・康は、聰亙・町蔵の頃のまんまだった。還暦過ぎているのに、放出するばかりでは勿体ない。貯金は使った方がいい。

The Witch/魔女(2018年製作の映画)

4.0

戦闘態勢にスイッチが入った瞬間から猛スピードで展開していく強烈なガンプレイの凄まじさ。少女の人間を超越する圧倒的な能力の開放は、覚醒後の第2部では超能力者へと変貌していくのであろう。銃の必要性は無くな>>続きを読む

キラー・エリート(1975年製作の映画)

3.4

確かに、フィルムの向こうから、いつものペキンパーの威勢のいい啖呵は聞こえてこなかったが、言われる程悪くはない。ペキンパーの鉄砲玉ボー・ホプキンスが一気に準主役級に昇格、随所に見せ場を与えられ、嬉しかっ>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.4

全く想像出来ないラストを迎え、トリッキーな罠はオープ二ング前に、すでに仕掛けられていた事に気がついた。凄い才能に出会えましたね、アリ・アスター監督注目すべし!

アラモ(1960年製作の映画)

4.4

圧倒的なスケールで、正義に殉じた男達の壮絶な死に様を描く。メキシコ軍が奏でる"皆殺しの歌"は、全滅の緊張感がピンと張り詰めた空気まで見事に映し撮った名シーン。リチャード・ウィドマークに夢中だったな!義>>続きを読む

蘇える金狼(1979年製作の映画)

3.4

大都会PARTⅡ「野良犬の恋歌」という傑作で出会ったトリオ。松田優作、村川透そして風吹ジュン。優作・村川コンビ作品の最高のヒロインは、やはり風吹ジュンです。この作品でも見事に優作を喰います。

芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.8

永遠に刻まれる青春時代の記憶。鮮明な芳華と煌めきの匂い立つ眩さ。赤色の鮮やかな時代とテレサ・テン。青春のその後を20年描く事により、芳華の時間が緩やかに現在に至るまで繋がっている奥行きの深さ。絶賛しま>>続きを読む

一条さゆり 濡れた欲情(1972年製作の映画)

4.1

女たちの微笑みの裏側を、艶やかに虚飾する舞台。ストリップ劇場の熱気と、澱んだ空気と埃の匂いまで描ききった秀作。観客に媚びず、おもねる事なく独自の作家性を貫く神代辰巳監督の渾身の一作、人間臭い邪心をドロ>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

3.8

志乃の独白と、かよのステージ。心の解放にはまだまだ時間がかかりそうですが、ここからですね。恋愛のない青春ですが、これがリアルな青春だと思います。

西銀座駅前(1958年製作の映画)

2.6

小沢昭一と西村晃のだらしない小悪党っぷり、小者感を漂わせながら、コソコソと動き廻る生命力の強さが、この作品の要になっている気がします。両雄の鉄板の名人芸ありきです。フランク永井の低音の歌声が耳に残る。

町田くんの世界(2019年製作の映画)

3.9

賛否分かれるラストかも知れませんが、ここに至るまでに、すでに町田くんの優しさに、心を鷲掴みにされていましたので、私は肯定派です。素敵なファンタジーでした。

盗まれた欲情(1958年製作の映画)

3.5

旅芸人一座の芝居小屋に集う人々の人間讃歌を謳い上げる。描かれるのは、どこか土臭くしぶとい、バイタリティ溢れるエネルギッシュな生命力。日本人の逞しさであった。タイトルの意味はわからない。

果しなき欲望(1958年製作の映画)

3.7

欲に取り憑かれた者たちが、いかにも人間臭く滑稽であり、傍観者にとって、自己中心的な人間の行動はシニカルな喜劇として映る。おおらかな人間讃歌。

ある戦慄(1967年製作の映画)

4.0

昔、TVの深夜枠で鑑賞した時、その時間帯が劇中で行われた戦慄の時間にぴったりであった事を思い出しました。人生に疲弊し、諦めている人々の無情の重苦しさを的確に描写している秀作です。深夜鑑賞お薦めします。>>続きを読む

怪獣大戦争(1965年製作の映画)

3.0

X星人土屋嘉男、水野久美の怪演が作品を成立させている。飼い慣らされ、操られているキングギドラに魅力は無いが、多くの人がゴジラの勝ちとしている今作は、贔屓目にみても痛み分け、見方によってはギドラの勝ちで>>続きを読む

三大怪獣 地球最大の決戦(1964年製作の映画)

3.8

身構えるゴジラの視線の先、夜空の雲の切れ間から登場するラドン。金星の文明と科学を焼き尽くしたキングギドラが、炎の中から誕生する神秘性。この作品の印象は『キングギドラ対モスラ』ですね。怪獣プロレス実況女>>続きを読む

組織(1973年製作の映画)

3.5

70年代を代表する名バイプレイヤー達を集結させた夢の作品。傍役好きのマニアックなファンなら、垂涎もののキャスティングですね。クセ者たちだらけで嬉しくなっちゃいました。特にシェリー・ノース良かったな!

