きのぴさんの映画レビュー・感想・評価

きのぴ

きのぴ

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(2025年製作の映画)

3.6

「敵が来る。」勝手なイメージながら、本当に敵がやって来るのが村上春樹で、妄想オチなのが筒井康隆って感じ。白黒で描かれる独居老人の日常に、夢と妄想がゆっくり侵入してくる違和感、不穏さに引き込まれた。
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バーレスク(2010年製作の映画)

3.8

これぞエンターテインメント。王道の展開ではあるけれど、歌も演出もストーリーも全部レベルが高くて全く飽きさせない。特にアギレラネキの歌唱シーンが迫力半端ないのと、テスとショーンのつーかーなやり取りがすご>>続きを読む

スパニッシュ・アパートメント(2002年製作の映画)

3.5

大学生の時、スペインに1年間留学する予定だったのがコロナで行けなくって、留学してたらこんな感じだったのかなと羨ましい気持ちになった。やっぱスペインはいつか行ってみたいな。
物語全体のメッセージはあんま
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アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)

4.1

お気に入りのベンチを見つけたくなる映画。5篇とも違う面白さがあって、オムニバス作品の醍醐味がたっぷり詰まってる。個人的には2本目が咳出るくらい笑えたから大好き。お寿司食べたくなった。
撮り方も各篇によ
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はたらく細胞(2024年製作の映画)

3.7

身体ってやっぱり面白いぞって映画。無数の細胞が働き続けてくれるおかげで生きてるって考えると、節制しないとな、命を粗末にできないなって気がしてくる。クリニックの待合室とかで流してたら生活習慣病改善に一役>>続きを読む

靴ひも(2018年製作の映画)

3.7

後ろめたさから、真の愛情に。だんだんと変わっていく父子の関係が温かかった。世間一般には、出来の良い親父でも出来の良い息子でもないかもしれないけど、お互いを助けるのに命を懸けられる親子もそう居ないはず。>>続きを読む

型破りな教室(2023年製作の映画)

4.0

こういう学校の実話モノめちゃくちゃ好き。学びの機会を生かすも殺すも当人と先生次第だと思うけど、その機会すら与えられないってことがどれだけ残酷か、パロマやルペを見てるとよく分かるし、いかに自分が学習環境>>続きを読む

MEMORIES(1995年製作の映画)

3.8

全く毛色の違うSF3部作。3つとも面白かったけど、個人的には1つ目がお気に入り。廃墟と化したかつての豪邸で、甘美な思い出の一部として引きずり込まれる恐怖と焦燥感、それを助長する気味の悪いロボットやらカ>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

3.5

「響きの良い約束より目の前のぶどう酒だ。」老衰した奥さんを看病するお爺さんは、この世こそが神様からの授かり物だと謳う。これを言うのも、日本とイランとでは意味合いや重要性が全然違うんだろうし、リアリズム>>続きを読む

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

3.7

救いのあるラストでよかったぁ。好きなものに没頭してる人って、得てしてローレンスのように自分を世界の中心に置きがちなのかも。それを痛感させてくるあたり、映画最高!ってテイストの映画では決してないんだけれ>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

暴力と騙し合い、前回からスケールダウンしない圧倒的なクオリティ。これぞ孤狼の血じゃのぅ〜。極悪非道な怪物を演じた鈴木亮平、とんでもない迫力だった。松坂桃李も鈴木亮平も普段は穏やかそうなだけに、俳優さん>>続きを読む

きっと、またあえる(2019年製作の映画)

3.8

失敗しても大丈夫!って思いっきり背中を押してくれる映画。男子寮でバカやってる感じが見ていて楽しくて、たくさん笑った。感動的な展開とメッセージのためか、息子にストーリーテリングする形式が若干しつこい感じ>>続きを読む

スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.2

とにかく円都の世界観が好きすぎる。一攫千金の夢と犯罪が混在する街、そこで生きる円盗たちの文化や生活、すべてがクールだった。その日暮らしの中に大きなチャンスが転がってきたり、チャンスや大金を掴んだのに簡>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.6

世の中には自分の知らない指向がたくさんあるんだろうな。重要なのは、それらをひとつずつ知識として身につけることじゃなくて、色んな価値観があるってことを正しく理解しておくことなのかなって思った。ただ、犯罪>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.5

映画の意図やメッセージの半分も汲み取れていない気がして解説を調べたけど、案の定だったな。何となくキリストかな、神様なんかなとか思ってたくらいで、資本主義がどうこうとか関連づけるのは難しすぎるでしょう。>>続きを読む

人魚の眠る家(2018年製作の映画)

3.9

無償の愛なのか、はたまた歪んだエゴなのか。倫理観を揺さぶられる映画だった。両親の選択に正解なんて無いと思うし、お母さんの悲しみや葛藤も痛いほど伝わってくるから、一概に異常行動で片付けられない難しさがあ>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

3.8

みんな大好きな王道のスポーツ青春コメディ。ライバルや幼馴染と切磋琢磨して強くなっていく感じとか、挫折から見事に復活する感じとか、ベタな少年漫画みたいなテイストはいつ観たって気持ち良い。当時の映像技術の>>続きを読む

オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

3.3

アルモドバル監督3作目にして、白旗かもしれない。色んな女性と色んなかたちの愛が登場する中で、共感できない部分や難しいところが多くて感情移入できなかった。
前もこの監督の作品を見て思ったけど、スペイン人
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.0

