yaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

夫の転落死から始まる、謎が解けない法廷サスペンス。

息子の視力が弱いことや複数の言語での会話により、そして揚げ足取りと紙一重の論理で争う裁判により一層見えにくくなる真実。その全然わからなさがリアル。
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

3.6

ギャンブルで多額の借金を負ったチンピラ達とその関係者達のストーリーが絡み合いやがて収斂する作品。

イギリスのタランティーノと言われるのも納得で、随所にUK感がほとばしる。

若かりし頃からブレないジ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

不安症が抱える過度な不安をリアルが悠に超えてくる悪夢のような地獄からの、怒涛の展開を見せる最早理解不能な終盤の地獄。正にキャッチフレーズの悲喜劇オデッセイスリラーの名に相応しい超怪作。

アリ・アスタ
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.8

19世紀に実在した興行師P.T.バーナムの、見世物小屋やサーカスと共に駆け抜けた人生を描いた作品。

正に叩き上げプロモーターというべき、嘘や誇張さえ交えた営業力。偽物であるからこそのし上がったのに本
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

スポーツ界最大のスキャンダルの一つと言われている、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を題材にした作品。再現度が高くテンポも良い。

貧困層からのアイススケートで成功とその後の転落具合は、正にアメリカン・ド
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

ダムマネー(愚かな資金)とみなされていた個人投資家達がヘッジファンドを打ち負かしたゲームストップ事件を題材にした作品。

アメリカでの個人投資の浸透具合に加え、YouTubeやSNSの拡散力とコミュニ
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トニー滝谷(2004年製作の映画)

3.7

洋服を買いまくる妻とその夫の孤独にまつわる、極めて文学的な作品。

オープニングからもう坂本龍一のピアノが静かに際立つ。そして絶世期といっても過言ではないレベルの美を放つ宮沢りえ。

「洋服って自分の
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

3.8

レクター博士とクラリスの緊迫した対話や関係性が魅力のサイコスリラー。

映画史に燦然と輝くサイコパスであるレクター博士のキャラクターデザインが圧巻。イカれているのに気品溢るる、まさに原点にして頂点。
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.8

トーキング・ヘッズによる伝説のライブ映画。セットにお金をかけまくっている訳でもないのに、その音楽と原始的な動きは人間の根源的な何かを刺激し自然と体が動く。

タイトル通り、直感的にただ楽しむことができ
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ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

3.4

ダニエル・ラドクリフとエマ・ワトソンの天才子役オーラが凄い。

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.6

外出禁止の子供達のシュール過ぎる日常。

初期作から奇妙さとそのレイヤリング具合は健在。

純粋培養だからこその狂気。オチのスカし具合もシュール過ぎ。

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.9

LGBTQに限らず、自分らしく生きるという壮絶を描いた作品。

第一印象は完全に草彅剛なのに、品のある仕草や独特の話し方でいつの間にかトランスジェンダーとして生きる凪沙に。

「何でオレだけ」を乗り越
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

子供のように純粋な女性が自由を求める冒険譚であり成長譚。他者や世界から学びながら、自分の価値観で正直に生きていく。

まず何より、ヨルゴス・ランティモスのアートセンスが爆発したルック。アンティークとバ
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.7

ヤクザ潜入捜査系ノワール作品。

とにかく野生味溢れる岡田くんのアクションと肉体美が魅力。松岡茉優もセクシーだしキャストが皆ハマってる。

ありがちなようで更に奥行きのあるストーリー展開から、割とあっ
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

トラブルが連鎖して本当にもう最後まで走るしかない汚職刑事サスペンス。

葬式も結婚式も年末年始も関係ねぇ!というある意味ツラいお仕事映画。

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.4

売れないYouTuber少女と動画編集ができるストーカーおじさんの話。

YouTuberを通じて描かれる人間の薄っぺらさ。最早全員クズで不快。

嫌いという本音のカタルシスを味わう前にやってくる厳し
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.5

海外だけじゃない、日本にもあるどん詰まりの村から抜け出せなかった少年の悲劇。

村社会の本当に嫌な陰湿さを経由して、服従から権威側になってしまう恐ろしさ。

ほぼ全員気持ち悪いし、こんな村は捨てるべき
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.4

特殊詐欺を題材にした大阪ノワール映画。

犯行現場のリアルな緊張感や安藤サクラの演技は見もの。でもカルチャーの挿入やミックス加減が中途半端で表面的な印象。

トラフィック(2000年製作の映画)

