yaさんの映画レビュー・感想・評価

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ムード・インディゴ うたかたの日々(2013年製作の映画)

3.6

機械仕掛けと魔法をミックスしたようなユニークな世界観で綴られる、ポップな恋愛映画。

カラフルでレトロフューチャーなファンタジーから一転、ヒロインのクロエが病に侵された後半は色彩を失い、文字通りダーク
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.8

ピアノ・レッスンから始まる不倫と再生のストーリー。

性的強要のようでエクスキューズを与えるようでもある、ベインズの強引さと優しさ、共感性のバランスが絶妙。求め過ぎても待つだけでも、心の扉は開かない。
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奇跡の海(1996年製作の映画)

3.6

信仰深い女性が夫を想うがあまり身を滅ぼしてしまう話。

主人公ベスやその夫ヤンのキャラクター造形が絶妙。優しくて献身的なのか、それとも精神が異常で自己中心的なのか。

盲目的に夫や宗教を信じることが「
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イディオッツ(1998年製作の映画)

3.6

知的障害者のフリをして偽善を暴くグループの偽善を、ドキュメンタリー風に描いた作品。

愉快犯のように見える彼らの行動への嫌悪感に加え、Dogme 95を遵守した手持ちカメラのブレブレ映像やBGMのない
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ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.7

過去を秘めた男がロードハウスを守るためにチンピラ達と戦う話。

前半のサマーホリデー的な緩い展開から一変、後半は大アクション祭り。一線超えたヤツはやっぱ殺るしかねぇわ、と言わんばかりに普通に殺しまくる
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辰巳(2023年製作の映画)

3.8

裏稼業に生きる男が元カノの妹のリベンジに巻き込まれる、ジャパン・アンダーグラウンドなノワール作品。

決して有名ではない俳優陣の圧倒的な演技や存在感が物語を牽引する、男のロマンもブロマンスも詰め込まれ
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グッド・タイム(2017年製作の映画)

3.8

銀行強盗を失敗したことから始まる兄弟のドタバタ劇。

ロバート・パティンソン演じる兄が主な元凶で、無計画な故に次々と失敗し深みにハマりつつ、天才的な瞬時の閃きでギリギリ逃れていくジェットコースター的な
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.8

シリアルキラーであるジャックaka Mr. sophisticationが告白する殺しのアート、のように見せかけた殺しのコント。

衝動的なファーストキルから、どんどんサイコ度合いが加速。その変態性と
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

3.7

ロシアがウクライナのマリウポリに侵攻を始めた2022年2月の20日間を収めたドキュメンタリー。

淡々と、だが確実に、今回の戦争のリアルを捉えた監督やクルーのジャーナリズム精神には脱帽。侵攻開始から二
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

自然が豊かな高原とその住民、そしてグランピング開発のために都会からやってきた者たちを巡る不思議な話。

スタイリッシュなタイトルデザインに、森林を下から捉えた映像から始まる本作。ライブパフォーマンス用
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ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

3.7

3PからSM、遂には人工中絶にまでエスカレートするVol.2。見たくないものを真正面からしっかり見せつけてくるラース・フォン・トリアーらしい映像の連続に、モザイクの偉大さを実感。

そして、前後編5時
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ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

3.5

暗闇、事件の香り、静寂を破るデスメタル。

色情狂の女の自分語り x 童貞おじさんの余談で繰り広げられる哲学的自問自答。

Vol.2に続く。

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.5

伝説のプロレス一家でありながら、呪われた一家とも呼ばれるほど悲しき運命を辿ったフォン・エリック家を題材にした物語。

予想以上に呪われた展開で終始重いムード。いつの間にかある価値観に囚われ、気付かぬ間
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メランコリア(2011年製作の映画)

3.8

鬱病を題材にしつつも、いつの間にかそれを遥かに超えるスケールの話になる作品。

まず冒頭の、MVのようにバッチリ仕上がったスローモーション映像。そして鬱な妄想ではなくそれが全てリアルになる後半の衝撃。
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8

異国でのバカンスでハメ外し過ぎて、自らのアイデンティティを失う話。

オープニングのフォント・コンビネーションからもうビシバシ溢れ出るヴィジュアル・センス。独自の文字やグロテスクなマスクに至るまでのデ
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.6

ドイツのラッパーXatarの伝記的な実話を元にした、移民ギャングスタ・サクセスストーリー。

窪塚洋介に似た存在感抜群の主人公に、「最初の記憶が刑務所」という圧倒的バックグラウンド。しかも単なる悪さで
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.9

12年毎に再会する幼馴染2人の恋愛映画。恋愛というより、人生におけるちょっとした縁を描いた作品。

別にそこまでドラマチックでもない、どこにでもあるような話。だからこそのリアリティ。

そんな誰しもが
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

原爆の父、そしてアメリカン・プロメテウスと呼ばれたロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた作品。

