ウエダダダさんの映画レビュー・感想・評価

ウエダダダ

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ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン(2023年製作の映画)

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Z世代のヴァンパイアは人に優しい。
人を殺せない吸血鬼と自殺志願者の青年が恋に落ちたら果たしてどうなる。思っていたのと全然違うポップでオフビートな展開のヴァンパイアラブストーリー。吸血鬼は時代を映す鏡
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人のセックスを笑うな(2007年製作の映画)

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アバンタイトル迄に展開される一連のアクションとサスペンス。永作博美のいちいち様になる所作、ロケーションの素晴らしさとサントラの心地良さ、突然のあがた森魚、砂埃を上げて走るカブ。昔レンタルで観た事あった>>続きを読む

ザ・デッド/「ダブリン市民」より(1987年製作の映画)

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クリスマスパーティで繰り広げられる細やかな人間模様。初めから終わりまで全く隙のない緻密で簡潔な構成。「オーグリムの乙女」、ダブリンに降り頻る雪、駆ける馬車。生者と死者、亡霊たちへのレクイエム。幕は自分>>続きを読む

光あれ(1946年製作の映画)

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第二次世界大戦後のPTSDに苦しむ米兵の為の療養施設の3ヶ月の密着ドキュメント。余りのカメラワークの緻密さにフィクション感が募るが吃音に苦しむ患者が「話せてる!」と叫び出すシーンはリアルならではの凄み>>続きを読む

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録(1999年製作の映画)

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ロシア構成主義と「去年マリエンバートで」な背景の中にひたすら舞い散るバラの花。これはなんなのという間もなくズンズン進んでいく展開の速さ。デュエリストたちはいったい何と戦っているのか。決定の果てに見える>>続きを読む

ガーダ パレスチナの詩(2005年製作の映画)

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結婚、出産、インティファーダを経て女性たちの苦難の歴史を本にしようと取材を始めるガーダの23歳から35歳までを綴ったドキュメンタリー。家父長制の根深いアラブ社会での暮らし。穏やかな暮らしと緊迫する日常>>続きを読む

クリスティーン(1983年製作の映画)

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バカでかいヴィンテージカーが意思を持ち暴れ出すモーターホラー。アメ車とアメフトと金髪とオールディーズとハリー・ディーン・スタントン。ひたすらアメリカ丸出しなアメリカ製作品だったなぁ。

男女残酷物語/サソリ決戦(1969年製作の映画)

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モダン建築とラウンジミュージックとニキ・ド・サンファルとミソジニー。エロスとバイオレンスをユーモラスに描いたウルトラポップなサスペンス。寝かせどころと出しどころが抜群な55年前の新作。思った通り最高な>>続きを読む

スミサリーンズ(1982年製作の映画)

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身勝手に生きるパンクガールが夢見る少女じゃいられない厳しい現実を前に先細っていく様。利己的で打算的な生き方はツケが回ってくるぜな展開だけど今観るとそれ全然有りだからゴーガールって感じになった。フィーリ>>続きを読む

クルーレス(1995年製作の映画)

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前半の滑り出しは良かったんだけど尻下がりな展開でどんどん月並みな感じに収束していくのがなんか勿体無い感じの作品。それで最後は90年代の宮沢りえのテレビドラマを観ている様な既視感に包まれた。

ラウダー・ザン・ユー・シンク ギャリー・ヤングとペイヴメントの物語(2023年製作の映画)

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ローファイバンドペイヴメントのドラムと倒立と混沌を担当したプラントマン・ギャリー・ヤングの軌跡を追ったすべての音楽と人間を全肯定する様な奇跡のドキュメンタリー。俺が思ってたより最高過ぎて嬉しくて泣いた>>続きを読む

自由と壁とヒップホップ(2008年製作の映画)

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パレスチナ初のヒップポップグループDAMを中心にパレスチナの過酷な環境で発生するカルチャーシーンを捉えた08年のドキュメンタリー。イスラエルに住む48年組とガザに住む67年組とがラップで繋がる。これは>>続きを読む

犬猫(2004年製作の映画)

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2人暮らしの日常の力の抜け具合とフィクスのショットの決まり具合と反復と35ミリフィルムの質感とが有機的に収まった平凡を描いた非凡な作品。手摺を滑る西島秀俊とか。8ミリで撮られた01年版も観たいな。沖田>>続きを読む

豚と金魚(1962年製作の映画)

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藤木孝の異様なテンションの陽気さ、ボンドガール若林映子のグラマラス、トニー谷の小悪党ぶりと草笛光子の仕上がりぶり、そして何より上原謙の三枚目ぶりが味わい深く、結局何だったんだというよく分からない展開の>>続きを読む

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)

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ヒルマ・アフ・クリントとヴィクトル・ユゴーと降霊術。買い物係クリテンが亡き兄とのコンタクトを待ち続けるうちに巻き起こる怪事件。サスペンスとホラーと観念的な要素を取り込み乍らジャンルレスで多層的な喪に服>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

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アウシュビッツの隣で何事もなく過ごす人間の無関心の恐ろしさを描いてた作品だけど、パレスチナを無視してスタバとかマックを平気で利用したり、ずっとポップコーン食べながら本作を観てるリアルな世界の方がよっぽ>>続きを読む

だれかが歌ってる(2019年製作の映画)

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世田谷線沿い(主に松陰神社前)で、聴こえる人にだけ聴こえる誰かの歌声に導かれ紡がれる細やかでいながら大いなる出逢いに満ちた冬の物語。細海魚のメロディが素晴らしい短編。

左手に気をつけろ(2023年製作の映画)

