元空手部さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.8

物証化された起床シーンがストーリーをわかりやすくしていて良かった
コード化された死体の表現等のパターン化された表現も寓話的な物語の構造を強調していて良い

過去を逃れて(1947年製作の映画)

3.8

ただし、要再見
海辺のシーンで二度もキスのアクションを挿入する過剰さ、銃殺の換喩であるやぼったい殴りあいのアクションが良かった

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)

3.8

田舎でのロング撮影という牧歌的、美的要素があるショットでもカメラをかなり揺らすことで脱絵画的感覚やリアリズムがあったのが良かった
また人工的な森の中の緑色の色彩も良い

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.5

音響や画面構図のアシンメントリーさ、CGやラフ画、デザインの歪さからくるとにかく異形な映画だった
対して槍の物証化されたショットは見やすくて良かった

しっかし、制作者もいつまで自己啓発もどきの幼稚な
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全身小説家(1994年製作の映画)

3.8

ただし、要再見

井上の発癌からの死という構成の間に、井上の虚言癖を暴露する調査場面を入れることで、映画を安易な悲劇的カタルシスにはしない構成が良かった
モノクロームで演出された井上の虚言癖の再現に対
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

3.8

子供の頃見たことがある作品、ところどころの場面は覚えていたなあ

捜査の場面に出てくる東京の下町の街並みの質感は、黒澤明の「天国と地獄」の転写であり、同時に街の質感が東南アジアや香港の亜熱帯的な雰囲気
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沈黙の艦隊(1995年製作の映画)

4.0

かわぐちかいじファンとして鑑賞
潜水艦が舞台になる作品なこともあって、動作音や効果音が少ない音響のクリアさが良かった
絵も必要最低限の動きしか見せないアクションの簡潔さにも古典的ハリウッド映画に近い古
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

3.8

ただし、要再見

統一されていない、混乱する画面でお話が展開していく中、ラストで画一化された喪服に身を包んだ登場人物や桜並木の共同主体として平時が描写されているのが良かった

春江水暖~しゅんこうすいだん(2019年製作の映画)

3.8

横移動により物証化された日常としての春江のショットに対して、授業の場面で映される山水画に対しても横移動の撮影が行われることで、作品が歴史に接合されているのが良かった
オープニングの漁船から放たれる一本
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子連れ狼 親の心子の心(1972年製作の映画)

3.8

オープニングのドアップによって性器の枠組みも超えて、作品のテーマとして主体化された女の胸が良かった

子連れ狼 死に風に向う乳母車(1972年製作の映画)

4.0

状況の説明、止揚の換喩としての大五郎のショット、人工的なズームの無機質性が良い
割れたスイカを食べる旅人のショットが入る移動場面の次の寺の場面で、割れていない丸いスイカが小道具として配置されるのには、
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銀河鉄道999(1979年製作の映画)

4.0

冒頭の一枚絵の銀河の即時的なイメージは、人間的な生と死への超越的な畏怖性があった
乗車位置を固定することで物証化された鉄郎とメーテルの報われぬ関係性も良い

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

3.8

土や木の脱自然的イメージや、祭りの場面で中景の炎が画面を支配する演出が良かった
また、決起の過程が描かれない人足の決起場面には、強烈な必然性があって良い

ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

part1と相同させるオープニングの変更が良かった
ダンスの回想がメアリーとだけになり、マイケルが死なないラストには、マイケルの父としての側面が強調されている

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.0

親方様から烏まで、画面右から左へ動き、右が鬼殺隊、左が鬼側である弁証法的なアクションの原則が良かった
そんな中猗窩座との決戦で煉獄が最後の説教の場面で炭治郎が左に位置するのには止揚があった
鬼の視点シ
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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年製作の映画)

4.2

ただし、要再見
典型的な邦画の様式で撮影されている中、プライベートフィルムのようなカメラワークやライティングがあり、この転換が良かった

ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.9

TVドラマのように明快な色調や、ラストのハリウッド的なアクションにあるアイロニカルさが良かった

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.0

ただし、要再見

母親との対話の場面が撮影であることを意識したカメラワークになっている点、スケートボートが対自的に扱われている点が が良かった

浅田家!(2020年製作の映画)

