324さんの映画レビュー・感想・評価

324

324

映画(2500)
ドラマ(0)
アニメ(0)

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.8

夢現の悪夢的記憶と時制。産みの苦しみと重い夢と現実に潰される板挟み。脚本より口上が良いと皮肉られ道化師。しっかりとあるオマージュショット群。

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.0

至宝。まさに仕える犬然としたドライネスな業務執行に、一瞬垣間見える戸惑う表情。デ・ニーロの青い瞳。

オクジャ okja(2017年製作の映画)

3.8

ラストショットで食べている食材を映さない辺りに現れているように、食肉の良し悪しは提起しつつ、企業隠蔽や動物虐待を悪としてエンタメな物語に落としこむのは上手いと思う。愛の多寡、鶏の煮込み。アン・ソヒョン>>続きを読む

ヤング・ヤクザ(2008年製作の映画)

3.8

「美の国よりは道徳よりも広大」との辞めた先輩のお言葉に作品主題を見出すのであれば、美は美徳や生き様ではなく、純然な意志やHIPHOPでの昇華や、組の皆で川遊びしてる最中に水没メガネを全員で探して喜ぶ刹>>続きを読む

縮みゆく人間(1957年製作の映画)

4.2

生きるサイズ。防衛機制的なマクロな視座への置き換えというか、スピリチュアルや神への帰結。ラメのような放射能、史上最も分かりやすい被曝描写。地下室のセットが素晴らしい。猫、蜘蛛、ドールハウス、鼠取り、木>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

3.8

連なり重なる内と外の心象。溶ける自他の境界。執筆中の童話モノローグとの一致。反射と屈折。越し、ナメの他視点的ショット。露骨なインテリアとして据え置かれたカメラレンズ。有り有りとした幻影。風鈴、水滴音。

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.0

寄生、所有、期待の裏切りと復讐、獲得。拾った野良犬。目隠し鬼で放置される孤独のズームアウト。避妊具求めて行った病院での周りのノイジーな会話や、ブラインド窓越しの望遠ショットなんかが、とてもアルトマン。

坊やの人形(1983年製作の映画)

4.0

広告、三次産業の悲哀。貧困。台湾における日本とアメリカ。

『坊やの人形』
読書する子どもたちに見向きもされず、子どもの出生届を出す時に識字できないことを改めて突き付けられるエピソードの回想、その表情
>>続きを読む

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)

4.0

過渡期のfragile. 移り変わりの不確実性、冴えない青さの普遍性。少年から青年へ、島から街へ。一歩引いたマスターショット、相反して地に足つかない浮遊感。多様な青系色。ヴィヴァルディの焦燥感。いい意>>続きを読む

ロードゲーム(1981年製作の映画)

4.5

罪の過積載。良過ぎるヌケ、細やかで優れた脚本と演出とキャラクター像。シャワー室の特大光量、交錯する思考とセンターライン、眼光とテールライト。

クロノス(1957年製作の映画)

3.8

これぞというチープさと深刻さ、演出規模の大小の落差。その高低差に笑う。意識乗っ取り、エネルギー変換、キャバオーバー自爆と後世に繋がる諸要素。メインの巨大四足歩行立方体ロボより、人の意識と肉体を奪う方が>>続きを読む

どですかでん(1970年製作の映画)

3.6

ナンセンスな笑いが、総じて老害祭りで不快指数が高くて笑えない。医療福祉の領域でよく居るような人ばかりで笑えない。空想建築構想ホームレス親子はちょっと良い。ナスD的な過剰な顔面蒼白。必死に南妙法蓮華経を>>続きを読む

赤ひげ(1965年製作の映画)

4.0

焼け爛れた心、荘厳で醜悪な死。病以前、生きることそれ即ち苦役。一次予防。エピソードの羅列的構成なのは否めない。大根で殴られる杉村春子。たっぷりシネスコな正面横位置並列夕飯GS、屋内蝋燭灯火・強いシルエ>>続きを読む

どん底(1957年製作の映画)

3.8

刹那的な逃避、忘却。人の本質的習性。狭小空間での上下左右への人物の往来、ボロ長屋の美術が良い。

生きものの記録(1955年製作の映画)

4.0

「この狂った世界で狂うあなたは正常だ」の有名な言葉通りの狂気。確実に有るのに無いに等しい予期不安。寄って抱える頭が連なる椅子座位の集合体。過剰な風雨。火炎。

白痴(1951年製作の映画)

