ウエダダダさんの映画レビュー・感想・評価

ウエダダダ

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蜘蛛の巣(1955年製作の映画)

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欲望と思惑が張る蜘蛛の糸。その巣で踠く人々。精神病院の図書室のカーテンを巡る攻防。人はそれぞれ心に閉ざしたカーテンを吊るしている。その掛け違いが引き起こす人間模様。カーテンの付け替えだけで2時間引っ張>>続きを読む

肉体の遺産(1959年製作の映画)

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開始2分で心底嫌いになるロバート・ミッチャムの見事な最低ヒールぶり。
彼の因果によって引き寄せられる数々の応報。その見事な負の連鎖ぶり。親と子と妻と恋人の錯綜する悲劇の果てに訪れる見事な着地ぶり。何度
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明日になれば他人(1962年製作の映画)

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落ちぶれた俳優と峠の超えた映画監督がローマのチネチッタで付ける落とし前とは。絶望と猜疑と苦悩がローマの狂騒に掻き消されていく混沌。過剰に感情的な登場人物たち。そして急に晴れ渡るハッピーエンドに雪崩れ込>>続きを読む

MOON GARDEN/ムーンガーデン(2022年製作の映画)

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驚異のローテクアナログ映像によるファンタジー。「ネバーエンディングストーリー」とか「パンズラビリンス」を彷彿とさせる新しさより懐かしい感じの作品。熱量はヒシヒシと伝わってきたが出落ち感が否めないのでも>>続きを読む

走り来る人々(1958年製作の映画)

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シナトラの軽薄で身勝手な自堕落が引き寄せ巻き起こす運命の皮肉。最初から最後まで道化役を一切引き受けて最終的に全部を掻っ攫っていくシャーリー・マクレーンの際立つ天才ぶりが涙を誘うもうメロドラマとしか言い>>続きを読む

ボヴァリー夫人(1949年製作の映画)

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美を求める事は罪なの?
理想の幻想に留まり続けたかったエマの打算的な身勝手さを果たして本当に断罪出来る者がいるのだろうか。華麗なるダンスと鏡のショットの美しさ。フローベール自らが物語を語って聞かせる展
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ヘアピン・サーカス(1972年製作の映画)

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江夏夕子の真っ黄色のGT、見崎清志の無表情、菊地雅章のクールサウンド。真夜中の首都高を突っ走るスピードの衝撃と陶酔。迫力満点の驚異の映像でお届けする2度と撮れない奇跡のカーアクション。「F1/エフワン>>続きを読む

殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

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分断され接続され錯綜する時間と記憶。復讐への執着が亡霊みたいな殺し屋を生み出すプロセスのスリルに撃たれる92分。ジョンブアとマーヴィンの最高傑作であり「殺しの烙印」「荒野のダッチワイフ」と並ぶ1967>>続きを読む

ラ・コシーナ/厨房(2024年製作の映画)

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ニューヨークの大型レストランで働く移民スタッフたちのてんやわんやの1日を描いた群像劇。全編モノクロだったのは料理を不味く見せる為か。昼休みの無駄話のシーンが本当に無駄なシーンでそこだけ感動したけど後は>>続きを読む

中山教頭の人生テスト(2025年製作の映画)

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生徒と教師とその家族の数だけ有り錯綜する人のエゴ。タスクの多過ぎる教頭の何気ない日々の中で積み上げられていく教室のルール。佐向監督独自のリズムによる緊張感とユーモアの緩急が今回も効いていた。KEEさん>>続きを読む

アニマル・ハウス(1978年製作の映画)

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フェイバー大学にある悪名高き学生寮デルタハウスの大騒動。どんな試練や困難や嫌がらせにもバカで倍返しするデルタスピリッツ。これこそアメリカの全てだと叫びたくなる無敵のバカ映画。遂に大画面で観れて最高。ア>>続きを読む

ルノワール(2025年製作の映画)

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11歳のフキと不完全な大人たちとの夏。魅力的なキャスティングと80年代を緻密に再現した美術や撮影と見どころ満載なのに鑑賞後に不思議と何も残らない稀有な作品。予告編がピークだったなぁ。後半はどうしても相>>続きを読む

