324さんの映画レビュー・感想・評価

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.8

習慣で形成される人の涯。日常により隔たる外界。役所広司演じる主人公本人の自己満足・自己完結に対する意見は何も無いが、果たして創作者側がそれを慎ましき美・善のようなものとして映していいものか。充足感より>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

所有と自由意志、エゴ。イノセントに見せかけて、個人主義的な主張を述べるマシンのよう。世界の広さを映さんと多用される超広角。be my wifeという言葉のパンチ。

天使の影(1976年製作の映画)

3.6

退廃、悶え、嫉妬。ロングショットとドリー。

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.8

孤独のシェアという共生・パートナーシップ。不寛容。望遠、ナメ、フレーム内フレームの寄り添わない隔たり感。カウリスマキっぽい瞬間あるね。

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

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映画観て今まででいちばん泣いた。
ただの玉入れ遊びではなく、赦し、鎮魂、救済、再生。それぞれの立脚点としてのFIRST。

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)

4.0

生活。何を成して何を生産するか。土いじりをやりだしてから俄然おもしろくなる。知識階級から労働者階級へ。インテリジェンスからフィジカルへ。青い春、赤い季節、河原や山を駆ける青春、強く記憶に残るよ違和感溢>>続きを読む

一番美しく(1944年製作の映画)

3.8

個や自己実現でなく、戦火の国への忠義・奉公のための労働讃歌。外的動機付け。全員、善人(日本国民として)。一握りの故郷の土を踏みしめる。挙がる左の怒肩。筋骨薄弱、疲労、脱落。ひとり残業検品。親を思い、涙>>続きを読む

豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

4.3

薄幸、疲労感、寂れた男2女2。後のホン・サンスに比べると感情の発露は少なく、いい意味で普通に映画的展開。ショットも無造作ではなく、形式的にしっかり構成されている。しがない創作者というキャラクターはここ>>続きを読む

ヴォイツェック(1979年製作の映画)

3.7

元より医師の診断で狂人とされる者が怒り、嫉妬でハイスピード殺人。それはそうだろとなる動機付けに行動。阿保と扱われもするが演劇特有の語彙力もあって人物像が掴みにくい。オープニングの謎トレーニングがピーク>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

3.8

厄災・疫病を運ぶ者としての怪物。旅する棺。濃霧や鼠色一色の曇天波打ち際のショット、ベタ当てっぽいハイキーのライティングが良い。多用される手持ちの移動撮影。

シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

4.4

破滅逃避ドライブ。ラストシークエンスすごく好き。適当に停車した地方の飲食店と駐車場のあの雰囲気。お金入れると踊るチキン、カモやウサギ達のプリミティブ音楽と労働の虚無感。無人リフトの哀愁。マンション中庭>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

3.7

ませガキのジュブナイル。性欲の起こり。社会的な力の圧倒的不足。自己実現のゴールも女。見る、触れるステップアップ。窓越しや路上で年上女性へ送る視線。田舎パートは良い画が多いが、他のアルメンドロス作品と比>>続きを読む

サンタクロースの眼は青い(1965年製作の映画)

3.8

主題や技術うんぬんよりキャラクターがクズすぎておもしろい。新年の夜、くわえタバコにパーカー被って「売春宿」と大声で連呼しながら街を歩くの、めっちゃ嫌な奴すぎる。万引き、コスプレセクハラ。ダッフルコート>>続きを読む

わるい仲間(1963年製作の映画)

3.8

面白きこともなき街を面白く すみなすものは心なりけり。移動撮影、男2女1、街歩き、カフェ、ダンスホールとヌーヴェルヴァーグ的な表象に最低すぎる人物像。子持ち女を相手に腹いせ財布泥棒と、翌朝の顔面自画自>>続きを読む

コンクリート・ジャングル(1960年製作の映画)

4.2

核となる大仕事である強盗シーンをごく簡潔に省略して、その前後の顛末と往来を描くのが良い。破滅的・技巧的。上下前後左右への移動撮影、音楽の使いどころ上手い。粒立ったクセ脇役。往復する映画は面白い法則。

(2023年製作の映画)

4.2

毒々しいパワーゲームに笑い。ほぼ『アウトレイジ』。出世欲だけでなく男色の愛憎が行動原理になっているのがおもしろい。木村祐一が静かに刺されるショットに北野武味を感じる。

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.8

「ダサく不器用で真っ直ぐ」的に形容されるヤバさと痛さの集積。そんな直球という球種の追究。「赤が好き」とか底冷えするフレーズが絶妙なところ突いている。理由なきもの、偶発性、突発性。MEGUMI、趣里の嫌>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

