RitOさんの映画レビュー・感想・評価

RitO

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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

理想化された初恋の物語と、それを阻む「距離」。
その狭間で葛藤し遠くを見つめる主人公の姿は、男性的なナルシズムの象徴にも思える。

そんな主人公が、まるで花びらが落ちるようにゆっくりと、日々目の前のこ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

二人の少女の魅力を信頼しきった本作は、繊細な演技までもを丁寧に映している。

子どもという立場だからこその、親に対する責任感や不安、心配を抱く彼女にとって、「私が苦しいのは私のせい」という言葉がどれほ
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

人は死んだらどこへ行くのか。その答えは誰も知らないけれど、もしかしたらどこかで私たちを見ているのかもしれない。そして現世に留まる心残りをなくしたとき、またどこかへ消えてしまうのかもしれない。

恋愛(
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

正直な感想を述べるならば、この映画が伝記映画として圧倒的に面白い。

時系列操作によるサスペンス性の高い見せ方、主観的な映像が挟まることによるオッペンハイマーへの没入感の高さ、素晴らしい音楽による緊張
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

題名の通り、ミステリーとしての面白さを求める作品ではないとは思うが、そこを踏まえても、予想できない意外な犯人でもなければ、手の込んだトリックもなく、緻密な伏線もないのは、やはり映画としての魅力には欠け>>続きを読む

処刑人(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「悪人は死んだ方がいい」という誰しもの心の奥深くに存在する欲求を体現したかのようなマクマナス兄弟は、痛快ですらある。この考え方自体が正しいのか、という議論を作中ではせず、エンディングのインタビューで視>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公が職場の金を持ち出してしまうという軸を走らせることで緊張感を生み、中盤の殺人でそれを破壊する。
後半の操作パートでは徐々に真相に迫っていくことを話の軸とし、秀逸なオチへと向かっていく。

これが
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

前作と比べても映像の迫力は更にパワーアップし、欠点だった盛り上がりの少なさも改善され、話の展開が劇的になっている。クライマックスの決闘シーンも素晴らしい。

ただテンポが良くない印象は正直変わらず、目
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

宇宙時の来訪という設定を言語学からアプローチするのが面白く、「フラッシュバックがフラッシュフォワードだった」という仕掛けにも素直に驚かされた。

しかし、作品全体を通じてイアンの印象が薄く、ルイーズと
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

広大な砂漠を映した映像は圧巻の一言だが、作品全体としては設定説明や舞台配置に終始してしまっている感も強く、クライマックスの決闘ももう少し盛り上がりを見せて欲しいというのが正直なところではある。

また
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

中年の男女のささやかな恋愛を真っ直ぐに描いた作品。

トレンディドラマを思わせるようなすれ違いやハードルは、意外性があるわけではないが、どこかキュートにも感じる登場人物や、音楽の使い方などが素晴らしく
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

緊張感が素晴らしい、二転三転のサスペンス作品。

夜にだけ目が見えるという設定もギミックとして効果的で面白く、「都合の悪いことには目を瞑る」というテーマと重なり合っている点も印象的。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

真実はいつも一つ。でもその真実に辿り着けないとしたら?

夫の不審死の真相を突き止めるために、次々と推論が繰り広げられていく法廷劇が純粋に面白く、人間の複数の側面が暴かれていく展開に引き込まれる。
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キャロル(2015年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

二人で過ごす時間がひたすらに尊い。

女性同士の恋愛を正面から描いた、ある意味では王道のプロットの作品でありながら、細かな演技や、映像の積み重ねで見応えのある作品に仕上がっている。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

耳の聴こえない主人公だからこその、生活の中での些細な音を意識させる映画。

丁寧に登場人物たちを切り取った映像が素晴らしい。

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

エンタメ路線の漫画実写化作品としては十分満足できるクオリティ。

物語としては、序盤の登場人物、設定配置という側面もあり、この映画一本の中での目標がないからこその物足りない印象もあるが、今後の続編にも
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

PMSもパニック障害も持たない自分は、この作品を第三者的目線で観ることになる。

この作品では周囲の環境は温かく、主人公二人に対する負の感情そのものは描かれない。でもそれは、どこか距離を取っていたり、
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

青春の日々は巻き戻せないけれど、楽しかった時間はすぐに蘇ってくる。そういったモチーフとしてカラオケは絶妙だと感じた。

クライマックスの「紅」の歌唱は印象的ではあるものの、声変わりを迎えた後で合唱とど
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

