ウエダダダさんの映画レビュー・感想・評価

ウエダダダ

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天使の復讐(1981年製作の映画)

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レイプリベンジの定型を取りながらそこからどんどんはみ出していくバイオレンス。PTSDやフェミニズム的要素を入れながらも復讐とはかけ離れた場所からゾー・タマリスが一言も喋らずに銃をぶっ放す。取って付けた>>続きを読む

ガールフレンド(1978年製作の映画)

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カメラマン志望のスーザンは親友のアンと同居してたがアンが突然結婚して……。上手く行かない毎日、友情、恋愛、人生のあれやこれ。元祖「フランシス・ハ」と言える展開の1978年の作品。グレタ・ガーウィグ、レ>>続きを読む

宗方姉妹 デジタルリマスター版(1950年製作の映画)

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古さと新しさ。隠と陽。対極的な姉妹を田中絹代と高峰秀子が演じる文芸作。緻密に設計された小津ワールドで1人のびのびと振舞う様に魅せるデコちゃんの緻密に計算された奔放ぶりにしびれる一本。しかし山村聰のバイ>>続きを読む

地に堕ちた愛 完全版(1984年製作の映画)

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予め提示された虚構性が孕むサスペンス。リヴェットが繰り返すこのゴールが見えないモチーフの更なる実践。行き当たりばったりで不条理で退屈でなかなか終わらない人生そのものみたいな作品だったなぁ。

医学生 ガザへ行く(2022年製作の映画)

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イタリア人医学生リカルドが奨学金を経てガザの大学で留学生として体験する天井の無い監獄での日々。2020年頃のガザの風景の貴重な記録と1人の青年の成長と友情を描いた青春ドラマとしても沁みるドキュメンタリ>>続きを読む

かづゑ的(2023年製作の映画)

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元ハンセン病患者で作家の宮崎かづゑさんを追ったドキュメンタリー。10歳の時に岡山県の離島にある長島愛生園に隔離されて80年。彼女は人生をどう切り拓いたのか。天国の様に美しく地獄の様に残酷な長島。全てを>>続きを読む

成功したオタク(2021年製作の映画)

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ある日推しが性犯罪を犯した。その時ファンはどう現実と向き合うのか。成功したオタクと呼ばれた監督が失敗したオタクとして自分と同じ想いを抱くファンのその後を訪ねる。二次加害と二次被害。ファナティックな心理>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

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プリシラを通して描かれるエルヴィスとその時代。ソフィア版「グッドフェローズ」とも言える展開の作品。完璧に近い衣装や音楽や美術により、プレスリーとアメリカンカルチャーの本質的なキモさが浮き上がり中盤から>>続きを読む

銀座カンカン娘(1949年製作の映画)

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高峰秀子が笠置シヅ子と灰田勝彦と歌いまくる69分。デコちゃんの惚けたユーモアとキュートさが炸裂の牧歌的歌謡コメディなんだけど、最後に余った時間を志ん生の噺で埋めるというシュールさと、それでサクッと終わ>>続きを読む

(1953年製作の映画)

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森鴎外原作をヒロインの視点から描いた作品。真骨頂とも言える東野英治郎の小悪党ぶりに高峰秀子のスラッとした可憐さが際立つ。しみったれたメロドラマが力強い女性讃歌へと変貌するのはデコちゃんの貢献。これもデ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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惹かれあった幼馴染みの24年に渡る想い。ドラマチックな展開を打ち負かす圧倒的な平凡。だからこそロマンティック。シャロン・ヴァン・エッテンの沁みる歌と途中からスッと現れて全部さらって行くジョン・マガロの>>続きを読む

ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

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ニューミレニアムで浮かれて騒いでいたあの娘はいったいどこに行ってしまったのだろう。いやどこにも行っていない。ただ歳を取っただけ。美しきスー・チーが台湾と日本を彷徨う追憶と倦怠の2001年。「憂鬱な楽園>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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アリ×ホアキン×3時間てだけで観る前から吐きそうになったけど、嫌な映画に対する耐性がいつの間にかできており意外と最後まで楽しめた。
中盤から終盤のどんどんくだらなくなっていくのにもう引き返せない感じと
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

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ニュータウンの1日が縄文から連なるすべての夜を照らし出す。
追悼の為の花火が誕生を祝うキャンドルにもなるその幾つものレイヤーを何気ないフレームに収める凄み。そのレイヤーの先に居る私たち。ずっと探してい
>>続きを読む

ルイズ その旅立ち(1998年製作の映画)

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警察に虐殺された大杉栄と伊藤野枝の四女伊藤ルイの生涯を追ったドキュメンタリー。母親譲りのバイタリティで人を巻き込み人を繋ぐ市民活動家として活躍した彼女の魅力的な人柄が数々の証言から浮かび上がる作品だっ>>続きを読む

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)

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老女誘拐の3人組が逆に老女にこき使われて身代金百億の大博打を仕掛ける。北林谷栄のキュートさと包容力。バブリーな音楽と豪華キャスト。戦争や権力へのアイロニーを込めた喜八の反骨精神が炸裂した笑って泣ける娯>>続きを読む

π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

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数字に取り憑かれた男の妄想の暴走。リンチ、クローネンバーグ、初期コーエンを彷彿とさせる神経質なユーモア。アッパーでスタイリッシュな編集と音楽に引き込まれ引き摺り回された。まぁ誤魔化されたとも言えるけど>>続きを読む

燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)