3.7

ウィットにバズり小噺。巴里の屋根の上、螺旋階段。ルネ・クレールや『第七天国』のような時代的に重なるモチーフ。ナディア・テレスキウィッツかわいい。

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

人生の秋、ベンチに降る落ち葉よ。激動の世界、静かにひらりと変わる人生。1ミリもブレることなくカウリスマキ。

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.4

豊かさと充足の季節。味という連帯で結ばれたパートナーシップ。微笑みと静寂に食器の音、空腹に喪失。洋梨と裸。エンタメに寄らない脚本が素晴らしい。

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

病める老いの窓。その分割の機能として、不安の中に徘徊する時間をリアルタイムに見せるための必要性は確かにある。母と薬息子の絶望混沌空間が圧倒的にノエ。薬、ガス。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

甘味の獲得、味覚の故郷。狙っていないとは思えないかわいさ。先進的に新天地を切り拓く人の、新大陸でのどちらかといえば物資が枯渇して非文明的な環境下での、最小努力で最大効力を発揮するビジネススキル。キノコ>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

3.8

孤独と自由の荷物を背負った道のり。あらかじめの、しかるべき野垂れ死に。明らかな結果のため緊張感のない過程の追想。厳寒や空腹感はあまり描かず、若い女ひとり、戯れのようなささやかな他者交流。レザーバングル>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

3.8

環境素材や画が良いだけに他がやや残念。営みが見えにくい。単純化された面白みのない説明的台詞、劇然とした展開。イノセントとかホーリーグーフとかではなく、完全に発達的・複合的なそれ。石積みアールブリュット>>続きを読む

結婚のすべて(1958年製作の映画)

4.0

「すべて」と言い切る歯切れの良さ、ほぼすべてを表出するあっけらかんとした陽性、小気味良いリズムのマッチング。価値観のマッチングと新旧の対比。社会的結合という言葉で表されるパートナーシップ。家庭の内と外>>続きを読む

受取人不明(2001年製作の映画)

4.3

素晴らしい嫌悪感と閉塞感。これぞ映画という配置。唯一の解決策である暴力。グズついた土。血、傷、性愛、縛るもの、縛り方。米国キャンプが開かれたものでなく、壁としてあるような鬱屈。ビニールハウス、弓、銃、>>続きを読む

魚と寝る女(2000年製作の映画)

4.2

いつもながら秀逸すぎる環境設定とシリアスなのに笑える挙動。象徴的すぎる品々。孤独と浮島。水面アサシン女、人を釣竿で引っ張るものぐさ。推進力、血、水、島、絡まる筆、肉剥ぎ取られ泳ぐ魚。

エデン、その後(1970年製作の映画)

3.0

視覚的刺激に反比例するおもしろみ。エロスとタナトスの無駄遣い。

クレオパトラ(1934年製作の映画)

3.8

国、土地や民は見せず、パレスの奥の奥の方の室内劇。外より内のやりとり、そういう物語。半径10mくらいの国土と計略。モンタージュで済ませられるアクティウムの海戦。

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版(1991年製作の映画)

4.3

imageの旅。パッチワーク的な諸要素の集合体を言葉で包括し、叙事詩的に物語るパワープレー。vlog的蒐集、視覚野への投映など先見的要素と、テレビ電話や音楽再生カードなどの近未来アナログツールの混成さ>>続きを読む

ガス燈(1940年製作の映画)

4.2

操作性、元祖モラハラ。灯の多寡。報復。流麗な冒頭、植樹の時間経過表現。結果そのものより手口の残忍さよ。

ジェニーの肖像(1947年製作の映画)

4.0

illusion is mine. 霊魂を注ぐ対象。人の涯てをなぞる絵筆。存在のサスペンスは早々に結論付けられ、恋愛としても霧散。キャンバス布地オーバーラップ、灯台、雷雲。

過去を逃れて(1947年製作の映画)

4.0

未来への逃亡、役割遂行の捜索。ゲーム的に交錯する思惑、裏切りの応酬。殴り合う男たちの揺れる影が重なり、見つめる元カノの顔よ。また真実を伏せられ男を待つ今カノよ。過去と現在、街と田舎の対照性。HUNTE>>続きを読む

ヨーロッパ(1991年製作の映画)

4.3

古典を踏襲した内容と形式。ほどよい形式・構造への試み。ヨーロッパ寝台特急、スクリーンプロセス、パートカラー。形式的過ぎるジャンル映画のオマージュであることを拒否するような、観客を主人公として「You」>>続きを読む

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)

3.6

病める若き試み。いち映画ではなく世界の完成、あるいは未完の絶望。流布・伝播のメタファーにしては断片的すぎる、その歪さ。劇中劇、本編、そしてスクリーンの外側含めてそうですよと示さんとする「EPIDEMI>>続きを読む