超大作的な派手さはなく会話劇中心だが、時間軸をズラした演出にサブミリナル的に挿入される閃光や爆発、そ
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

3.8

息子の転落死によりとことん狂っていく夫婦をキリスト教的世界観で描いた話。

まず心を掴まれるのが、ラース・フォン・トリアーのセンスが冴え渡りまくったプロローグの映像美。スローモーションのモノクロ映像に
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燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)

3.8

日本唯一のパリ・オートクチュールのデザイナー、ユイマナカザトさんのドキュメンタリー。ケニアで服の終着点と起源を目撃し、日本で未来をつくり、パリから発信する。

ゴミの山をみても儚い美しさを真っ直ぐ見出
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

砂の惑星デューンをめぐるSF超大作のパート2。

前作から続く圧倒的なスケールの世界観に加え、ドリーミーな砂漠や異質なハルコンネン花火まで、アーティスティックにデザインされた映像がとにかく美しい。
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ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

3.6

あるIT企業の社長「ボス・オブ・イット・オール」を演じることになった俳優と社員達の人間模様を描いた作品。

とことん茶番だけど結構笑えて、意外にもほっこりさせられる。

ビジネスは感情。ガンビーニ好き
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マンダレイ(2005年製作の映画)

3.6

ドッグヴィルの続編、アメリカ3部作の2作目。

未だに黒人奴隷制度が残るマンダレイにやってきても、グレースの博愛主義は健在。但し、環境に染まった集団はそう簡単には変わらないし、変えることが必ずしも正で
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

3.8

毒殺されかけたロシアの反体制派のカリスマ、ナワリヌイが犯人を突き止めるまでを収めた衝撃過ぎるドキュメンタリー。

イメージとは裏腹に、彼の素顔はウィットに富んだナイスガイ。命懸けの状況にも、笑いを交え
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ドッグヴィル(2003年製作の映画)

3.9

ドッグヴィルという村に、美しき逃亡者グレースがやってきたことから炙り出される人間の狂気を描いた作品。

舞台のような簡易的なセットに極めて説明的なナレーションという実験的な構成により、様々な状況に置き
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

切迫詰まった作家が、目の敵にしていた「ザ・黒人の本」を書いてみたら大ヒットしてしまう話。

ポリコレの時流で逆にコモディティ化されたブラック。表面的な差別は無くなっても、深層心理に居座る悪気のない偏見
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コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.6

MI6管理のもとCIAとKGBのエージェントがタッグを組むバディ映画。

ガイ・リッチーらしいスタイリッシュな映像は健在。アリシア・ヴィキャンデルも安定の美貌。

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.5

女性のスパイ小説家がリアルにスパイ活動に巻き込まれる映画。

全体感は、ほぼキングスマン。笑うしかないこってりアクション演出に予想外の展開の連続。とにかくライトでポップな仕上がり。

サム・ロックウェ
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.6

説明不要の、今最もマ・ドンソクを楽しめる犯罪都市シリーズの3作目。

予想を裏切らないワンパン・アクションに決め台詞。マ・ドンソクが無双すればするほど劇場が笑いに包まれる、最早ハートウォーミングな本格
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.7

一代で財を成した大麻王ミッキーのビジネス売却を巡る、紳士(ワル)達の駆け引きを描いた作品。

記者の取材を元にした脚本で進行するという構成が面白く、またガイ・リッチーらしい編集やストーリーをみせながら
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.6

ロンドンを舞台に、86カラットのダイヤモンドをめぐるアウトロー達の群像劇。

当時は無名だったジェイソン・ステイサムやベネチオ・デル・トロ、そして既にスターであったブラッド・ピットと名優が揃い踏み。
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.9

アフガン戦争で通訳に命を救われたアメリカ兵が、命を狙われることになったその通訳を救いに再び現地に向かう話。

アフガン戦争における現地通訳のビザ問題という新しい側面にフィーチャーした、緊張感溢れる骨太
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

朝鮮王朝を舞台に、盲目の鍼師が活躍する政治サスペンス。

とにかく設定とストーリーが秀逸。序盤のゆるい展開に何気なく散りばめられた違和感。その謎が解けてから見せる怒涛の展開。

「見ない」ことが良しと
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

夫の転落死から始まる、謎が解けない法廷サスペンス。

息子の視力が弱いことや複数の言語での会話により、そして揚げ足取りと紙一重の論理で争う裁判により一層見えにくくなる真実。その全然わからなさがリアル。
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

3.6

ギャンブルで多額の借金を負ったチンピラ達とその関係者達のストーリーが絡み合いやがて収斂する作品。

イギリスのタランティーノと言われるのも納得で、随所にUK感がほとばしる。

若かりし頃からブレないジ
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