きのぴさんの映画レビュー・感想・評価

きのぴ

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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.0

2分という絶妙な時間差が生み出すタイムトラベル・コメディ。ドロステ効果からタイムマシンの可能性を着想したとして、そこからここまで考え込んで面白い物語にできるのは本当にすごいと思う。ワンシチュエーション>>続きを読む

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

3.7

クリスマスに観たくなる映画がまた1つ増えちゃったな。ホームレス3人組のぶっきらぼうなやり取りから垣間見える深い絆や、不器用だけど人情味に溢れる言動に心が温かくなった。偶然の手掛かりや出会いの連続も、聖>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.6

たくさんの人の夢に同じ人物が出てくる不思議な現象が起きるって話なんだけど、主人公がめちゃくちゃ不憫のなんの。人々の悪夢に登場しちゃうと、何の責任もないのに忌み嫌われ中傷され、仕事も日常生活もままならな>>続きを読む

JAWAN/ジャワーン(2023年製作の映画)

3.8

キング・カーンはまだまだご健在。若手マッチョに引けを取らない一級品の大胸板も、溢れ出る色気と精力を象徴する鷲鼻も、歳を重ねて進化してるような気すらしてくる。特に本作は年齢不詳のシャー・ルク兄貴だからこ>>続きを読む

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

3.7

盲目の少年と、その幼馴染と転校生のピュアな三角関係。主人公が障がいを乗り越えてってテイストの映画かと思いきや、初めての恋愛とか両親との衝突とか、青春映画としてすごく充実していた。
特にジョヴァンナの存
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マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007年製作の映画)

3.5

ノラ・ジョーンズの演技、すごく素敵だった。恋愛映画というより、その日その土地の出会いが中心に描かれるロードムービーで、ジュード・ロウも中盤は放置されがち。保安官とその奥さん、女流ギャンブラーと、それぞ>>続きを読む

正体(2024年製作の映画)

4.1

1年間で傑作を連発してしまう藤井監督、恐るべしだ。ギリギリで包囲網を掻い潜る緊迫感と、徐々に見え方が変わっていく死刑囚・鏑木の人間性にグッと引き込まれた。
ゴールデンスランバーに似てるなって思ったけど
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.6

独身者は動物に変えられてしまうという不思議な世界のお話。この奇妙な世界の特徴の一つに、伴侶を選ぶときに共通点を重視するところがある。それも価値観や性格だけでなく、近視とか鼻血が出やすいといった表面的な>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.4

ケイト・ブランシェットほどかき上げが似合う女性はいないかもな。自信やプライドの発生源と言ってもいいくらい見事なブロンドのかき上げと端正な顔立ちは、男性社会で活躍する卓越した女性の理想像、羨望と尊敬の対>>続きを読む

ぼくとパパ、約束の週末(2023年製作の映画)

3.9

家族愛とフットボール愛に溢れた映画。これはサッカーファン興奮必至だなぁ。それぞれのクラブの伝統、サポーターの帰属意識、チャントや野次が響き渡るスタジアムの雰囲気、どのクラブも最高すぎて純粋に少年が羨ま>>続きを読む

インポッシブル(2012年製作の映画)

3.8

やっぱり自然災害が一番恐ろしい。ヤシの木や電柱を薙ぎ倒しながら急接近してくる津波の恐怖は、絶対に生身で体感したくないなって思った。津波が去った後も、生活インフラや医療の麻痺による三次災害がかなり悲惨で>>続きを読む

シャイン(1996年製作の映画)

3.5

才能は誰よりもまず本人のためのものじゃないとね。父親の過干渉、束縛が類稀な才能を挫いてしまうわけだけど、それを勿体無いと感じてしまう時点で、自分も本質的にはお父さんと同じなのかもしれない。自分のために>>続きを読む

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

4.0

衰え知らずのリドスコ爺による、二代目グラディエーターの進撃。前作も相当良かったけど、本作はマクリヌスなるローマン・ドリームの怪物が、物語をさらに面白くしてくれてた気がする。
腐敗した王権の転覆を目論む
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動物界(2023年製作の映画)

3.8

野生生物に対する人間のスタンスを痛烈に批判しながら、パンデミックの際に起こり得る分断を仮想するSF映画。動物化した人々が追跡され銃撃される場面が印象的で、被害が出る前に駆除しようって考え方が本当に正し>>続きを読む

ディア・ドクター(2009年製作の映画)

3.7

西川監督、善悪で割り切れないキャラクターを生み出す天才かもしれない。医師を装って無免許で医療行為を行ない、村役場から高額なギャラを貰っていたって側面だけを見るともちろん悪人なんだけど、夜な夜な医学書を>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.1

最後のダンスシーンが良すぎたなぁ。台詞のない、絵描き歌のようなミニマルなアニメーションに、ズブズブに泣かされてしまった。ロボットの表情のレパートリーが少ないからこそ、行動から見えてくる大切な人への愛情>>続きを読む

犯罪都市(2017年製作の映画)

3.9

アクションのレベルたっけ〜。刃物やら拳銃やらで威嚇されても拳で全力勝負する中田翔似の刑事、めっちゃかっこよかった。敵役もしっかり残虐で胸糞悪いから勧善懲悪マインド全開で見れるし、クズ男みたいな顔して意>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.7

欲望が入り乱れる宮廷内の人間ドラマ。ランティモス味は控えめながら、登場人物の心情描写にはかなりこだわってるのが分かる。服の下からねっとり浮かんでくる愛憎や欲情が、やがて膨れてそこら中に充満する心地悪さ>>続きを読む