異物を無理矢理飲み込まされるような気持ちの悪さ、それを生み出す美術、音楽、演技が素晴らしい。

結末も含めて、どのように解釈すべきかを判断しかねている部分もあるが、そういった広がりも含めて、印象的な一
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

韓国映画らしい上質なサスペンスで、車に乗ったまま災害に巻き込まれたときのアトラクションのようなカメラワークなど印象的な場面もあるが、個人的には序盤の設定から予想できる範疇を超えてはこず。

「理想郷」
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

個人的には良くも悪くも前作と同じ味といった印象。
殺陣は前作よりも見応えがあるように感じたが、ストーリーの高揚感はやや減退しているようにも感じ、トータルではプラマイゼロというところか、と。

アクアマン(2018年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

主人公のオリジンを上手く織り込みつつ、各地を旅し、バトルあり、ラブストーリーありの楽しい映画。
個人的には、若干尺が長いか、とは思ってしまう。

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

音によるジャンプスケアの多さや、ストーリーの細かい部分など、気になるところはあるが、この手のジャンル映画としては十分なのではないか。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ルーティンワークのような繰り返しのような日々。
けれどそこには、木漏れ日のような揺らぎと、影が重なるような積み重ねがある。
完璧な日々とはなんだろうと、考えずにはいられなくなる一作。

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

血の繋がりによる呪縛と愛、そして血から解放された愛を描いた奇跡の物語。
リアル系の作画でありながら、アニメーション的な快楽もふんだんに詰まっていて、映像としても見応えがあり、聖夜に相応しい心温まる一作
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

アップショットによる緊迫感の演出、ハンニバル・レクターというキャラクターの素晴らしさ。
サイコサスペンスとして素晴らしい一作。

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

様々な人と出会い、自らの個性を思う存分発揮できる、学びの尊い時間と、それを無常にも踏み荒らす戦争の悲惨さと悲しさを描いた傑作。
主人公の好奇心や、戦争への恐怖をより強烈に印象づける、描画スタイルが変わ
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七人の侍(1954年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

侍を仲間にしていくテンポの良さや、泥臭い合戦シーンなどのエンタメ性の高さと、人間を多面的に描く奥行きを両立した傑作。
個人的に印象的なのは、農民育ちで侍たちから小馬鹿にされる菊千代が、物事の本質を見て
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ゲゲ郎初登場シーンの演出や、中盤の格闘戦等、印象的なシーンもあり、脚本も大人の鑑賞に耐えうるように作っている印象。

ミステリーというよりはサスペンス的であるようにも感じ、終盤の戦いも案外勢いで解決し
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

戦争の恐ろしさと、その中で暮らす人々を丁寧に描いた一作。

主人公の目線を通じて切り取られる世界の描写は、アニメーションならではの優れた比喩表現に溢れながらも、リアリティを感じることができるものになっ
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トランスフォーマー/ビースト覚醒(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

変形シーンや音楽、ビーストを始めとするビジュアルの良さ(登場シーンは少ないが)光る一作。

個人的に、どの登場人物にもあまり感情移入できず、物語に乗り切ることは難しかったが、何も考えずに観るにはまあ十
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生きる(1952年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

本当の意味での「生きる」とはどういうことであるかを、死を目前にしたことで初めて自覚した男の物語を描く皮肉な一作。

そしてそんな人間の生き様について考えて尚、そう簡単には変われない人間への冷たい目線と
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

予言に惑わされ、欲望に囚われていってしまう武将を描いた作品。
印象的なのは、クライマックスの弓矢を大量に浴びせられるシーン。
また、「森が動かない限りは」という不可解な予言を提示することで、その後の展
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(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦国を舞台に、バイオレンスと武将の狂気、愛憎を描いた一作。

登場人物それぞれが策略を巡らせ、シリアスに天下を狙う物語でありながら、思わずクスッとしてしまうようなコメディパートが絶妙にブレンドされた奇
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

主人公の家に刑事が取り調べに来た後の電話が早すぎたり、最後の主人公と殺人鬼の会話が若干長く感じたりなど、所々で気になる点はあるものの、サイコミステリー映画として、それなりにまとまっている印象。

原作
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ソナチネ(1993年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

暴力の世界から一時的に解放されるも、暴力によってその日々が破壊されてしまう物語。

たわいない日々を過ごす中で、「死ぬのが怖くなる」何かを見つけてしまった主人公は全てのカタをつけた後、自死を選ぶ。
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