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ファッションデザイナー中里唯馬がケニアにある服のゴミ山からドレスを作りパリコレに挑むまでを時系列に追ったドキュメンタリー。要らない服をアフリカに捨てるという差別行為と想像を絶する環境破壊ぶり。作る側だ>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

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ビルとスカヨハの東京倦怠ホリデイ。ココが変だよ日本人的な無意識に見下した差別意識と見下されてもしょうがない幼稚さに満ちた全然魅力的じゃない東京。20年ぶりに観たけどそれがより明確に感じられた。印象変わ>>続きを読む

NN4444(2024年製作の映画)

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4人の監督による女性を主人公にした深層心理の不条理を具象化した内面系ホラーのオムニバスという感じでトーンが統一されており、程よいモヤモヤと後味の悪さ。グロさやバイオレンスが無くて良かった。特に中川奈月>>続きを読む

MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS(2022年製作の映画)

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こんな感じの展開の作品をこの位の上映時間でとリクエストしたのが遂に叶ったのかと錯覚するオレ好み。ディレクターからミキサーへ。映画の理想と未来を提示した宮崎監督のネクストシネマ。これは全員観た方が良い。>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

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終電を乗り過ごした女性の長い帰り道。ブリュッセル人間交差点。もうこの設定だけで劇的に映画。予想以上に色々あったし、「Here」でバスの手の内分かったから此方は最初から最後まで存分に楽しめた。

Here(2023年製作の映画)

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帰国を悩む移民労働者と植物学者の女性との細やかな合歓。一杯のスープ。始まった途端これは眠くなるヤツだと思ったけど案の定ウトウト。後半だけ観た奴が言う事じゃないけど良い作品でしたね。ホントかよ。ホントで>>続きを読む

ある惑星の散文(2018年製作の映画)

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脚本家を目指す女性と俳優を休業中の女性のそれぞれのエピソード。アプローチの違う2つの話が割と地味で退屈だがその2人が出逢う最後の最後に急激に面白くなる。忘れてしまう事思い出す事それでも記録する事。もう>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

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吹奏楽部には美少女しか入れないのか、という偏ったキャラクター設定に疑問が湧くし「響け!ユーフォニウム」シリーズ観た事無いけど、足もとで感情表現するカットの多用や足音とリズムを合わせた演出など見どころが>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

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昭和プロレスファンを熱狂させた呪われたエリック一家とは何だったのか。次男ケヴィンの視点から描いた人間ドラマ。家族の歴史から浮かび上がるアメリカの栄光と悲劇。生き残った者の再生と解放。そして家父長制の崩>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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おっさんたちの惑星に迷い込んだ青年が見る悪夢の様なディストピア。サーカス団と共にやってきたクジラとプリンスによって長閑な街があっという間に殺戮の舞台となる。おっさんたちが回り出す幕開けに笑ったが、怒涛>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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山荘から転落死した夫。果たして自殺か他殺か事故なのか。事件の真相に迫る中で見えてくる人間の深淵。真実とは別のベクトルに向かい始めるサスペンス。
「少年と犬」というタイトルでも良かったのかと思う位に盲目
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月曜日のユカ(1964年製作の映画)

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中平康監督「月曜日のユカ」@目黒シネマ
ヌーベルバーグへの返答の様な作品。アンナ・カリーナがどうした。こっちには加賀まりこがいるぞ。ホテルニューグランドなど横浜のロケーションの素晴らしさ。黛敏郎のほん
>>続きを読む

時の支配者(1982年製作の映画)

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「ファンタスティック・プラネット」の監督らしいシュールな美意識と世界観が本作でも炸裂。惑星に取り残された少年を救出に行く話なのにやたら寄り道してのんびりしてるのがフランスっぽい。そして予想を超える超展>>続きを読む

フジヤマコットントン(2023年製作の映画)

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甲府盆地のど真ん中にある「みらいファーム」。幸せの糸を紡ぎ希望の種を蒔くそんな仕事に従事する人たちの緩やかな季節。
撮影者と対象者が横並びになって一丸となって作った様な一体感。
ニコラ・フィリベールへ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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三宅唱監督「夜明けのすべて」@109シネマズ二子玉川
登場人物全員を取りこぼさない細部への眼差し。社会への希望、映画の理想、そして人類に対しての願いが込められた静かだが決意に満ちた眼差し。その強さと優
>>続きを読む

パラダイム(1987年製作の映画)

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牧師と金八風教師と老けた学生たちによる悪魔祓いなスペースヴァンパイアホラー。色々な試みがあるけど地味に印象的なキャストが多く物語が絞り切れずやや散漫なのが惜しい。見どころはちょっと出てくるアリス・クー>>続きを読む

クリーン(2004年製作の映画)

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トロント、モントリオール、パリ、ロンドン、シスコ。マギーが傷付き彷徨い辿り着く明日。アサイヤスがマギーの為に書き下ろし、ニック・ノルティがしっかりサポートしたチャンの集大成。何度観ても最高に感動的な作>>続きを読む

少年と犬(1975年製作の映画)

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少年と言うよりアホな青年と渋い声で普通に喋る犬とによるディストピアバディムービー。ウェス・アンダーソン「犬ヶ島」を先取りした喋る犬が予想以上に可愛く、話の内容も予想以上にくだらなくレイトショーにはうっ>>続きを読む

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)

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ビノシュとクリテンとクロエによる誠実な演技による競演。これこそ「あの夏の記録」だろ。特にクリテンはずば抜けてたね。流石としか言いようがない。公開時以来の再見だったけど面白さ倍増してたな。そして邦題の安>>続きを読む