ラブ・イン・ザ・ビッグシティ(2024年製作の映画)

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イカレ女とゲイのワイルドライフ。レッテルを貼りたがる社会で孤立するジェヒとフンス。でも2人でいれば大丈夫だった。最強で最高のバディの愛と友情の13年。愛おしすぎる2人をずっと見ていたくなる永久不滅の青>>続きを読む

くまをまつ(2024年製作の映画)

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亡くなった祖父の家で脚本を執筆するややこと姉の海外出張の期間だけ預かる事になった甥のタカシとの夏の出来事。果たしてくまは現れるのか。過去と現在、現実とフィクションの淡いを彷徨う少年と平野鈴。日本家屋と>>続きを読む

鹿の国(2025年製作の映画)

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諏訪大社で四季折々に行われる祭礼を追ったデイスカバージャパンなドキュメンタリー。地下で行われたという御室神事の再現などで神秘的に写る祭事には豊作や子孫繁栄やジビエへの感謝など実は理に適ったものである事>>続きを読む

野良犬(1949年製作の映画)

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拳銃を盗まれた刑事が犯人を探して熱暑の中を野良犬の様に歩き回る。戦後のしみったれた社会の底辺で渇き蠢く野良犬たちの叫び。回る淡路恵子。呑気な日常と隣り合わせのバイオレンスと犯人と刑事の背中合わせの人生>>続きを読む

ビリー・ザ・キッドの冒険(1971年製作の映画)

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ジャン=ピエール・レオがビリー・ザ・キッドを演じるというだけでトキメキを禁じ得ない全てが出鱈目で感覚的なヌーヴェルウェスタン。ちょっとダラダラし過ぎだったのでもう少し短かければ最高だったのが惜しいがJ>>続きを読む

ウニの陰謀(1992年製作の映画)

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炭鉱などの廃棄物の集積で出来たボタ山を探しては登りまくり美しい山として観光地としてのボタ山の魅力を伝える明らかにふざけたドキュメンタリー。誰もツッコミを入れないこの惚けたユーモアが最高に好みだ。

MaXXXine マキシーン(2024年製作の映画)

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1985年に作られた作品にしか見えない完璧な80's感の再現で贈るシリーズ完結編。様々なオマージュとイマージュと過去作との関連性と差別化の達成。作品と共に進化しシリーズ最高の仕上がりを見せるミア・ゴス>>続きを読む

ぶぶ漬けどうどす(2025年製作の映画)

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夫の実家の老舗扇子店で漫画エッセイ執筆の為居候したまどかに迫り来る知られざる京都の真実。何も知らない素直なまどかはどう立ち振る舞うのか。
「トレンケラウケン」よりミステリアスで「サブスタンス」より衝撃
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黒薔薇の館(1969年製作の映画)

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深作オリジナル脚本による美輪とのタッグ第二弾。サロンに訪れた妖しい歌い手に男たちは皆狂わされて行く。ミュシャの絵に負けない美輪明宏の魔性な佇まい。トゥーマッチな西村晃や若き田村正和の好演など見どころ満>>続きを読む

黒蜥蜴(1968年製作の映画)

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明智小五郎と女怪盗の華麗なる駆け引き。乱歩原作、三島戯曲の完全映画化。美輪明宏の世界観を再現した美術と舞台調な語り口と深作の野蛮なアクションとの融合。そして三島由紀夫の失笑ぶり。長年見逃してた作品やっ>>続きを読む

季節はこのまま(2024年製作の映画)

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コロナ禍の頃どうしてた?
アサイヤスが実際に過ごした実家を舞台にしたあの時期の話。パーソナルな話だが、アサイヤス役をマケーニュが演じる事によりグローバルさを獲得。停滞はユートピアじゃない。ロメール味が
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黒い大地(1964年製作の映画)

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フランスのど田舎のピレネー山脈のマンテとアルプスのマリオーのふたつの村のマージナルな暮らしの記録。半分真面目に半分ふざけて撮った様な短編ドキュメンタリー。