3.7

狭いコミュニティ内での過ぎる程の愛憎。頑張った感のある文学めいた蝋燭の灯火。大仰な窓外吹雪。内閉された大立ち回り。ホーリーグーフ的善良。ファムファタール原節子の目をひん剥き睨む顔の怖さがハイライト。

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.8

義と生活、醜い悪銭。主人公三船よりも、結核の娘をもつ弁護士・志村喬が良心と金の間で揺れる姿こそ本編。

中国の植物学者の娘たち(2005年製作の映画)

3.8

足りない鳩。謎な物理的環境・設定。観念を具現化する技術部の手腕。動きすぎるカメラ。ライティング良い。

静かなる決闘(1949年製作の映画)

3.8

ばら撒く罪と誤解。秘めることで生じる事象。不幸に至る病、適切な情報と対応があれば決して無い。三船本人が自己言及するように、痩せ我慢とロマンチシズム。婚約者を離別させるためにおいてのみ成功しているムーブ>>続きを読む

酔いどれ天使(1948年製作の映画)

3.8

シンプル。顔の映画。破滅の美。海岸駆ける夢。他利への転向。酒と縁は断ちづらき渡世。

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)

4.2

憂鬱な休日、夢想で充填。存分に時間を費やす後半の空想と沈黙がグッドです。衣食住、貧困付き纏う放浪デート。手段は選ぶ一抹の矜持。雨、アパートの長い沈黙。雨漏り受ける皿に水滴が落ちる高音よ。マイムの間取り>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.8

習慣で形成される人の涯。日常により隔たる外界。役所広司演じる主人公本人の自己満足・自己完結に対する意見は何も無いが、果たして創作者側がそれを慎ましき美・善のようなものとして映していいものか。充足感より>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

所有と自由意志、エゴ。イノセントに見せかけて、個人主義的な主張を述べるマシンのよう。世界の広さを映さんと多用される超広角。be my wifeという言葉のパンチ。

天使の影(1976年製作の映画)

3.6

退廃、悶え、嫉妬。ロングショットとドリー。

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.8

孤独のシェアという共生・パートナーシップ。不寛容。望遠、ナメ、フレーム内フレームの寄り添わない隔たり感。カウリスマキっぽい瞬間あるね。

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

-

映画観て今まででいちばん泣いた。ただの玉入れ遊びではなく、赦し、鎮魂、救済、再生。それぞれの立脚点としてのFIRST。

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)

4.0

生活。何を成して何を生産するか。土いじりをやりだしてから俄然おもしろくなる。知識階級から労働者階級へ。インテリジェンスからフィジカルへ。青い春、赤い季節、河原や山を駆ける青春、強く記憶に残るよ違和感溢>>続きを読む

一番美しく(1944年製作の映画)

3.8

個や自己実現でなく、戦火の国への忠義・奉公のための労働讃歌。外的動機付け。全員、善人(日本国民として)。一握りの故郷の土を踏みしめる。挙がる左の怒肩。筋骨薄弱、疲労、脱落。ひとり残業検品。親を思い、涙>>続きを読む

豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

4.3

薄幸、疲労感、寂れた男2女2。後のホン・サンスに比べると感情の発露は少なく、いい意味で普通に映画的展開。ショットも無造作ではなく、形式的にしっかり構成されている。しがない創作者というキャラクターはここ>>続きを読む

ヴォイツェック(1979年製作の映画)

3.7

元より医師の診断で狂人とされる者が怒り、嫉妬でハイスピード殺人。それはそうだろとなる動機付けに行動。阿保と扱われもするが演劇特有の語彙力もあって人物像が掴みにくい。オープニングの謎トレーニングがピーク>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

3.8

厄災・疫病を運ぶ者としての怪物。旅する棺。濃霧や鼠色一色の曇天波打ち際のショット、ベタ当てっぽいハイキーのライティングが良い。多用される手持ちの移動撮影。

シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

4.4

破滅逃避ドライブ。ラストシークエンスすごく好き。適当に停車した地方の飲食店と駐車場のあの雰囲気。お金入れると踊るチキン、カモやウサギ達のプリミティブ音楽と労働の虚無感。無人リフトの哀愁。マンション中庭>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

3.7

ませガキのジュブナイル。性欲の起こり。社会的な力の圧倒的不足。自己実現のゴールも女。見る、触れるステップアップ。窓越しや路上で年上女性へ送る視線。田舎パートは良い画が多いが、他のアルメンドロス作品と比>>続きを読む