5.0

劇映画的演出の中で、広角レンズやピンボケ、黒く潰れたライティング等のプライベートフィルムのようなショットを混ぜてくる、この大胆さが良かった

この映画を一緒に見た女の子が彼女になったので、星5点にしま
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ゴジラの逆襲(1955年製作の映画)

3.8

前作のショットが無音で流れる場面や灯火管制の場面等に代表される映画全体に通底する静寂性が良かった

フェアウェル(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

後景をぼやかし人物にはっきりと当たるフォーカス、前景と後景の区別もなく人物以外が白い墓で埋められる墓参りの場面等の人物に対する強い主体化の演出が良かった
また、中華テーブルを囲んで食事をする弁証法的対
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スパイの妻(2020年製作の映画)

3.5

人物に対して非対称的なロングの歪さ、悔い気味に返答する会話、憲兵も民間人も同じく映写の準備をする描写の平等性、後景にいた彼岸的な兵士の隊列が前景に現れるショットの不穏さが良かった
戦前戦中の作品なのに
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異端の鳥(2019年製作の映画)

3.7

ただし、要再見
コメディ映画
個々のエピソードが一見独立している構成には、ロードムービーとしての魅力があって良かった
ランプを落としたショットの次に燃え盛る家が後景として描写される場面や叫ぶショットが
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エマ、愛の罠(2019年製作の映画)

4.3

重低音が左に片寄る音響のグロテクスさ、
対して湿度のないクリアな音響や画面はハリウッド的で明快である。このバランスが良かった
息子の肩に片寄る母親のショットには親子としてよりは性的な感覚があってその危
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.8

冒頭の雨中での男と女の会話で、雨に一切濡れないヴェールのハードボイルド性が良かった
また、乱闘をソフトフォーカスで描写したり、切り返しを人物のアップの換喩で挿入することでショットや構図を切り詰めて映像
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.8

最終決戦のチームを赤と青のワッペンで分けるある種幼稚さも漂うユーモア、名前でなく息子と呼ぶハードボイルド風味が良かった
IMAX画面と通常画面の並行モンタージュの弁証法的対立も良い
熱情的なラストには
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れいわ一揆(2019年製作の映画)

3.8

スリラーの場面で権力に妨害されたれいわ新選組が国会登壇で警察から厳重な保護を受けている転換は、皮肉だけでなくれいわが権力者として庶民派からかけ離れた存在になりうる危険性を暗に示していて良かった
手垢や
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シチリアーノ 裏切りの美学(2019年製作の映画)

4.2

ただし、要再見
前景と後景の結びつきを阻害する異化的なガラスボックスのイメージ、マフィアのモチーフであるカメラのブレと正常のモチーフだあるフィックスやブレないカメラの対比が良かった
クリアな画面や環境
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.8

間男がオフにいることでオフスクリーンが対自的に作り変えられる演出方が良かった
人物のフォーカスが合ったり外れたりする主体化と脱主体化を繰り返すカメラワークも良い

はりぼて(2020年製作の映画)

3.8

議員のポスターやテレビ映像、正々報道のポスターの勧誘や物象化によるユーモアは劇映画的作用があって良かった

ただ、物や動物のショットによる換喩や謝罪の物象化エンタメ化しすぎてる

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇(2019年製作の映画)

3.7

チープなCGの怪我の巧妙で即時的な恐怖のイメージを持つ怪物かスペクタクル的に登場する切り返しには外連味があって良かった

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

5.0

繰り返し登場し、ワイプで物象化され、字幕で単純化された、単一のイメージの解釈しか許さないショット群には圧倒的な暴力性があってよかった
母ちゃんのおにぎりの発言の後に合成とは一切無縁なおにぎりのショット
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.5

ただし、要再見
現実と小説の分割による弁証法的対立がテーマ作品だが演出面でも分割と統合、または止揚が描写されていた
同一アングルのアップの切り返しによって分割され、ある種単純化、物象化されたショット群
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LETO -レト-(2018年製作の映画)

3.7

モノクロデジタルのシャープな色彩が即時的なイメージを与えるアニメ映画