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

4.3

ヴィスコンティの美学の極み、心血を注ぎ混んだ傑作。ロミー・シュナイダーの気品を備えた圧倒的な存在感は、4時間全て絵画のような完璧な構図の作品の中でも、やはりずば抜けている。雪降る馬車のロミーの横顔の美>>続きを読む

約束(1972年製作の映画)

5.0

雪の日本海、灰色の波光、冬の鴎、海の螢。公園ベンチ、岸恵子の横顔。黒のトレンチコート、線路を走るショーケン。ハイライトの煙、ラーメン一杯120円の時代。どのシーン一つ取っても、色褪せる事のない傑作です>>続きを読む

カノン(1998年製作の映画)

2.7

キリキリと神経を逆撫でする居心地の悪さと、不協和音が醸し出す不穏な暴力の強さは、ギャスパー・ノエの作家性の真骨頂であった。一般受けは難しいかな?

ゴジラVSキングギドラ(1991年製作の映画)

3.0

深海に横たわるキングギドラの亡骸、漆黒の闇に照らし出された色あせた黄金色の藻屑。これだけで十分です、人間描写の出来は語りません。

美女と野獣(2017年製作の映画)

3.9

名作アニメの世界観をまるごと実写化。かなり高い筈のハードルを簡単に超えていくディズニーの底力。アニメに勝るとも劣らない名作です。もっと評価されて良い作品ですね。今回は吹替版。

エド・ウッド(1994年製作の映画)

3.2

ベラ・ルゴシを演じた、マーティン・ランドーが極めて秀逸。かつての名優のプライドと繊細な野心を、重厚かつ軽妙に演じていました。演技の重量が他の役者と明らかに違います。

フィギュアなあなた(2013年製作の映画)

3.0

歓楽街の赤いネオンの乱反射に炙りだされた闇。傷だらけの男の前に舞い降りた天使、フィギュアの佐々木心音の慈愛に癒されました。石井隆監督の追い求めたロマンなのだと思う。

累 かさね(2018年製作の映画)

3.0

容姿と演技力にコンプレックスを持つ二人の女優の役を、確かな演技力を持つ二人の美人女優に演じさせるというパラドックスな面白さ。見るべき重心は劣等感に苛まれている演技の方にあるのだと思う。

ヴィジット(2015年製作の映画)

3.3

背筋が凍る恐怖の瞬間に、全ての違和感が繋がるように配置された伏線の回収の上手さ。人権保護の観点からか、かなりアブナイ題材に配慮して、純粋なホラーに徹する事が出来なかった印象を受けました。

西部の人(1958年製作の映画)

3.5

生贄ジュリー・ロンドンの悪夢が、この作品の屋台骨。クーパーはこの女優に見事に喰われた。

さすらいの青春(1966年製作の映画)

3.7

森の中の野原の散歩、逆光線のハレーションが、ブリジット・フォッセーのブロンドの髪の輪郭を鮮やかに映し出します。たった2〜3秒のワンカットですが、神が宿った見事な撮影です。それだけでも、この作品を後世に>>続きを読む

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.7

全編怪獣バトルだけで良い。怪獣たちの圧倒的な破壊力の前には、人類はなす術もなく傍観する事しか出来ないのだから。暴竜ギドラと覚醒ゴジラの覇王を賭けた闘いの超弩級な迫力は申し分なし。最優秀助演女優賞 モス>>続きを読む

LOVE【3D】(2015年製作の映画)

3.4

例えば小津監督の『早春』にこの作品の過剰な性描写を当て嵌めて想像してみたらどうだろう。性描写が規制されていた頃の美しい悲恋物語も全く印象の違う作品になってしまいますね。あえて使い古された題材で描く意味>>続きを読む

山猫(1963年製作の映画)

5.0

この作品以上に贅沢で、豪華絢爛な作品に出会った事がありません。1時間に及ぶ晩餐会と舞踏会は、映画史上燦然と輝く名シーンです。何度観ても凄い!没落貴族の矜持と退廃、全てを受け入れて祈るパート・ランカスタ>>続きを読む

居眠り磐音(2019年製作の映画)

3.8

無言の演技の芳根京子の凄さ。雪の南天、口元の僅かな微笑みと匂い袋。覚悟と想いを眼に宿らせた沈黙の心の声。演技力が抜群なのは承知していましたが、ホント抜群でした!