2分という絶妙な時間差が生み出すタイムトラベル・コメディ。ドロステ効果からタイムマシンの可能性を着想したとして、そこからここまで考え込んで面白い物語にできるのは本当にすごいと思う。ワンシチュエーション>>続きを読む

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

3.7

クリスマスに観たくなる映画がまた1つ増えちゃったな。ホームレス3人組のぶっきらぼうなやり取りから垣間見える深い絆や、不器用だけど人情味に溢れる言動に心が温かくなった。偶然の手掛かりや出会いの連続も、聖>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.6

たくさんの人の夢に同じ人物が出てくる不思議な現象が起きるって話なんだけど、主人公がめちゃくちゃ不憫のなんの。人々の悪夢に登場しちゃうと、何の責任もないのに忌み嫌われ中傷され、仕事も日常生活もままならな>>続きを読む

JAWAN/ジャワーン(2023年製作の映画)

3.8

キング・カーンはまだまだご健在。若手マッチョに引けを取らない一級品の大胸板も、溢れ出る色気と精力を象徴する鷲鼻も、歳を重ねて進化してるような気すらしてくる。特に本作は年齢不詳のシャー・ルク兄貴だからこ>>続きを読む

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

3.7

盲目の少年と、その幼馴染と転校生のピュアな三角関係。主人公が障がいを乗り越えてってテイストの映画かと思いきや、初めての恋愛とか両親との衝突とか、青春映画としてすごく充実していた。
特にジョヴァンナの存
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マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007年製作の映画)

3.5

ノラ・ジョーンズの演技、すごく素敵だった。恋愛映画というより、その日その土地の出会いが中心に描かれるロードムービーで、ジュード・ロウも中盤は放置されがち。保安官とその奥さん、女流ギャンブラーと、それぞ>>続きを読む

正体(2024年製作の映画)

4.1

1年間で傑作を連発してしまう藤井監督、恐るべしだ。ギリギリで包囲網を掻い潜る緊迫感と、徐々に見え方が変わっていく死刑囚・鏑木の人間性にグッと引き込まれた。
ゴールデンスランバーに似てるなって思ったけど
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.6

独身者は動物に変えられてしまうという不思議な世界のお話。この奇妙な世界の特徴の一つに、伴侶を選ぶときに共通点を重視するところがある。それも価値観や性格だけでなく、近視とか鼻血が出やすいといった表面的な>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.4

ケイト・ブランシェットほどかき上げが似合う女性はいないかもな。自信やプライドの発生源と言ってもいいくらい見事なブロンドのかき上げと端正な顔立ちは、男性社会で活躍する卓越した女性の理想像、羨望と尊敬の対>>続きを読む

ぼくとパパ、約束の週末(2023年製作の映画)

3.9

家族愛とフットボール愛に溢れた映画。これはサッカーファン興奮必至だなぁ。それぞれのクラブの伝統、サポーターの帰属意識、チャントや野次が響き渡るスタジアムの雰囲気、どのクラブも最高すぎて純粋に少年が羨ま>>続きを読む

インポッシブル(2012年製作の映画)

3.8

やっぱり自然災害が一番恐ろしい。ヤシの木や電柱を薙ぎ倒しながら急接近してくる津波の恐怖は、絶対に生身で体感したくないなって思った。津波が去った後も、生活インフラや医療の麻痺による三次災害がかなり悲惨で>>続きを読む

シャイン(1996年製作の映画)

3.5

才能は誰よりもまず本人のためのものじゃないとね。父親の過干渉、束縛が類稀な才能を挫いてしまうわけだけど、それを勿体無いと感じてしまう時点で、自分も本質的にはお父さんと同じなのかもしれない。自分のために>>続きを読む

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

4.0

衰え知らずのリドスコ爺による、二代目グラディエーターの進撃。前作も相当良かったけど、本作はマクリヌスなるローマン・ドリームの怪物が、物語をさらに面白くしてくれてた気がする。
腐敗した王権の転覆を目論む
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動物界(2023年製作の映画)

3.8

野生生物に対する人間のスタンスを痛烈に批判しながら、パンデミックの際に起こり得る分断を仮想するSF映画。動物化した人々が追跡され銃撃される場面が印象的で、被害が出る前に駆除しようって考え方が本当に正し>>続きを読む

ディア・ドクター(2009年製作の映画)

3.7

西川監督、善悪で割り切れないキャラクターを生み出す天才かもしれない。医師を装って無免許で医療行為を行ない、村役場から高額なギャラを貰っていたって側面だけを見るともちろん悪人なんだけど、夜な夜な医学書を>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.1

最後のダンスシーンが良すぎたなぁ。台詞のない、絵描き歌のようなミニマルなアニメーションに、ズブズブに泣かされてしまった。ロボットの表情のレパートリーが少ないからこそ、行動から見えてくる大切な人への愛情>>続きを読む

犯罪都市(2017年製作の映画)

3.9

アクションのレベルたっけ〜。刃物やら拳銃やらで威嚇されても拳で全力勝負する中田翔似の刑事、めっちゃかっこよかった。敵役もしっかり残虐で胸糞悪いから勧善懲悪マインド全開で見れるし、クズ男みたいな顔して意>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.7

欲望が入り乱れる宮廷内の人間ドラマ。ランティモス味は控えめながら、登場人物の心情描写にはかなりこだわってるのが分かる。服の下からねっとり浮かんでくる愛憎や欲情が、やがて膨れてそこら中に充満する心地悪さ>>続きを読む