舟を編む(2013年製作の映画)

4.2

この映画は仕事の教科書にしたいなぁ。仕事に情熱を持てる人のかっこよさ、丁寧に仕事をすることの大切さを教えてくれる。終盤の見直し作業とか、相当な熱量と拘りがないと全員であれだけ取り組めないと思うし、その>>続きを読む

カビリアの夜(1957年製作の映画)

3.8

「いっそ殺してくれ」と思うくらいのどん底を味わって、それでも生きていく人間の強さよ。ラストシーンのカビリアの表情から、多少のことじゃ挫けちゃいかんなという勇気と元気をもらった。
「道」のジェルソミーナ
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.7

ノマドになった理由、ノマドを続ける理由、自分の生き方を選ぶ姿勢。ノマドの人々が語るそれらには説得力があって、自分の価値観や視野の狭さを思い知った。ノマドの人たちの生き方は、厳しいけれど貧しさや不足感は>>続きを読む

国境ナイトクルージング(2023年製作の映画)

3.7

チョウ・ドンユイ目当てで観たけど、俳優さん二人もすごく良い演技してたな。ナナとシャオにとっては代わり映えしない日常が、ハオフォンにとっては希死念慮と闘う日々の一行事が、偶然の出会いによって淡く輝き始め>>続きを読む

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.0

なんて素敵なラストシーンなんだろう。通りすがりに怪訝そうな目を向けるおばさんと、興味津々な子どもの無垢な視線が対照的でとても印象深かった。
この監督は視線を撮るのが本当に上手いなって思う。感情の動きを
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パリ13区(2021年製作の映画)

3.3

ムズイ…誰にどう感情移入していいか分かんないし、気分屋っぽい登場人物が多いからか、人間関係の変化もうまく掴めないうちに終わってしまった。ノラとポルノスター2人の物語にしちゃった方が個人的には楽しめただ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.1

ロケットォォオ。クソ生意気な腐れアライグマにこんな壮絶な過去があったとは。他のメンバーもちゃんと活躍するし、ロケット救出に体張ってる感じがめっちゃアツいのは間違いないけど、今回はさすがにロケットが一番>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.8

ちさととまひろが謹慎処分によってアルバイトに奮闘するゆるゆるライフを送るなか、青臭くて暑苦しい二人組が部活みたいなノリで殺し屋を目指していく、シリーズ2作目。殺し屋らしからぬ緊張感のない会話がクセにな>>続きを読む

ザ・ドライバー(1978年製作の映画)

3.5

ストーリーは至って普通。ただ、クラシックなカーアクションと口数の少ない登場人物たちがシブかっこよくてなかなか良い映画だった。日本もそうだけど、昔の女優さんって歳のわりに風格ありすぎんか。20代前半に見>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

3.8

圧巻の映像力と音の緩急で描くアメリカの内戦。無関心を貫く人もいれば、好き勝手に虐殺する人もいて、戦争の常態化による倫理観や秩序の崩壊がめちゃくちゃ恐ろしかった。ホワイトハウスの職員が躊躇なく殺されてい>>続きを読む

(1954年製作の映画)

3.9

自分の存在意義をはじめて見つけたジェルソミーナと、それを最も冷たい方法で用意した社会の厳しさ。イル・マットとの会話に象徴されるように、人生は自分が存在する意味を見つける道のりであって、ジェルソミーナが>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.4

クリエイターのための教科書みたいな映画。1つの作品にどれだけの人の想いが乗っかってるか、またいかに多くのステークホルダーが関わって制作されているかが改めてよく分かった。
ただ、深夜放送のアニメみたいな
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花嫁はどこへ?(2024年製作の映画)

4.0

ビアンカとフローラ以来の、なんて甲乙つけ難い花嫁二人だこと。自分はジャヤ派かなーなんて贅沢な二択を妄想しつつ、人の温かさに溢れた素敵な物語だった。インドの田舎に残る女性の権利侵害や古い慣習を指摘しなが>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.9

超豪華キャストによるアル・カポネ逮捕大作戦。敵役のデ・ニーロも含め、みんなやっぱり存在感がすごい。その点では眼鏡のオスカーが良いアクセントになってるな。ある程度は史実をベースにしてるんだろうけど、階段>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.6

このロバ、めちゃくちゃ演技上手いな。控えめで不安げな瞳も、悲壮感の漂う後ろ姿も、このロバじゃないと表現できない代物だったと思う。EOの旅の中で、悪人だけじゃなくて善良な人間にも時々出会えるんだけど、総>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

4.2

想像以上に面白い映画だった。『1984』的な近未来を現代日本の延長線に嵌め込みつつ、普遍的な若者の葛藤を水気たっぷりに描く良作。どちらの意図もバチンとハマってるのが見事すぎて、わりと序盤で空監督のこと>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.8

穏やかな変化を楽しむ秀作ヒューマンドラマ。エリザベートの喪失感も、タルラの厳しい境遇も簡単には好転しないんだけど、昔から近くで支え続けてくれる人とか、新しく生まれた交流がゆっくり変化を与えていく過程が>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.7

武士道に生きるアメリカの殺し屋のお話。特に面白い展開があるわけでもなく、ただ主人公の生き方に触れ、その余韻に浸る映画だった。「羅生門」を読んで、昔の日本って面白い国だったのねって思う感性はなかなか素敵>>続きを読む