ブリジットとブリジット(1966年製作の映画)

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短編「黒い大地」で取り上げた2つの村の出身の2人のブリジットのパリ奮闘記。設定からふざけてるし低予算を逆手に取った簡易な撮影がポップさを割り増しにしたフラー、シャブロル、ロメールが顔を出すロジエ「アデ>>続きを読む

骨 4Kレストア版(1997年製作の映画)

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スラム街で暮らす人々の非人情さと口数の少なさと勝手な喧騒。クズな男たちと孤独に寄り添う女たちと赤子の行方。クロチルドの中性的な気高さとティナのあどけなさ。毎回眠くなってしまうのに何故か観てしまうコスタ>>続きを読む

高原の情熱(1943年製作の映画)

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高原にポツンと佇む守護天使ホテル。ダム建設の発破音響く中、女主人クリクリと変態富豪と酔っ払いの劇作家と若き恋人とダム建設員のマッチョハンサム等が織りなすグレミヨン版「ゲームの規則」な人間悲喜劇。何度も>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

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声優の声はイメージとちょっと違ったけど、ベストセラー小説のコレは外さないでくれというエピソードを漏れなく入れ込み、特に印象的な泰明ちゃんとのエピソードと忍び寄る戦争の影を大きく取り上げた、原作への理解>>続きを読む

ガール・ウィズ・ニードル(2024年製作の映画)

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カロリーネに舞い込む絶望。生き地獄巡りの果てに辿り着いた場所とは。シャープな陰影と個性的なキャラとオリジナリティある展開でユーモアさえ獲得した完璧な陰鬱。美術、音楽も素晴らしい北欧ゴシックミステリー。>>続きを読む

ドッグ・レディ(2015年製作の映画)

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犬と共に暮らす女性の四季の暮らしを綴ったドキュメンタリータッチの作品。人と犬とドッグレディと。まるで犬の様に振る舞う女性ではなく、まるでドッグレディの様に振る舞う女性。その当たり前な佇まい。そして彼女>>続きを読む

花を宿す女(2009年製作の映画)

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ハン・ガン「菜食主義者」の原作をほぼ忠実に再現して映画化した作品。なんだけど大事なエッセンスが抜け落ちてしまって不快さだけが残ってしまった様な仕上がり。映像と文章はちがうものだからやはり表層を丁寧にな>>続きを読む

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

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コーマンの代表作。今観るとコントにしか見えない。いや当時もそうだったかも。血を栄養に育つ植物までは良いとして、それが喋り出したらもうダメだろ。主人公が見た悪夢の再現としたら辻褄は合うが。ジャック・ニコ>>続きを読む

詩人たちはフアナ・ビニョッシに会いに行く(2019年製作の映画)

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死んだ詩人が遺したものは。若き詩人メルセデスとラウラが探り向き合う詩と映画とが立ち上がる瞬間の記録。遺品の中から出てきた本に纏わるエピソードがそのまま「トレンケ・ラウケン」に接続されて行くスリル。若い>>続きを読む

オステンデ(2011年製作の映画)

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「それでその後は?」シーズンオフのホテルから眼差す不可解な光景。ラウラの好奇心と妄想が渦めく静寂のヴァケーション。ラウラは知らず私たちだけが知るその唐突な結末と長すぎる余韻。「トレンケ・ラウケン」前日>>続きを読む

サブスタンス(2024年製作の映画)

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若さと栄光に執着したトゥマッチなデミ・ムーアの大暴走。ずっとライザップのCMを見せられている様な不快感に満ち溢れたアンチエイジングホラー。クローネンバーグ好きには爆笑なエンディングかもだけど、ほんと酷>>続きを読む

夏の庭 The Friends 4Kリマスター版(1994年製作の映画)

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一人暮らしの老人の死に立ち会おうとする好奇心旺盛な少年3人の忘れられない夏休み。相米組仕切りによる三國連太郎と子役俳優のサマーワークショップな展開。三國が語る戦争加害の容赦無さが4Kでクッキリと浮かび>>続きを読む