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御用だ!御用だ!左利きはこども警察が逮捕する。左利きの姉と運命の人を探して街を歩き回る神戸りん。走るこどもたちと世田谷線。「だれかが歌ってる」から引き継ぐメロディがメドレーの様に軽やかな、映画の運動に>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

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分かり合えない事のもどかしさと愛おしさ。違うままでいる事の素晴らしさ。2度と撮れないかけがえの無い一瞬の煌めきを逃す事なく集めて画面の至る所に放つ瀬田マジックの炸裂。こんな作品作れるのは瀬田監督だけだ>>続きを読む

エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K(2005年製作の映画)

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パレスチナ出身の知識人サイードの不在を巡り彼の目指した共生の地点を考察するドキュメンタリー。家族や関係者に留まらず、周辺国に暮らす難民パレスチナ人やイスラエルに移住したユダヤ人などの生活者を丹念に追う>>続きを読む

AGGRO DR1FT(2023年製作の映画)

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初めて「ガンボ」を観た時に近い絶望感。絶望に満ちた世界のトーンやカラーが全編サーマルレンズのバッドトリップとして具象化された絶望のハーモニー。単にふざけただけかも知れないが。楽しめたけど45分位の長さ>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

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連続テレビ小説「フュリオサ」ダイジェスト版を観ている様な、もしも「マッドマックス」が朝ドラだったらな展開のフュリオサ少女時代からフューリーロードに至るまでのボリュームでお届けする壮大過ぎるデスロード予>>続きを読む

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

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訓練、洗濯、アイロン掛け、停滞の外人部隊。カラカラに乾いたアフリカで男たちは何と戦ったのか。アニエス・ゴダールの美し過ぎる撮影と全てを集約して飛翔させるドニ・ラヴァンのダンス。待った甲斐ある傑作だった>>続きを読む

マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)

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アイダとクレアと9人のジョン。娼婦アイダを巡る絶望と闘争のポエム。ティンカ・メンケスの放つ圧倒的な虚いと気高さに震えるニナ版「ジャンヌ・ディエルマン」。

シド・バレット 独りぼっちの狂気(2023年製作の映画)

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謎多き伝説の人物を関係者へのインタビューで解き明かすドキュメンタリー。掃いて捨てるほどある孤高の天才の顛末。だからこそ時代の記憶として語り継ぐ必然がある。監督のストームが亡くなりロディが引き継ぎ完成さ>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

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男性の眼差しと雇用格差と性暴力の三位一体。女性からシネマを奪ったハリウッドを中心とした映画史の洗い直し。メンケスの講演記録を明確にヴィジュアル化したドキュメント。これはタメになった。インタビュイーでロ>>続きを読む

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

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寂れたカジノ、燃える木、カラカラに渇いた終末のアメリカで積み重ねられる倦怠のエピソード。物語を拒否するフレーミングと圧倒的な虚無とそれらを支えるユーモア。その中で立ち続けるティンカ・メンケスの気高さ。>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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冴えない男2人がキャンプ地目指してひたすら車を走らせる倦怠のロードムービー。友情と成長と断絶。ヨ・ラ・テンゴの音楽により完成する純度の高いアメリカについての物語。ケリーの愛犬ルーシーの登場も嬉しい。

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

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宿無しのウェンディが迷子になった愛犬ルーシーを探し回るだけの地味な展開の作品だけど、アメリカの底辺で日々を凌ぐ人々が静かに浮かび上がる。八方塞がりのウェンディに明日を手渡すライカートの眼差し。ミシェル>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

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カラカラに乾いた四角い荒野。水を求めて西を目指す一団。理屈ばかりで使えない男たちの話し合いと女たちの苛立ち。そして先住民は彼らをいったいどこに導こうとしているのか。ライカートが開拓したウェスタンの更新>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

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登場人物全員が草臥れた郊外の生活で停滞のドラムが鳴り響き倦怠の逃避行が始まる。銀色のハイウェイと草むらの緑、そして果てしない青。銃が拾われまた捨てられる迄の物語。何も起こらないノワール。退屈な日常への>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

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ある日ユダヤ人の少年が誘拐されカトリック教徒として育てられる。イタリアに留まりイタリアを描き続けるベロッキオ。本作でも揺るがない史実に解釈を与えるベロッキオ調が炸裂。最後の最後まで引き込まれた。ベロッ>>続きを読む

転校生(2012年製作の映画)

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クラスでハブられた容子の前に現れた転校生のリサ。誰とも仲良くしないという彼女に容子は惹かれて行く。「ついて来んなよ!」というコミュニケーションで繋がる短い季節。ラストカットの手応えが素晴らしすぎる20>>続きを読む

ゆるせない、逢いたい(2013年製作の映画)

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デートレイプ問題に正面から向き合った作品。弁護士である母親との確執や部活の友達との関係性。ゆるせないけどまた逢いたい相反する感情。加害者への赦しに解せない部分もあるがラブストーリーでもあり青春映画でも>>続きを読む

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

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始まりから終わりまで全てが夢の中の夢の幻の様な。此方と彼方の間にある岩を素足ですり抜けて永遠となったミランダ。美しくミステリアスなカルト作品やっと観れて眩暈。音楽以外をサイレントにしたら完璧だったかも>>続きを読む

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

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踊りまくるナタリー・リシャール、マリアンヌ・ドニクールの蹴り、ロランス・コートと猫、エンゾ・エンゾの歌とアンナ・カリーナとサスペンスとロマンス。オレの好みが全部入ったリヴェット印のミュージカルコメディ>>続きを読む