3.5

メキシコ麻薬戦争を題材にした群像劇。3つの異なるルックを使用した映像が印象的。

闇堕ちしたブラピ的なエッジを感じさせる、若き日のベネチオ・デル・トロがシブい。

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.8

メイソンくんの6歳から18歳までの12年間を、実際に12年間の歳月をかけて撮影した作品。

父から息子への教えや、女のコとの少し哲学的な会話など、過去の出来事が未来への伏線になっていたり、全く逆に変化
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.9

元ポルノスター男優のマイキーを中心に、アメリカ郊外のどん詰まり生活を描いた作品。

登場人物は皆大なり小なりクズだが、マイキーがズバつけてクズ。クズ具合が突き抜け過ぎて清々しさや愛嬌さえ感じさせるレベ
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エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

3.4

エクスペンダブルズというより、ジェイソン・ステイサム映画。

セクシーな新規女性コンビ、ミーガン・フォックスとレヴィ・トランのアクションをもっと観たかったし、50セントにはラップして欲しかった。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

さり気なく静かに、でも緻密に美しく、今となっては悲し過ぎる父とのひと夏の思い出を辿る作品。

ベッドのすぐ横で、時には窓越しやテレビ画面の反射で見た記憶や、ホームビデオに残された荒い記録、そして娘ソフ
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.0

ストレスフルな日常に耐えきれなくった元天才建築家の主婦が、家族を通じて自らのアイデンティティを取り戻す話。好きなことは辞めちゃダメだ、というリンクレーターらしいアドレッセンスに溢れている。

まずシン
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.0

アブグレイブの捕虜虐待事件をモチーフに、心に鉛を抱えた元軍人の贖罪の話。

重苦しくもの悲しさが支配する暗い世界。もがきながらも良い人間になろうする者への、束の間の美しすぎるライトアップ。そして儚くも
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オオカミの家(2018年製作の映画)

3.8

ナイトメア的映像センスが光る新感覚ストップモーション作品。最早動くというより蠢く、モーションというよりトランスフォーメーション。

マスキングテープや廃材チックな素材使いは、DIYパンク且つクリーピー
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.9

終わらない終末、さぁあなたはどうする的なスリラー。

宗教間対立、人種差別、企業倫理などあらゆる社会問題を詰め込んだ全方位型の不穏な伏線。それらを演出するスケール感あるカメラワークにシャープなグラフィ
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フローラとマックス(2023年製作の映画)

3.8

好きなものを通じて誰かとコミュニケートする素晴らしさを、再認識させてくれる作品。本当の意味でのHigh Life。

今回は家族をテーマに、日常のサイズ感で音楽の本質を魅せてくれる安定のジョン・カーニ
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.9

オックスフォード大学に入学した孤独な少年と、仲間に入れてくれたフルスペックイケメンとの歪んだクィア・ラブストーリーかと思いきや、、、

前作の『プロミシング・ヤング・ウーマン』同様、スリリングで予想外
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.6

ノスタルジックでシュール、登場人物も皆どこか機械的。北欧ポップなヴィジュアルや音楽にも何処か哀愁が漂う。

そんな唯一無二な世界観とシンプルなストーリーで紡がれる、陰鬱とした日常からのふとした脱却。ミ
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.6

初めて村にやってきた牛=ファースト・カウのミルクを盗みながら作るドーナツで、慎ましくアメリカン・ドリームを目指す男達の話。

タレントのある男とバイタリティ溢れる男。友情をテーマにしつつその空気感はメ
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.8

日常の半歩先にある狂気を描いてきたギャスパー・ノエ監督。今回は認知症や老後をテーマにグッと日常に擦り寄った、日本人にはよりリアルにエグられる話。

静かに進む物語だが、スプリット・スクリーンでの魅せ方
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.7

よく出来た構成でしっかり引き込まれるオーストラリアン・ホラー。

Jホラーと欧米的価値観のバランスやちょっとした設定のツイストで、お馴染みの設定を巧みにアップデート。

過度な火遊びは厳禁。オレは頑な
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

静かで美しい日々は繰り返しのようで、実は瞬間的で刹那的。

捉え方次第なのだということを体現するキレのある映像と編集に、ドラマを与える音楽。

ヴィム・ヴェンダースと役所広司、そしてファーストリテイリ
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グラディエーター(2000年製作の映画)

3.7

熱々なストーリーと壮大な映像で送る、ド直球の歴史スペクタクル。

ラッセル・クロウ演じる偉大なるリーダー、マキシマス。戦場では自ら先陣を切り、奴隷から這い上がり帰還したコロッセオでは雄弁に自らを名乗り
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